ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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ベルクトとのデート回だ!

スキンシップもあるからゆっくり嫉妬していってね(ゆっくりボイス)

そんな作戦18 イヌワシとサソリのデートを開始する。


作戦18 イヌワシとサソリのデート

「そうか……分かった。すまないな……構わない。こっちのわがままだからな。何かあればまた、連絡する」

 

通信を切って、溜め息を吐く。

今回の連絡は機体の購入なのだが、どうにも条件の合う機体が無かった。

 

出した条件は3つ。

 

1 重・中戦闘機である事。小型戦闘機は小回りが利きすぎて扱いずらい。

 

2 それなりの大型武装を載せられる事。いつかは火力が必要になる瞬間があるのでその為の条件。

 

3 直ぐに日本に持ち込める事。直ぐに必要な為にできるだけ必要な期間を少なくしたい。

 

この3つが条件だった。

 

爺さんのところでは全てがダメだった。

 

在庫が軽戦闘機しか無いという事だった。近年の対ザイ戦では少数で挑む事になる為に機動性<搭載力、速度性<航続力が求められ、中・重戦闘機が軒並み売り切れらしい。

 

「困ったな……」

 

「何がですか? お兄様」

 

「うおぅ!? 驚かせるな」

 

背後から詩鞍に話しかけれて驚いてしまった。

 

「いや、そろそろお前達も予備機がいるんじゃ無いか? Aー10が不調気味だろ?」

 

その言葉に詩鞍が苦虫を噛み潰した様な顔になる。

 

信頼性の高いAー10でも、度重なるスクランブルに整備が行き届いて居らず、出撃不可という訳では無いが、性能低下の不具合があった。いい加減に大規模な整備をしたいが1日や2日で終わる整備では無い。それを考えると予備機が欲しい。

 

「ですが、お兄様に準備をさせるわけにも……」

 

詩鞍もそれがわかっているからこそ、詩苑と共に色々な戦闘機の特性を聞きに来た事もあった。

 

「軽戦闘機なら爺さんの所にあるらしいけど……乗れるのか?」

 

「う……どうしましょう……」

 

詩苑と詩鞍の2人は軽戦闘機は小回りが利きやすいらしく、機体がダンシングする。

 

その為にAー10が空戦で使われるのだが……

 

「要撃機体に乗れない事もないんだよな?」

 

「はい。JA37と訓練だけですがF-16には乗れます」

 

「うーーん。自衛隊と組むなら軽戦闘機でも良いが……旋回性能が高すぎるか……」

 

「そうですが、詩苑も私もFー16が限界です」

 

「Fー16は在庫無し。タイガーとシャークしかないのか……」

 

爺さんの在庫って本当に予想できんな。

 

「まあ、俺からも探してみよう。あの人の所から買い付けるかもだけど……」

 

「何か言いましたか?」

 

「いや、何も」

 

聞かれても困らんが改めて言う程でも無い。

 

「今日はお休みですか?」

 

「予定はな。本当かどうかはザイに聞いてくれ」

 

「会社の方針を曲げるわけにもいきませんしね。今日は羽を伸ばして下さい。私たちが何とかしますので」

 

「じゃあ、お願いしようかな。あ!」

 

「どうかしましたか?」

 

「定期的なAZJシステムのデータ渡して無かった」

 

アニマの調整にかなり使えるらしいから定期的に売ってくれと言われていたんだった。

 

「私達のはもう渡しましたが珍しいですね」

 

「ここ最近のスクランブルで忘れてたよ。USBに移してはあるから渡すだけ何だがな。行ってくるわ」

 

「行ってらっしゃいませ」

 

詩鞍に見送られながら、執務棟にダッシュで向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

暗い廊下を渡り、検査室に赴く途中でベルクトと会った。

 

「検査か? 記憶の方はどうだ」

 

「はい。ですが何も……」

 

「そうか。まあ、慌てる事はなかろうさ」

 

「ありがとうございます。バトラさんはどうして、ここに?」

 

「データの受け渡し」

 

USBをプラプラと揺らしながら見せる。

 

この光景を何度か見ているベルクトはそれだけで納得したのか頷くだけで答える。

 

それを見届けて、俺は検査室の扉を開ける。

 

「データの受け渡しに来たんだが、担当の人はいるかな?」

 

「あ、受け取っておきます。それとベルクトの検査ですが今日は中止です。八代通さんが急な出張で行えません」

 

