何事も中庸が1番なのですね。
深淵を見つめてても実は深淵に見つめられているのですよ
そんな感じかな?
意味不明ですね
では、本編です。
「…………」
気がつくと青年は天井を見上げていた。
何度目だ?
いい加減に飽いてきたぞ……
青年は眉に皺を寄せて目覚めた。
「クロ!!よかった……」
安堵する少女
「伊織は!?」
キッと青年は少女を見つめたが、頬に寝息を感じて伊織が直ぐそばで寝ている事に気がついた。
「ずっと泣いてたんですよ?貴方の事、ギュッと抱きしめて」
少女は、伊織に微笑みかけつつ言った。
「ごめんな……」
青年は伊織を見て言った。
「で?なんでこんな事になったんです?」
少女は、腕組みして言う。
「分からない……」
「…………その様子だと何かしでかした訳でも無さそうですね、人攫いの人喰い天狗さん?」
「やめろよ、オレはこの子を攫ってきたんじゃない!!」
キッと青年は少女を睨む
少女は、ふぅと一息入れて話し出した。
「でも、表上はそうなってる……そうなってしまっているんです、クロ君、割と洒落にならない事ですよ?」
少女の表情から察するに本当に洒落にならない事態なのを青年は察した。
「ごめん、文……助けてくれたんでしょう?これじゃ、文まで……」
「いや、ご心配なく、里の人達には見られてませんから……それくらいの速さで貴方を運んだ……重かったんですよ?」
ムスッとした表情を浮かべて少女は、青年を見たが青年はそれどころではなかった。
「あの男……何を企んでるんだ?」
ギリッと青年は歯を食いしばる、しかし、そんな事をしたって何も変わらない事をよく知っていた。
「伊織の家族……ですか?」
「知ってたんだ……」
ガクッと青年は項垂れる、隠していたつもりだったのだ。
「まぁ……情報収集のエキスパートですんで……」
少女は、後ろ頭を掻きながら答えた。
「文は関係……無いから、オレ、人里で人を襲ったんだろ?きっとオレは消される、でもね?文は関係ないでしょ?だから……」
「関係ない……か……そうやっていつだって突き放して、嫌な人ですね、貴方は私の助手なんですよ?もう他人じゃないんですよ!?」
少女は、真剣な表情で青年に詰め寄るが、青年は目を逸らしてそれから何も答える事が出来なかった。
この子はどんなに拒絶したってオレの味方であろうとしてくれる
もう、どうやったって無理そうだ……
だから……
青年は遠い目をしてため息を吐く。
「クロ君、私達はもう家族なんです!!家族は、支え合わなきゃいけません!!」
にっこりと少女は青年に微笑みかけた。
青年はそれを見つめた。
「違うよ……」
青年は小さな声で、誰にも聞かれぬように呟いていた。
そして、青年は伊織を見つめて
「大丈夫だよ、例え世界全部が敵に回ったってそれでも構わないから……」
「…………」
フッと儚く笑う青年の笑顔
少女には見覚えがあった。
人間だった頃の彼の笑顔だ……
唐突に不安に駆られる、しかし、博麗やスキマの妖怪が動き出すにはまだ時間が掛かるだろう……なぜなら、当の博麗の巫女が青年に刃を向けるのを良しとしないからだ……
しかし、向けざるを得なくなる時がくる……
その時は……
少女は、青年を遠い目でみつめていた。