ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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お待たせしました。

スランプを押して書いたので出来はお察し下さい。


作戦58 ゲート破壊作戦始動!!

「もう2日ですよ」

 

ノヴォシビルスクの航空機工場。

広大な土地を持つと同時にエンジンサイズの関係か大型になりやすいロシアの航空機に合わせ作られたかの様に巨大な航空機工場にMS社が誇る精鋭部隊、アンタレス隊の面々が自分達の乗機を見張る様に格納庫に集まっていた。

 

そんな中でベルクトがロシアンティーを飲むバトラに話し掛ける。

 

「慌てるな。俺達がどうこう言ってどうなる」

 

のんびりとしているバトラだが、状況は切迫している。

 

バトラ達が現地到着前にロシア軍が泣け無しの正規軍を導入してゲートに2発の核弾頭を撃ち込んでいた。だが、核弾頭はゲート突入直前に落下、爆発しなかった事が判明した。

 

原因はザイ特有のアンフィジカルレイヤーであるのだが、ロシアは大きな間違いを犯していた。

 

「アプローチから……作戦に協力できないとか……」

「爆発したとしてもゲートは破壊できませんけどね」

 

ロシア人の多さに批判を途中で辞めた詩鞍に対して詩苑は棘のある声で告げる。

ゲートの破壊はアンフィジカルレイヤーの先にある核を破壊しなければならない訳だが、ロシア軍の作戦では表層で核爆発するのでどうあがいても破壊できない。

 

無論ながらそれは言葉を選びながらロシア側に抗議したが、ロシア側は作戦への協力を無かった事にしようとする。それを八代通は向こうの言い分に理解しながらも自分達の言い分を押し通して3日の時間を稼いだ。

 

「八代通に任せておけばいいだろう」

 

余裕綽々なバトラにこの3日で八代通はどうするつもりかと思った詩鞍と詩苑だが、そこはバトラとの経験と思想で差に出た。

 

バトラは降って湧いて出た時間を急拵えの装備だった各種新装備を調整する時間に当てた。意外にも追加調整は1日で済んでしまい、今日の朝には万全な状態で済ませてしまっていた。

作戦前に時間は降って沸けば作戦の為に調整や整備に入って備える。

 

そして3日で作戦を練り直すなんて出来ないと思う2人に対してバトラは八代通ならやれるだろうと何処かで根拠も無く思っていた。と言うのも八代通への信頼があるからこそだ。

 

「ま、頭脳労働。餅は餅屋だ」

 

なんてものは無く、頭を使う仕事はそれを生業とする奴に任せておこうと言う心情である。

ベルクトは餅は餅屋の意味を支給された携帯端末で検索して八代通を信頼しているからの言葉では無い事を悟ったのか、苦笑いを浮かべたと同時にこれはバトラだと言う謎の安心感を抱いた。

 

「今すぐにブリーフィングルームに集合だそうです」

 

詩苑が携帯端末に届いたメールを読み上げた瞬間にベルクト以外の雰囲気が急変した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、集まったな。時間がない手短に行くぞ」

 

八代通が航空兵全員が集まったブリーフィングルームに入るなり、挨拶もそこそこで作戦内容の変更点のみを告げる。

 

まずは使用機材の変更が告げられた。

 

小松ではファントムを筆頭にグリペン・慧の独飛メンバーに加えてロシアからは現在稼働可能なバーバチカの機材の全て、そしてMS社からはアンタレス隊の全力出撃だったが、ここに緊急で改修したAn-225を加えた上で核爆弾から100tのTNT爆薬を使用した巨大な通常爆弾を投下する作戦に変更される。

 

これに伴ってベルクトが保護膜として展開するスライスを片宮姉妹のみに変更して処理能力のブースト不要にした上で空いたブースト用の容量はファントムに献上した上でファントムがバトラの保護を行うと同時にAn-225の保護も行った上でゲートへと突入する事となる。

 

これによりファントムとベルクトは大至急でセッティングの変更を行う事になり、格納庫へと移動した訳だが……

 

「これなら10分もあれば完璧ですね」

 

場所はバトラの機体に乗り込んで今回の為に仮設したダイレクトリンク用コクピットブロック、わかりやすく言えばドーター用コクピットに収まったファントムが中のプログラムを見て呟くとベルクトは2日で仕上げた自分との差と同時にバトラを守る仕事を取られた2つのストレスで静かにイラついていたベルクトが綺麗な笑顔を浮かべたまま握り拳を握る。

