スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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ケーラ、実はあんまり
今まで出番がなかったせいで書いてる本人ですら
しっかりとした口調が定まってないんですよね。
これからきっと固まっていく、はず、うん


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想とか要望を書いてくれると作者喜びます


062.「2人を助けてよ!」

「……また面倒な

 クエストなんじゃないだろうな?」

 

ウェズは半眼で睨むが、

通信越しのトゥリアはどこ吹く風。

 

『……借金は返したけれど、

 貯金が1万メセタしかない』

 

「……選択の余地がないってことかよ」

 

悲しい現実を突き付けられ

深いため息をつく。

浮遊大陸のクエスト以降、

何かと不人気な依頼をされられている。

ナベリウスではナヴ・ラッピーを

35匹捕獲しろだの、

アムドゥスキアでは

よくわからない卵を集めてこいだの……

 

「まあマスター。

 依頼があるだけ良いというのものだ」

 

「ライガン、

 じゃあ次の惑星リリーパの

 資源採掘とその輸送任務……

 そんなに人手いらないらしいから

 アンジュと二人で行ってくれるか?」

 

「……チームというのは、

 一丸になってクエストに

 挑むモノだと思うぞ」

 

「やっぱ嫌なんじゃねーか」

 

視線を逸らすライガンは視線を逸らして

キャンプシップの端末の操作をしていた。

スノーフレークの面々は

今はキャンプシップで

惑星リリーパへ向かっている最中。

ワープをすれば惑星まですぐなので、

実際には20分、30分程度で

目的地に着く予定だ。

 

「~♪」

 

隣りでは飽きることなく

アンジュが窓から外を眺めている。

戦闘では本当に頼りになる少女だが、

こうしていると本当に

ただの幼い子にしか見えない。

……黙ってクエストに行ったり、

また美味しいモノを食べに行ったりすると

激しく拗ねるので

ご機嫌取りが大変なのだけれども

 

「これがこうだから……」

 

メディリスは浮遊大陸のクエストから

今まで以上に精を出していた。

元々強くなろうとする向上心は高かったが、

何がきっかけだったのだろうか。

今も新しいフォトンアーツのディスクを

ライフルにセットし出力の調整をしていた。

 

「助けてもらった手前、

 あまりこんなこと言いたくはないのですが」

 

そして呆れたような口調の

マネージャーのレシア。

先ほどまでチーム業務をしていたのだが

その手を止めて何かを出してきた。

 

「請求書、新しく届いてますよ」

 

「……マジかよ。

 えーと……ラムダディグリボウの代金?」

 

ウェズは顔を上げる。

 

「なんだこれ?」

 

彼女は言い辛そうな顔をしていたが、

もう一枚の書類を手渡してきた。

どうやらメモのようなものらしいが……

 

『この前は援護ありがとよ!

 俺も始末書を回避できたから

 格安に値引きしとくぜ!』

 

署名はオプタ。

一瞬誰だか全然わからなかったが

あの戦闘機のパイロットだろう。

 

「そういえば、俺、

 弓をどこにやったんだっけ?

 あれって戦闘機の備品だったよな」

 

「……私を助ける時に、

 どうも空に投げてしまったみたいです」

 

なんとも言えない気まずい空気。

そんな中、空気の読めない補佐官見習いは

 

『……もっと依頼探しておくから』

 

まだ始まってもいないのに、

もう次のクエストを探し始めていた。

 

「……自転車操業っていうのは、

 こういうことを言うんでしょうね」

 

「……だろうな」

 

マスターとマネージャーは

揃ってため息をついた。

せっかく軌道に乗ってきたと思ったら、

経済的な部分で苦労することになろうとは。

 

「……マスター」

 

端末を操作していたライガンが

堅い声で呼んできた。

 

「どうしたんだ?」

 

尋ねると彼は端末をトントンと指先で叩く。

 

「救命信号をキャッチした」

 

「……?

 ここは宇宙空間だぞ」

 

今のところダーカーが

宇宙空間で襲ってきたという報告は

実のところ一件もない。

アークスシップの市街地が

何度か襲撃されたこと確かにあるが、

「アークスシップの内部に突然沸いてきた」

という報告以外ないのだ。

 

「この信号……脱出艇?」

 

キャンプシップには

緊急脱出用の装置があるのだが、

宇宙で襲われることはないのだから

滅多に使用されることがない。

だからこそスノーフレークの面々は

首を傾げていたのだ。

 

「近いですね。

 回収に行きましょう」

 

不思議に思いながらも、

キャンプシップの進路を変える。

 

「……なんか飛んでる」

 

いち早くアンジュが見つける。

自動操縦で動くキャンプシップが

宇宙を頼りなく漂っていた

小さな円形のポットを下部に取り付ける。

接続することで乗ってる人を

中に転送できるシステムだ。

 

シュンッ!

 

後方の転送装置から

脱出艇に乗っていた

誰かが転送されてくる。

 

「……アンタは」

 

それはウェズも知っているアークスだった。

彼女は憔悴しきった顔で

躓きながらも飛び出してきて

ウェズの胸倉にしがみつく。

 

「レイを……

 2人を助けてよ!」

 

白いハマノイクサに

薄青いツインテール……

そして特徴的なオッドアイ。

いつものどこか余裕というか、

含みのあるような表情は一切なく、

切羽詰った様子にウェズは面食らう。

 

「お、おい落ち着けよ!

 何があったんだ!?」

 

――それは黒耀の牙のファイター、

  ケーラ=ニベルムだった。

 


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