【挿絵表示】
表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
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015.「良い話とは思えませんね……」
「惑星アムドゥスキア？」
『……うん。
龍族たちが暮らす惑星』
クエストカウンターに来ていたウェズとレシアに
トゥリアは新しいクエストを用意していた。
『……その地殻部、通称「火山洞窟」。
今回はそこの調査をスノーフレークにお願いされたから』
レシアは端末でアムドゥスキアの情報を閲覧する。
「なるほど、森林エリアよりは危険度は高いですが、
それでもそこまで凶暴な存在はしないエリアなのですね」
『……少し、ほんの少しだけ功績が認められたから、
活動を範囲を広げもらうことになったみたい。
アークス本部はまずは
惑星のことを実際に見てもらうつもり』
ウェズはレシアの端末を横から覗き込みながら
「暑そうだな」と顔をしかめる。
レシアは「顔が近いです」とぞんざいに押し返しながら
「調査といっても具体的に何をすればいいのですか？」
必要なモノがあるだろうかと詳細を確認する。
「うーん」とトゥリアは何かを確認しながら教えてくれる。
「……最近、ダーカー因子で
凶暴化する龍族が増加しているとか。
その実態の広範囲調査の……一部を担って。
モニタリングしながらこちらでデータは採取するから、
二人はある程度の時間……こちらが指定した場所で
……適当に龍族たちの様子を見てくれればいい」
「なるほどな。
ならライガンを待たずに行っても大丈夫か」
スノーフレークに入団したライガンだが、
先日の戦いでパーツの損傷が激しく、
今はメンテナンスをしている。
そこまで時間はかからないとは聞いているが、
ただの調査任務であるなら無理に連れて行く必要もないだろう。
『……ライガンには私から連絡をする』
それを聞いてウェズレシアは出発しようとするが、
『……待って、二人にコフィー先輩から伝達事項が』
二人が苦手する補佐官の名前が出てきて足を止めた。
「コフィーさんからか……」
「良い話とは思えませんね……」
渋い顔をする二人に、トゥリアはその通りだと頷いた。
『……今回の任務もそうだけれど、
これから先にスリーフレークが担当していくエリアには、
……他のアークスもいるから、配慮してください、と』
「ん、どういうことだ？」
『……アークスにも、色々いるから。
誰もが友好的とは限らないし……
現に最近も凍土でゲッテムハルトというアークスが、
若いアークスに絡んで
トラブルを起こした……と報告を私も聞いてる』
その名前だけは二人も聞いたことがあった。
昔は優秀なアークスだったが、
事件に巻き込まれてからはダーカーに対して
異常なほどに憎悪を抱き、
そのなりふり構わぬ姿勢が
他のアークスとトラブルになっているらしい。
「では、ゲッテムハルトみたいなのに
絡まれるかもしれない、ということですか？」
『……ない、と思いたいけど、
可能性だけは考慮しなさいって、コフィーさんから。
スノーフレークはまだ新米だから、
古参チームからちょっかいとかもあるかもしれない』
「ったく、アークス同士で諍い起こすなんて馬鹿らしいぜ」
『……色んな人がいるし。
幸いゲッテムハルトは、
どうにも気に入った相手が出来たらしいから
……他のアークスには興味も今はないみたい』
それは災難だな、と思う。
狂人に目を付けられたアークスはどんな心境なのだろうか。
「レシア、念のためテレパイプを持っててくれ。
なんか嫌な予感もするんだよな」
「わかりました。それでは行きましょう」
二人はキャンプシップに乗り込んでいく。
嫌な予感は往々にしてよく当たるものである。
そのことを二人は
身を持って実感することになるのであった。1