スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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原作とは設定が違います、はい。
本来は遺跡エリアは【巨躯】復活前は
「六芒均衡」と「プレイヤー」しか
そもそも行くことを許可されていません。
なので違う設定があるため
今回はわざわざこういう場面を必要としました。
地味なシーンが続いてますが、はい、申し訳ないです。
この物語はフィクションで、実在する団体、アークス、PSO2とは
関係がありません キリッ。



【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
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076.「それが俺の戦う意味だから」

ウェズとケーラは

ショップエリアの片隅にあるBarにいた。

真昼間だというのに店内は薄暗く、

外から見たら閉店してるようにしか見えない。

 

「ここはレイの行きつけの店だったんだよ」

 

ケーラが笑いながらミルクを注文する。

意外なことに酒が苦手らしい。

 

「……なるほどな。

 胡散臭い話をするには持って来いってわけか」

 

当たり前だが未成年のウェズは麦茶だ。

そして隣にいるのは……

 

「なんだ俺っち以外、誰も飲まねーのかよ!

 ったくノリわりぃぜい」

 

アックスボンバーズのマスター、アックスだった。

ガラガラの大きなダミ声に

刈り上げ頭のロックベアのようなハンター。

坑道で一緒に戦ったアークスである。

彼は見た目通り酒も好きで、

真昼間から既にもう出来上がっていた。

酔っ払いの相手をするほどウェズも暇ではないので、

早速用件を切り出す。

 

「それで、アンタの用件はこれだろ?」

 

それはスノーフレークに来た

アークス本部からのクエスト依頼だった。

チームルームに戻って

トゥリアに詳細を聞こうかと思った時に、

偶然に挙動不審なアックスと掴まって今に至る。

 

「そうだよね~

 これはヤヴァい臭いしかしないじゃん」

 

ケーラが肩を竦める。

惑星ナベリウスの凍土より奥、

まるで遺跡のようになっているエリアの

ダーカー殲滅任務。

チームに割り当てられた場所の

ダーカーを倒せという依頼だ。

アックスボンバーにも同じ依頼が来ており、

照らし合わすと近い位置が担当だった。

 

「遺跡、エリアか……」

 

ぱっと見は大したクエストではない。

だが問題はその場所なのだ。

 

「私たちですら、一度も行ったことないよ」

 

「俺っちなんて、

 そもそもそんなエリア、

 あることすら知らんかったし」

 

ベテランたちが揃って顔を振る。

詳細を調べようとしてもアクセス権限に引っかかり、

そこが何なのかすら情報がない。

探索権限を持つのは「六芒均衡」クラス。

つまりアークスの中でも

トップ中のトップしか

立ち入りを許されていない。

そんな場所に、どうして突然、

複数のチームを派遣することになったのか。

 

(だいたいあそこには何があるんだ?)

 

明らかに不自然な状況。

ウェズですらそう感じるのだ、

ベテランのアックスが

誰かに相談したくなるのもわかる。

アークス本部のキナ臭い部分が関わる以上、

迂闊に通信で他のマスターと

連絡を取り合うわけにもいかないだろう。

通信など筒抜けだからだ。

 

「なんつぅーかよ、

 大手チームは今はクエストを中止されられ、

 待機命令が出ているって話も聞いたから、

 本部は何かに備えてる感じするぜぇ」

 

「アンタらが大手チームじゃないって

 証明されたってことじゃん」

 

「うっせい!

 俺たちは少数精鋭なんだぜい!」

 

軽口をたたき合う二人を横目に、

ウェズは考え込む。

最優先として回されてきた

この依頼には拒否権はない。

つまりスノーフレークは

ほとんど情報が開示されていない中、

一般アークスたちにとって

未知のエリアに行かねばならないのだ。

アークス本部が何かを隠しているのは間違いない。

そして大手チームではなく、

スノーフレークやアックスボンバーズといった、

小規模チームにだけ依頼が来ている。

これは斥候としてか、あるいは「捨て駒」か……

 

(そういえばアンジュの件もあったか)

 

彼女も思えば何らかの「隠匿された事実」に、

関わるからこそ情報が消されていた。

そのあたりの出来事もあったから、

ウェズはアークス本部を無条件で信用はできなかった。

 

「あぁ~こんなクエスト行かずに、

 このまま酒飲んでさぼりてぇーぜ」

 

ペースを緩めることなく

飲み続けるアックスを横目に

ウェズはため息をついた。

いずれにせよ、

今まで以上に危険な任務であることは間違いない。

どうにもアックス曰く、

スノーフレークたちが

ダーカーの巣窟を攻略している際に行われた、

アークスシップの防衛戦に参加していたらしい。

ダーカーの侵攻が想像以上に激しく、

市街地にまで侵入されたらしいが、

その時に六芒均衡の姿も目撃したとのこと。

言ってはなんだが六芒均衡など、

都市伝説レベルで「姿を見ることすら叶わない」。

生存力、戦闘力、全てが規格外の

アークスの模範となるべき存在……

それが六芒均衡。

 

(そりゃ六芒均衡だってアークスだから、

 市街地防衛に駆り出されるのはわかるが……)

 

そこから妙にアークス本部も

急に慌ただしくなったことを考えると、

そこで何か事件があったのだろう。

どうにも嫌な胸騒ぎがする。

 

「念には念を入れておくに越したことがないってか」

 

任務は明後日、まだ時間はある。

腰に下げたスサノグレンにそっと手を触れた。

 

(いつかアンタを超えてみせる)

 

彼女が何のため強さを求めていたかは知らない。

だけれど、レイ=タチバナは

アザナミと志を共にしたブレイバー。

きっと、大きな目標があったはず。

その潰えた道を代わりに歩むことはできないが、

ウェズにも強くならねばならぬ理由はある。

 

――仲間を守るという、強い意志。

 

誰も、失いはしない。

 

「それが俺の戦う意味だから」

 

ウェズは決意を込めて呟いた。


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