ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

90 / 92
 大変長らくお待たせしました。

 書き直しに書き直しを続けてたらこうなってました……


作戦72 北の空

<<ANTARES01、スパイク・ワン・オ・クロック!>>

 

無線封止の上に逆探以外をオフにして最も外を飛んでいたバトラとファントムの逆探に敵のレーダー波を捉えると同時にファントムは無線封止を解除すると同時に意識を戦闘様に切り替えた上で機器の操作を行う。

 

<<ターゲットデジグネーターをネットワーク化します。各機に優先攻撃目標を転送。火器管制モードはセミオートにして下さい>>

 

ファントムの指示に無線封止直後まで言い争っていたジュラーヴリクは茶々も反発もする事なくその指示に従い、バトラの見るディスプレイに敵のマーカーとその諸元が映し出される。

 

<<下はバイパーゼロとパクファが行う>>

 

今回の陸上攻撃は敵の殲滅では無く、精密爆撃を利用した戦略目標の迅速な破壊であり、対空砲は耐えるでは無くそもそも狙われない様にする為にEGG迷彩を使える2機に行わせるべく、バーフォードが指示を飛ばす。

 

<<ANTARES03は2機の援護を>>

 

<<ANTARES04も2機の護衛に>>

 

精密爆撃を行う間は低速になる2機を制空型のザイの波状攻撃から守る為に武装搭載力が高く、その気になれば盾になれる様に装甲面にも改修を加えた2機のA−10を付かせるべく、2機のパイロットに付いている2人のオペレーターの声が絶好のタイミングで連続する。

 

ファントムの指示に指定された4機が地上攻撃を開始するべく高度を下げながら編隊を作り直すと同時に指定されていない機体は滞空型プラットフォームとその護衛の制空型ザイを相手にする為にエレボンかエレベーターを操作して機首を上に向けて上昇する。

 

<<プラットフォームはATARES02が行います>>

 

<<バトラはベルクトの直掩に付いて下さい>>

 

<<ANTARES2、ROGER>>

 

<<01、COPY>>

 

白い輝きを放つSu−47が上昇しながら旋回を行うと緑の輝きを放つF−4が援護位置へと変わりながら追随する。

 

<<残りの機体は制空型を足止めしろ>>

 

バーフォードの素地に黄色の輝きを放つF−15を先頭にして、そのすぐ後ろに紅色に輝くJAS39、その左右を挟む様に橙色に輝くSu−27と水色の輝きを放つMig−29が続く。

 

<<敵機目視(タリホー)!>>

 

イーグルの興奮を隠さない叫びが開戦と合図となり、紅色、橙色、水色の輝きが散開するべくその翼を翻す。

 

<<エンゲージ!>>

 

そして滞空型プラットフォームの破壊を言い渡された2機もバトラの叫び声と共に開戦の火蓋が落とされ、同時に白い線が空に引かれる。

 

<<<<マスターアームオン!>>>>

 

そして地表近くでも2つの戦場と同じタイミングで片宮姉妹が開戦の合図と共に低速で飛ぶ味方機に食いつこうとしたザイに向けてイボイノシシが吠える。

 

「中佐、始まりました」

 

グレアムがカノープスの機内でレーダーを睨みながら、中央に指揮官用として増設されたビジネスクラスの座席をマルチディスプレイで囲んだ用な椅子に座るバーフォードへと告げる。

 

「わかっている。戦況は上々の様だな」

 

低空エリアを示したマップ上に事前偵察で把握された地上の戦略目標が1つ、また1つとその反応を消していき、空中目標もマップ上からもわかる片宮姉妹のコンビネーションに阻まれたザイが次々と消失していき、2人の女性オペレーターはそんな2人を言葉で援護するべく矢継ぎ早にオペレートしていく。

 

グレアムの担当がバトラという事もあってかグレアムはこんな時でも別の場所に声掛け出来るくらいには幾分かの余裕があった。

 

「?! バーフォード中佐! BARBIE01が!」

 

だからこそだろうか。誰よりも速く、本人の次にJAS39の異変に気付く事が出来た。

 

「これは?!」

 

バーフォードが自分のディスプレイに移る明らかにおかしい数値と動きにグレアムの指摘を受けて気付くよりも前、マイケルが異変に気付く直前にして、パイロットである彗が直面するよりも一息ほど早い時間。

 

<<FOX2>>

 

機体からミサイルをリリースすると同時に旋回降下を行うバトラの背後でミサイルは通常ではあり得ない軌道を描いて飛翔、ザイの撒いたフレアには眼もくれずに本体へと突き刺さり、ザイを爆発させる。

 

<<GUN>>

 

 その爆風を背中に浴びながらもバトラは驚くほどに冷ややかな声で機銃の発射を告げるコードを唱えると同時に操縦桿のトリガーを引いた事で機銃からは20mmの弾丸が吐き出され、目の前のザイは片翼を千切られた事で乱回転しながら地上へと落ちて行く。

