では、言い訳はこの辺りでやめて。
各機!作戦4 小松防衛戦そしてエースの道を開始する!
<<ALTAIR1の発艦を許可します>>
<<ラジャー。モーターを点火する。甲板要員は退避してくれ>>
この放送が入ると甲板要員が急いで甲板より下の場所に入る。
<<甲板要員の退避完了。モーター点火よろし!>>
<<モーター点火!>>
RF-4TP-AJZには機体中央にロケットモーターが搭載されていた。
RF-4TP-AJZは短距離離陸が出来ない以上はカタパルトかスキージャンプが必要だが、それが無い【ほうしょう】から発艦するには爆発的な加速を叩き出し揚力を得るほか無い。それがロケットモーターの装着である。
ヒューゴォォォォォォ!!
ロケットモーターから轟音が出ると全通甲板を疾走しタイヤが甲板から飛び出た途端に引き込み、そのまま水平線と平行に加速する。
<<ALTAIR1の発艦を確認した>>
甲板に歓声が上がる。そんな中で佳はALTAIR1が飛び去った方向に目を向けていた。
「どうした、長瀬」
「うん?いやね。昨日の事を思い出していたの」
「何かあったのか?」
「昨日の宴会の時に自衛隊に入らないかって誘ったんだけどね…」
「断られたと、その理由は?」
「『魅力的だけど、少しだけその翼の行く先が気になる奴らがいるから断るよ』だって」
浅野は空を見上げた。その翼の行く先が気になる人物は誰なのかと気にしながら…
ALTAIR1はモーター内の燃料が無くなると海上に放棄して小松へと飛翔し近づくとRF-4TP-AJZに小松から通信が入る。
<<ALTAIR1は今すぐ島に向かってくれ!ザイが現れた!>>
<<何機だ?!>>
<<6機!>>
<<すぐに向かう!>>
即座にアフターバーナー全開でマッハ2.0の速度で島へ飛翔するALTAIR01のRF-4TP-AZJのレーダーがすぐにグリペンの姿を捉える。
<<グリペン!撤退しろ!流石に6機も相手じゃきついだろう。俺が時間を稼ぐからすぐに撤退しろ!>>
<<断る。ここは彗との思い出があるから、私が守る>>
<<そんな事はしっかりと飛べるようになってから言いやがれ!>>
空になった増槽を破棄したお陰で速度が乗り、グリペンを追い越したALTAIR1は先頭のザイにロックオンする。
「バトラ、エンゲージ!FOX2!」
右主翼から白い煙を吐いてミサイルが発射された。ミサイルが発射されたのを確認すると即座に上昇して高度を稼ぐ事にする。ザイは格闘戦をしながらミサイルを撃つという戦術を取る。よって、ザイとは近距離でミサイルと機銃を撃ち合う事になるので必然的に巴戦(背後を取り合う様に旋回し合う戦い方)になる。
発射されたミサイルに反応したザイがブレイクしてミサイルの回避を試みる。
先頭機のブレイクに反応したザイ四機がブレイクしてALTAIR1に迫る。
「FOX2」
上昇していた状態から機体を起こしながら失速、RF-4TP-AZJは後ろ向きに宙返りしてザイに向き合った途端にミサイルを発射する。
迫るミサイルと追うザイはお互いの速度で距離を食い潰して回避不能な距離になった。
「敵機撃墜!」
ザイを一機墜とした後に煙からザイが飛び出る。
「イン ガン レンジ!」
搭載された対空対地両用30mm連装機関砲の射程距離に入った。
「ファイア!」
バトラが操縦桿のトリガーを引いた瞬間に30mm二連装機関砲から大量の鉛弾を吐き出す。
ザイも機銃で反撃するが機関砲を発射しながらラダーを操作していたバトラのRF-4TP-AZJは直進しているように見えて微妙ながら横に水平移動していた為に弾丸はすぐ横を通り抜けていくだけだった。
ザイは虹色のガラス片を撒き散らしながら飛行を続けるがやがて爆発する。
「二機目。8000ドル頂きだ」
RF-4TP-AZJのレーダーが新たな機影を捉えた。
「十機の応援か。こりゃきつそうだ」
ガンで一機、墜として呟く。
計器から警告音が響く。
「インカミンミッソーブレイク!ブレイク!」
フレアを巻き、背中から降下してミサイルを回避する。
ミサイルを回避し終わると小松から通信が入った。
<<新たに出現したザイ3機と大型機、爆撃機型が海を越えます!至急戻って下さい!>>
(わかってるけど、反転したら墜とされる)
三機のザイに囲まれていて思うように動かけずにいた。
「こなクソ!」
レバーを引いて尾翼が垂直になると同時に主翼の上と下から金属板が展開された。
急激に減速してオーバーシュート。そのまま
(食いつかれた!)
海面ギリギリを低空飛行して逃げるが一機増えてまで、後ろにビッタリ食いついた二機は引きはがせないでいた。
そんな状況だろうと落ち着いてバックミラーを睨む。
(まだ、もう少し……今!)
