スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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おかしい……EP1の華の場面、ダークファルス戦なのに、
なんかずっと地味なシーンが続いている……
細切れで物足りない場面が続いてしまい、
最近ののんびりした展開に
あくびをしてしまう方々が出そうですが、
もうしばらくお付き合い頂ければ幸いです


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
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※要望は全てに対応できるわけではないのはで予めご了承ください。


086.「よっ、久々」

巨アークスシップ801番艦が、

ダークファルス【巨躯】に衝突する。

いくら破棄されるモノとはいえ、

やはり人々が暮らしていた場所が壊れる様は

見ていて気持ちが良いものではない。

だがその甲斐あってか、

さすがの質量に【巨躯】も

ダメージを受けているようだった。

 

『……みんな、飛び込んで!』

 

トゥリアの悲鳴のような叫び声。

キャンプシップの中で

既に戦闘準備を終えていた

スノーフレークの面々は

迷うことなくテレプールへ飛び込む。

 

転送のワープトンネル……

繋がっている場所は【巨躯】に近い場所。

転送場所はトゥリアが設定してくれているはずだ。

 

「……ウェズ」

 

隣のレシアが小さく呼ぶ。

心配そうな顔にウェズは笑いながら首を振る。

 

「なんだか……二人でチームを作ったのが、

 昨日のことように思うな」

 

その笑みは強がりかもしれない。

だが、瞳に宿した強い意志は本物だ。

 

「今はみんながいる。

 だから、必ず生きて帰ろうぜ」

 

「……はい」

 

二人は一度、手を握る。

そしてすぐに離して、拳を握りしめた。

青いトンネルを抜けた先は、

惑星ではなく宇宙空間。

 

「わっとっと……!」

 

着地でバランスを崩したのか

メディリスが両手を広げてふらふらしていた。

転送されたのは

アークスシップの大きな残骸の上だった。

宇宙空間ではあるが、

アークスシップの力が残っているため、

重力がきちんとあり、立つこともできた。

さすがのアークスも

無重力で敵を迎え撃つのは難しい。

 

「いよいよだな」

 

ライガンが重々しく告げる。

バウガーディンを取り出したアンジュは

 

「どうやって戦うの?」

 

不思議そうに尋ねた。

 

それもそのはず。

近づいたとはいえまだ【巨躯】は遠くにいる。

一斉に突入するかと思ったが、

どうやらそうではないらしい。

詳しい作戦とやらはいつになったら通達がくるのか。

 

「……みんな、集まって!」

 

その時、ケーラが叫んだ。

反射的にライガンを先頭に

スノーフレークの6人は集まる。

 

そこへ……

 

ドゴォンッ!

 

猛烈な速度で何かが横を通り過ぎた。

 

「なんだ!?」

 

ウェズが叫びに答えたのはレシア。

 

「腕です!

 【巨躯】の腕が分離して飛んできたんです!」

 

視界の隅に高速で飛ぶ暴走列車のようなモノ……

それは巨大な腕だった。

 

「あんなのとどうやって戦うの!?」

 

メディリスが悲鳴のような声をあげる。

今までのダーカーはまだ、

どうやって戦えばいいか察しはついた。

だがあんな巨大な弾丸……

防ぐことすらできないだろう。

しかもその腕が無数にあるのだ、

【巨躯】本体と戦う以前の問題である。

 

「……突っ込んできた」

 

一番動体視力に優れたアンジュが呟く。

はっと全員が前を見ると、

かなたから腕がこちらに向けて

一直線に飛んできているのが見える。

 

「……マズい!」

 

だが避けることが到底できる速度じゃない……!

ライガンがなんとか耐えてみせようと、

槍を地面に突き刺して構える。

無理なのはわかっているが、

それでも盾となるのが、

ライガン=ボルテックスというハンターだ。

 

来る衝撃に全員が備える。

だがウェズたちは忘れていた。

今、この宙域にいるアークスは

自分たちではないということを。

 

 

「――間に合いました!」

 

 

横から現れたのは、

激しい閃光を身にまとった一羽の鳥。

暗い宇宙空間にはそれは眩く輝き、

闇を切り裂くという表現は

まさにその光のためにあった。

 

「……ザンディオン!」

 

緑色の翼をはためかせて飛ぶのは、

一人のアークス。

修道服に身を包んだ黒いツインテール、

それはいつか出会ったことのある

フォースのアークスだった。

確か名前をキルシェと言っただろうか。

彼女は両手にまとった光の翼を広げながら

突っ込んでくる腕へと向かう。

さすがに直撃は避けたが、

ギリギリのところで横をすれ違う。

 

バババババハッ!

 

翼が腕を激しく切り裂き、

傷口から雷が内部を焼き尽す。

すると……

 

「腕が……ばらけた!?」

 

巨大だと思っていた腕は、

「腕が連結した姿」だった。

ややこしいが、小さいブロックを組み合わせて

巨大な腕を構成しているらしい。

 

そのうちの一つの腕が感電して

ふらふらとしながらこっちへ飛んでくる。

 

「あらよっと」

 

そこへ飛んできたのは

無造作に白い髪を後ろで束ねたサムライ。

彼女は巨大な刀……紅葉姫を振りぬき、

腕の指を一本切り落とした。

切られた指は四散し、

腕は距離を開けて離れていく。

 

「アンタは……」

 

ウェズはそのアークスを知っていた。

忘れもしない、森林で助けてくれた

kという名前のアークスだ。

彼女はあの頃と変わらぬ気だるげな表情で

 

「よっ、久々」

 

腕を上げた。

一番最初に出会ったアークスが、

こんな場所で助けに来てくれたことに、

縁を感じざる得ない。

 

「私たちはスノーフレークと協力して、

 この場所で戦います。

 よろしくお願いしますね」

 

先ほど、強力なテクニックを放っていた

キルシェも戻ってきてkと並ぶ。

どうやら二人は同じチームの所属らしい。

 

「あ、ああ……

 アンタたちがいてくれると勿論心強い」

 

ケーラが前に出て尋ねる。

 

「で、協力してくれるのはいいけれど、

 私たちは作戦自体知らないんだけど?」

 

その言葉にkは頷く。

 

「安心しろって。

 うちのマスターがこの付近の指揮を取ってくれる」

 

その言葉にスノーフレークの面子が首を傾げた時に

 

『……あー、マイクテステス』

 

通信機から

女性の声が響き渡った。

 


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