スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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もう早く火山編終わりたいのがにじみ出る一幕です。
みんなも火山嫌いでしょう?
まともなレアないし、障壁封鎖狭いし!
というわけで次回からヴォル・ドラゴン編です



【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html
ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
ちまちまと連載していこうと思います。


022.「……いる、みたいです」

スノーフレークは再び

惑星アムドゥスキアへとやってきていた。

 

『……なんか強力な存在が

 暴れまわっているという報告があるの』

 

今回は最初からライガンも同行しており、

三人パーティーで地殻部の奥へと向かっている。

 

「強力な存在ねぇ……」

 

まるで何がいるのか

知識の少ないウェズは想像できない。

 

「キャタドランでもいるということですか?」

 

多少は調べているレシアが尋ねる。

 

『……ううん、もう少し大きい、かも?

 反応が奥にあるからはっきりとはわからない』

 

「それが暴れまわっているということなのだな。

 そして我々はその調査が今回の任務であると」

 

『……ライガンの言うとおり。

 見境なしみたいだから、ダーカーかもしれない』

 

周囲を見回す。

岩壁に流れる超高温のマグマ、

地面からは吹き出す危険な蒸気、

そして磁場が乱れているせいで

突然脈絡もなく降ってくる岩。

 

フォトンで体を守っていなければ、

10分もここでは体が耐えられないだろう。

改めて自分たちが危険な場所にいるのだと認識する。

 

危険なのは環境だけではない。

 

「ライガン!」

 

「任せろ!」

 

岩陰から突然に飛翔した青い粒子。

それは龍族の狙撃種「ソル・ディーニアン」が放つ

ランチャーのような武器の攻撃だ。

地形を熟知している彼らは

あらゆるところから攻撃を仕掛けてくる。

 

ライガンが槍を前で振り回し、

盾の様にして粒子を吹き飛ばす。

攻撃が失敗したことでソルディーニアンは逃げようとするが

 

「逃がすかよ!」

 

すぐさま駆け寄ったウェズのカタナの一閃で

悲鳴を上げる間もなく沈む。

けれどそれで敵の攻撃は終わりではなく、

飛び込んだ先の周囲には

剣と盾を持った龍族、シル・ディーニアン。

仲間を囮にしたのだ、

飛び込んできたウェズの周囲から4匹、

一斉に飛びかかってくる。

さすがに攻撃をしたばかりのウェズは

回避行動も取れない……!

 

「ラ・バータ!」

 

けれどその罠は既に予測済みだ。

ウェズの背中に隠れるように投げていた

レシアのタリスが吹雪生み出し周囲へ広がる。

 

「ウガァァァァァ!」

 

高温に適応した火山洞窟の龍族たちは、

突然の冷風に仰け反る。

そして吹雪は容赦なく龍族を襲い脚を凍らせていく。

 

「スライドシェイカー!」

 

そこへ遅れて駆けつけてきたライガンが槍を振り回す。

ぶんぶんと力強く敵を攻撃する穂先が、

龍族たちを全て切り裂いて倒した。

 

「……」

 

ウェズは周囲を見回し、

敵がいないことを確認してからカタナを収めた。

 

「ったく、どいつもこいつもダーカーに浸食されてやがる」

 

体の一部に埋め込まれた

ダーカーの浸食核を踏み潰し忌々しげにつぶやく。

 

「……集団で戦う、そういう知識だけは残っているのが

 なんだか悲しいですね……」

 

レシアが投げたタリスを拾う。

 

「新しいカタナ、キャスティロンはどうですか?」

 

「ああ、シガルガより少し刀身が長いから、

 そのあたりはもっと慣れないとな。

 切れ味に関してはかなり良い感じだぜ」

 

ウェズは「で?」と彼女の持つタリスを視線で尋ねる。

レシアは小さく息を吐いてから、

背を向けて先へと進みだす。

 

「ブルクレインは、ローザクレインの上位モデル。

 使い勝手は同じですから、特には」

 

妹の武器を素直に褒めたくないのだろう。

その様子をウェズはライガンと笑う。

 

「あなたたちみたいな能天気と違って

 私は繊細なんです!」

 

「わかったわかった」

 

「そういうことにしておこう」

 

その男二人の態度が気に入らなかったのか、

ふんっと機嫌悪そうに歩いて行く。

しかし数歩行かないうちに、

 

「……いる、みたいです」

 

トゥリアに連絡を入れると、

 

『……大きい反応……近づいてくる」

 

オペレーターも周囲のフォトンの流れを見てくれているようだ。

 

「伏せて!」

 

レシアの叫び声に、反射的に全員は岩陰へと身を投げた。

 

ブォォォォォォ!

 

まるでそれは炎の放流。

濁流かと思ってしまうほどの、

圧倒的な熱量が横を通り過ぎて行った。

咄嗟にレシアが氷を周囲に張らなければ、

フォトンで身をまとっているとはいえ、

危険だったかもしれない。

 

「こいつは……大物か」

 

恐る恐る岩から顔を出すと、

「それ」が歩いてくるのがわかった。

 

「……なんて大きさなんですか」

 

ドシン……ドシン。

 

どれほどの質量なのか、

歩く地鳴りとあわせて、大地が揺れる。

のっそりのっそり歩いてくるのは

 

「ヴォル・ドラゴン……!」

 

火山を統べる龍の王だった。


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