白衣を来た研究員が申し訳無さそうにベルクトに頭を下げて、ベルクトがそれにぎこちない笑顔で気にしないで下さいと返す。

ベルクトもここまでの謝罪が来るとは思っていない様子だった。

 

「ベルクト。これからどうするつもりだ? 今日の予定が全部パーだろ?」

 

「そうですね。どうしましょう……」

 

考え込むベルクトを見て研究員が口を開いた。

 

「でしたら、お二人で外出なんてどうですか? ベルクト1人だけでしたら問題ですがバトラさんと一緒なら問題無いと思います。八代通さんからも構わないと言われてますし」

 

俺としても、別に構わない。最初から外に行くつもりだったし少し街巡りをベルクトとする程度だ。

八代通も外出での刺激が何かしらの効果が有るかもしれないと考えたからだろう。

 

ベルクトの話題も今は沈静化しているし問題は無いだろう。

 

「どうする? 行くか?」

 

「えっと……バトラさんがよろしければ……」

 

「良いも何も、俺から誘ってるんだ。良いに決まってるだろう」

 

その言葉にベルクトが頷き返した。

 

「それじゃあ、送ります。あ、外出届は出しておいてください」

 

 

 

 

 

 

外出届を提出する時に基地を中心に半径5キロ圏内からでないことを条件に言い渡された俺たちは駅前の駐車場にトライクを止めた。

 

「さてと……行きたい所は?」

 

振り返れば車から降りたばかりのベルクトが目に映る。

服装は京香軍曹がコーディネートした濃紺のマリンワンピースにつば広の麦わら帽子を被っている。

 

あと、この格好を見て何も言わずに『良し、行くか』と言った瞬間にマイケル軍曹とサラ軍曹から飛び蹴りを喰らった。

俺が何をしたっていうんだよ。

 

「えっと……そうですね……」

 

眩しそうに目を瞬かせている。

ロシアではそれほど、強い陽射しに当たったことが無いのだろう。

 

「じゃあ、ショッピングモールに行くか?」

 

地元に詳しい訳でも無いから無難な選択だと思う。それにアスファルトからの反射熱でベルクトの首筋や頬に大粒の汗が出来ている。

 

一部の人間は汗だらけの女性を見て興奮する奴もいるが、ベルクトの場合は放って置いたら熱中症になりかねない。

 

陽射しと熱を遮るならショッピングモールだろう。俺の用事があとでも構わない。というか夕方ぐらいの方が良いだろう。

 

「そうですね。流石に外を歩きまわれる天候が無いでしょうし……」

 

首筋の汗を鬱陶しそうに拭いながら答えるベルクトに少し大き目の手提げカバンからハンドタオルを取り出して渡す。

 

「あ、ありがとうございます」

 

遠慮がちに受け取って、首筋の汗を拭う。何故かその行為に来るものがあるのはベルクトが美少女と言える外見で、さらに普通の女性なら隠す脇さえも隠さずに大胆に動かしている開放感からだろうか?

 

……って、暑さで脳がやられているな。私用の帽子を今日の内に買っておくか?

 

今回の予定の組み立てる俺にベルクトの声が届いた。

 

「あ、あの、そろそろ行きませんか?」

 

「あ、うん。そうだな」

 

自然と2人して、早歩きになりつつもショッピングモールに入る。

 

「少し涼しくなりましたね」

 

「この広い空間だから冷房は効いてないかもしれんが、陽射しと反射熱、熱風が無くなったから体感温度が下がっただけだろうな」

 

それでも、少し表情が和らいでいるから良かった。

 

時計を見れば、11時30分。早めの昼食なら丁度良い時間だろう。

 

「さてと、これからどうするかだな。早いけど昼食か、買い物でこの辺りをぶらつくか。どっちが良い? ベルクトに合わせるぞ」

 

「えっと……先にバトラさんの予定からしませんか? 私は特にこれと言った予定がありませんし」

 

「と、言ってもな……」

 

夕方の方が都合が良い場所だし、昼飯もそれほど腹が減ってる訳でも無い。

 

買い物からやるか。

 

「じゃあ、帽子が見たいんだ」

 

という訳で帽子屋に移動するが場所が判らずに地図と数分間の睨めっこを展開したのには目を瞑っておこう。

 

「うーーん」

 

正直に言うと帽子なんて遮れればそれで良いのだが、ファッションにも気を使えと女性陣から言われているのだが、自分には良く分からない。

 

そんな自分だから店員さんも困ってしまっている。

 

