因みにクロの能力は、一定の条件が無いと発動できません
強すぎるのは嫌いですから。
まぁ、まだ思索中なんですけどね
では、本編です。
「見つけたぞ!!人喰い妖怪め!!みなさん、あいつですあいつが僕らの家族を攫ってったんです!!」
ある男が声高らかに叫んだ。
「ッ!?」
驚いて振り返るそこには伊織の家族……本当の家族……
そいつがオレを指差して叫んでた。
「なっ、なんだって!?人里で妖怪は人を襲ってはならないって決まりなんじゃ……」
ドヨドヨと里の人達はどよめいた。
「ちっ違う!!何言ってんだアンタ、アンタがこの子を金で……」
「早く!!早くこいつを捕まえて下さい!!」
男はオレを指差して叫んだ。
すると男達が次々と武器を手に取りこちらへにじり寄ってくる。
「???」
伊織は狼狽していた。
「どーするクロ?こいつらクロを捕まえる気だよ〜ねぇ、壊す?壊していいよね?」
キッと武器を持った男達を見渡してフランは言った。
「チッ……フラン、オレの言うことを聞いてくれ、今からすぐに紅魔館へ帰るんだ、絶対にこっちを振り向くなよ」
舌打ちして言った。
「えっ、なんで?」.
「黙っていけ……」
フランは、疑問符を浮かべてこちらを見たが、オレの表情を見るなりすぐに飛んで行った。
そんなに怖い顔してたかなぁ?
「伊織……大丈夫だよ?」
伊織に筆談すると伊織は、安心した様でこちらに寄り添ってきた。
伊織に向かって微笑もうとした。
けれど、里の人達はそれを許してはくれない。
にじり寄って来た男達に後頭部を思い切り叩かれた。
大して痛くない。
だけど……
気絶したフリをした。
「うろ!!うろ!!!!」
伊織は、驚いてこちらを揺さぶるが直ぐに男達に引き剥がされて、本当の家族の元へと運ばれた。
ドスッバキッドカッ!!
沢山の人がオレを殴った。
ちょっとだけ痛い……
「おお……大丈夫だったかい、我が子よ……」
芝居掛かった様子で男は伊織を抱き締める。
伊織は何が何だか分からずに必死にこちらへ向かおうと男の腕の中でもがいていた。
どう言う風の吹き回しだろうか?
いや、この人は伊織の本当の家族だ。
だから、これで良いのかも知れない……
ビリビリビリ!!
と身体に電流が走った。
「グアッ!!」
思わず声が出た。
何やら対妖怪用の札を貼られた様だ。
ドスッ!!
「アグッ!!」
次は対妖怪用の術式か呪いでもされている刀で背中を刺された。
ドクドクと身体から血が出てくる。
身体から段々と力が抜けていって、意識が遠のく。
これはマズいな……死ぬかも……
正直なところ人間をナメてた。
対妖怪用の札や武器が自身に対してこうも有効だとは知らなかった。
普通の同族同士の闘いなら幾ら斬られても大した事じゃなかったが
たったの人刺しでこのザマだ……
いや、違うな……
文にボコボコにされてるのと一緒だ。
オレ、多分弱くなってる。
ザクッ!!
「ア"ッ……」
また刺された。
ああ……オレ、死ぬのかな……
目の前が真っ暗になって……そこから意識がなくなった。
そして……
ビュウ!!
と突風が吹いて砂埃が立ち込める。
そこに居たものはみんな目を覆った。
すると、青年の姿も男の腕の中にいた筈の伊織の姿もなくなっていた。
「クソッ、逃げたな人喰い妖怪め!!」
伊織の本当の家族である男は言った。
そして、里の人達は必死になって青年を探していた。