スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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あんまり必要ない場面な気がしますが、
「射撃職の出番少ない」と日々言われていたので書いてみました。
描写すらない適当な面子は出番が今後ないので雑な扱いです、はい。
今回はえらい手抜きな気がしますが、
なんか長くなっていたので省きましたがご理解ください。
そしてちらっとゲストのお祭り大好きキャストが混じってます。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
ツィッター(@neko_neko_xojya)でお寄せ下さい。
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※要望は全てに対応できるわけではないのはで予めご了承ください。


072.「お祭りは終わりよ~」

最深部のコアの前は

まるで戦争のような有様だった。

アークス同士が入り乱れ、

常に鳴り止まぬ銃声。

大地を震わす爆発音……

 

もうコアの目の前だというのに、

チーム「フリージア」は

苦戦を強いられていた。

今ここにいるのは4人しかいない。

残りのメンバーは途中で現れた

大型ダーカー、ゼッシュレイダを

コアから引き離してくれている。

また仮面の騎士団は

複数のダークラグネの相手をしていた。

もう敵はいないと思い、

4人でもコアを破壊できると考えていたが、

 

「……くっ!」

 

「やだ、もう!」

 

チャイナドレスを着た

アークスたちの辛そうな叫び声。

着ている服が紫かアキ、黒がグリエラ。

ガンナーの2人は

攻撃をギリギリのところで、

スタイリッシュロールでなんとか回避している。

 

彼女たちが戦っているのは人型の敵……

最後の最後でアークスの

複製体が待ち受けていたのだ。

一人は槍を持った

バニッシュジャケットのヒューマン男。

電流の流れる槍、

ルストデバイスを振り回している。

もう一人は白い

アクエリアコートのデューマン女。

シンプルながらも使いやすいガンスラ、

アインマズルガで射撃している。

 

名前も知らないアークスの複製体で、

別段そこまで強いわけではない。

 

問題なのは……

 

ドォンッ!ドォンッ!

 

中央でSSPNランチャーを2門抱えた、

ガタイのよいキャスト男である。

2メートル近い巨体に、

見るからに重そうな武装。

ゴウボイドシリーズというパーツ構成は、

元々は火山洞窟での任務を想定した

耐久性に特化したモノだ。

機動力が死んでいる分、

その安定性と防御力は折り紙つき。

このような拠点防衛において

最も真価を発揮するタイプである。

旧時代のロケットランチャーを連想する

SSPNランチャーを両脇に抱えて

弾幕のように砲撃をする様はまさに戦車。

 

「……」

 

頭に被ったクルーンハットの下から

ギロリと輝く赤い目が

油断なくガンナーたちを睨む。

 

(確か~ギガドロ・ヒルドだったかしら~)

 

フリージアのマスター、

クシナ・ホウジョウは

頬に指を当てて記憶を探る。

祭り大好きな古株アークスに似ている気がする。

よくよくイベントを主催して、

ロビーエリアでの人気モノ……だったはずだ。

そういえば最近ロビーエリアが静かだと思ったら、

アブダクションされていたというわけだ。

 

両手にランチャーを持って、

花火のように爆音を鳴り響かせる様は、

ある意味で彼らしいといえるが。

何もダーカーの巣窟まできて

お祭り騒ぎをしなくてもとは思う。

 

他の複製体は一対一ならすぐに倒せるのだが、

ギガドロ・ヒルドの複製体が

それはもう底なしの火力で

暴れまわってるせいで手こずっているのだ。

間が悪いことにフリージアはガンナー部隊、

後ろに見えるコアを

複製体を無視して破壊するには

少々ツインマシンガンでは難しそうである。

 

「姐さん……すいません」

 

クシナの脇で座り込む

黄色のチャイナ服の女性が謝る。

足を負傷して立つことすらできないのだ。

ガンナーにとって機動力は命、

動けないガンナーは足手まといでしかない。

 

「いいのよ~ラーシア。

 あなたが庇ってくれたお蔭で

 私たちは無事なんだから~」

 

間延びした声で彼女を労わりつつも、

近づくダーカーを蹴り飛ばす。

とはいえ、前で戦うエミとグリエラも

息切れしてきている。

スタイリッシュロールにキレがなくなってきて、

全然スタイリッシュに避けられてなかった。

 

(シェスタちゃんを貸したのが仇になったわ~)

 

まあなにせガンナーしかいないチーム。

テクニックで傷を癒せるのは

チーム唯一の第三世代である彼女しかいない。

それに若いながらも

シェスタは思い切りがいいので、

相手が複製体なら相性はいいだろう。

現に前で戦う2人も

相手がアークスの形なために、

肝心なところで躊躇をしてしまっている。

 

(さて、どうしようかしら……)

 

他のチームメンバー、

また他のチームの援軍を

期待するのはあまりに楽観的だろう。

ここにいる面子で

なんとか切り抜けなければいけないが……

 

「……姐さん。

 アタシのことはいいんで、

 恰好いいところ、見せてください!」

 

悩んでいたクシナにラーシアは叫ぶ。

先ほどから小型のダーカーが

動けない彼女に何度も迫ってきている。

彼女を放置していけば、

危険に晒されるのは間違いないだろう。

 

「……本当に大丈夫~?」

 

「自分のケツくらい、

 自分で拭きます!

