創作活動の環境変化に慣れない電子機器への対応と習熟、そしてデータが消し飛びましたが何とかバックアップから復活させたらTwitterも消し飛んでて復活出来ずと色々なトラブルがありましたが私は元気です。(北のMig–21と似た様な顔をしながら)
暫くは合同誌への執筆に集中するのでまた長くお待たせするかも知れません。
「何処に消えていたんですか?」
恋する乙女の追撃を見事に振り切り、食堂での時間も震電の行為により部屋で済ませて逃げきったバトラ。だったのだが、朝食の終わり側にファントムに捕まり、そのまま片宮姉妹とベルクトに囲まれて冷たい床の上に正座をさせられていた。
「きっちりお話しして頂きますからね?」
珍しく底冷えする様なベルクトの言葉にバトラの身体が一瞬だけビクリと上へ跳ねさせるが、ニヒルな笑みを浮かべながらバトラが答える。
「うん? 誰が教えるとでも?」
「「はぁ……」」
バトラの言葉に片宮姉妹が同時に溜息を吐く。
周囲にはそれに野次馬する人の姿は無い。と言うのもそんな事をしていられる暇がある人間がそもそも少ないと言うのが大きな理由だろう。
基地の周囲は様々な言語が飛び交い、ハンガーでは怒号や金属が擦れる音、叩かれる音や焼ける音が響き渡る。
車輌も忙しなく動いており、燃料を運ぶタンクローリーから機体を動かす牽引車輌が彼方此方へ走り回っており、時折だがクラクションの音も聞こえるアルタイの基地。
最終決戦への準備が滞り無く進んでいる基地だが、男女の痴情のもつれは問題無く起こっていた。
普段で有れば此処で騒ぎ立てる者や楽しむ者が出るのだろうが、残念な事に今はそんな事をしている暇な者など居ないし、居たら別に現場に駆り出される。つまりは女性4人にとっては誰にも邪魔されずに裁判が出来る環境が皮肉ながら出来上がっていた。
「あれ? 何をしているんですか?」
そんな環境に純度100パーセントの心配性から参加して来る人の声に全員の視線が向くとその遠慮の無い様々な感情が混ざった視線に晒されるのが初めてなのかその人影はビクリと震えて僅かに飛び上がってしまう。
「F−3B ANM 震電Ⅱですか。見世物ではな、あ!」
視線の先に居た痛んだ髪がほんの少し磨かれて本来の輝きが僅かに戻ったパールホワイトの髪を持った人物、震電の姿を認めたファントムがその正体を看破して直ぐにとある事を思い出す。
「とある女性兵士がパールホワイトの髪の少女と白髪の少年が昨日未明に一緒の部屋に入って、今日の朝遅い時間に同じ部屋から出て来たと言う噂話を聞きましたが、ご存知ないですか?」
「ふえぇ!?」
鋭い眼光のファントムの言葉を聞いて、周りのメンバーも眼光を輝かせた瞬間に震電が僅かに飛び上がる。
生み出されてこの方、殆どを護衛艦の上で過ごして来た震電には未知の体験であり、どうすれば分からずアタフタしている間にファントムは疑いが確信に変わって行き、ベルクトも噂の正体を察し、詩鞍と詩苑も震電の様子からその心理を探り当てかけた瞬間。
「ええっと、は、はい……」
「?!!!!!」
自供してしまった震電にバトラがやましい事は無くても誤解からまず酷い事になると察して声にならない悲鳴を上げると同時に逃走しようとするが、ファントムが予め張っていたネクタイを使った足掛けトラップに掛かり、転倒、そこを片宮姉妹が2人掛かりで取り押さえ、ベルクトは笑みを浮かべながら震電を席に着かせる。
「さぁ、何をしていたのか正直に話してください」
「あの……ベルクトさん……顔が凄く、怖いです……」
ベルクトの笑みに震電が震えながら告げるもベルクトは悪意も敵意もないですよ〜と告げながら男性が見れば顔を赤くする程の微笑みを浮かべるその後でバトラは逃げられない様に何処からか取り出された縄で椅子に腕と背中、足を縛り付けられて逃げられない様にされていた。
「ええっと……バトラさんの昔話を聞かせて貰っていただけで……何もやましい事はありません……よ?」
嘘を言っていないが気圧された様子で告げる震電にファントムとベルクト、片宮姉妹の4人が確信して頷き終えるとグルり。と言う様な勢いでその顔がバトラの方に向けられる。
旗は立てて居ないが部屋で1人っきり。そう言う状況を自ら作った事が4人の堪忍袋の緒を刺激していた。
何か問題になる。と言う事を狭い空間で長期間を過ごす。と言う特異な環境の中で自然と培われていた震電が判断すると弁明の言葉を吐き出す。
「あの……私からお願いしたんです。昔話や身の上話が好きなので……」
「「其処が問題なんですよ」」
震電の言葉に片宮姉妹が同時に返す。
「お兄様は身の上話を余りしませんからね」
「ある程度は規則で縛られているので仕方ないですが、私達と会う前のヴァラヒア事変の事も最初のウイングマンと」
