東方風天録   作:九郎

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未だに文章作りに悪戦苦闘してます。

ヒーローとヒールってどんな関係なんでしょうね?

ヒールって色んな意味があるので敢えて使った言葉ですけど

あと、みなさん感想ありがとうございます!!

感想増えて超嬉しいですよ!!

では、本編です。


ヒーローとヒール

階段を上ると博麗神社が見えた。

 

あの人はいつも通り、縁側に座って足をフラフラとさせている。

 

しかし、こちらを見るなり血相変えて飛んできた。

 

「何よ……その翼……」

 

半ば怒った様に霊夢は青年を睨む。

 

「これっすか?禍々しいでしょう?」

 

少し戯けた様子で青年は背中の翼に目ををやった。

 

漆黒で、ドス黒い翼で、奇形の翼を霊夢は目を細めて、半ば哀れむ様に見つめていた。

 

「なんで、アンタ私達に助けを請わなかったの?」

低い声で霊夢は言う。

 

「巻き込みたくないと言うのが本音です、それに、貴方は人間の味方なのでしょう?曲がりなりにも人間を殺してはいけないと思ったのも理由の一つです。」

 

真剣な顔で青年は答えた。

 

 

「だから、自分で背負い込んだ結果がこれ?馬鹿じゃないのアンタ!?」

ガシッと霊夢は青年の胸ぐらを掴んで言う。

青年は、遠い目をしていた。

 

分かっている、オレは、自分で背負い込んで最悪の結果ばかり出している。

 

けれど、けれど巻き込みたくなかった。

 

それでも、自分一人が傷付けばそれで良いと思ってしまった。

 

オレはどうしようもない愚か者なのだ。

 

 

青年は煙草を吸いたいなぁと思いつつ、霊夢の怒気のある目を見る。

 

「馬鹿です、オレは馬鹿です」

 

 

「アンタが私達を巻き込みたくないと気遣う気持ちと同じくらい、私達は、アンタが傷付くのは、嫌なのよ?分かってる?」

 

 

「分かってます」

 

「分かってない!!!!」

 

青年の答えを掻き消すような大きな声で霊夢は叫んだ。

 

「なんで、アンタがこんな目に会わなきゃならないの!?もう人間ですらなくなってしまって……」

 

青年を掴む霊夢の手は震えていた。

青年はそれを察してニコッと笑って答えた。

 

 

「罰ですよ……」

 

「えっ……」

 

 

「きっと罰なんです、オレは、また死んじゃってもいいやと思いました、だから死ねませんでした———それに、オレは人間で居たいと思っていました、だって、オレは人間の為に生きてきたつもりです、人間を守りたいと切に願っていました。それがどうです?オレはもう人間じゃあありません……人間の為に生きる事を許されないのです。」

 

暗い目をして、しかし、笑顔で青年は言った。

 

きっと他人に頼っていたり、一人で抱え込まなかったらこんな事にはならなかった。

 

けれど、自分以上に大切な存在が周りにたくさん居たから

とてもとても大切な存在故に、一人で抱え込まざる得ない。

 

どうしても、そんな結論を出してしまう。

 

青年は愚か者である。

 

結局のところ他人を信じていないのかもしれない。

 

はぁ……と青年は溜息をついた。

 

「ごめんなさい、霊夢さん、そしてありがとう霊夢さん、そして……もう一度ごめんなさい」

 

 

「どうしようもないわね……いいわよ、こうしてアンタが私の前に居るだけでも儲け物よ」

 

フンッ、と霊夢は腕を組んで呆れ顔を見せた。

 

「本当に、姉さんみたいですね——」

 

クスッと青年は笑った。

 

「前にも言ったでしょう?アンタみたいなデカい弟いりません!!」

霊夢はソッポを向いて答えた。

 

「まぁ、その方が良いですね、みんなにとって霊夢さんはヒーローです、そしてオレは———ヒールになるのかな?それで良いさ、ヒールがいなけりゃヒーローは生きない、そうでしょう?紫さん……」

 

遠い目をして青年は呟いた。

霊夢には聞こえなかった様子で、霊夢はまだ、ソッポを向いていたので

 

いつまでそうしてるのかな?

 

と青年は思いつつ、煙草に火をつけた。

 

ズシリと背中の大剣が重くなった。


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