スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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更にゲストキャラ「タキオン」が登場、
そう、そしてまたしてもキャスト。
本編では人口の少ないとされるキャスト♂のパレード!
巣窟編では40人のアークスによる大規模作戦なので、
少し長くなるかもしれません。
ゲストキャラのナイトメア、タキオン、
そしてベルリックの活躍も書く予定です、はい
当たり前ですけど40人全員がいちいち出たりしません。
書いてる私も死にますし読んでる人も把握できない。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想とか要望を書いてくれると作者喜びます


065.「なら、自分が一番槍を頂こうか!」

『……もうすぐ問題の宙域に入る。

 何が起きるかわからない……気を付けて』

 

四方に分かれてキャンプシップは

問題のポイントへ向かう。

ウェズたちスノーフレークが乗っている船は

南側からの侵攻だ。

隣りにはもう一機のキャンプシップ。

そこには黒耀の牙のケーラ、

無所属の三人、

フリージアのマネージャーが乗っている。

合計10人、それが南チームだ。

 

「……見えました!」

 

近づいても相変らずレーダーには何も映らない。

だがレシアがキャンプシップの望遠カメラで

「存在しないはずのモノ」を映し出していた。

そこにあるとわかっていなければ、

見つけることはできなかっただろう。

宇宙空間は安全だと思い込み、

哨戒と警戒を怠っていたため、

今の今まで発見されなかったモノ……

 

「……なんなのだ、アレは!?」

 

ライガンが思わずうなり声をあげる。

メディリスに至っては言葉を失っていた。

相変らずアンジュだけは物珍しそうに見ていた。

 

――「それ」は城のようだった。

 

真っ暗な宇宙空間に浮かぶ「それ」は、

惑星ほどではないにしても相当な大きさ。

まるでマグマが浮いてるかのような、

深い紅蓮の塊……

中央に何か鋭い岩山のようなものが複数あり、

そこを中心に真っ赤な大地が広がっている。

 

「アークスシップを取り込んだのか……!」

 

ウェズは中央にそそり立つ岩山の正体に気付く。

一番巨大なのは艦首、

隣りの大きいのは船尾だろうか。

真ん中でへし折れたアークスシップに

ダーカー因子が集まり

巨大な塊を形成しているのだ。

 

『……照合完了。

 あれは15年前にダーカーの襲来で

 甚大な被害を受けて破棄された893番艦……

 『ヤクザ』で間違いない』

 

最近のダーカーが頻発している原因が

ダーカーを生み出す

母星のようなものがあれば納得のいく話だ。

 

『……あたかもダーカーの巣窟。

 アークス本部は対象を「ネスト」と命名。

 以後、ネストの破壊を最優先』

 

「あれだけ巨大ならば

 フォトンキャノンを詰んだ船で

 攻撃すべきなのではないでしょうか?」

 

レシアの疑問にトゥリアは頷く。

 

『……それは最も。

 でも計測したら有効なダメージを

 与えられる射程距離に入る前に、

 多分、引きずり込まれて撃つことができない』

 

モニターに表示されたのが、

フォトンキャノンの射程より

ネストの予想される

支配領域の方が遥かに広い。

 

「だから俺たちアークスが

 直接乗り込んで壊すってわけか」

 

『……観測したところ、

 信じられないけれどネストは

 たった1つコアで形成されている。

 それを破壊すれば多分、崩壊するはず』

 

その言葉の意味に気付いたメディリスは

口元に手を当てる。

 

「もしかして、

 アレもダーカーってことなの?

 そんな……」

 

禍々しい血のように

ダーカー因子を撒き散らす巣……

放っておけば

どんな厄災に繋がるか想像もできない。

 

ビービーッ!

 

キャンプシップに警報が鳴り響く。

ネストの支配空域に突入したのだ。

キャンプシップが操作不能になり、

強制的にネストに引きずられていく。

 

「準備はいいか!」

 

ウェズがディオシガルガを腰につけて叫ぶ。

 

「いつでもいけます」

 

「うむ、大丈夫だ」

 

「トラップに回復役、オッケーだよ」

 

「……ん」

 

チームメンバーも頷く。

 

『……ネストの座標設定!

 テレプールに飛び込んで!』

 

トゥリアの叫び声に全員が一斉に

キャンプシップの転送装置である

テレプールに飛び込む。

 

ここから先はネストを破壊しなければ、

戻ることができない片道通行だ。

迎えのキャンプシップに来て貰うには

必ず目標を破壊せねばならない。

 

『……みん……気…付…て…』

 

トゥリアの通信にノイズが走り、

何を言っているのか

まるで聞き取れなくなる。

ネストは強力な電波妨害を行っているようで、

アークスシップと連絡が途絶える。

恐らくアークスシップから

発見されないための

ジャミング機能のせいだろう。

 

スノーフレークは無事に

ネストの地表に転送される。

キャンプシップが

遠くに墜落していくのが見えた。

 

改めて周囲を見回す。

立ってる場所は岩の塊ような地面だが、

周囲には不気味な赤い沼が広がっておりや、

アークスシップの

残骸らしきモノも散らばっている。

鈍い光沢のある部分は

ダカンの甲殻にも見え、

所々には定期的に脈打つ

赤い血管のようなモノ。

 

「ダーカーの体内……

 って言葉がぴったりだな」

 

頭上にはかつては賑わっていたはずの、

アークスシップの市街地……

逆さまで見下ろしてくるそれは

振ってきそうでありとても不安を煽る。

 

「……来る」

 

危険にいちはやく気づいたのは

アンジュだった。

バウガーディンを構える。

 

――ァァァァァァァァァ!