 だから、姐さん……!」

 

躊躇したのは3秒。

クシナはすぐに頷いた。

 

「それじゃ~ちょっと倒してくるわ~」

 

赤いチャイナドレスの裾を翻し

悠々と歩き出す。

可愛い彼女の「子供」に

「格好いところが見たい」と言われたのだ。

育て親としてはこれ以上に嬉しいことはない。

前で戦う者の誰一人として、

ゆっくりと歩いてくる彼女に気も留めない。

それはそうだろう、

手ぶらで歩いてくる軽装の彼女に

どのような脅威があるというのか。

 

だが……

 

「主役のお出ましよ~」

 

パチンッ!

 

腕を上げ、指を高らかに鳴らす。

するとレシアの体が赤く光る。

それはフォトンの輝き、

一瞬ではあるが鮮烈な輝きは、

その場にいた誰もの視線を釘づけにした。

 

「――ShowTime」

 

彼女の宣言。

それにどんな力があったのか……

複製体たちはターゲットを変えて

クシナへ襲い掛かる。

 

「さあ、いらっしゃい~」

 

ガンスラの女が

射撃をしながら突きだしてきた。

 

「ふふっ」

 

けれど彼女は武器すら抜かない。

顔を狙う一撃を紙一重、

そう、本当にほんの少し

顔を動かすだけで回避する。

死角から槍使いが槍を突きだすが、

それも腰をすっとよじるだけで避ける。

ガンスラとパルチザン、

それぞれ攻撃は3回を超えたが、

彼女の髪一つに触れることすらできない。

 

まるで彼女の周囲だけ

時の流れが違うような錯覚……

スローモーションのような

世界で彼女は優雅に舞っていた。

 

――メシアタイム

 

それが彼女の動きの正体。

気付けば密着する位置まで

誘いこまれていた複製体の2人。

 

「はい、タッチ」

 

彼女は余裕の笑みを浮かべる。

そこで初めてチャイナドレスの

スリットから彼女の得物を取り出した。

――Tヤスミノコフ2000H。

他のアークスが使う

ツインマシンガンからすれば

とても小さくアンティークなハンドガン。

旧式のフォルムのそれは玩具のようなモノ。

はるか昔の「テレビドラマ」でもなければ

お目にかかることのないような代物だ。

 

 

けれど彼女にはそれで十分なのだ。

手をクロスさせ、

傍にあった複製体の頭に銃口を押し当てる。

 

「Bye♪」

 

引き金は一度引くだけ。

たったそれだけで

頭を撃ち抜かれた複製体は

ダーカー因子へと還った。

 

そして最後の一人、

ギガドロ・ヒルドへと向き直る。

あの重装甲を貫くのは骨が折れるだろう。

 

けれど、ガンナーには

どんな強敵すら一撃で葬り去る切り札がある。

 

「チェイントリガー」

 

彼女が特殊弾を顔面に撃ちこむ。

それは小さなフォトンの塊。

 

「姐さん!」

 

すぐに全員が意図を察して、

巨体に対して弾丸を叩きこむ。

ツインマシンガンの

豪雨のような弾丸の嵐。

そんな豆鉄砲など効かぬとばかりに、

SSPNランチャーで反撃してくるが、

 

ピピピピピピピッ!

 

甲高い音を立てて、

フォトンが急速に凝縮されていく。

 

「お祭りは終わりよ~」

 

いつの間にか、

SSPNランチャの上にヒールで

立っていたクシナは

Tヤスミノコフ2000Hを押し当てる。

 

「サテライトエイム!」

 

着火。

溜めこまれていたフォトンが爆発し、

ギガドロ・ヒルドの頭を吹き飛ばす。

いかなキャストといえども、

頭を吹き飛ばされては無事では済まない。

戦闘力を失った複製体は、

力無く膝をつき胞状分解をした。

 

「はあ~疲れた」

 

クシナは疲れたように呟き、

ヤスミノコフをホルスターへとしまう。

 

「どうしようかしらね~」

 

目の前には巨大なダーカーの核。

今までのダーカーたちが持つ

心臓のようなモノではなく、

まるで結晶のような

硬化したそれは結晶のよう。

巨大なそれは氷山みたいに

高くそびえ立っていた。

 

カキンッ!

 

試しに一発撃つと軽い音で弾かれる。

チェイントリガーを使えば

壊せるかもしれないが、

生憎とリロード中だ。

コアを守っていた敵性存在は撃破したが、

破壊する術のないクシナは

見上げるしかできなかった。

 

そこへ……

 

「遅くなりました。

 チームフリージア、

 後は私たちに任せてください」

 

やっと援軍が到着したのだった。

その声に振りかえると、

南チームのスノーフレークたちが

到着をしたところ。

人数が減っているのは、

どこかで隊を分けたのだろうか。

 

「はーっはっはっ!

 私が来たからには

 コアなんて木端微塵にしてやる!」

 

北側からも小さな少女の高笑いと共に

集団がやってくる。

北チームのスペルキュレイション。

マスターのリンネの後ろには

ロッドやタリスを構えた

高火力のフォース部隊が整列している。

 

「ふう~私たちの見せ場はお終いね~」

 

クシナは安堵のため息をつき、

負傷した仲間たちの元へ戻る。

 

その後ろでは

 

「これで最後です、

 全部ぶつけましょう」

 

ありたったけのフォトンで攻撃する

スノーフレークと無所属の面々と、

 

「燃やし尽くしてやる!」

 

はしゃいだような声と共に、

雨あられと降りそぞく

テクニックの奔流。

 

バリンッ!

 

コアが徹底的に破壊しつくされ、

ダーカーの巣窟は崩壊を始めた……。

 


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