ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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サブタイトルが中々思いつかない。


作戦29 シャルル・ド・ゴールの生存者?

ペールピンクの髪を追って、艦内通路を歩く一団。

暫くすると部屋中を電子機器で覆われた部屋の水密扉が半開きのまま放置されてた。

 

「この中だな」

 

誰よりも先に中に入るバトラは油断も隙もなくFA-MASを構える。

すると直ぐに計器の間にしゃがみ込む少女【グリペン】と5歳か6歳くらいのモノトーンのレースワンピースにニットのガーディガンを合わせた服装に白い肌と黒髪が印象に残る姿の少女が計器が置かれた机の下で膝を抱えて震えていた。

 

グリペン越しに覗き込むように見ようとした瞬間にビクリと震えると完全に縮こまってしまう。

FAーMASのようなゴツい銃と軍服それも戦闘服の類を着た自分よりも身長が遥かに高い男から見下げされれば、誰だって怯えるだろう。

 

え? 想像できない? なら夜歩いていたら、路地から完全装備のゴツい体型で黒人スキンヘッドの米海兵隊が現れた状況を想像してくれると黒髪の少女の気持ちが理解できるだろう。

 

バトラは肩を竦めながら、離れる。FA-MASが危ない持ち方になったが、そこはトカレフを使う熟練射手。暴発などというヘマはやらかさない。

 

「怖がらせたか」

 

そう言って、下がるバトラと入れ替わりでブーランジェが少女に近寄る。

慧とブーランジェが少女について、話し合っている間にバトラは手掛かりがないか探す。

 

「シャスチ。何か感じるか?」

「いえ……ただ、さっきの少女ですが……何処か私達と似ているんですよ。雰囲気が?」

「は?」

 

シャスチの言葉に首を傾げるバトラ。

 

「すみません。こんな曖昧な返答で、この部屋からはブリッジで感じた違和感はありません。廊下からはしますけど」

「そうか……」

 

思い直して手掛かりを探すバトラの目に一枚の紙を見つけた。

 

「なんだこれ? 不自然に一枚だけ?」

 

周りに紙がないこの空間にこんな紙があるのは不自然に思った。

 

「何か書いてあるな」

 

Ces types sont venus du haut

 

そう綴られていた。

 

「……なんて書いてある?」

 

だが、バトラはフランス語は話す事は出来るが読みが出来なかった。

 

「私にも、見せて下さい」

 

シャスチが覗き込むように字を読む。

 

「あいつらは上から来た……どういう意味でしょう?」

「空から……だが、無傷だし今更書く事でもないな」

 

2人して思案の海に潜るが、ブーランジェからの出発の合図を聞き、目をポケットにしまって、廊下に戻った。

 

一行はブーランジェからの指示でメインデッキ経由で最終目的地であるハンガーに入る事になり、銃を向け、警戒しながら廊下を進む。

バトラは周りの人間が警戒をしているからか精神的な疲労が濃くなっている事に気付いた。

 

「どうしましょう。皆さんかなり疲弊しています」

「だが、どうしようもないだろう。ハンガーまでこれば、終わりが見えてくるからハンガーまでの辛抱だ」

 

シャスチと小さな声で話しながら、急な階段を最後に降りる。

降りきった瞬間にシャスチが航海艦橋で話した事をようやく理解できた。

 

「パッチワーク。言えているな……」

 

バトラの目の前に書かれたLEVEL3の文字。階段を降りた階は2階。つまり、1階を示すLEVEL1でなければおかしいのだ。

 

「(パッチワーク……今、思い出したぜ。別々の柄の布端を縫い合わせて一枚の布にする事だったか? この空母は様々な空間がランダムに結びついている。正規の地図では目的地に辿り着くことは不可能だ)」

 

内心で脱出不可能な迷路に入れられていると認識した瞬間にこの情報を告げるべきではないと判断した。

 

「お前か」

 

軋るような声音が不意にバトラの耳を叩く。

 

「お前が何かやっているのか。どういうつもりだ」

 

