スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
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005.「凄く……嫌な感じです」

「あぢっ! こら何しやがる!」

 

「あなたが勝手に私のテクニックに当たったんじゃないですか!」

 

それから2人はパーティを組んで

いくつかクエストに挑んでいたが……

 

「気が利かない奴だとは薄々と感じていたけどな、

 もう少し前衛の俺をフォローするようにしろよ!」

 

「あなたが全然倒しきれないから、

 私がこうして攻撃しているんでしょう!?

 もっと早くに倒してくれていれば私が無理に攻撃しなくてもいいんです!」

 

不慣れな二人がそうそう連携を保てるはずがないのである。

2人は常に口喧嘩をしながら戦っていた。

 

「あーもう、やっぱりパーティ解消だ!

 お前と組んでいたら俺の身が持たない」

 

ついにウェズが言ってしまった。

売り言葉に買い言葉、レシアも顔を真っ赤にして

 

「あなたなんかこっちから願い下げです!

 自分勝手に戦ってばっかりでちっとも私のことを考えてくれません!」

 

絶縁状を叩きつける。

2人して「ふんっ!」と顔をそむける。

 

「とりあえずこのクエストはこれでいいだろうしな」

 

逃げようとしていたナヴ・ラッピーを捕まえて抱え上げる。

 

今彼らがしているクエストはこのナヴ・ラッピーの捕獲任務である。

突然奇怪な行動をするナヴ・ラッピーが最近多く、

捕獲してデータを最初するというもの。

正直ダカンを相手をするよりも楽な任務だ。

 

ジタバタ逃げようとするナヴ・ラッピーを

レシアは腹をつんつんと何度も突く。

 

「あまり変な行動をとっているとは思いませんけれど……」

 

2人して首を傾げていたが

 

「ぴぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

突然叫びだし激しく暴れ出した。

 

「うわっ、なんだよ突然!」

 

あまりの喧騒に思わず手を放してしまう。

すると一目散に茂みの中へ逃げて行った。

周囲にいたナヴ・ラッピーも散り散りに駆けだしていく。

 

ズゥン……

 

その時、重たい振動が響き渡る。

 

「この音は……なんでしょうか」

 

フォトンの乱れをすぐさま感じたフォースのレシアが、

周囲の気を読むように目を閉じる。

 

「凄く……嫌な感じです。

 ……ダーカー? いや違います、この感覚は何……?」

 

突然、周囲が暗くなった。

何かが空を覆ったのだ。

 

それが何かはわからない。

けれど危険を察したウェズは咄嗟にレシアを抱え上げて飛んだ。

 

「――!!」

 

激しい衝撃と共に空から何か振ってきた。

それは先ほどまで二人がいた位置の地面を激しく抉る。

 

「ちょっ、え、うあ、ええ!?」

 

突然お姫様だっこをされたレシアは激しくパニックになり

意味もない言葉を発していた。

けれどウェズはそれを気にしている余裕など全くない。

 

「喋るな! 舌を噛むぞ!」

 

後ろから何かが追いかけてくるが、

それを振り返る余裕など全くない。

全力で走り見晴らしが良いところまで駆け抜ける。

ブレイバーをしているだけあって、

体の軽いレシアを抱えて走ることなど造作もなかった。

 

「ナヴ・ラッピーたちが騒いでいたのはこいつの仕業か」

 

気付いたら広間に出ていた。

レシアを降ろし、ゆっくりと振り返る。

 

「酷いです……」

 

レシアが追ってきた「それ」を見つめて呟く。

ウェズもそれを見て、「うっ」と口を抑えた。

 

追いかけてきていたのは、

まるで岩が動いているかのような大きな二足歩行のクマ……

ロックベアと呼ばれている原生種だ。

筋肉が硬化して岩の様になっていることからそう呼ばれているのだが、

元々は木の実などを主食にしている温厚な原生種なので、

アークスに襲い掛かってくることはそうそうない。

 

けれど、そのロックベアは一目見て「違った」

 

「……これは逃げれそうにない……ですね」

 

「ああ……こいつはやばい」

 

ただのロックベアとは違ったのだ。

その肩には……

 

「ダーカー因子に浸食されているのか!」


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