「あの……これなんてどうでしょう?」

 

そう言って、ベルクトが黒い生地にワンポイントで金色の刺繍が入ったシンプルな形状の帽子を差し出してきた。

 

「どこにあったのこれ?」

 

「あそこの棚の奥です」

 

あ、それは分からないわ。

 

「すいません。これ下さい」

 

「え、それで良いんですか?」

 

「俺も何が良いか分からなかったし、ベルクトが似合うと思ったならそれで構わないさ。困ったらあの2人に支援要請を出せば良い」

 

その言葉に苦笑いを浮かべる店員とベルクトを放って、レジ係にお金を支払って店の外に出た。

 

「時間は12時30分か……昼食でも行く?」

 

「そうですね。少し、お腹が空きました」

 

フードコートへ移動するもこの時間は人で賑わっている事を失念していてどうしようかと思ったが、ハンバーガー店が空いているという事でそこでお互いに好きな物を買って、食べながら今後の予定を話す。

 

とりあえず、夕方まではここでめぼしい店を冷やかして、休憩にジュースバーに入り、色々なスムージーに目移りしながら注文して、シェアもした。

シェアは若干だが恥ずかしかった。周りの目が微笑ましいのと凄い恨みの籠った目に囲まれた。

 

あと、緑色と桃色の髪の毛のペアを見つけたが、声をかける事も無いので気付いていない振りをした。

 

そしてまた、冷やかして、夕方になってある喫茶店による。

 

基地から4.7キロ離れた小さな喫茶店だが、雰囲気は良い。

 

中には客は1人もいないがマスター曰く、お前と同じような客と朝と昼で儲かっているらしい。夜はバーになるらしいが未成年の俺が来るのは数年先だ。

 

「ベルクト。恐らくだが、長い事戦うならここのマスターにはお世話になると思うからそのつもりでな」

 

ベルクトの返答を待たずして、扉を開けて中に入る。

そして、L字のカウンター席の奥側の端に座る。

 

「よく来たな。今回は何が欲しい? 隣の少女は新しい部下か?」

 

「友軍かな? だが、彼女じゃない。この紙に書いた条件で揃えられる機体は有るか?」

 

「……良いものが有る。これがスペックと画像だ」

 

そう言われて、ある紙をカウンターの下から渡される。

 

……成る程、不採用機か……パーツは……簡単に手に入る物が多い。

 

「これは貰っても?」

 

「構わない。それじゃあ、注文はお決まりかな?」

 

このやりとりについていけないベルクトが首を傾げている。

 

「何か飲んで行くか?」

 

「えっと……じゃあ、これを……」

 

「俺はカフェモカ」

 

2人でまったりお茶をするつもりがマスターの口車に乗せられてここで早めの夕食を取った。

 

「ああ、また来てくれ。それと、連絡は早めにな。売り切れちまうかもな」

 

その言葉を効いて俺たちは店を出る。

 

「付き合わせて悪かったな。何処か行きたい所はあるか? ほとんどが俺の予定だっただろう」

 

そう言うとベルクトが申し訳なさそうな顔をするが、すぐに何かを思いついたような顔をした。

 

「あの……海に行きたいです。良いでしょうか?」

 

「海か? 良いぞ。掴まってろ」

 

川沿いに移動して、海へと降りた。

 

空は赤い光が消えかけて、もうすぐ夜の闇が海の空を支配しようとしていた。

 

トライクから降りたベルクトが砂浜に歩を進める。

その後を追って、砂浜に降りる。

 

「夕陽を見るには遅かったな」

 

海へと沈み切る直前の太陽を見ながら呟く。

その言葉にベルクトが肩越しに振り返って、微笑みを浮かべる。

 

「いえ、星が見たくて我が儘を言いました」

 

「星か……」

 

海の方ではなくて、真上を見れば明るい星から瞬いていた。

 

もう少し待てば、街灯の無いこの辺りなら満天の星空を見れる筈だ。

星空を見るなんていつ振りだろうか?

