すいません、書き直すかも知れません。
では、本編です。
「なっ!?」
時が動き始めてレミリアは、驚愕する。
咲夜が目の前で倒れていたからだ。
「次はアンタだ……」
ギンッと青年は鋭い目付きでレミリアを睨みつける。
「ヒッ!!」
レミリアは、思わず尻餅をついた。
「さっきまでの威勢はどうした?」
瞬く間にレミリアの目前まで移動し冷淡に青年は、言い放った。
完全に青年の間合いである。
「動くと首を飛ばすよ?」
青年は、静かに言った。
「……」
レミリアは、小刻みに震えている。
青年は、疑問に思った。
さっきとは全然様子が違う……
何故だ?
「目だけ動かしてオレを見ろ、どういう理由で文を攻撃してオレを呼び出した?猶予は10秒、モタモタするなよ?」
レミリアは、ゾッとする。
まるで木枯らしが吹いたような
そんな、冷たい風が自身に吹き抜けた様な感覚を覚えた。
「貴方の能力を見たかったの……」
震える声でレミリアは答えた。
「何故?」
機械のように青年は問う。
「妹の為……」
「ん?」
予想外の答えに青年の体の力が抜ける。
「妹の能力を……貴方なら抑えられると思ったの」
さっきまでの洋館の主らしい風格は何処へ行ったのだろうか?
あれほど手こずらされたレミリアが、青年にはただの幼い少女に見えていた。
「詳しく聞こうか?変な真似したら……分かるよね?」
静かに、諭すように青年はゆっくりとレミリアに言った。
それが、レミリアにとっては恐ろしかったのだろうか?
震えが更に激しくなる。
「妹の能力は危険過ぎる……ありとあらゆる物を破壊してしまうのだから、長い間一人きりで部屋に幽閉してたのだけれど、あの子にも外の世界を知って欲しくて……人との関わりを知って欲しくて……だから……」
半泣きになってレミリアは答える。
「言ってることが意味わかんねぇよ、それが何故オレの能力に関連するんだよ」
再び冷淡に青年は、問うた。
するとその瞬間……
バコォ!!
後頭部を硬いもので殴られる。
青年は、この感覚を良く知っていた。
「バカクロ!!小さい子相手に何をしてるんですか!?今にも泣き出しそうじゃないですか!!」
「痛い……」
後頭部を抑えながら青年は、少女を見る。
お前を守る為に闘ったのに……
と悪態をつきたかったけれど、きっと頭を殴られたのは目の前の幼子を泣かしそうになった……という理由だけでは無いのだろう。
と、青年は少女の顔を見て思った。
「悩んでたの……あの子に他人との関わりを教える事は出来ないだろうかって、でもね、あの子、長い間一人きりだったからとても不安定で……だから、それを制御できる人を探してたの」
再びレミリアが口を開いた。
「それがオレだと?過大評価だ……」
フゥッと溜息をついて青年は、頭を掻いた。
そんなしょうもない事でボロボロにされたのだ。
たまったものじゃない!!
と少しイラついていたのだ。
「いいえ、貴方ならできるわ……だって、『壊させない』ことに関してはこの幻想郷で1番だもの……」
「それで、あの妹ちゃんの面倒を見て欲しいって?」
面倒くさそうに青年は、言った。
「うん!!」
パァッとレミリアは、表情を明るくしてうなづいた。
オイオイ、こうして見ると唯のガキじゃないかよ……
さっきまで不敵な笑みを浮かべてオレを煽ってた癖に。
化けの皮が剥がれたか?
いや、背伸びしてたんだろうな……
青年は、思考を巡らせてクスッと笑う。
「暇な時ならあの子の遊び相手くらいにはなるさ……」
諦めたように答えた。
それを聞いたレミリアは、頬を綻ばせた。
「頑張ってお姉ちゃんをやるガキんちょなんだなぁ」
青年は、聞こえないように呟いて、遠い目をした。
子どもなのに館の主人だもんな……
そりゃ、背伸びでもしないとやってけないか……
当たらずとも遠からずだろうと青年は思い。
煙草に火をつけて白い煙を吐いた。