スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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知らぬ人からゲーム内でGJで
「スノーフレーク読みました!応援してます!」と言ってもらえて
とても嬉しかったテオドラです。
応援、ありがとうございます!
というわけで今日はみんな大好きトランマイザー戦です。
ミサイル撃ちまくりますよ!


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想とか要望を書いてくれると作者喜びます


044.「……落ち着いて、聞いて」

戦車というには少し特殊な形状をしている。

キャタピラに該当する部分は

長い一対のモノではなく、

前後にある二対の脚となっている。

左右にはミサイルパック、

上部には二門の砲門が突出していた。

灰色で無骨なフォルムのその機甲種の名は……

 

『……トランマイザー!』

 

ゆっくりとした速度で通路の向こうから迫ってくる。

 

『……施設防衛を目的とした強行先頭型機甲種。

 可変機能を持ち、人型形態と戦車形態に変形し、

 凄く対応力が高い……だって』

 

すぐにトゥリアが情報を転送してくれる。

今は戦車のような形状をしているが、

人型にもなるからあんな形状なのかと納得する。

 

「……真っ直ぐに、こっち来てるな」

 

分帰路のない通路では他に誘導もできない。

完全に知覚され、攻撃目標とされているのは、

砲門が細かく調整してこちらに

向いてることから言うまでもない。

 

「……熱量増加!

 なんかくるよ!」

 

メディリスの叫び声にまるで応えるかのように、

左右のミサイルポットの蓋が開いた。

 

ドドドドッ

 

鈍い音を立ててミサイルが大量に発射される。

後部の推進器からの煙が尾を引きながら

スノーフレークの面々へと迫ってきた。

 

「メディリス、残ったのをお願いします!」

 

先にタリスを投げていたレシアが

前方で雷のテクニックを発動させる。

 

「ナ・ゾンデ!」

 

ブルクレインを中心として球形の電磁フィールドが発生する。

元々は定点攻撃で中に閉じ込めた敵を

雷撃で縛り攻撃するテクニックだ。

けれど前方に展開すればシールドにもなる。

 

ドンッ……ドンッ……

 

雷撃のフィールドに触れたミサイルが爆発していく。

けれどレシアの法撃力では全てを完全に破壊できず、

またフィールドの横を通過してくるモノもあるので、

完全には撃ち落とせない。

 

「ワンポイント!」

 

激しい射撃音をたてながらメディリスの

ヤスミノコフ3000Rが弾幕を張る。

ミサイルを次々と撃墜していくが、

さすがに数が多すぎる。

 

「くっ……」

 

「くそっ!」

 

最終防衛ラインのウェズとライガンが斬り落とす。

しかし相手はミサイルだ。

小型とはいえ至近距離の爆発で体が軋む。

言葉通り、身を張って後衛を護っていた。

 

「次、来ます!」

 

ミサイルの雨が止んだと思ったら、

次はマシンガンの弾丸の嵐だった。

こちらは動けないのだから、

トランマイザーは狙いを定めるまでもない。

ただ連射してくるだけ。

 

「うおおおおおおおおお!」

 

ライガンが槍を前で回してシールドを張る。

鈍い音をたてながら弾丸をはじいて行く。

 

「長くは持たないぞ、マスター!」

 

衝撃にライガンの体のパーツが

嫌な感じで軋みを上げているのがわかる。

 

「トゥリア!

 あいつに弱点はないのか!」

 

事態は最悪だ。

なんとか突破口を開く必要がある。

 

『……うん。

 今、見つけた。

 ……攻撃を続けると放熱のために

 背面のコアが開くから、

 それを破壊すれば機能は停止する』

 

トゥリアの情報に相手を確認するが……

 

「背面のコアなんてわからねーぞ!」

 

相手は真正面にいるのだ。

こちらからでは視認できない。

けれど、それでも位置がわかる者がいた。

 

「ウェズさん……多分、上部の背面の、

 あのスラスターが開いたみたいな部分です!」

 

リリーパを助け出そうとしているミリアだ。

彼女からも見えているわけではないだろう。

けれど、彼女は武器職人見習い……

ひょっとしたら機械のことは

多少はわかるのかもしれない。

しかし、本当にそこにあるのだろうか……。

この逼迫した状況下では

失敗は、一度たりとも許されない。

 

