そろそろ進展させるつもりです。
エグいのも書きたいものだ。
では、本編です。
あれから数日……
文は怒って口を聞いてくれない。
だから、助手の仕事なんてできやしない。
最近、仕事詰めだったからほんの少しの休みだ。
ちょっぴり嬉しかったりする。
けれど……本当は寂しいと思っているのは内緒だ。
感覚の無くなった腕は直ぐに治った。
八意さん曰く、「流石は戦闘特化の天狗だわ…… 」
との事だ。
偶にトージの馬鹿がオレを馬鹿にしに来る。
完全に無視してるけれど……
あいつは他にやる事がないのか?
あいつ、友達居ないのかな?
どうだって良いけれど……
そんなこんなして今は家でボーッと空を眺めている。
ここの空は綺麗だ。
「まだまだ未熟ね……」
突然スキマが出現して、中から紫さんが顔を出す。
会いたくない人だから舌打ちをすると、紫さんは顰め面をした後に扇子で口を隠した。
「何の用です?」
ため息をついてオレは紫さんを見た。
「一つだけ忠告、貴方は他人の能力の支配下に置かれなくなった、そして、気付いてないでしょうけど、妖力も無尽蔵にあるわ。 でもね?それで、大切な人を守れると思ってはだめよ」
「ん?」
「守られる方の気持ちだって分かってあげなさい……あの子だって貴方を守りたいのよ?それなのに貴方という人は……」
「オレなんてどうでも良いでしょう?オレは一度死んだ身ですので」
へっと苦笑いしてヒラヒラと手を振ると、紫は刺すような目でこちらを見てきた。
流石にふざけるのはマズかったか……
「貴方……愛ってなんだと思う?」
徐ろに紫さんは言った。
「これですかね?」
スッと手のひらを出した。
手には何もない。
だから紫さんは首を傾げた。
「ここには、ある様で無い物……無い様で確かにここにはあるもの、つまり空気見たいな物ですかね?ハハッ、例え方が悪かったかな?」
「愚かな答えね……だから貴方は阿呆なのよ、気取った答えを言って手には詩人にでもなるつもりなの?」
大きく溜息をついて紫さんは、こちらを見てきた。
「分かりっこ無いですよ、きっとオレには一生分からないんじゃ無いでしょうか?」
困り顏で答える。
「ちゃ〜んと貴方は持ってるわ、溢れる程に……けれど、貴方はそれを一切理解しちゃいないのよ、貴方が他人に向けるそれも、向けられているそれも……」
意味深なことを言って紫さんは、スキマの中に消えた。
少しだけ考え込んだ。
分からない。
そんな事なんて考えた事なかった。
愛しているという言葉がある。
オレは、それをただ、好きだ
という意味で理解した気になっていたけれど本当にそれだけなのだろうか?
違う……
そんなの違う……
ずっと考えて……分からない理由が分かった気がした。
「オレは今まで誰も愛しちゃいなかったんだ……」