ブーランジェの方にバトラが顔を向ける。

 

「私達を取り殺す気か」

 

狂気が吊り上がった目に宿ったまま、銃口を幼女に睨みつかせるブーランジェを見て、バトラが行動を起こす前に慧が行動を起こした。

 

「中尉!」

 

引き金を引く瞬間に慧が横から飛び付き、銃口を逸らす。だが、引く瞬間だった為か、逸らした瞬間に銃口から銃弾が発射された。

 

「くそっ! 本当に撃ちやがった!」

 

飛び散った壁材が慧の頬を叩く、突然の事にフランス語兵は動けないでいた。

 

「慧!」

「邪魔だ! 退け!」

 

慧を心配して、近付こうとするグリペンを幼女諸共、押し退かして前に出た瞬間……

 

ゴッ

 

鈍い音がするとブーランジェは勢いに任せ倒れる所を慧が抱える。

バトラがFA-MASの銃床(というよりも弾倉)で打っ叩いたからだ。

「ちょ! なんで叩いた!?」

「完全に錯乱状態だ。ブーランジェ中尉の性格上あり得ない事がここまで立て続けに起これば、発狂してもおかしくないだろう?」

 

FA-MASを持ち替えながら告げるバトラを見てから、顎に手を添えて思案し始める慧。

バトラもFA-MASの状態を確認しながら考える。

 

「(シャスチやトゥエルブを連れているのが原因か? いや、これはフランスの人選ミスだろう)」

 

バトラはザイは訳がわからない存在でありその勢力圏に身を置いた事のあるバトラは不可解な現象は有って当たり前と考えており、そんな場所に不可解な現象に弱い人間を持ってきたのがわからないというような顔をする。

 

ちらりとブーランジェの方を確認する。

頭が揺さぶられただけの為か血は流れていないが、ぐったりと気絶している。

「? 慧は?」

 

そこで慧がいない事に気付いたバトラがトゥエルブとグリペンに問いかける。

 

「格納庫への道を確認してくると言って、あっちに」

トゥエルブが指差し方向に舌打ちをする。

不可解な場所に1人で単独行動をするなど自殺行為だと言わんばかりに走り出した。

 

「きゃあ!」

「ちょっと! バトラさんまで!?」

 

シャスチが落ちた事やトゥエルブの静止も無視して、慧が行ったという方向に進んで行く。

 

無人の廊下を音を立てながら、時よりあるパイプや段差をジャンプで躱しながら進んで行く。

FA-MASが邪魔に思ったのか、FA-MASは背中に縦向きで吊るされている。

 

照明が凄まじい速さでバトラの上を通り過ぎていく。

 

「(艦内は意図していないか大きすぎない、改修を重ねなければ複雑になりにくい。慧はこの道を真っ直ぐに行った筈だ)」

 

足を休める事なく動かしているとすぐに異常を感じ、足を止め、FA-MASを構える。

「(ここまで長かったか?)」

 

最初にタラップを降りた時は長く感じた通路。

 

人間は感覚で距離を測る時は時間や体力の消耗具合などから遠いか近いか考える。

読者諸君も子供頃は遠いと思っていた学校が大人になってから改めて行くと近くにあるように感じた事や、疲れるからと小学生では中々行かなかったコンビニも高校生位になると金があれば行く距離になったり、歳をとってから近所のコンビニに行くと距離が遠くなったと思う時があると思う。

 

それは歩幅や体力が増減しかからである。

小学生に歩いて30分は酷だが、高校生に歩いて30分はそれ程ではない。

バトラ達も最初は警戒と疲労からか遅くゆっくりと歩いていたから遠く感じた訳であり、走ったらそれ程の時間を費やさない距離の筈なのだ。

バトラは冷静でゆっくりと歩いたからこそ遠く感じるとわかっていた。だからこそ、この距離の異常に気付いた。そして、同時に思い出した。似たような経験を最近していた事に。

 

「(まるで、ベルクトのゴーリキーパークだな)」

 