 

気付けば、ベルクトも流木に腰掛けて星を見上げていた。

俺もベルクトの方に近寄り、間を開けて座り、もう一度星空を見上げる。

 

ゆったりとした時間が流れる。

 

お互いに喋りもせずに空が星々に埋まっていく瞬間を見ていく。

海へと視線をずらせば、空の闇と海の闇が混じり合い何処が海で空なのか分からなくなっていた。

だが、波の音と浜辺近くでできる白波は変わらずにこの場に存在している。

 

波の音を耳で味わい、白波か飾る海と混じった星空を俺は静かに眺めていた。

 

「ベルクトって日本語でどう言う意味かご存知ですか?」

 

不意にベルクトからそんな言葉が紡ぎ出された。

視線を向ければ星空を背景に潮風に煽られる白い髪を気にすることなく、赤い瞳を向けるベルクトが映る。

 

それが儚い印象と同時にそれ以上の美しさを醸し出していた。

 

「イヌワシ……そうだろ?」

 

「よく、ご存知ですね。では、ロシアにある古いイヌワシの民話はご存知ですか?」

 

「え?」

 

その反応にグリペンが可愛らしく微笑む。心なしか皮膚が白く輝いている。

 

そして、ベルクトが語り出した。

 

出世を夢見て鷹匠の鷹として働いた鷹が故郷の仲間を狩り、悲嘆にくれたイヌワシは鷹匠の元を離れて、故郷に戻るがそこに仲間の姿は無く、残りの生涯を家族の捜索に当てたイヌワシがやがて衰弱するが神から光の翼を与えられたイヌワシは罪は業から解放されて空を駆け上がり、やがて星となり地上を照らす。

 

そんな話だった。

 

「……」

 

何も言えなかった。自分がこの話で何か言える人間では無いと思ったからだ。

 

「憧れませんか? どれだけ過ちを犯しても最終的には許される。空を上り続けていれば、みんなを照らし出す光になれるだって。素敵な話だと思います」

 

そう話す目の前の少女がすぅっと消えてしまいそうに思えた。輪郭が消えて、夜空に溶け込み、存在が朧になっていく。

 

「バ、バトラさん!?」

 

気が付いたら、彼女に抱きついていた。細い肩が一瞬だけ震えた。声にも聞き慣れた焦りが混じった声だった。

 

「あ、あの「すまない……」……バトラさん……?」

 

何をやっているんだろうな自分は……いきなり、肌を触るを超えて抱きつくだ。全身で無いにしろ、抱きつかれて驚かない、不安に襲われない訳が無い。

だが、何処か放っておくと消えてしまいそうなその姿と雰囲気にこうしないと後悔が残る……取り返しがつかなくなる……そう感じてしまった。

 

「あのさ……お前が来てくれた事に俺は感謝してるんだよ。忘れていたもの……いや、封印していた物を思い出した。覚えておかなきゃいけないものなのに無かった事にしようとしていた。お前が来てくれがおかげで気付いたことだけど……だから……何処にも行くな。居場所が無いと思うなら、俺が居場所を作る。居場所になることだってしてやるだから……何処にも行くなよ」

 

「ありがとうございます。そう言ってもらえると救われます。ただ……」

 

「ただ?」

 

「そろそろ、離れてもらうと」

 

「すまん! すぐに離れる!」

 

何かに弾け飛ばされた様に離れる。

彼女の頬が赤く染まっている事に罪悪感を感じて、仕方無い。

 

「嫌だっただろ? 悪かった」

 

「いえ……」

 

「いい時間だし、帰るか……」

 

「……はい」

 

トライクに跨って基地に帰る途中の信号でベルクトが話しかける。

 

「終わってしまいましたね。本当の本当に今日と言う1日が」

 

「また、外出届を出せばいいさ。その時はまた、何処か連れて行ってやる」

 

「許可、貰えるでしょうか?」

 

不安そうな声で呟くベルクトに俺が口を開いた。

 

「じゃあ、いつかさ……空で星でも見ないか? 俺のRF-4TB-AZJでも良いし、ベルクトのSu-47とランデブーしても良い。空を飛びながら星を見て、今日みたいに色々話すのも良いだろう」

 

「素敵ですね。本当、怖いくらいに幸せな未来」

 

そう話すベルクトの腕を昼間よりも強く感じているのは気の所為にして、小松基地へと帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰ったら、ベルクトと2人っきりで出掛けた事を知った片宮姉妹から黒笑という30mmの掃射を喰らったが土産の甘い物と機体のスペック表で許して貰えた。

 

後ろで縛られてぐったりしているマイケル軍曹は絶対に許さない。




どうだ! ジェラシーしてくれたかな? デート回は女性が読む様な作品が無いからイマイチわからんね。デート回も男が朴念仁で参考にならんし……誰か来た。

(あんた誰? ちょ! それはトカ)バン! バン! バン!

????「セルユニゾンは粛清した。それと感想を待っている」

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