ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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長らくお待たせしました。

途中で2案に別れた今回ですが、アイデアが進んだ方を投稿します。

最終巻が売ってない!!(ガチギレ寸前


作戦66 end of start

「よく集まってくれた。って、バトラはどうした?」

 

小松基地の一室にPMCであるMS社の小松基地派遣メンバー、詳しく言うならばM42飛行中隊とその専属整備隊のメンバーが集められた中で先頭の中央、パイロットが座る位置にMS社の誇るエース・オブ・エース、バトラの姿が有ったが、その顔は何かに殴られたかの様に、と言うよりも確実に複数人による殴打を受けた事を語る様に膨れ上がっていた。

 

「本当にどうした!!」

 

ホワイトボードの前に立っていた青い迷彩服を着たバーフォードがバトラの惨状に声を荒げるとバトラは腫れて僅かしか見えていないが、口と喉が問題無くは動かせるのか、声を発する。

 

「じょひょうゔぁんゔぇゔぃったひょとゔぁがふぁにふぉらふぇてゔぉとゔぉとん」

 

訂正する。問題しか無かった。

因みにバトラは『冗談で言った言葉を真に取られてボロボロに』と言いたかった。

 

「ちょっと、何言ってるかわからない」

 

バーフォードには通じなかったが、今までの事からどうせM42飛行中隊の女絡みだと断定して話を続ける。

 

「つい先程だが、日本政府より依頼が来た。依頼内容は作戦名Cへの参加だ」

 

日本政府からの依頼は今まで通りの話だが、改めて依頼を出したと言う状況に会場がザワザワと騒ぎ始めるがバーフォードの咳払いで会場に静寂が満ちる。

 

「作戦名Cの内容を詳しく説明する。裏も表の意味を捨て、パワーゲームもイデオロギー無しでザイ本拠地を叩く作戦だ。参加兵力は正規軍のみで六十万、そこに各社民間軍事会社から派遣される戦力も加わる。作戦機は七千機弱、戦闘機だけで三千弱と言った所だろう」

 

全人類の可能な限りを集めたと言っても過言では無い戦力に再び騒つくが、今回は敵の本拠地を叩く訳なのだから当然だろう。

 

プレジェクターが作動し、ホワイトボードに中国大陸が写され、アップで拡大される。

 

「我々、M42飛行中隊はBARBIE隊の護衛として参加する様に本社から指令が届いている。他PMCと正規軍と協力してモンゴル南西部、カシミール、キルギス、カザフスタン南西部より侵攻する」

 

此処までの説明を聞いたベルクトが手を上げる。

 

「あの……ただ多方向から攻めるだけとなると被害が……」

 

ベルクトの言葉にバーフォードは頷いて見せ、ホワイトボードに映された画像はベルクトが誘蛾灯の機能が停止する前に起こったザイの大規模侵攻の際の画像とデータだった。

 

「先の誘蛾灯事件の際、膨大な数がいるとされる小型ザイのデータと超大型ザイの存在も確認された。今回の作戦が膨大なザイと共に超大型ザイも出現した場合は潰走、最悪は全滅だろう。故に支援攻撃が正規軍、一部PMCにより実施される手筈だ」

 

その言葉を聞いた詩鞍が手を上げる。

 

「軍艦などのミサイルですか?」

 

その言葉にバーフォードは短く否定の言葉を告げるとプロジェクターが写す画像が変わる。

 

「ICBM、SLBM、更には超大型大陸縦断巡航ミサイルによる支援攻撃だ」

 

映し出されたのはロケットに似たミサイルに潜水艦に積まれようとするロケットの様な物体、そして砂漠の中で発射される大型の巡航ミサイルだった。

 

「これって!!」

 

その巡航ミサイルにこの場におる全員が見覚えがあり、詩苑が声を漏らした。

 

「気が付いたな。これはヴァラヒアのスピリダスⅡ撃墜の為に使われたヴァラヒアからの鹵獲兵器だ。我が社は再びこれを使用する。無論ながら射程外故に発射装置を大型タンカーに移設、弾数も3発のみと心もとないが高速性を利用して燃料気化弾頭による直接的支援を行い、ICBMとSLBMには通常弾頭が搭載される」

 

「囮、ですね」

 

京子が固唾を呑んで告げた。

その言葉にバーフォードは頷いて見せる。

 

「その通りだ。敵には無慈悲な核による過剰攻撃と思わせ、迎撃に戦力を割かせる」

 