 

前方の赤い血管が弾け、

中から大量のダカンが飛び出してくる。

その数は30以上。

ウェズたちが迎え撃とうと構えるが……

 

「なら、自分が一番槍を頂こうか!」

 

横から飛び出したのは無所属のアークス。

白をベースとしたキャストの男で、

まるでライオンを思わす胸のパーツ

ヒュリオンボディが特徴的だ。

明るい青でカリーリングされた肩部位に

機動性の高いレッグ。

背面に取り付けられた

リアバーニアとXフォトンウイング、

そしてサイドウイングから

青白いフォトンが眩しく噴き出す。

高機動スラスターと

レッグのホバー装甲で突撃していく彼は、

まさに一陣の風といったところか。

 

「うおおおおおお!」

 

雄叫びを上げる彼に

ダカンの群れが一斉に飛びかかる。

押し潰されたら、

180を超えガッチリとした

体格のキャストとはいえ危険だろう。

だが彼が背面から抜いたのは

灼熱のツインダガー。

黒光りする本体に、

燃えるような赤いフォトンの刃。

名をナイトメアブラッドという。

 

「オウルケストラー!」

 

それは神速の連撃。

目にも止まらぬ斬撃で敵の攻撃を防ぎつつ

また全周囲を攻撃し、

双剣はダカンを一匹残らず切り裂いていく。

高温の刃は掠るだけで

ダカンを内部から沸騰させ弾けさせる。

 

「クイックマーチ!」

 

その場で宙返りをしながら蹴りを繰り出す。

刃だけでなく、

その推進力を活かした蹴りは強力で

まとめてダカンを蹴り飛ばす。

そう彼はツインダガーを得意とするファイター。

キャストならではの

スラスターとホバーが

高機動戦闘を可能とする。

ツインダガーは空中戦だけでなく、

密集戦もお手の物だ。

 

とはいえダカンの数も容赦がない。

大量の数を前には多勢に無勢、

一体一体切るのは分が悪いだろう。

 

ウェズたちが加勢に行こうとするが、

 

「大丈夫ですよ、見ていてください」

 

それを押しとどめたのは

会議で発言をしたキャスト、ナイトメアだ。

彼が指差す先にいたのは

無所属の最後の一人。

非常に重装甲なキャストの女性で、

大きな装甲と大地が沈むほどのレッグ……

土色でカラーリングされた

ナジンシリーズで構成している。

ボディだけは装甲が薄いのは、

全身を覆えば重すぎて

機動力がなくなるからだろう。

 

「目標捕捉、殲滅開始」

 

彼女が取り出したのは、

巨大なランチャー……

薄い赤茶色のそれは無骨な形をしており、

細かな取り回しなど一切捨てた

一撃必殺の兵器。

 

ガコンッ!

 

鈍い音を立ててシリンダーが回る。

威力だけを追求して

他の全てを捨てた大砲……

クリムゾンバンカーが火を噴く。

 

「デイパインランチャー!」

 

広範囲を爆撃するグレネード弾。

集まったダカンを

全てまとめて吹き飛ばすつもりだ。

確かにそれは効果的だろう、

ダカンたちは1つの獲物を

目がけて殺到しているのだから。

 

「……なっ!?」

 

……中心で戦うファイターの

ことさえ考えなければ。

 

「シンフォニックドライブ!」

 

背後からのまさかの味方の砲撃に

慌てて彼はバーニアを全開に噴かせて離脱。

間一髪のタイミングで

グレネード弾が着弾する。

 

ドォォォォォン!

 

容赦ない一撃は

周囲の全てもろとも関係なく

巻き込んで吹き飛ばした。

 

「中々の連携プレイでしょう?」

 

ナイトメアが苦笑をする。

 

「連携って……言っていいのか?

 あのキャスト、

 めっちゃ不意を突かれたって顔してるぞ」

 

かろうじて脱出をしたファイターが、

ランチャーを持つレンジャーに叫ぶ。

 

「ミノリ!

 最前線で戦う自分ごと吹き飛ばすつもりか!」

 

「……?

 タキオン、ミノリは最も効率的な方法を選択。

 結果、敵性反応殲滅完了。

 タキオンが憤慨してるのか理解不能」

 

タキオンとミノリ、

共に無所属だが顔見知りではあるらしい。

なんとも賑やかなことだ。

 

「ウェズ、

 他のチームも無事にネストについたようです」

 

先ほどから携帯端末を

操作していたレシアが端末を見せる。

アークスシップからの通信は届かなくても、

近距離であるならば届くようだ。

この作戦の為に

普段より強力な規格の通信機を支給されていた。

 

見ると40人、4か所ともに

無事にネストに辿りついたらしい。

 

「開幕、向こうに先手を打たれたが、

 今度はこちらからだな」

 

その言葉に全員が頷いた。

 


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