 

「なんか……性格変わったな」

 

それを遠巻きに見ていたバトラが自称転んだ怪我の応急処置を終えた慧に呟く、ベルクトの性格が変わった事は分かってもなぜ変わったかわからないのに加えてなんでイラついているのかもわかっていない様子のバトラに慧は何も答えずに溜息だけを吐く。

 

そんな中でも作戦開始時間は刻一刻と迫り、遂にコクピットへと全てのパイロット達が滑り込み、エンジン始動を行った事で格納庫に様々なエンジンが奏でる轟音が支配する。

 

<<アンタレス隊は滑走路へ進入を開始して下さい>>

 

バーバチカから離陸し、独飛の2機が滑走路に並び始めたタイミングでアンタレス隊の4機も格納庫からゆっくりと進み出ると滑走路へと向かう。

 

バトラの機体を先頭を進み出るとその斜め後ろに詩苑と詩鞍が付き、少し遅れた挙動でその後ろにベルクトが張り付く。

<<お先に>>

 

バトラに通信を入れたファントムが通信を終えると同時に滑走路を爆音を吐き出しながら滑り、空へとその巨体を浮かべる。

グリペンは空中での衝突を避ける為かわざと滑走のタイミングをズラしてから滑走して空中へと浮かぶ。

 

<<滑走路への進入を許可します>>

 

管制官からの指示を聞いたアンタレス隊の4機は編隊を維持したまま滑走路へと進入すると、機体をゆっくりと地面で動かす事が限界だったエンジンに対して本格的にフューエルを叩き付ける。

 

エンジンは充分な量のフューエルを受けたからか今迄以上の爆音と共に青い火炎を噴き出すが、バトラの機体だけが異様な程に青い。

 

「(アレが戦利品で作成されたマッハ3.0級エンジンの試作品……)」

 

その炎を真後ろから見るベルクトが複雑な心境で見守る。

 

バトラのエンジンはマッハ3.0を比較的低燃費で実現する為に作成された試製エンジンを搭載している。

 

速度を出すには軽量化も上げられるが手っ取り早いのはエンジンの出力強化なのだが、今の技術力では燃費やエンジン本体やパーツの様々な面での耐久度的に難しかったのだが、ザイの登場によりパーツ耐久度の問題が解消され、バトラの機体に試験的に搭載された。

 

技術革新などが起きた訳ではない。イタリアのとある科学者がとある技術者と共にノリと勢いと狂気に陥り、ザイの残骸でパーツを作成すると言う愚行を行った事で完成したエンジンだ。

 

「(マッハ3なんて出せませんけど……)」

 

ベルクトが頭を振って雑念を取り払うとスロットルを上げて、誰よりも遅れて滑走を始める。

 

バトラの機体だが、エンジンはマッハ3を充分よりも少し不足する程度の燃費で叩き出すが、流石にボディまでザイの残骸で作る事は出来ず、更にマッハ3での巡航は機体形状の問題も相まってマッハ2.8から2.9が限度、手綱を握るなら2.5から2.6が限界の機体だ。

 

ただし、小型化には成功したので武装と航続距離の強化が行われている。

これはバトラの速度よりも継戦能力を重視する思考とも一致している。

 

3つの部隊はそれぞれの部隊に分かれて編隊を組んで作戦空域の方角に機首を向ける。

 

編隊は2・4・2の編隊で些か変則的だった。

これはバーバチカ、独飛からの連合部隊結成に対する難色を示した故に組まれた編成で、バーバチカの後ろにMS社、その後ろに独飛が飛び、今回の作戦の要であるAn-225はMS社の編成の中央を飛んで護衛しながらザイのワープゲート内に侵入して中枢のコアに100tのTNT爆薬をお届けして破壊する作戦である。

 

「来たな」

 

暫くは個人間での通信が入っていた連合部隊だが、MS社の面々は初めての未知な敵勢力圏への侵入と言う大仕事に適度な緊張感を維持する為に互いに一言を発してい無かったが、無線機とレーダーに流れる砂嵐にザイの勢力圏に入った事を否応無く自覚させられる。

 

<<もうすぐゲート外縁です。シールドオンまで20秒>>

 

<<特殊兵装を起動する>>

 