これだけで此処にいるメンバーはこの作戦行動全ての目的と意味を察する。

バーフォードはソレを会場全体を見渡す事で察し、言葉を続ける。

 

「今回の敵はただ叩けば良い敵では無い。ザイの全機能を自爆させるプログラムが開発され、それをインストールさせる為に一部を除いたアニマを敵の中枢に近付けるだけで良い。無論ながらM42飛行中隊、ANTARES隊は最後まで戦場に居座る事になり、命を賭してでもBARBIE隊の護衛を務める事になるだろう」

 

バーフォードは再び会場を見渡す。

 

「勝とうが負けようが、これが対ザイ戦最後の戦いになるのは間違い無いのは今更だろう。各員の持てる力を存分に発揮しこの作戦を成功に導いてくれ。そしてパイロット諸君、先程は命を賭してでもと言ったが、無事の凱旋も命令に加える。必ず、成功させ、生きて帰って来るんだ……全パイロットの帰還がパイロットである諸君らの……最重要命令だ!!」

 

バーフォードの言葉が終わると同時にバトラが立ち上がり、一拍遅れで他の3人も立ち上がると無言の敬礼でそれに答える。それを見た他のメンバーも立ち上がり、無言でバーフォードに敬礼を送るとバーフォードもゆっくりと敬礼を返す。

 

それを見たMS社の人間はまさしく場慣れした人間の様に各々が何をすれば良いか分かっているのか初動に迷いは無い。

 

M42飛行中隊とその地上クルーはバトラと言うエースを100%稼働の状態で維持する為に選りすぐりのクルーと今後の維持の為の優秀な新人により構成されており、その仕事や動作は精鋭とその精鋭の部隊に入れられる為に必死に動くある種のプロフェッショナル集団だ。そんな地上グループに対して地上に居る間の戦闘機クルーの動きは3人だけが何処か拙い。

 

M42飛行中隊は地上クルーへの被害こそ皆無だが、戦闘機クルーはバトラを残して何代も変わっている。それも異動では無く殉職と言う形でだ。それ故にだろうか1番機の隊長の階級は隊長を名乗るには低い立場のままその実力から特例部隊として維持されていると言えばその特異性がわかるだろう。

 

「あの……私達は……」

 

詩鞍がオズオズと話し掛ける。その言葉にバトラが同じ戦闘機クルーである3人を見渡す。

この3人はこう言った最終決戦前の経験は少ない。バトラ自身もそうだが、重要な作戦で彼女達の立場でやるべき事も隊長となった自分の仕事と共に知っている。

 

「休んで体力と精神力を温存しろ。スクランブル待機中もその2つの温存を考えろ。現場レベルの俺たちが動けばもう休めない」

 

如何なる形であろうと終わるまでは動いたら最後、もう休めない。そう言い放ったバトラは隊長としての仕事に入ろうとする。彼も自分が本業を行えば休みはない。故にこれからの酷使に耐える為に今の内に体力と精神力を温存する必要があるが、それだけをやると言う訳にはいられない。

 

背中で語るバトラに3人は顔を見合わせると自分に支給されている部屋に向かって眠ろうとするが、その足を突然の轟音と揺れが止める。

 

地震と見間違う程の揺れに地震に慣れていないベルクトを始め、マントルから離れた地震とはほぼ無関係な国出身のスタッフは踏ん張れず、重力に捕まって床へと引っ張れる

 

「よっと、管制塔!!」

 

スタッフ達が強かに身体を床にぶつける中でベルクトだけはバトラに襟首を掴まれたお陰で首が若干ながら締まったものの床へも顔面直撃は免れ、バトラは腰の通信機に管制塔スタッフに向けた怒鳴り声を叩き付ける。

 

「こ、こちら管制塔! スクランブル! ザイの襲撃だ!!」

 

通信機から管制官の焦りを見せる声を聞いた瞬間にその場の雰囲気はが日本という国に似つかわしく無い物へと変わり、バトラだけは首筋に大きな蜘蛛が這う様な感覚を受ける。

 

 

 

 

 

 

 

「今度こそ……」

 

傷を負った者が誓いの言葉を呟くがそれは途中で途切れ、その言葉は吐き出した本人にさえ聞き取られる事は無かった……故に気付かない。その言葉は狂気を孕んだ事へのサインだった事に……




終わり方が雑?

知ってるよ。

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