スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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93話で最終回と言ったな、あれは嘘だ。
というわけで次回こそが本当のスノーフレークEP1の最終回
94話をお楽しみに!
もうほんの少しだけお付き合い頂ければ幸いです。
ちなみに宇宙空間には空気がないので歓声は響き渡りません。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
感想欄でなくてもメッセージ機能なり
ツィッター(@neko_neko_xojya)でお寄せ下さい。
なおイラストとか挿絵書いてくれる人は万年募集中です。


093.「みんな、帰ろうか」

「……終わったな」

 

ウェズは呟く。

彼だけでなく、スノーフレークの面々、

いや全てのアークスたちが見つめる方向……

その先にはたった一人のアークスが

【巨躯】本体を倒したのだ。

周囲からは宇宙全土に

聞こえるのではないかというくらいの

アークスたちの大きな歓声が響き渡っていた。

 

消えていくダークファルス。

それを間近で見つめるあのアークスには

一体何が見えているのか。

そして何を想ってるのだろうか。

 

……果たして、

あのアークスの行きつく先には

何が待ち受けているのだろう。

 

「ふぅ……」

 

隣りに立っていたレシアが、

脱力したようにウェズに寄りかかる。

もう真っ直ぐ立っている体力すらないのだ。

 

「おっと……」

 

そしてそれはウェズも同じだった。

レシアを抱きとめようとするが

力が入らない彼は支えきれず

後ろに倒れそうになる。

 

「わわっ!

 二人とも危ないよ!」

 

メディリスが慌てて支えるが

二人分の体重を支えきれずに

これまた彼女もバランスを崩す。

 

「やれやれ、何をしているのだ」

 

苦笑しながら三人を後ろから

しっかりと支えるライガン。

さすがにキャストの彼は

よろめくことなく受け止めていた。

 

「……ん、楽しそう」

 

アンジュもそこへ飛びつく。

小柄とはいえ彼女はキャスト、結構重い。

 

「おい、アンジュ!」

 

「どーん」

 

「……重いです」

 

「ウェズさん、今、変な所触らなかった!?」

 

戦いを終えて張りつめていた緊張の糸が切れ、

みんなが思い思いに笑いあう。

 

「仲良きことは美しきかな、ってやつだね」

 

ケーラが腰に手を当てて

微笑ましそうに彼らを見つめる。

さすがに少し年上の彼女は

一緒になってじゃれつくことはしなかった。

……表情を見れば混ざりたいという気持ちが

ありありと出ているが。

 

ダークファルス【巨躯】を

アークスたちは倒した。

だが完全に殲滅できたかはわからない。

そもそも何故復活したのか?

それに対して予め迎撃態勢が敷かれていたのは、

一斉に集まったアークスたちを見れば明らかだ。

止まり木のマスターの発言を思い返せば、

「想定されていた事態」に違いない。

アークス本部は【巨躯】の復活を

事前に察していたのは間違いないだろう。

 

どうして止めなかったのか……疑問が残る。

 

過去に倒したとされていたはずの【巨躯】。

それが生きていたというのも

アークス本部が伝えてきた事実とは違う。

一体、何が正しくて真実なのか。

今回の件は氷山の一角に過ぎない。

きっとこれからは

今までとは違う戦いが待ち受けている……

それをアークスたちは感じていた。

 

ただ、ダーカーを倒すだけだったはずなのに、

どうしてこうなってしまったのだろう。

 

「みんな、帰ろうか」

 

だがそれを今は考えても仕方がない。

ウェズの言葉に、みなが頷く。

 

先に何があるかわからない。

だからこそ、今、この瞬間だけは……

みながお互いの健闘を称えあう。

 

 

――これはエピソードの一つの終わりに過ぎない。

 

 

すぐにまた新しいエピソードが始まるだろう。

スノーフレーク……若きチームの彼らが

その波をどう乗り越えていくのか。

辛く苦しい戦いは避けられない、

でもそれだけではない。

きっと新しい出会いが待っているはずだから。

 

ウェズとレシア、二人から始まったチーム。

そこにライガンが入り、アンジュを拾い、

最後にケーラが仲間になった。

それを支えるトゥリアやミミ、ミリア。

彼らは手を取り合い、物語を紡いでいく。

人の数だけ……ドラマはあるはずだから。

 

 

――スノーフレーク。

その花が持つ花言葉の意味は

「純粋」「純潔」「汚れなき心」。

 

 

そして……「皆をひきつける魅力」。

 

 

白く咲き乱れる花たち。

どうか願わくば、

彼らの行く道に幸あらんことを……。

 

 




※いかにも最終回っぽいですが、あと1回続きます、はい。

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