ファントムからの通信が入ったのを認識したバトラがコンソールを弄って、背部に背負う様に担がせた尖った形状のコンテナを起動させるとファントムからは起動の確認とデータリンクが行われた事を報告するメッセージがバトラに届く。

 

バトラはそのメッセージを読むと自然と操縦桿を握り直すのとキャノピー裏のモニターにザイのゲートを示す岩石群が映し出される。

幸いにも護衛機はロシア正規軍の単独行動のお陰で無くなっていた。

 

その事にバトラは癪に思いつつも感謝すると同時にファントムから残り10秒のカウントダウンが行われ、バトラはAN-225が通れるだろう隙間にエスコートをしながら、ゲートの岩石群を潜り抜けた瞬間にゲートの内側、ザイの世界へと侵入する。

 

そして異常な世界へ入ってしまった事を認識したのは人間の五感では無く、機械だった。

 

<<計器異常!!>>

 

<<落ち着いて!>>

 

遅れて侵入した詩苑に詩鞍が嗜める。

実際に全ての機体のディスプレイに映し出された高度と速度計はあり得ない数値を示し続け、戦術マップはGPS情報が無くなったからか痙攣する様にブレると同時にノイズが走る度に徐々に欠けて行く。

 

そんな異常状態だが、キャノピーディスプレイには気味が悪くなる程に快晴な青空が浮かぶが足元には大地は愚か海原も無い。正真正銘、文字通りの空の中に放り出されていた。

 

あるべき物が無い異常な景色に加えて身体にも痛みや目眩、頭痛や何かが腐れ落ちるとでも言える感覚にバトラの視線が外からコクピット内の自分の脚に向けると既に半分がゆっくりと水の中で溶ける角砂糖の様に無くなっていた。

 

<<!! ファントム!!>>

 

ファントムは命を危機を感じた人間だけが出せる声で聞こえたバトラの言葉を聞いて素早くパラレル・マインズを起動させてバトラの機体に纏わせる。

 

バトラの機体が薄いエメラルドグリーンの光に包まれると溶けていた足が即座に元に戻る。

バトラは感覚を確かめる様にペダルを踏んでいるとファントムからの通信が届く。

 

<<背部のAWACSP(Airborne Warning and Control system, Pod)はしっかりと作動しています>>

 

AWACSP、簡単に言うならば、戦闘機を簡易的なAWACSにする為のポッドとでも言うべき代物である。サイズと搭載方法の関係で今はバトラにしか使用出来ない逸品だが、今回の作戦では有り余る処理能力をファントムのスライスの数を増やす為の支援用コンピューターの様な運用をしている。

これのおかげで輸送機に追加のスライスを纏わせた上にバトラの防御壁も展開出来た。

 

ベルクトの場合は元々に性能では2機が限界だった故にバトラが浮いてしまう。ファントムに処理能力をバトラ用に割ると中枢までのエスコートが難しくなる為にベルクトに使用する事になったが輸送機が増えた事でファントムに使った方が効率が良いという結果となり今回はファントムの為に使用している。

 

<<エスコートお願いしますね>>

 

更にエスコートに必要な情報も元来のAWACSの能力を使う事で軽い負担で行える為にファントムとしてもAn-225に回せる処理能力が増えるなどこれが無ければ今回の作戦にベルクト以外のアンタレス隊が参加する事は不可能だっただろう。

 

<<各機のマップ情報を更新! ノーズダイブ、ナウ!>>

 

緑色に光るバトラの機体の前を橙色に輝く機体が飛び、それを追う様に水色の機体が飛び、その2機の後ろに続くバトラを追う様に緑色に輝く巨大機と白色に輝く戦闘機が飛び込み、少し遅れて白い戦闘機が飛び、その後に続くのは逆落としで降下する緑色の戦闘機と紅色の戦闘機だった。




皆様はもうガーリーエアフォースの第1弾PVは視聴しましたか? してない? 黒いフォックスハウンドが離陸しました。今すぐ視聴しましょう。

まぁ、冗談はここまでにして……ドーターにデザインが原作準規じゃなくて技MIX準規だった事が嬉しい事実ですね。
空戦描写もPVだからなのか光線は入り乱れた描写じゃない事に感謝! これは期待出来る!
後はザイですよ! ニジイロクワガタみたいな色だと思ったけど以外と色鮮やか!

取り敢えず一言で済ませると……







早よ1月が来い!

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