「ウェズ!」

 

どうすべきか躊躇していた彼に、レシアは叫ぶ。

 

「私の妹を信じてください!」

 

覚悟は決まった。

ミリアという少女のことをウェズはほとんど知らない。

だから、どこまで信用していいか正直悩むのだ。

でも信頼している相棒……

レシアが「自分の妹」だから大丈夫と言う。

なら、レシアの言葉を信じよう。

 

「ライガン、あと少しだけ耐えてくれ!」

 

「……任された!」

 

力強い返事に、ウェズは頷き……

 

「行くぜ!」

 

ライガンを踏み台にして飛びあがった。

上にあるパイプを掴んで登り、

高い位置にある太いケーブルの上を走る。

幸いにも相手は攻撃している最中には

センサーの類が鈍くなっているらしい。

ウェズは気付かれないように

頭上からトランマイザーに近づく。

 

下ではトランマイザーが長い砲身から、

炸裂弾を発射していた。

ミサイルより弾速が早く、

そしてマシンガンよりも強烈な威力。

ライガンが爆発に巻き込まれていく。

 

(ライガン……貧乏くじばかりですまねえ!)

 

レシアとメディリスが応戦しているが、

厚い装甲に決定打は与えれない。

せいぜいミサイルを迎撃できるくらいだ。

 

ウェズがトランマイザーの真上にたどり着く。

見下ろすとそこには、

上部の開いた部分に青く点滅するコアがあった。

 

「あれか!」

 

ウェズはまるで鳥が地上の獲物を狙うように、

天井から猛然とした勢いで襲い掛かる。

コアを貫けば勝ちだ……しかし。

 

ガシャン!

 

ウェズの接近に気付いたトランマイザーは

突然に立ち上がった。

そう、戦車だったのが、

変形を行い人型になって

立ち上がってウェズに向き直ったのだ。

 

先ほどまではキャタピラだった部分は、

非常に鋭利な赤い2本の爪に。

頭上からのウェズを迎撃するように振り上げられる。

 

「それくらいで怯むかよ!」

 

刃を鞘で防ぎ、落下の勢いを殺さぬよう、

転がるように相手の腕に沿って落ちる。

くるくるっと回転して着地したウェズは

 

「アサギリレンダン!」

 

相手の股の下をくぐり抜けて背面に回り込む。

先ほどまで上部にあったコアは

変形したことで下半身、

そうウェズのカタナの届く位置あった。

 

「これでぶっ壊れろ!」

 

全ての力を込めてキャスティロンを突き出す。

遮る物がないコアをカタナが深々と貫いた。

 

ギギギギギッ

 

トランマイザーは

まるで痙攣したかのようにガクガクと震えていたが、

 

プシュー……

 

まるで糸が切れたかのように脱力して機能を停止した。

これで完全に沈黙しただろう。

 

「抜けました!」

 

そしてちょうどその時に、

やっとリリーパがギルナスから抜け出したのだった。

 

危険な場面が過ぎたことで

空気が弛緩する。

ウェズは勿論だが、

なによりライガンの損傷も心配だ。

一度キャンプシップに戻ろうかと考えていたが

 

『……救援信号が入った。

 アークスが、大型の要塞型機甲種に遭遇して、

 助けを求めている』

 

切迫したトゥリアの声がそれを許してくれなかった。

 

「まだこれよりデカいのがいるのかよ!」

 

叫ぶウェズに、補佐官見習いは頷き

 

『……凄く、大きいみたい。

 暴走してるみたいで早く破壊しないと、

 この地下坑道も崩れ落ちるかも』

 

それだけ緊急事態であることを告げる。

 

『……救援信号を出しているチームは二つ。

 ……同じ場所で戦っているみたい。

 一つはアックス率いる「アックスボンバーズ」』

 

聞いたことがない名前だ。

多分、アックスというのがマスターなのだろうけれど、

さすがに安直な名前ではないかと思う。

 

『ウェズ。

 ……落ち着いて、聞いて』

 

トゥリアはマスターの呼ぶ。

 

『もう一つのチームは……』

 

そして、忘れることのできない名前を呼んだ。

 

 

 

『――レイ=タチバナ率いるチーム、「黒耀の牙」』

 


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