東方風天録   作:九郎

116 / 213
やっと更新です。

見てくれている人ありがとうございます。

戦闘描写ですけど、苦心しながらボチボチやっていきますので見守ってやってください。

では、本編です。


青年達と少女達

「おっらぁ!!!」

 

キィン!!

と音を立てて、黒狼は青年の大剣を振り払った。

 

「どうしたワンちゃん来いよ、遊ぼうぜ?」

 

チョイチョイと青年は、手の平を上にして、人差し指で黒狼を挑発する。

 

青年は、笑っていた。

 

純粋に闘争を楽しんでいた。

 

「黙れクソ鴉」

 

ペッと唾を吐いて黒狼は、青年に斬りかかる。

 

ヒュンヒュンと黒狼の剣は空を切ってゆく

 

青年は、紙一重で楽しそうに避けていった。

 

「どうした?斬ってみろよ!!早く斬ってみろ!!早くさぁ、早く、早く、早く早く早く早く早く早く!!!!!」

 

ニヤッと笑いながら挑発する、青年の頬を黒狼の刀がピッと掠めた。

 

青年の頬から血が流れる。

 

青年の笑みが止んだ。

 

「挑発しといてその程度かよ……だせぇな」

 

ニヤァと黒狼は笑う。

 

その瞬間、ピッと黒狼の頬を青年の大剣が掠めた。

 

黒狼の頬から血が流れ、黒狼の笑みも止んだ。

 

「お前もな……」

 

「違いない」

 

青年達は再びニヤリと笑いながら斬り合いを始めた。

 

ドォン、ドカッ!!

 

と激しい音が鳴り響く。

 

黒狼は、弾幕を織り交ぜながら、青年の回避出来る範囲を縮めてゆく。

 

対して、青年は弾幕など張らずに大剣で黒狼に応戦する。

 

「洒落臭せぇ、弾幕なんて張りやがって、お前、雌犬だったのか?」

 

「そう言う割には、お前焦ってるだろ、避けきれてないぜ? オレの剣……」

 

弾幕ごっこというのは、この幻想郷では、女子達の決闘方法らしい。

青年は、ごく最近になって少女との取材でそれを知った。

 

しかしながら、純粋な戦闘でも有効らしい。

 

青年は、弾幕を避けたり大剣で弾く内に着々と疲弊していった。

そして、黒狼も青年を自分の刃圏へ誘導する様に弾幕を張っている。

 

実に理にかなった戦闘法だと言えよう。

 

「もらった!!」

 

青年が大剣で弾幕を弾くその瞬間、一瞬だけ弾幕に気が向いた。

黒狼は、それを逃さない。

 

黒狼は、青年を袈裟懸けに切り裂く。

 

ブシュッ!!

 

青年の血が飛び散った。

 

「視えてんだよ……」

 

黒狼の剣の刃を右手で握り締めた青年は言う。

 

右手から血が滴る。

 

「クッ!!」

 

「そぉら!!」

 

ザンッ!!!

 

青年は、左手で大剣を振り、逆袈裟懸に黒狼を切り裂く。

 

そして、黒狼の血が辺りに飛び散った。

 

「だから……てめぇは0点なんだよ!!」

 

ギリギリと刃を食い縛り、額に血管を浮き上がらせて黒狼は左手で大剣を受け止める。

 

 

ギギギギギと青年と黒狼の力が拮抗する。

 

そのまま、ずっと青年達はその体制だった。

 

「いい加減にしろ!!貴様ら滅茶苦茶しおってからに!!」

 

見渡してみると、武道場の床は砕け散り地面と変わらない。

 

屋根も破壊されて、綺麗な青空が広がっている。

 

そして、壁も黒狼の弾幕によって崩れ去っている。

 

本当にここが武道場だったのか?と疑いたくなる程に武道場は、破壊され、更地同然となっていた。

 

2人の鴉天狗がそれぞれ、青年と黒狼の肩を掴む。

 

「何ということをしてくれたのだ!!」

怒気を交えて彼らは言った。

 

「邪魔すんな」

 

次の瞬間、彼らは蹴り飛ばされて体を数メートル先の木に打ち付けられ泡を吹いて倒れた。

 

そして、青年達は元の力を拮抗させた鍔迫り合いの様な体制になる。

 

「おいおい、顔が青くなってきてんじゃないか?」

 

「てめえこそ、右手が震えだしてるぜ?」

 

「もう少し、遊んで居たいんだけど限界かな?」

 

「強がんなよ雑魚が……」

 

黒狼は、ペッと青年の顔に唾を吐きかけた、青年は、舌打ちをする。

 

「殺 ソ ウ カ ?」

 

青年の左手に力がこもる。

 

「グッ!!」

 

黒狼は、歯を食い縛って必死に青年の大剣を受け止めた。

 

「いい加減にしなさいクロ!!」

「いい加減にしてよトージ!!」

 

2人の女の怒鳴り声が聞こえた。

 

青年は、聞き憶えのあるその声を聞いてビクッとする。

 

黒狼も同じである。

 

バコォッ!!!

 

「痛ってててててぇぇえええええ!!!!!」

「ギャン!!」

 

青年達は頭を押さえて悶絶する。

 

2人の少女は、それぞれ持っていた物で青年達の頭を思い切り殴った。

 

「馬鹿じゃないの!!神聖な武道場をこんなに滅茶苦茶にして!!流石に私でも庇いきれませんよ!!」

 

右手に下駄を持った少女が顔を真っ赤にして青年に言う。

 

青年に反論する隙を与えずに何度も青年を叩いた。

 

 

「馬鹿トージ!!こんなに滅茶苦茶して!!だからアンタはずっと下っ端のままなのよ!!」

 

黒狼を剣の峰で殴った白狼天狗の少女は言った。

彼女も黒狼に反論する隙を与えずに何度も黒狼を叩く。

 

クゥーンと黒狼は情け無い声を出したので青年は、ニヤァと一瞬だけ笑ったが、頬に少女のビンタが決まって、 ホゲッと変な声を出してしまう。

 

 

ガミガミガミガミと青年と黒狼は、正座をさせられて、数時間ほどそれぞれの少女達に怒られたのだった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。