「長機のパイロットの話以外は余り語られて無いので」
つまりは初めて会った女性に請われて、とは言えども余りしない身の上話をしたのが恋する乙女として許せないと言う話だ。
余談だが、既に調べていそうなファントムだが、バトラの生まれとMS社の前に入るまでの来歴の記録はお粗末の一言で途切れ途切れである事とそもそもとして存在しないと言う事。自称であれば幾らでも偽証可能と言う事でMS社でもデータ化されておらず、防諜の為に敢えて手付かずと言う風にもしている。
幾ら策謀に長けたファントムでも存在そのものが無い物を探る事は出来ない。
「その話。是非ともお聞かせ願いたいですね……」
「いや、お前らに教えたのと大して変わら……」
と弁明しようとしたバトラだが、その言葉は途中から吐き出されず、逆流してしまう。何故なら」
「それはこちらで判断します。なのでもう一度」
「詳しく同じ内容をお願いします」
「今、私達は冷静さを欠こうとしています」
「「怖っ!!」」
能面の様に感情を感じさせない顔で迫る4人の美女にやられているバトラととばっちりを喰らった震電も恐怖に身体を震わせたタイミングに新しい影が食堂に入室して来る。
「何してるんだ?」
困惑気味に聞いてきたのは格納庫でドーターの更新中の筈の慧だった。内部のコクピットの形式が変わり、古いシステムに慣れていた慧は一気に新しくなってしまったコクピットの操作方法のレベルから躓いており、此処にはこない様な人物だった故にこっちの台詞だよ。とバトラは言いたかったが、恋する乙女4人からの制裁を受けようとしていた現状がそれを言わせなかった。
「ご用件はなんですか? 見ての通り忙しいんです」
ファントムの言葉に去ろうとした慧だが、言え、言ってくれとこれからの生命が掛かったバトラの必死の目線を前に口が動いた。
「いや、最後なんだ。盛大に遊ばないか?」
「よし、行こう!」
バトラが慧の背中を押して食堂から出て行く。それを見た2人のアニマと2人の少女はバトラの運の良さに呆れる様に溜息を吐き、1人のアニマは誰よりも早くスキップで2人の少年を追い掛ける。
慧の後を追った4人の前に慧に背中からしがみつくイーグルにバイパーゼロが姫袖をクルクルと回して呼び、肩で風を切る様に振り返るジュラーヴリク、方々を眼光で威嚇するラーストチェカ、パクファが調子外れで奏でる鼻歌が飾る一団にバトラは助かったと安堵の表情で、ファントムは静かに合流し、詩苑と詩鞍はバトラの両手に自分の手を絡ませ様として、困った様な顔を浮かべたベルクトが2人の間に挟まり指を絡め、震電のスキップ音が更に一団を飾る。
色鮮やかで陽気な一団の
広い空から落ちて来るのは冷たい空気、誰もが白い息を吐きながら砂と所々に雪が積もったアルタイ市街のアスファルトの上を当てどもなく散策する色取り取りの頭髪に美男美女の一団は地域住民の目を引いた。が、当の本人らはそんな事を気にせず入ったレストランで見慣れないメニューに相談しながら予想しながら決めたメニューがまさかな料理で互いに押し付けあったり、映画館ではバトラのへっぴり腰が発動して席の隣をグリペンと震電にしてしまった為にグリペンと震電が静かに窒息死しかけたり、売店で売っていた怪しげな食べ物を罰ゲームの様に押し付けあったらり、雑貨屋に行けば女子達が男子2人を総出で困らせたり、反撃に片方が顔を赤くさせ、気付いたら片方は2人だけの世界に入って言葉は通じない筈なのに現地住人から砂糖を吐かせたり、店主からは修学旅行かと聞かれて知識でしか知らなかった学生生活を疑似体験して盛り上がるアニマ達。
よく笑った、よく喋った、よく楽しんだ。人種、国、思想、組織、そんなのは二の次に今という時間を必死に積み重ねる。色鮮やかで楽しい時間とは早く過ぎ去る物で気が付けば空から夜の冷気が増し、紅に染まっていた。陽気だった一団も次第に口は閉じ始めて基地への帰り道についていた。斜陽が赤く一団を照らして影を濃く、長く引き伸ばす。もはや語るべき言葉は無く、晴らすべき未練もなかった。
そして空は星々の瞬きが美しい夜のブラックブルーに染まり、それが白い太陽の光に散らされ、スカイブルーの空へと戻って行く。明けない夜は無い。それは明日が必ず始まると言う事でもある。
それが人類の存亡と誰かにとっては世界の行く末を決める決断と行動を強いられる日だろうと、例え、それが誰かにとっての最後の1日の始まりだったとしても……
短めですまない。これでも(シグルリの園香ちゃんに浮気しながら)何とか書き上げてこれなんだ。すまない。
次は間違いなく来年だ。それまだ待たせて本当にすまない。では、皆さま、良いお年を。