スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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ダーカーとは何なのか、
そしてそれに対抗できる唯一の存在
「アークス」とは何者なのか……
その答えは「アナタ」が知っている。
というより本作では本筋に深く関われない以上、
真実を知って驚愕、みたいなシーンはないかなと思います。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
ちまちまと連載していこうと思います。


024.「これからもよろしく頼むぜ」

「――レスタ」

 

レシアがヴォルドラゴンの

浸食核がついていた場所からダーカー因子を浄化する。

アークスであれば体内のフォトンを活性化して

傷を癒すこともできるが、残念ながら龍族には無効だ。

 

「ダーカーと戦えば……また因子は溜まってしまいます」

 

その事実を龍の王はどう受け止めただろうか。

正気を取り戻したヴォルドラゴンは、

鼻息を一つ、ふんっと鳴らす。

 

「ワレハ……オウダ」

 

それは怒ってるような、

それでいて自嘲のような地に響く声。

彼は仲間を襲うダーカーがいれば、

やはり戦ってしまうだろう……

己の身が浸食されてしまったとしても。

それが、王たる者宿命。

 

「レイハ……イッテオク」

 

一言を残し、

 

バサッバサッバサッ……

 

大きな翼をはためかせて空へと舞っていった。

その姿が見えなくなるまで三人は見送る。

 

『……スノーフレークに与えられた

 ミッションはこれで完了』

 

トゥリアがクエストの終了を告げる。

 

『……やるじゃない』

 

そして彼女にしては珍しく、称賛の声だった。

スノーフレークが相手をするには

確かに格上の相手だったのは間違いない。

 

「レシア」

 

ウェズが手を上げる。

そしてその意図を「今度は」すぐに察した彼女は

 

「はい!」

 

パシンッ!

 

その手を叩き、ハイタッチをした。

それは初めて一緒にクエストをクリアした時の再現。

 

「へへ……」

 

「ふふ……」

 

二人は笑いあう。

 

「これからもよろしく頼むぜ」

 

「ええ、こちらこそ」

 

確実に一歩ずつ進んでいる……

その実感を二人で確かめていた。

 

「うむ……」

 

そして自分にはないのだろうかと、

そわそわしているライガン。

ウェズとレシアが完全に2人の世界に入ってしまい、

取り残された彼はなんという疎外感だろうか。

 

『……ライガン』

 

「なんだ、トゥリア?」

 

そんな彼に対して、

 

『……いぇーい』

 

「……いえーい」

 

同じく忘れ去られたオペレーターと

画面越しにハイタッチをする。

どこかほっとしてしまった。

 

『……帰還用のテレポーターを送っておいたから。

 ……キャンプシップで戻ってきて。

 ……連絡事項がある』

 

「うむ、ではマスター、マネージャー。

 先に戻っているぞ」

 

ライガンはのっしのっしと槍を肩に担いで帰って行く。

ウェズもその後に続こうとして、

 

「レシア、どうしたんだ?」

 

立ち止まってヴォルドラゴンがいた場所を見つめていた。

 

「ダーカーとは、結局何なのでしょうか?」

 

「……さあな。マトモな生き物ではことはわかるけどよ」

 

ダーカーは全ての存在に対して見境なく襲い掛かる。

そして浸食し、理性を奪う。

どこにでも出現し、そしてどれだけ倒してもまた現れる……。

 

「俺たちは、何のために戦っているのか。

 確かに、そんなことも気になるなっちゃなるよな」

 

ウェズの言葉に、レシアは頷く。

 

「そして私たちアークスも、一体何者なのか……

 私は少し、不安になります」

 

「どういうことだ?」

 

「だって、私たちが持つフォトンの力でしか

 ダーカー因子は消せない……

 けれどそれは、まるで私たちが

 ダーカーと対抗するために生まれたような……」

 

何かきっかけがあったわけではない、

けれど、ふと思いついてしまったそんな空想。

自分たちが当たり前のように使っている、

フォトンという力の性質に疑問を覚えたのだ。

 

「俺たちが考えても、わからねーだろうな」

 

新米の自分たちでは答えは出ない。

そう言ってから、ウェズは付け加えた。

 

「けど、覚えておこうか。

 心の片隅に、そのことを」

 

「……はい」

 

一抹の不安を抱え、二人は帰投した。

 

 

彼らの抱いてしまった懸念。

その答えを知ることになるのは、

もっともっと先の話……

 

――『英雄』が、真実にたどり着くその時まで。

 


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