 

 それを一瞬だけ横目で確認したバトラだが、身体を染み付いた動きが自然と行われた事で少し離れた場所でBARBIE01が3機のザイに背後を付けられているのをレーダー上で確認すると同時に機体を翻し、救援に向かおうとする。

 

<<バトラ! BARBIE01の様子がおかしい! 目視で確認してくれ!>>

 

 バーフォードからの指示にバトラは了解と叫ぶ様に告げると同時にキャノピーのセンサーカメラを最大望遠に設定してJAS39とザイを捕らえるとフラフラとまるで故障機の様に安定しない、安定させる事すら難しい飛行をする紅の機体を確認する。

 

「近い奴はガンで! 残りをミサイルで片すぞ!」

 

「はい!」

 

 ファントムが強く頷くと同時に翼下からミサイルが放たれ、それはファントムの誘導であり得ない様な機動で飛び、ザイの回避行動を無視し、当然の権利の如くザイを撃墜して見せると同時にバトラもブレイクしたザイの位置を予見していたと言わんばかりに20mmの銃口を向けていた。

 

「撃墜!」

 

 主翼を根本から引き千切られたザイが横向きに回転しながら地面に落ちるのをファントムが確認して放った言葉を聞きながらバトラは機体をグリペンの機体に寄せてファントムが遠隔で操作出来る様に並走する。

 

<<異常か!>>

 

<<グリペンのEGGが乱れています。離脱を!>>

 

 ファントムの叫びに似た声で出されら提案にグリペンは熱に浮かされながら戯事の様に作戦を成功させなくてはいけないと繰り返し、正常な人間の状態で無い事をバトラがミラー越しにファントムを覗けば、ファントムもミラーに映るバトラの眼を見て頷くとJAS39の機体を翻す。

 

<<作戦を成功させないと……>>

 

<<うるさいですよ>>

 

 熱に魘された声で告げるグリペンの声が聞こえるとファントムは一言でグリペンを黙らせると機体を基地に帰そうとするがその隙を突くつもりなのだろう。ミサイルを撃ち切ったザイが反転し、体当たり上等の急降下と急上昇で襲い掛かる。

 

「ファントム!」

 

 ループ機動で回避機動を取ったバトラだが、ファントムが操作に介入するJAS39は回避が仕切れずに被弾してしまい、更にザイの1機が体当たりをしようとフルスロットルで接近する光景がJAS39のキャノピー裏の液晶から眺める慧の鼓膜は自身の速くなる鼓動しか聞こえず、誰かの叫び声を脳が理解していてもそれが誰の言葉で何を叫んでいるか理解出来ず、尚を接近するザイに恐怖を感じながら眼を閉じられずに見続けながら全身の毛は逆立つと同時に手足の感覚が無くなる。

 

「(やられる……)」

 

 確信した瞬間にザイの身体が赤い光条に貫かれる。

 

 僚機が赤い光条に貫かれた光景を見たからか、ザイ達が一斉に慌てた様な機動で回避行動や退避行動を取るがその悉くが狙撃用に断続的に飛来する光条に貫かれ、中には弾薬に引火したのか爆発するザイも現れる。

 

「アレは!」

 

 バトラが光条が飛んで来た方向を睨み付けると複数の同じ姿形をした戦闘機が挨拶をする様にバレルロールやエルロンロール、バンクなどをしながら通り過ぎると飛び回るザイ達に向けて喰らい付いて行く。

 

<<ごめんなさい。準備に時間かけちゃったわ>>

 

 通信相手の顔が液晶に映るとそこには妙齢なフランス人女性の顔が映ると同時に並走する機体がファントムの視界に現れる。

 

 固定式のウィングレット付きカナードにステルス性を意識した主翼に無尾翼という機体形状をした双発の戦闘機。

 

<<アマーリアさん!!>>

 

 フランスもUAVエースのアマーリアだった。

 バトラとも認識のある人物だったが、対ザイ戦闘ではザイのEPCM範囲内でのUAVは自律飛行しか出来無い筈なのだが、彼女の機体に関わらず、周りのUAVも満足の動いている。

 

<<間に合いました>>

 

 そして新たに通信が入って来た事で現れた相手に記憶を巡らせるが聞いた事のある声でも無く、ディスプレイに薄い桃色が混じった白い髪に黒みのあるワインレッドの瞳を持った顔も見た事が無い事にバトラもファントムも首を傾げると視界の先に通信相手の戦闘機が現れる。

 

 ステルス性を意識した形状に前進翼を持った斜めに伸びる2枚の垂直尾翼に双発のエンジンを縦に持った小型の機体。

 

「あ、アレは?!」「うっそだろ!」

 

