長らくお待たせしました!!(某国軍艦のレーダー並みに凄い音!!)
スランプにエスコン7にエスコン5にとじともイベントと執筆時間が少ない上にスランプで書けないとか言うとんでも状態でした。
という訳でカスタムキャストで詫びメイドの詩苑です。
詩苑「は?」
【挿絵表示】
技本の施設内にあるアニマ用の検査施設、その中のCTスキャンの機械の様な台に白いアニマ、ベルクトが横たわっている。
それはまるで綺麗に管理された西洋人形が平坦で綺麗な台に寝かされている様な光景は何か視線を引き込まれる空間を作っている。
それは倒れているベルクトが何処か美しくも儚げな印象を与えているからだ。
そのベルクトに声を掛けるのは白い髪に青い瞳の男、バトラだ。
「気分は?」
「まだ少し夢見心地です……なんか色々な記憶が……」
欠けたスライス、簡単に言えば自分の記憶が戻る訳なのだが、預かり知らぬ記憶であるが故に何か異物感があるのだが、自分の物であるが故にその異物感は夢見心地と言うあやふやな物で感じていると語るベルクトの言葉と身体がフラついている事を見たバトラは戦線復帰は少し後かと悟る。
「暫くはお休みだな。不調な状態で出てもな……」
不調機での出撃は好ましくない。不測の事態に対応出来ないばかりか必要最低すらも満足にこなしてくれない場合もあるからだ。バトラも流石に緊急性の低い任務は不調機で出撃する事には渋る。故に複数機保有しておる訳だが、否応無く全ての仕事を拒否するのが身体が不調な時だ。
飛行機の操縦はある種では限界への挑戦でもあち、ジェット戦闘機となれば高度1万mを超える高高度、下手をすれば空と宇宙の狭間まで飛ぶ。そうなれば?生物が生きる事さえ許されない環境がパイロットと言う人種を蝕んでいく。そんな環境下に不調な状態で挑めば当然ながら悪影響が及ぶし、最悪は死ぬ。それを知っているからこそMS社でもアンタレス隊では不調な者を出撃させない。
パイロットという人種は後天的だが、生まれるには赤子よりも長く険しい道が存在するが故に命の価値が高い。この事を不満そうなベルクトに説明するとベルクトは渋々ながら頷く。
「(出撃がなかったのが救いかな?)」
仮にベルクトが治療中にザイが攻めて来た場合は、この前の迎撃戦に参加できなかったから働くと言って聞かなかった事はベルクトの性格から考えれば容易に想像出来る為に稼ぐが無かった事を考えるとバトラ的にはどうした物かと内心で頭を傾げているとバーフォードからの呼び出しを携帯で喰らったバトラはベルクトに今日も一日休暇だと釘を刺して病室を出る。
するとそれに入れ替わる様に八代通とファントムが入室する。意外な人物2人の登場に若干ではあるがベルクトは不信感を抱きながら無言で見つめると八代通は来客用の椅子に腰掛け、ファントムはベルクトに寝ている様に優しく両肩を押して寝かし付けると枕元に優雅に座り込む。
「ベルクト、これからかなり酷な事を話します」
ファントムの口から八代通とグリペン・彗と情報交換を行って決めた決断と少し先の確実に来る未来についての説明が始まろうとしていた。
「覚悟して下さい」
そう語るファントムの目尻が薄っすらと銀色に輝いていたのをベルクトだけが確認するとベルクトは横になったまま弱々しくも確かに頷いて見せた。
「良し!!」
装甲キャノピーを開けたままのバトラの視界には地上クルーがサムズアップする光景が映る。
バトラは自分の目でIℓ-44 ウプイリのエルロンとカナード、ラダーと推力偏向ノズルが正常に動いている事を確認するとサムズアップで地上クルーに返す。
バトラは足で動かしていたスティックから足を退かしてシートに正常な座り方に座り直すと車輪止めを外す為に走る地上クルーが手を振るのが視界に映る機体を自走で前進させる。
ゆっくりと地上を自走し始めた愛機に満足気に頷きながら装甲キャノピーを閉じる操作を行う。
キャノピーが完全に降ろされた事でヘルメットに取り付けられたバイザーに計器の光が映り込む事を確認出来る程の暗闇がバトラを包むが直ぐに装甲キャノピーの裏側に施された全周ディスプレイが外の景色を映し出すと直ぐ横にフレンチベージュのSu-57が映る。
Iℓ-44と似た様なノッペリとした機体は全遊動式の尾翼と共に偏向ノズルを動かして動作確認を終えたのか、バトラを後ろをついて来る様に自走を始める。
それをバックミラーの代わりに搭載されたバックモニターで確認したバトラが前に意識を向けると黒いカナード付デルタ翼機であるラファールが自走していた。
胴体と主翼に増槽を搭載するその機体だが、後ろ姿がいつもと違う事にバトラは気付き、首を傾げる。
「うん? CFT……要るのか?」
CFT、コンフォーマル・フューエル・タンク。日本で言うならば密着型増槽と呼ばれるそれは機体と一体化させた増槽だ。空中での途中放棄が出来ない代わりに主翼のハードポイントを潰さないと言う利点もある。だが、バトラの頭の計算だと胴体と主翼に搭載した増槽だけで小松からロシア領空への往復は十分に出来る事を考えるとどうも引っ掛かる。
<<私は本国に戻る。パクファを送ったその足でな>>
