スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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やっとここで射撃職の仲間の登場です。
でも低レベルなのに、
☆11のライフルなんて装備していて心配。
そして胸がでかくて、
割と平坦なレシアのストレスも心配。
サブヒロインの行方はいかに!


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。



026.「精一杯がんばりまし!」

「あ、あの……メディリス=ランドナー。

 クラスはレンジャーです。

 チーム『スノーフレーク』へ入団を希望します」

 

どこか幼い顔立ちをしたヒューマンの女性。

身長は女性にしては高く、

多分ウェズより少し小さい程度だから165くらいか。

ふわっとしたボリュームある髪型で

一房を前髪に残してあとは後ろで束ねている。

確か束ねロングという髪型だったろうか、

落ちついた色の金髪も相まってどこか上品な印象を受ける。

服装はレンジャーが好むサウザンドリム。

機動性を重視したぴっちりとした黒い服に、

腰と首回りにだけ白いプロテクターをつけた程度の軽装。

要所要所にも一応ガードがついているが、

それは長距離射撃の際に周囲の環境情報を得るための、

言わばレンジャーにとっての武装の一つといえる。

腰には弾倉も3セットついており、

「いかにも」レンジャーっぽい。

 

「……」

 

レシアはその彼女の収まりきらない豊満な胸と、

自分のすっきりスタイリッシュな胸を比べて、

我知らず溜息をついていた。

 

「あ、ああ……マスターのウェズ=バレントスだ」

 

今のスノーフレークの構成は、

打撃職である前衛のブレイバー、ハンター、

法撃職である後衛のフォース。

ここに射撃職で中距離から遠距離を担当する

レンジャーが入るのは心強いのだが……

 

「……!」

 

まるで最終決戦にまで挑むかのごとく、

緊張した面持ちにちょっと震えている直立姿勢。

着ているサウザンドリムは程よく使いこなされる感じもする。

 

――判断がし辛い。

 

「マスターの判断に従うが……」

 

ライガンも同じ気持ちなのだろう。

彼の視線先にあるのは、

彼女が腰につけているライフル。

 

それはメナアリスという超大型の長銃。

花びらを連想させる配置の4枚の「爪」を持つ銃身で、

ライフルというよりはランチャーに近い質量。

いくら長身とはいえ

ヒューマンの女性が持つにはいささか大きい。

一流のレンジャーでも使いこなすのが大変な

高位のライフルだということは一目でわかる。

そう対してウェズたちと歳も変わらない彼女に

本当に使えるのだろうか。

 

長く説明してしまったが、

つまりは彼女は「見ていて心配」なのだ。

 

ウェズが答えあぐねていたので、

レシアは自分が対応することに決めた。

 

「私はレシア=エルシア。

 マネージャーです」

 

一歩前に出て手を差し出す。

メディリスと名乗った少女は慌てて手を握る。

 

「貴方の入団は歓迎します」

 

「本当ですか!?」

 

ウェズが「いいのか?」という視線を送る。

彼女の入団の理由すら聞いていないのだ。

だがレシアは任せておけと頷く。

 

「けれど、まずは体験入団とし、

 あなたをチームに迎えられるかどうか……

 テストをさせてもらいます」

 

入団試験ということか。

それならばとライガンも頷く。

 

「テスト!?」

 

「何か、不都合でも?」

 

「あ、いえ、そんなことないですけど。

 テスト、テスト……は普通ありますよね!?」

 

しかしメディリスにとってはそうではなかったらしい。

この世の終わりのような絶望の表情を浮かべた彼女に、

チームルームにいた誰しもが同じことを考えた。

 

――これは一筋縄ではいかない。

 

スノーフレークにとって

レンジャーは喉から手がてるほど欲しい。

だがレンジャーは全てのクラスの中で最も、

全体を見回した立ち回りと

また冷静な判断を求められる。

そしてなにより、どんな状況下でも

安定した精密射撃を必要とされる。

人は見かけで判断はできないが、

とても彼女はレンジャーに向いてるとは思えなかった。

 

「一緒にクエストにいって、それで決めましょう」

 

身長差があるので目の前にでんとある、

自分より夢の詰まった胸に溜息を再びつく。

 

「……そういうことなら、

 ちょうどクエストがある」

 

静観していたトゥリアが

チームルームのモニターに映す。

そこには地表一面が砂に覆われた惑星……

リリーパと呼ばれる星が表示されていた。

 

「……最近ダーカーの発生が増えてる。

 いつものように調査してほしい、って」

 

「惑星リリーパに俺たちがいってもいいのか?」

 

「……うん。前のクエストでの成果が認められた」

 

次の行先は決まったようだ。

レシアは握ったままの手に少し力を込める。

 

「メディリス、いいですね?」

 

それに対してレンジャーの少女は

 

「は、はい!

 精一杯がんばりまし!」

 

思いっきり舌を噛んだ。

なんとも言えない沈黙がチームルームに降りる。

メディリス=ランドナーはとても顔が真っ赤になっていた。

誤魔化すように敬礼をしようとしたのだが、

手を握ったままだったのでレシアを引っ張ることになり

 

ぽふ

 

レシアは彼女の胸に顔を埋めることになってしまい、

嫌がらせだろうかと深い深いため息をついていた。

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