東方風天録   作:九郎

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更新です。

色々とミスしてる気がしますね。

急いで書いたらこれが怖いんですよ。

すいませんね……

では、本編です。


守る側と守られる側

「う〜う!!」

 

ユサユサと幼子は布団に寝かされた青年を揺さぶる。

 

「……」

 

少女は無言で青年を見降ろしていた。

青年の身体には、丁寧に包帯が巻かれてあり

折った手足にはギプスが付けてある。

 

骨を砕いたので幾ら戦闘特化型の天狗でも完治に時間が掛かる筈だ。

そう少女は思った。

 

やり過ぎたかな?

 

と少し申し訳ない気持ちになったが、後悔など一切ない。

 

こうでもしないと彼は闘う事を止めない。

 

守る事を止めない。

 

「守……らなくちゃ……」

 

青年がうわ言を言う。

 

それを聞いて少女はギリッと歯を食いしばった。

 

「余計な御世話なんですよ!!」

 

少女は拳をギュッと握り締める。

 

「そんなになってもまだ貴方は……」

 

何故わかってくれないのだろう?

 

何故そこまで他人に尽くしてしまうのだろう?

 

なんで、1人で背負い込むのだろう?

 

少女のなかでそんな疑問符が浮かび、そして青年に対する怒りが再び湧いてきた。

 

 

「そうだ……」

 

ふと少女は青年の背負っている大剣を見つめた。

 

「こんな物があるから!!」

 

少女は無理矢理青年を起こして背中の大剣を抜き取った。

 

「ウグッ……」

 

青年は、痛みからかビクッと動いたが少女はそれを無視した。

 

「こんな物!!」

 

処分してしまえ

 

少女はそう思って大剣を持った。

 

しかし、その瞬

 

ズンッ!!!

 

余りの大剣の重さに少女は転けてしまう。

 

「なっ、何これ!?クロ……貴方はこんな物を常に背負っているんですか!?」

 

 

どんなに力を入れても少女は大剣を持ち上げる事さえ出来ない。

 

「こんな物背負って闘えてるのに、私に対しては殴られる一方だったのは……」

 

少女の頭に血が上って言った。

 

「どこまでも私をバカにして!!」

 

少女は叫ぶ

 

「違うわよ?」

 

唐突にスキマの中から紫が現れた。

少女は反射的にキッと紫を睨む。

 

「あら、怖いわねぇ……」

 

クスッと紫は笑う。

 

そして、続けた。

 

「クロは、貴方に対して……いや、貴方達に対しては物凄く弱いのよ、そういう能力なの、だから、クロは別に貴方を舐めてた訳じゃないのよ?成す術がなかっただけだもの。

ある意味、貴方が彼の最大の弱点ね……」

 

 

「クロの……能力?」

 

 

「そう、彼は誰よりも強くなれるけれど、貴方達には誰よりも弱い」

 

紫は、扇子で口を隠して遠い目をする。

 

「どういうことですか!?」

 

少女は紫に詰め寄るが紫は、何も答えない。

 

「話は変わるけれど覚えてる?貴方は強い能力相手には成す術も無かったでしょう?あの殺人鬼の事を覚えてる?覚えていないなら、紅魔の館のメイド長を思い起こしてご覧なさい」

 

 

「えっ……」

 

少女は思い出してみた。

あの殺人鬼の能力、多分、相手を動けなくする能力だ。

 

そして、メイド長の能力は、時を止める

 

確かに、成す術も無かった……

 

 

自分のプライドが傷ついた気がして少女は

 

チッと舌打ちをする。

 

 

「貴方はあの時確かに守られたのよ……それを忘れない事ね」

 

そう言い残して紫は、スキマに消えた。

 

「分かってるわよそんな事……でも、私は助手さえ守れない新聞編集者になんてなりなくないだけなの……」

 

少女は俯いて呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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