そろそろ新章ですね
ちなみに、クロのモデルはファラン デンゼルって言ってたの忘れないで下さいね!!
知らない人が多いと思いますけど、私の大好きなキャラです、
では、本編です。
世界が終わっても……
「落ち着けよクロ」
戸惑っていた霖之助が口を開いた。
「ああ、オレ今、最高にイカれてると思う」
青年は困った様に笑う。
「家財道具一式に、家の建材……まさか君……」
そうであってくれるなと祈りながら霖之助は問う。
しかし、最悪の答えが返ってきた。
「うん、全部投げ打つ……」
「馬鹿か君は!!一体なんでそんな事!?」
霖之助は、ガシッと胸ぐらを掴んで問うてくる。
青年は霖之助が戸惑う理由を理解していた。
しかし、もう止まらなかった。
「そんなに大丈夫なもんじゃね〜んだよ……これって」
青年は、遠くを見て呟いた
「はぁ!?僕はそんな哲学的な事を聞いてるんじゃないんだぞ!!答えろ!?何があった!?」
霖之助は、更に強く胸ぐらを掴んで揺さぶりながら問う。
青年は遠い目をして答えた。
「あの子さ……」
「えっ?」
「あの子はね?誰にも愛されてないんだ……」
「は?クロ、君は何を言って……」
「耳も聞こえず、感情さえ欠落したあの子を……一体誰が愛してやるんだよ……生きるって事を誰からも望まれていない人間を……一体誰が愛してやるんだよ……」
「おっ、オイ!!」
霖之助の腕を振り払い、青年は飛び立つ。
明らかに様子のおかしい青年を見て霖之助は取り止めようのない不安に駆られた。
「僕には止められないみたいだ……」
霖之助は、ガクっと肩を落として呟いた。
そして…………
妖怪の山へと続く道。
青年は幼子を抱き抱えながら歩いていた。
「大丈夫、大丈夫だよ……」
疲れ果てて眠る幼子に青年は微笑みかけて言った。
「オレが守ってやる、オレがお前を守ってやる……なにも心配は要らないから……もう泣かなくたっていい、無理して笑わなくてもいい、なんにも……怖くないから……」
全財産全てを失った青年は、失ったのにとてもにこやかに、そして強い目をして空を見上げた。
「例え、世界が終わってもお前を離さないぞ…………この言葉の意味が、ようやく理解できた気がする……」
青年はこれから、何者かに成ろうと努力する事になる。
例えそれが偽物だとしても、仮初めだったとしても……
彼は努力する。
そう成ろうとしている事を彼自身は否定するのだが、それでも、彼は何者かに成ろうとしたのだ。
ただただ、幼子と、彼女の幸せを願った。
ただただ、幼子と彼女を幸せにしようとしていた。
強く強くただ、強くなる。
守る為に。
紫は語る。
「クロは、代わろうとした、そして変ろうとした。ずっとずっとね……そして、あの子は理解したのよ……愛と言うものの恐ろしさを」