スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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メナアリスを持ったメディリス。
名前の響きと字面が似ているのは、
何も考えずになんとなく書いてしまったからです。
わかり辛くてすいません!


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。



027.「お願い、当たって!」

――惑星リリーパ。

 

地表一面を砂で覆われた砂漠の惑星で、

自然というものはほとんど見当たらない。

ところどころに用途の不明な建造物があり、

かつては文明が栄えていたらしいことを思わせる。

……けれど今は、それを使う知的生命体も存在しない。

 

「なんだか、寂しい惑星ですね」

 

降り立って一番最初に

レシアが呟いたのがその言葉だった。

 

「ああ……こんな惑星にまでダーカーが出るなんて

 あいつらは何を考えてんだ?」

 

『……リリーパには貴重な資源が多いから、

 オラクルにとっては重要な拠点。

 ……こことは違うけれど採掘所も多数あると聞いてる』

 

「採掘所ねぇ……」

 

太陽を遮る雲もなく、強い日差しに目を細める。

風が少し吹くだけ砂が舞い、

かなり不快な感じだった。

 

「マスター、気をつけろ。

 今は良いが突然に磁気を帯びた砂嵐が

 発生することがあり

 巻き込まれたら危険だ。

 あまり長居はしない方がいいだろう」

 

「なるほどな、自然環境も気をつけろってわけか」

 

ライガンの言葉にウェズは頷き、

そして振り返った。

 

「つーわけだから、

 そんなとこで立ってないで行こうぜ、メディリス」

 

メディリス=ランドナーは、

ライフルを抱えるように立ち尽くしていた。

 

「あ、は、はい!」

 

余程緊張しているのだろう、

カクカクとした動きでついてくる。

 

「しっかりしてください。

 初めて来る場所では何が潜んでいるかわかりません。

 だからレンジャーのあなたの感覚が必要なんです」

 

レシアは少し呆れたように彼女を励ます。

 

「善処します!」

 

ここで話していても仕方ないので、

スノーフレークのメンバーは歩き出す。

 

「あっ、何か反応があります!」

 

しばらく進んでいくとメディリスが叫んだ。

彼女の視線先には崩れたよくわからない施設、

その物陰から何かがのそのそと出てきたのだ。

 

『……敵性反応4、タイプ機甲種。

 ……スパルダンAが3、スパルガンが1』

 

原生生物がいない惑星リリーパにおいて、

代わりに機甲種と呼ばれる存在が闊歩している。

恐らくは施設などを防衛する自立兵器なのだろうが、

主たちがいなくなった今も、

ただ巡回して近づくものを攻撃している。

 

「ずんぐりした連中だな!」

 

スバルダンAは厚い装甲の4足歩行の兵器。

足と胴体しかなく、イメージとしては機械の蜘蛛か。

ドシドシと歩き、

中央にある青いセンサーが侵入者を関知しているようだ。

 

すぐにウェズとライガンが飛び出す。

 

「ぬお!?」

 

突進してきたスバルダンAをライガンは槍で受け止めるが、

その突進力と質量に驚く。

踏ん張った足が地面に僅かに沈み、

そこから砂煙が舞った。

 

「問題ないぜ、ライガン!」

 

ライガンが抑えている個体の青いセンサー部分を、

ウェズはカタナで思い切り突き刺す。

コアを破壊されたスバルダンAは呆気なく機能停止に陥る。

 

「ゾンデ!」

 

そのウェズの背後から

襲いかかろうとしていた別の個体を

レシアの放った雷のテクニックが正確にコアを撃ちぬく。

機械仕掛けだけあって雷に弱いらしい。

 

ギギギギキ……

 

全損したスバルダンAを踏み台にして

もう一体がジャンプして飛びかかってくる。

金属の塊なのでその重量に押しつぶされたら危険。

しかし、鈍重な動きなので対処も簡単だ。

 

「ふん!」

 

ライガンが投げた槍が空中で無防備な機甲種を貫く。

 

「ゲッカザクロ!」

 

そのスバルダンAを叩き落として破壊した。

 

「へっ、余裕だな」

 

けれど倒したのはスバルダンAが3体。

まだ一体残っていることを忘れていた。

 

カチャッ……

 

「二人とも、危ないです!」

 

少し離れた位置から最後の機甲種が

2つの砲身を向けていた。

スパルガンはスバルダンAに射撃機能がついた上位種。

また背面のパックからスタングレネードを射出してくる。

 

だが所詮はスバルダンAに追加機能がついた程度。

油断さえしなければ大丈夫だが……

 

「そっちじゃないです!」

 

切羽詰ったレシアの声に

前衛二人が「え?」と振り返ると

 

「こ、これで……」

 

凄く手を震わせながら、

超大型のライフルを構えているメディリスがいた。

長身である彼女ですら姿が隠れるほどの大きさだ。

多分、離れたスパルガンを攻撃しようとしたのだろう。

ライフルが大きすぎて

きちんと敵が見えてないのかもしれない。

 

「お願い、当たって!」

 

そう、射線軸には……

 

「ワンポイント!」

 

猛烈なフォトンの弾丸の嵐が発射される。

けれどメナアリスのあまりの出力に、

射手が反動を抑えきらずに

後ろへと綺麗に頭から倒れた。

 

だが発射された弾丸が消えるわけではない。

 

「おおおおおおおおおおおおお!」

 

フォトンの弾丸は基本的にアークスには効かない。

言わば水鉄砲をくらうようなもの。

が、その圧倒的な密度の弾丸の嵐は

水圧で岩を削るかのような破壊力。

ワンポイントという弾丸を連射するPAを

もろに直撃したライガンはボロキレのように

吹き飛ばされたのだった。

そのついでの流れ弾でスパルガンも蜂の巣になる。

 

「ああああああ、ごめんなさい!」

 

彼女の悲痛な叫び声が、

砂漠の大地に響き渡った。


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