スノーフレーク   作:テオ_ドラ

76 / 111
恋のウィークバレットはまだ間に合うはず!
はい、自分でも意味不明な台詞をメディリスに言わせてすいませんでした。
ダーカーの巣窟が常にシリアスだったので、
間に挟んだインターバルです。
ここから先はもう、遺跡ででっかいのも復活してしまうので、
シリアス路線一直線なので。
ついに「英雄」と運命が交錯する……!


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
ツィッター(@neko_neko_xojya)でお寄せ下さい。
※感想欄に書くと規約に引っかかるため
※要望は全てに対応できるわけではないのはで予めご了承ください。


075.「良いチームになったと思うわ」

「はぁ……」

 

レシアはチームルームの

バーカウンターでため息をつく。

 

「どうしたの?」

 

隣りでココアを飲んでいたメディリスは

突然のマネージャーのため息に首を傾げる。

 

「いえ、最近立て続けに

 クエストに行っていたものですから」

 

浮遊大陸から先日のアブダクション騒ぎまで……

本当に息をつく暇もなかった。

お陰様でスノーフレークの抱える負債は全て完済、

毎度毎度ボロボロになるライガンの

今回のメンテナンス費も込みでだ。

なおダーカーの巣窟ではかなりの激戦であったため、

ライガンと念のためアンジュも

パーツのメンテナンスを現在してもらっている。

 

「……お疲れ?」

 

「いえ、私ではなく、

 ウェズが頑張りすぎじゃないかと思って」

 

彼女が携帯端末を手渡してくる。

そこには入団申請と、

同時にマスターが受理したという通知。

 

「あれ、ケーラさん?

 スノーフレークに入団することにしたんだ」

 

事前連絡もなかったであろうレシアは、

少し疲れたように頷く。

相談して欲しかった、というわけではない。

最近はあまりにも背負い込みなのではないかという、

彼の頑張るに対する心配である。

 

「ウェズさん、面倒見がいいから」

 

自分も気遣われていることを自覚している

メディリスは苦笑する。

本当に出会った頃よりも頼もしくなり、

自分たちも頼りにしずきている気もする。

 

「それに、また女性ですか」

 

レシアのその小さな呟きは、

メディリスは聞こえない振りをした。

「古女房」である彼女から

すれば気が気でないかもしれないが、

メディリスは密かに

自分にもチャンスがあるのではと思っているだけに

女性メンバーが増えることに何も言えない。

 

(なんか最近、良い雰囲気だけど、

 まだ付き合ってるわけじゃないよね?)

 

かなり劣勢な気がするが、

 

(恋のウィークバレットはまだ間に合うはず!)

 

自分でも何を言ってるかわからないけれど、

だが諦めたらそこでクエストは終了だ。

と、まあそんな個人的な事情で

ちょっと気まずいメディリスは

話題を変えることにした。

 

「それにしてもスノーフレークも

 メンバーが増えてきたね」

 

「そう……ですね」

 

創設してからまだ短い期間ではあるが、

メンバーは6人。

 

「ウェズ=バレントス」

 

最近めっきり頼もしくなったマスター。

倒れないか心配ではあるけれど。

 

「レシア=エルシア」

 

ウェズを支えるマネージャー。

少し、ウェズに置いて行かれているのではないかと

創設メンバーとしては気にしている。

 

「ライガン=ボルテックス」

 

みなに盾となる屈強なガーディアン。

毎回大変なことになっている気がするので、

そろそろ負担を減らしてあげたいところだ。

 

「メディリス=ランドナー」

 

いざという時は活路を切り開いてくれるスナイパー。

最初はアレでアレだったが、

今は狙撃も安定して言動に自信がついてきている。

 

「アンジュ=トーラム」

 

持前の機動力と瞬発力、

またチーム随一の瞬間火力を発揮するアタッカー。

気まぐれな少女だが、

最近は懐いてくれて積極的に動いてくれる。

 

「そしてケーラ=ニベルム、ですか」

 

ライガンと同じく経験豊富なクラッシャー。

チームでどういう立ち位置になっていくのか……。

 

新米二人だけで立ち上げたチームも、

今では色んなクラスや種族が集まったモノだ。

……女性比率が高いのが気になるが。

 

「本当、賑やかになったわね」

 

そこに楽しそうな表情を浮かべた

ミミが花瓶を抱えてやってくる。

 

「……私たちを忘れている」

 

その車いすを押すトゥリアが

少し不満気にしていた。

直接クエストに行かないが、

そういえば彼女たちもスノーフレークの所属だった。

……これまた二人とも女性だが。

 

「それは?」

 

レシアが尋ねると、

ミミは頷きカウンターの上に花瓶を置く。

そこに彩られているのは、

 

「スノーフレークよ」

 

チーム名の由来となった白い花だった。

花瓶には溢れるほどのスノーフレークが

咲き乱れていた。

逆さまにしたランプのような花が、

ゆっくりと揺れる。

わざわざ用意してきたらしい。

 

「皆をひきつける魅力、

 それがこの子の持つ花言葉。

 ……名前に負けないくらい、

 良いチームになったと思うわ」

 

その意味を知ったのは

チーム名を決めた後のことなのだけれど、

レシアは藪蛇だと思い黙っていた。

そこでトゥリアが携帯端末を取り出し、

何かのデータを転送してくれる。

 

「……はい。

 黒耀の牙の臨時マスターとなったケーラが

 入団したことにより、

 本人の希望もあり前チームの施設が譲渡された」

 

レシアがそれを確認すると、

少し驚いたような顔をしてしまう。

チームツリーやチーム用の特設倉庫、

その中でも一際目立つものがある。

 

「……チームシップ?」

 

今、スノーフレークの所有するチームルームは、

アークスシップの片隅に儲けられた「ルーム」だ。

けれどチームシップとは

基本的な機能は「ルーム」と同じであるものの、

「船」であるために拠点の移動が可能となる。

勿論それでクエストに行ったりはしないが、

オラクル内で場所を移動したり、

一時的ではあるが惑星を拠点にすることもできる。

そこまで大きい船ではないが、

創設して間もないチームが持てるモノではない。

 

「凄いね、これ!

 私、実はちょっと憧れだったの!」

 

メディリスが興奮気味に端末を覗き込む。

さすがは黒耀の牙、

実績があるチームだったと改めて実感する。

 

「ね、次のクエストが終わったら、

 みんなで少し休暇にしましょう」

 

ポンッと名案とばかりにミミが手を打つ。

トゥリアもそうだそうだとばかりに頷いてた。

補佐官見習いも最近はクエストの用意やら

その他手続きで奔走してくれていたから、

そろそろゆっくり休みたいのだろう。

……元々、真面目な子ではなかったので、

最近の激務はさぞ応えたに違いない。

 

「そう、ですね」

 

レシアも良い考えだと思った。

あまり根を詰めていてもいけないし、

なによりウェズを労ってあげたい。

 

「では、休暇に向けて

 もうひと踏ん張りしましょうか」

 

マネージャーの決定に、

メディリスとトゥリアが

「いぇーい」とハイタッチをしていた。

 

どこへチームシップで行こうかと

沸き立つスノーフレークの女性陣。

 

けれど彼女たちはこの時は知る術がなかった。

 

 

次のクエストが、

オラクルを激震させる事件へと繋がっていることを。

スノーフレークが向かうことになる場所、

それは……

 

――惑星ナベリウスの奥地……

  強大なる者が封印されし禁断の場所。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。