スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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実はベルリックさんの他にも
ありがたいことに要望を頂き
ちらっと新しいゲストキャラの方が顔を出しています。
今回は顔見せだけですが
このキャストの活躍はダーカーの巣窟で発揮される……予定です。
それにしてもテキトウなミーティングだなぁ。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想とか要望を書いてくれると作者喜びます


063.「必ず無事に生還してください」

「……とても、

 大事になったかも」

 

隣に立つトゥリアが小さく呟いた。

 

「……みたいだな」

 

脱出艇の残されていたログから

どうやらケーラが

宇宙を漂っていたのが2日。

スノーフレークは一度

アークスシップに戻り

憔悴し取り乱していたケーラを

医務室へと連れて行っていた。

 

その後にウェズは

アークス本部に呼び出されて

ミーティングルームに来たのだ。

他の面子は呼ばれておらず、

トゥリアと二人だけ。

ミーティングルームには

重苦しい空気が漂っている。

周囲には10人近いアークスがおり、

いずれもチームマスタークラスか、

あるいは無所属でもランクの高い者ばかり。

全てがスノーフレークより格上である。

これだけのメンバーが集まったということは

脱出艇のログを解析して得られた情報が

それだけ深刻なモノだったからだ。

 

「以前から行方不明に

 なっていたアークスたち……

 彼らがどこにいるかわかりました」

 

アークス補佐官の言葉に周囲がどよめく。

前で説明しているのは若い女性。

黒いナビゲータースーツをピシッと着こなし、

まだ若いながらも意志の強そうな瞳。

口調もしっかりしており

生真面目な性格なのだろうということは

誰が見てもすぐにわかった。

けれどそんな顔立ちとは裏腹に

可愛いツインテールがアクセントになっている。

彼女の名前はブリギッタ。

みなの前に立つのはトゥリアとは違う、

ちゃんとした正規の補佐官だ。

 

「『アブダクション』

 私たちはこの事件の名称として決定しました。

 アークスたちはキャンプシップごと、

 どこかへ連れ去られていたようです」

 

彼女が手を振るとモニターに

惑星リリーパ周辺の宙域が表示される。

そしてそこに点在する赤い点……

アブダクションが発生した大雑把な地点だ。

 

「この散った分布……

 どうにも関連性がねぇ気がするぜ」

 

仮面の騎士団のマスター、

ベルリックが唸る。

点がわかりやすい円を

描いてるわけでもないのだ。

法則性は特に見いだせず

ただの『偶然』とされていた。

 

「私たちも関連性を見出せませんでした。

 けれど今回、

 脱出艇からレーダーで捕捉していた

 黒耀の牙のキャンプシップの

 『引きずられた』が軌跡がこうです」

 

3回折れ曲がりながら離れた宙域へ向かい、

最終的に何もない場所で途切れている。

けれど他の点とそれが

関連性があるようには見えない。

 

「いえ、わかりました。

 なるほど……そういうことなのですね」

 

前に出てきたのはキャストの男。

全体が青でカラーリングされており、

オレンジのラインがパーツの合間を走る。

関節は灰色だが、

多くを青い装甲が覆っていた。

鋭角的で大きな肩パーツと

戦闘機を連想させる胴体の尖った部分。

ネメジストシリーズという

攻撃的なデザインのパーツで構成されたキャストだ。

 

「このキャンプシップの折れ線……

 これを一度伸ばします」

 

そのデザインとは裏腹に

彼はとても丁寧な口調なのが印象的だ。

 

「ん~?

 どういうことかしら~」

 

間延びしたような声は、

場違いなチャイナドレスの女性。

頭には二つの「お団子」のような髪型、

シニヨンというのだったか。

艶やかな黒髪に、

男の視線を常に意識しているような

際どい衣装に立ち方。

ウェズは目のやり場に困って逸らした。

……アークスにも本当に色んなタイプがいる。

 

「いいですか、見ていてください」

 

キャストは伸ばした線をいくつも表示させて、

全ての分布の点にそれを繋ぐ。

すると線が複雑にそれぞれ動き……

 

「直線で繋いでは関連性がなくても、

 折れた角度の法則性、

 それを計算式に入れて導き出すと

 この通りになります」

 

全ての線が似たような形の折れ線を描き

ピッタリと、ある一転に集約していた。

 

「説明ありがとうございます、ナイトメア。

 『何もない』と考えていた地点……

 けれど『何かある』と疑い調査したところ、

 空間に異常な数値が観測されました」

 

彼女はそこで一度言葉を切り、

集まったアークスたちを見回す。

 

「先日、アークスシップの一隻が

 ダーカーに狙われているという情報が入り、

 大半のアークスたちが

 そこの防衛に向かっています。

 けれどもこの宙域を

 放置するわけにはいきません。

 これ以上……行方不明者を

 増やしてはならないのです。」

 

ここに集まったアークスたちが、

やっと今回のミッションについて理解した。

 

「限られた戦力の中……

 複数アークスたちによる

 本宙域の調査。

 原因の解明と敵性存在の撃破が

 今回の緊急クエストとなります」

 

モニターに詳細な図が表示される。

参加するアークスは40名。

またそのうちチーム単位での

参加がほとんどであり

スノーフレーク、仮面の騎士団、

フリージア、スペルキュレイション。

無所属のアークスが先ほどの

ナイトメアと呼ばれたアークス含めて3名。

チームが4つあることから、

4方向分かれて

宙域に突入することになっていた。

 

「作戦開始は1時間後。

 詳細は追って各メンバーに送信します。

 恐らくダーカーに関連する

 危険な何かがあります……。

 何が起きても不思議ではありません」

 

ブリギッタは全員を見回してから、

念を押すように告げた。

 

「必ず無事に生還してください」

 

 


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