ラファールのパイロット、ブーランジェは通信がオープンになっている事を察して回線を変えたのかその後の通信はバトラに聞こえなくなったがオープンチャンネルで聞こえた一言だけで、ヨーロッパの軍が再編成を行っているのだと察すると同時に担当オペレーターのグレアムから通信が入った。
<<任務内容を確認します。ミッションは護衛任務、対象はSu-57-ANM パクファです。場所はウラジオストクまでです>>
<<飛行ルートは海を突っ切れば良いのか?>>
<<我々だけならそれで良いでしょうが、対象が不調機です。念を押して日韓の防空圏をなぞる様に飛びます。常に左舷に陸地を見て下さい。ロシア領空には旧吉林省東端から入り、ウラジオストク一直線です>>
<<敵機襲来の可能性は?>>
<<友社や友軍からスクランブルの報告は無いですが……って、わかる訳ないじゃ無いですか!!>>
グレアムからのツッコミにバトラは笑いながら謝りつつも、滑走路脇に到着すると小松空港の屋上に集まるカメラを構えた一般市民を見つけた管制官からパクファとウプイリの2機による並走離陸の指示が飛ぶ。
それを聞いた2人はバトラ、パクファの順番で滑走路へとアプローチすると先にパクファの方がスロットル操作を行って滑走を始めると一息遅れでバトラもスロットル操作を行なって加速する。
小松基地、小松空港の滑走路を2機が少しずれたタイミングで滑走を始めるが、滑走路を走る2つの巨体が浮き上がったのは全くの同時だった。
離陸速度の違う2機が同時に離陸する為にバトラワザと一息遅くスロットルの操作を行っていたからだが、これを打ち合わせ無しで平然とやってのけた2人の技量と知識は凄まじいの一言だろう。
バトラは離陸して一定高度まで上がるとパクファの方からロシア語で通信が入るとバトラもロシア語で了承すると2機が同時にランディングギアの格納を行い、編隊を組んだまま緩やかに旋回をして空港屋上の上空へと向かう素振りを見せると管制官が止めようと口を開いたタイミングで2機が急角度のバンクを掛けて急旋回、屋上上空へと到達した2機はパスの瞬間に並んで飛行を行う編隊に組み直すとパクファは左エルロンロール、バトラは右エルロンロールを掛けながら通り過ぎる。
<<最高だ!!>>
まさかのプチエアショーの開催に管制官は管制塔からサムズアップで返したのを90度のバンクをしながら管制塔の側を駆け抜けるタイミングで確認した2機は上下に主翼を振るバンクでサムズアップに答えるとスロットルを開けて予定航路の方角に機首を向けて徐々に上昇する。
<<遅かったな>>
上空で航路を進みながら待機していたラファールから小言が飛ぶとバトラは薄ら笑いを浮かべながら謝るとバレルロールを行なってフィンガー・フォーの編隊を作る。
長距離の飛行に戦闘も予想される以上は燃費は抑えたい。編隊飛行は戦術的な優位もあるが、燃費を抑えて飛行する為にも行われるパイロットにとっての必須技能だ。が、今回のラファール・グリペン・パクファ・ウプイリと機体性能が全く異なる機体同士の編隊は危険性が跳ね上がる危険な手段だが、それを問題なく行える人員しかいない為に油断さえしなければ空中衝突という間抜けな事は早々に起きる事はないだろう。
<<なぁ、少しいいですか?>>
<<ん? 誰だ、官名を述べよ>>
<<BARBIE01です>>
BARBIE01、慧からの通信だとわかると今後は気を付ける様にと告げると要件を催促するバトラに慧はパクファから日本語、それも京都弁をキャラが立つからと学んだと聞いたと告げるとバトラは周囲を警戒しながらも頷いてから口を開く。
<<理由は知らんが社員が教えたぞ? なんだ、キャラを立たせたかったからなのか>>
<<一升瓶での殴り方と殺人料理を作れるで充分だと思うんですよ>>
<<つまりは味が濃過ぎると? 仕方ないね、なにせ勢いとノリに愉悦が混じったからな>>
慧にはわからないが、この時のバトラの顔は愉悦で歪んでいた。無垢な少女を変態的趣向で味付けする。(調教・歪ませるとも言う)をするのは愉しくて仕方がない事だ。
まぁ、バトラとその取り巻きによるロシアへの当て付け、嫌がらせでもある。
信じて送り出した子がとんでもない変態達とつるんで染まっているなど親としては絶望物である。しかもこのキッカケがパクファからの物であるのだからしょうがない。
再発の防止にはロシアが今回の案件で空でも陸でもまともなアニマ作りをしてくれる事を祈るしかない。
通信機からは慧のバトラの奇行に対する小言が飛び始めた瞬間にIℓ-44とSu-57のレーダーが所属不明機を200kmという距離で捉えた。
ロシア領空までもう少しであるが故に油断とは言わないが緊張の糸が緩んだ瞬間の登場だが、レーダーに探知出来た事で奇襲を未然に防げたと安堵するバトラだが、珍しく首筋を蜘蛛が這う感覚を味わった瞬間にディスプレイに所属不明機からネットワーク参加要請が届く。
「Link22……」
バトラの首筋に再び蜘蛛が這う感覚を味わった。
エスコン7ですが、ラストミッションは当然の権利の如くSuー47でクリアしたのですが……キャンペーン全クリ後の最後のエピローグ的なムービーで王女様が軌道エレベーターに手を翳すシーン。
Suー47でクリアした所為なのか、翳した手が軌道エレベーターを垂直上昇で抜け出たトリガーを模しているかの様に見えてしまっています。