スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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今日から遺跡編です。
遺跡編が終わるとEP1の最終話になりますので、
もうすぐEP1も終わりですねぇー。
そんな遺跡編最初の話は、
新しい仲間が増える話です。
一応ケーラは、火山で登場する時からいずれ参戦が予定されていたキャラなので
突然「あ、こいつ仲間にいれよ」ってわけではないのですよ!


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
ツィッター(@neko_neko_xojya)でお寄せ下さい。
※感想欄に書くと規約に引っかかるため
※要望は全てに対応できるわけではないのはで予めご了承ください。


Episode 1 :In the backside of the hero(遺跡編)
074.「私が助けてあげようか?」


オラクルにある市街地の片隅……

二人は公営墓地に立っていた。

ウェズとケーラは

5メートル以上もある大きな墓石を見上げる。

 

「……ここに、レイはいないってのにね」

 

ケーラはポツリと呟く。

これは何らかの事情で

亡骸を回収できなかったアークスたちを

供養するために建てられたモノだ。

むしろ様々な惑星で

危険な任務をこなすアークスたちは、

きちんと看取ってもらい

埋葬してもえることの方が少ないのが現実。

数えきれないほどのアークスたちの犠牲、

その上にオラクルは成り立っているのだから。

 

そのため、この墓石は存在する。

隣りには慰霊碑。

 

――勇敢なるアークスたちよ

 

そこに捧げられた献花は、

いつの日も多い尽くすほどに溢れかえっていた。

 

ウェズに渡され、

ケーラも献花をそっと花束に置く。

 

何の意味もない行為だと、

誰もがわかってはいる。

それでも先に逝ってしまった者たちへ

何か少しでもしようと思うのは……

いつの時代も変わらぬ残された人々の我儘だろう。

 

「ありがとう、レイ」

 

彼女のポニーテールが揺れる。

そのリボンにつけられた薄紅色の紙垂か、

風にゆっくりとなびいていた。

『地獄への水先案内人』、

そう呼ばれた彼女は

今までにどれだけの仲間のために、

こうして別れを告げたのだろうか。

ウェズにはとても想像ができない。

 

ウェズも鞘に入ったスサノグレンを取り出し、

 

「……」

 

彼女の冥福を祈った。

 

「ねえ」

 

ケーラは口を開く。

 

「君は、どうするの?

 次は……君たちの番かもしれないよ」

 

軽い口調。

 

「前へ進むさ」

 

短く答える。

今まで仲間が死ぬということに対する覚悟、

きちんとできていたというと嘘になる。

だけれども……だからこそ

 

「俺が、みんなを守る」

 

チームマスターとしての覚悟。

誓いを、慰霊碑に捧げる。

自分の仲間をレイと同じような目にあわせないと。

 

「やれやれ……」

 

ケーラはからかうような口調で肩を竦める。

しかしどこか眩しそうにウェズを見つめていた。

青臭いといえばそれまでだ。

でもそれでいい、

スノーフレークはまだ出来たばかりのチームなのだから。

「純粋」という花言葉を持つチームには、

これ以上にないほど相応しい決意だろう。

 

「ならさ……

 私が助けてあげようか?」

 

こんな提案……らしくない、

ケーラは自分でもそう思う。

 

だがレイという大切な友を喪った今、

新しい一歩を歩むには

これ以上に相応しいチームはない。

彼女がカタナを託した、

少年が率いるチーム……。

私が見届けよう、レイの認めた彼が行く末を。

 

「ああ、助けて欲しい」

 

ウェズも背伸びをしない。

素直な気持ちで彼女の提案を受け入れる。

強がりもプライドも……必要ないのだ。

ウェズも、ここに至るまでに

多くの経験をして成長してきた証。

 

「私はケーラ=ニベルム。

 クラスはファイター。

 主武装はナックルだけれど、

 やろうと思えば他の武器も使えるよ」

 

彼女が手を差し出す。

 

「ああ、よろしく頼む。

 スノーフレークは、

 ケーラ=ニベルムを歓迎する」

 

ウェズは力強く、その手を握った。

 

 

こうして、スノーフレークに

新たな仲間が加わった。

かつて『地獄への水先案内人』と呼ばれた、

勇猛なるファイター。

彼女が切り開いてくれる先には、

何が待ち受けているのだろうか。


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