スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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今回はこっそり後書きにオリジナル小説の宣伝いれてます。
良かったらちらっと目を通してもらえると作者喜びます。

というわけで10人編成を分ける話です。
10人同時にその場に存在するのは書くのも大変ですし
読んでる方々も想像し辛いかなと思いますので。
なお名前だけ出ているチーム、
フリージアは全員チャイナドレスでTマシ、
スペルキュレイションは全員ほぼテク職という設定。
何故そんな偏った編成のチームたちをアークス本部は
4方に分けて突入させたかは……私も知りません。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
ツィッター(@neko_neko_xojya)でお寄せ下さい。
※感想欄に書くと規約に引っかかるため
※要望は全てに対応できるわけではないのはで予めご了承ください。


067.「ご武運を」

「レシア、今の状況は?」

 

何度目かのダーカーの群れを突破し、

ウェズたちは一度足を止める。

 

レシアは携帯端末で情報を空中に表示する。

 

「私たち南チームと、

 東チームの仮面の騎士団は順調です。

 西のフリージアの侵攻が早く、

 北のスペルキュレイションが

 少しですが遅れているという感じですね」

 

レーダーに表示された

それぞれのチームの現在位置から順調と言える。

中心のコアまであと半分というところ。

通話まではできないが、

お互いの位置情報と生体反応から

まだどのチームも目立った怪我人もいないことがわかる。

 

「ふんっ、うちのチームが速いのは当然だよな」

 

シェスタがタバコの煙を

吹かしながらニヤリと笑う。

その煙を鬱陶しげにケーラは払う。

 

「フリージアはガンナー主体のチームじゃん。

 そりゃ速いのは当然……

 なにを自慢げにしてるんだか」

 

「兵は神速を尊ぶってね。

 それがウチのポリシーなのさ」

 

ケーラはシェスタの加えた

タバコを取り上げ遠くへ捨てる。

吸い殻は赤い池に落ちてジュボッと消えた。

 

「ちょうど良いかもしれませんね。

 最深部には相当な敵の数がいると予想されます。

 先にフリージアが到着してかき乱してもらえれば

 かなり有利に進められるでしょう」

 

「なら自分たちは一度中央を突っ切って

 遅れているスペルキュレイションの

 援護に回った方がいいのか?

 あのチームが辿り着けば、

 自慢のフォース部隊がコアごと爆破してくれよう」

 

ナイトメアとタキオンの

キャストの2人が分析する。

 

「いや、あっちのチームも

 遅れていることはわかってるだろうし、

 自分のたちのことくらいは

 自分たちでなんとかしてくれるさ」

 

ウェズはそう言い、

ある一点を指差す。

 

「それより俺が気になるのは、

 ちょうどさっきから

 仮面の騎士団が二手に分かれていることだ」

 

レシアは頷く。

 

「ええ。

 私もそれが気になりました。

 本隊は予定通りコアへの侵攻を進めています。

 けれどマスターのベルリックとティオが

 南西方向……こちらに進路を取ってます」

 

「目的があるってことだよね。

 こっちに何かあるのかな?」

 

メディリスの疑問に答えられる者はいない。

あまり長く足を止めているわけには行かず

早く前に進めなければいけないのだが……

仮面の騎士団が意味のない

行動を取るはずもないだろう。

 

「……どうしたものか」

 

彼らの疑問に答えたのは、

意外にもアンジュだった。

 

「……仲間、探してるんだと思う」

 

その言葉にみながはっとする。

そうだ、仮面の騎士団の

チームメンバーも行方不明。

ならば当然、彼らの目的は決まっている。

 

ピピピッ……!

 

ちょうどそのタイミングでメールが届く。

差出人はベルリック。

慌ててメールを開くと

それはスノーフレークが把握しているよりも

ずっと広い範囲のマップのデータ。

これだけ正確に把握しているということは

チーム内に優秀な

レンジャーがいるのかもしれない。

 

「……これは!?」

 

ライガンが息をのんだ。

そこに映っていた反応を

ミノリが読み上げる。

 

「アークス反応4。

 いずれも生体反応微弱」

 

位置的にスノーフレークと

仮面の騎士団のちょうど中間点。

明らかに攻め込んだ

40人のアークス以外の反応だ。

 

「……レイ!」

 

そしてその反応を知る者がいた。

 

「待て、ケーラ!」

 

――黒耀の牙のレイ=タチバナの識別信号もそこにあった。

 

そのまま走りだそうとした

彼女をウェズが止める。

 

「止めるな!