 その姿を見たファントムとバトラが素っ頓狂な声を上げる。

 

 目の前の機体はF-3 震電Ⅱをパールホワイトに淡い桃色のハニカム模様で彩った機体にキャノピーは装甲キャノピーに変えられた機体を戦闘に海洋迷彩に彩られた同じ機体が編隊を組んでおり、その上下をUAVが編隊を組んで抑えている。

 

<<FX-3B ANM 震電Ⅱのアニマ、震電です! 皆さんを援護します!>>

 

 通信と同時にUAVからミサイルが放たれて、ザイヘ殺到する光景を見る慧に震電は通信を入れる。

 

<<初めまして。自己紹介は追々にして、貴方の機体ですが撃墜したザイの破片で損傷をしています。私達が護衛するので帰還して下さい>>

 

 そう言うが震電はグリペンが制御するアビオニクスにハッキング、操縦権を奪うと反対は許さないと言わんばかりに水平飛行の巡航速度航行で戦場から離脱させる。

 UAV達も撤退する震電に従う様にミサイルを早々に撃ち尽くした機体から護衛の為に後退する。

 

<<アマーリアさん?>>

 

<<地上でね>>

 

 そう優しい声で告げたアマーリアもミサイルを撃ち尽くしたのか後退を開始しており、通信にも若干では有るがノイズが混じっていた。

 

「多分、さっきのドーターの支援でUAVで空戦が出来る様になってるんだ」

 

「彼女が撤退した以上は彼等も撤退しなければならない。ですが……」

 

 ファントムの言葉と共に戦術マップがキャノピーのディスプレイに表示された事でバトラはファントムが何故そうしたのかの意図を受け取り視線を走らせる。

 

「彼等のお陰で作戦が進み、戦況も好転してます」

 

「無駄では無いと? 戦力比は?」

 

「現空域で増援なしで計算すれば10:1です。貴方と私でなら充分な差です」

 

 ファントムが言い切った瞬間に何時ものメンバーから私達も居ますと通信機が叫ぶとバトラはマスクの下に隠された口が笑顔で歪む。

 

「残弾は?」

 

「充分にあります」

 

 短くも確かな強さを秘めた言葉にバトラは頷くと機体を大きく傾けてザイへと果敢に襲い掛かる。

 ミサイルも幾つか使っている事と機銃の弾も消費して居るが、そんな事は関係無いと言わんばかりに勇猛と言うべき機動でザイの背後を取る。

 

 背後を取られたザイは必死に引き剥がそうとするがバトラはその機動にしっかりとついて来ており、さらに必中の距離になるまで機銃を撃たず、ミサイルのロックオンだけはしようと機体をエアシューの様に回し続ける。

 

 ザイは引き剥がせないと判断すると急なコブラ機動で逃げようとする。

 

 高速でのコブラ機動はGが強くなり易く、人間では危険な速度が存在するがそれが無いザイは普通の人間ならば絶対について来れない動きを行うが、バトラはオーバーシュートすると判断した瞬間にした方向にループし、最底面の場所でコブラ機動を行い、機首の向きを調節する。

 

 コブラ機動から水平飛行に移ったザイだが、本来は居なければならない戦闘機が存在しないと認識した瞬間にフルスロットルで上昇して来たバトラの機銃を喰らって爆散する。

 

 人間に対応出来ない機動をしたザイも判断は間違っていなかったが、カウンターマニューバを得意とするバトラを相手出来る様な存在では無かった。

 

「背後に敵機!」

 

 ファントムの警告を聞いたバトラは即座にバレルロールを行ってザイの機銃弾を間一髪で回避すると機体に減速を掛けてバレルロールの底面でストールを起こして僅かに機体を落下させながらエルロンロールを行い機体の向きを整えると同時にファントムがミサイルの発射と誘導を行い撃墜する。

 

「次は前からか!」

 

 3機のザイが前方から襲い掛かる光景をバトラは認識した瞬間に操縦桿を握り直した瞬間に真ん中のザイが光条に焼かれ、左右の機体は大口径砲の弾丸を喰らったのか何かに押された様に一瞬だけ腹這いに下降した瞬間に爆砕する。

 

<<任務は達成しました。帰還しましょう>>

 

<<ご無事の様で>><<安心致しました>>

 

 MS社の僚機で集まって編隊を組んで帰投ルートに乗った3機の横に同じ様に色鮮やかなロシア製の戦闘機が3機集まって編隊を組んで帰投するが、作戦が成功した後の達成感に包まれた中で驚愕の情報が渡される。

 

 

 

 

 

 

 

 JAS39 ANM グリペンが着陸時に事故を起こしたという情報だった。




 心神だったのが、いつの間にやら震電になっていた。

 お詫びも兼ねて震電の挿絵です。


【挿絵表示】

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。