あの時は実際のゴーリキーパークとは違うとわかっていたのとおかしくないという先入観もあった為に余り気にしなかったが、現実の時より異様に歩いたと思い出していた。

 

だが、冷静になり動悸が激しくなり、脳に警笛が鳴る。

『これ以上は危険だ』『今ならば、間に合う』『戻れ』本能が警告するが、頭を振る事でそれを文字通りに振り払う。

 

「慧が死んだらこの作戦は放棄ものだぜ……」

 

バトラは内心で慧に文句を流す。

 

「(お前はこの作戦の要だ。そんな思えが自分から危険に晒してどうするつもりだ。悪いが作戦失敗で逃げ帰ったら、グリペンは海に沈むぞ)」

 

慧の死亡は同時に作戦失敗とグリペンの未帰還を生み出す。

グリペンは未だに慧と一緒でなければ、長時間の活動は出来ず、この海域からの脱出は様々な理由で難しくなる。

否、グリペンの性格上ここに残ると言ってもおかしくない。

 

走るバトラが足を止めた。

目の前に存在しない筈の閉じられた水密扉が不自然に2つあったからだ。

まるで、ここから先に行かせないという様に。

 

「……戻るか」

 

来た道を振り返って走るバトラ。分かれ道を間違えれば一生慧とは出会えないと考えたからだ。

廊下を走り抜けるバトラのが急停止した。

 

「(俺がここまで来るのに通った水密扉は全部開いていたし1枚しか無かった……何に何故……2枚の水密扉が目の前にあるんだ)」

 

バトラの目の前には2枚の水密扉が鎮座していた。

バトラは別の道を行こうとしたが、さっきまで通路があった筈の場所は水密扉で閉じられ、そのハンドルは歪み、開けられなくされていた。

 

「そうかい……そのつもりかよ。いいじゃねーか。乗ってやるよ」

 

バトラが目に狂気を纏わせて、狂った笑い声を上げる。

狂った笑い声が艦内に響くが、バトラ以外にその声が届く事はないだろう。

 

「(右か左か……おそらくだが、両方ともそう大して変わらないものが来ると考えて良いだろう。俺だったら、両方選んでもアウトという様にする)」

 

すると水密扉が赤と白に変色する。

 

「!? ……落ち着け、色にも意味があったよな……思い出せ)」

 

色からあるものを想像しようとする。

 

「(赤は……生命の高揚……元気になりたい時や、ポジティブになりたい時、気持ちを高ぶらせたい時の色だったかな? 白は光だったかな? 純潔と清潔に潔癖、無邪気だったか? 参考にならん)」

 

何か不吉な意味を思い出せない良かったが、そんな物はバトラの頭には無かった。

「赤と白の役割的な所は?」

 

頭の中で情報を推理していき、何かを思いついたのか、覚悟を決めた目をすると歩を進めると水密扉の片方に手を出して、ハンドルを回して、密着を解き、開ける。

 

陽光がバトラの目を突き刺し、バトラは咄嗟に目を閉じてしまう。

 

「(陽光だと? 馬鹿な、そこまで空間を……)」

 

一種の戦慄を覚えながら目が慣れていくバトラ。

目が慣れるとさっきまでいた空間に似た色合いだが、床はコンクリート所為で壁と天井は金属製だが、何処か安っぽい。

そして、所々に木箱と安っぽいベンチにテーブルが存在する場所。だが、それ以上に存在感を示すのは灰色や黒色、白色や紺色と行った様々な色と形状の戦闘機達だった。

 

そんな空間をバトラは知っていた。知らなければおかしかった。

そして、ある人物を見つけたバトラはFAーMASを手から落とした。

 

「(何故だ)」

 

息が止まりかけるバトラ。

 

「(何故だ、何故だ、何故だ)」

 

バトラにはあり得ない空間だった。

ガッチャリとFA-MASが足元のコンクリートに落ちると赤色【RF-4TB ファントムⅡ】の近くに居た女性が振り返り、手を振りながら駆け寄って来る。

 

「もう、どこに居たの? レオス」

 

アンタレス01が居た。




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