 そこにレイがいるってわかってるのに、

 放っておけるわけないじゃん!」

 

吐き捨てるように叫ぶ彼女に、

アークスたちは一様に考え込む。

 

生存者の救出はもちろん誰もが行いたい。

しかしミッションはコアの破壊の最優先。

作戦時間が伸びれば伸びるほど、

参加しているアークス全員が危険に晒されるのだ。

ベテランたちですら判断に迷う局面。

事実、シェスタや無所属の三人も

どうすべきか思案しているようだった。

 

「一人で行くなと言ってるだけだ!」

 

だが、ウェズは違った。

躊躇いなど一つもない……

すべきことを即座に決めていた。

 

「……どういうこと?」

 

尋ね返すケーラに、ウェズは頷き

 

「こちらも編成を二手に分ける」

 

そう答えた。

 

「ミノリは推奨しない。

 戦力分断は非効率的」

 

「その通りだ、マスター。

 心情的にはわかるが、

 危険ではないか」

 

ライガンとミノリが反論するが、

 

「これは心情的な話じゃない。

 既に仮面の騎士団が少ない人数で

 動き出している以上、

 そのフォローは必要だということ。

 見捨てるわけにはいかない」

 

スノーフレークのマスターは冷静に返す。

 

「また生存者が

 有力な情報を持っている可能性がある。

 このアブダクションは

 『これで終わり』じゃないかもしれねーんだ」

 

その言葉に誰もが息をのむ。

無意識のうちに誰もが考えていた、

この巣窟さえ破壊すれば解決するのだと。

そう、巣が1つしかないと誰が確認した?

もし他にも存在するのだとしたら……

少しでも情報は必要だろう

 

「ウェズの言うとおりです」

 

レシアは頷き、

 

「……確かに、その場しのぎになってしまえば、

 この危険を冒してまで決行した

 突入作戦の意味が薄れてしまいます」

 

マスターが決めたことを肯定した。

マネージャーの役割は、

マスターが間違っていれば指摘し、

正しいと思うのならば

全力でフォローすることだ。

 

「ふっ、面白いな。

 自分はそういうのは嫌いではない。

 それに南チームの大将はウェズ殿だ。

 ならばその決定に従おうではないか」

 

タキオンも満足気に頷く。

決まってしまえば

誰もが文句を言わずに

「どうすれば完遂できるか」に思考をシフトする。

 

「……ありがとう」

 

ケーラが呟く。

ウェズは「礼を言われることじゃない」と首を振る。

 

「俺も、あいつにこんなところで

 死なれたら悔しいんだよ」

 

一瞬驚いた顔をしたが、

彼女も肩を竦めてやれやれと笑う。

 

「そうだね、こんな辛気臭い場所、

 レイ=タチバナの

 死に場所としては相応しくない」

 

さて編成をどうしたものかと考える。

ただでさえスノーフレークは

他のチームより戦力が「薄い」。

あまり人数を割く訳にはいかないが……

 

「別働隊は俺が指揮をする。

 本隊はレシア、頼む」

 

多少遅くなっても、

中心地まで辿り着けば他のチームがいる。

それより何が起きるかわからない

別働隊の方が危険率が高い。

 

「もちろん私はウェズについていくよ。

 レイは……私が助けなきゃ意味ないじゃん」

 

ケーラが前に出る。

 

「では私もウェズさんについて行きますよ。

 私はどのような窮地からも生き延びてきました。

 必ず守り抜いてみせましょう」

 

タルナーダを背負ったナイトメアも続く。

 

「仕方ない、アタシもついていってやるよ。

 私は射撃も支援もできる。

 近接ばっかのアンタらのフォローなら任せな」

 

そしてシェスタも続いた。

10人中4人、かなりの割合だ。

 

「マスター、気を付けて行ってきてくれ」

 

ライガンの言葉に

ウェズは「大丈夫だ」と頷く。

タキオンが胸パーツをドンと叩き、

 

「コアは自分たちに任されよ。

 ウェズ殿たちは、

 見事同胞を救ってきてくれ」

 

「ミノリも全力で戦闘行為に従事する」

 

ミノリがランチャを取り出しながら

淡々と告げる。

 

「……ん」

 

アンジュはいってらっしゃいと

ひらひらと手を振る。

 

「期待に応えられるように頑張るから!」

 

メディリスもライフルを抱えながら意気込む。

 

「ウェズ」

 

そして最後、レシアが前に出る。

ウェズの胸に手をこつんと当てて、

想いを一言に込めて呟く。

 

「ご武運を」

 




ここで唐突にオリジナル小説の宣伝。
「PSO2の小説読みに来ただけでオリジナルに興味ない!」
って言われてしまいそうですが、
元々オリジナル書くための練習に
書き始めた物語なので温かい心で見守ってください。

両方ファンタジー小説でネット新人賞にエントリーしてます。

前者はウェズとレシアのやりとりが好きな方なら、
後者はクエスト中の戦闘シーンとかシリアスな場面を
気に入ってくれている方なら
楽しんでもらえるんじゃないかなぁと思います。

聖女の血を引く末裔だけれど落ちこぼれな少女ミミと
誰もが恐れるヴァンパイアでありながら寂しがり屋な青年フレデの
二人の恋愛物語(今 連載中で最終章に入りました)
「黒のヴァージンロード」(恋愛・吸血鬼)
http://ncode.syosetu.com/n9813cw/

後に大海賊と語り継がれることになる、
海賊となった一人の少女の物語(完結済み)
「世界は北極星を中心に廻る」(海賊・戦記)
http://ncode.syosetu.com/n0804cw/

宣伝失礼いたしました。

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