ハードポイントからミサイルを切り離し海面にミサイルを二発沈める。
ザイがミサイルを沈めた場所を通り抜ける瞬間に大量の海水がザイの腹を打ち付けバランスを崩したザイは音速のまま海面に叩きつけられ粉々に砕け散る。
機首を小松に向けてアフターバーナー全開。ミサイルのロックオン距離に入ると四機全てにロックオンする。
<<ALTAIR1ドライブ!>>
残った全ミサイル9発を発射して撃墜を試みる。
結果は護衛のザイは三機全て撃墜したが大型の撃墜は身代わりになった護衛機の所為で撃墜できなかった。
<<大型機が攻撃態勢に移りました>>
間に合わない。そう思った時に大型ザイが爆発した。
<<危なかったでしょ?>>
やや舌足らずで懐かしい声が通信機から出てくる。
<<救援が遅い!早く来てたなら応援に来い!一機は案山子なんだ>>
<<出るタイミングを伺っていたんだ。この目立ちがり屋は>>
八代通の悪態が通信機から聞こえた。
<<ミッションコンプリート
索敵レーダーに新しい機影がないのを確認して小松への帰投ルートに乗った。
三十分後の滑走路に藍・山吹・深紅の戦闘機がアプローチする。
三機の戦闘機がデルタ編隊のまま着陸する。
エプロンまで進んだ三機に整備員が取り付く。ただし、グリペンには救急車も取り付きコックピットを強制的に開けてグリペンを引きずり出す。
(まさか、、3日間見ないだけで酷く衰弱しているな)
相当、ショックな事があったのだろう。アルタイル隊のメンバーもショックを受けてこうなった奴がいたな。
そんなことを思い出しながら、キャノピーの開閉を行う。
プシュー
空気が抜ける音と共に装甲版が四つに分かれる。
全体の三割を占める前面が前方にスライドして左右で四割を占める側面が下方にスライドしてコックピットが剥き出しになり、残りの三割が後面の装甲で後ろにスライドして簡単に乗り入れしやすくなる。
「ありがとう」
梯子を持って来てくれた整備員にお礼を言ってから山吹色のF-15Jに視線を向ける。しかし、そのキャノピーは既に開け放たれていて当のパイロットは中年の醜男に抱きついていた。
「八代通。嫌ならきっぱり突っ撥ねないと悪化するぞ」
金髪の少女を引き剥がす様を見て助言してやる。
「ふん。傭兵に言われると説得力があるな」
「高級傭兵だからな。仕事は選べるんだ」
「何が、高級だ。菓子のちり紙並みに軽い命だろう」
「そうだな。だが、俺はそのちり紙並みの命を110個以上は吹き飛ばした命だぜ」
皮肉に皮肉で返す応酬を見て金髪のパイロットが話に割り込む。
「そんな事よりも!東シナ海では毎日、ザイを墜としてました。日本海の平和はイーグルが守るから!」
底抜けに空気が読めないのと明るい声に場の全員が毒気を抜かれていた。
そんなこんなで小松に帰って来て数日がたった。
あれからザイが攻めて来なかった為に本社にいる爺さんに使った弾薬や消耗品を送って貰った。
滑走路には爺さん、所持機の電動レシプロ輸送機が滑走している。
なんでも、ハイパワーモーターに二重反転プロペラを二基付けて、小型輸送機と同じ量を運べるそうだ。
(というか、自前のレシプロ輸送機って何機持っているんだよ……)
色々なカラーリングを見てきたが、モスグリーンのカラーリングは初めてだ。
そうこうしている内に駐機して積み下ろしの作業の為のハッチが手作業で開けられていく。
「イヒヒヒ、毎度ありがとよ。これにサイン頼むよ」
「不備が無いか調べてからな」
「おいおい、俺がビジネスでミスした事があったかい?」
「一本100ドルのミサイルが近接自爆しなかったからな。消耗品に関しては信頼してるが、ミサイル関係は信頼も信用もしていない」
軽くミサイルをチェックするが問題なかったので受取書にサインする。
「確かに…うし、下ろせ!」
輸送機から物資が下されていく。
「しかし、どうしてここに?」
この爺さんは基本的にデリバリーに参加しない筈なのだ。
「日本製品は日本で買いつけるのが一番安くて程度も良いからよ」
「成る程、あ!」
大切な事を思い出した俺は懐を探る。
「あった、あった。ほい爺さんこれ」
「お?これは電卓かい?」
「ああ、千いくらの日本製電卓だ。あんたの電卓は一桁増えるって言ってただろう?」
「確かにな。有難く貰っとくよ」
「そこで、幾らかまけてやるって言わない辺りが商魂たくましいな」
「まあな。そうだ!」
何かを思い出した様に手を叩く爺さん。これをした時は50パーの確率でロクでも無い事が起きる。
「3と4はどうした?最近、弾薬の注文がめっきり減って稼げないんだ」
だと思ったよ。あいつらは対地だから、無いかと多くの弾薬を使う。
「残念だが、あいつらは今、第七艦隊の仕事中だ」
「道理でフックの装着を要望した訳だ。しかし、そうか、あいつらは第七艦隊の仕事にな……」
何か悲壮な顔をする爺さんが気になった。
「どうした?」
「お前さん。知らねーのかい?」
「何が?」
「第七艦隊はな………
「………………」
あれから5日たった今でも毎日、『第七艦隊が壊滅したっていう情報だよ』と繰り返し再生される爺さんの言葉。
別に仲間が死んでもそこまで落ち込まない。実際、三年前の戦争では昨日、同じ飯を食った仲間が居ないなんて事もあったし。いつもは混む食堂が閑散としている事もあったから何とも無いと思った。だが、それが部下ならどうだろうか?
「どうしたのだね?バトラ君。荷物が届いてからその調子だが?」
司令が話しかけてくる。
「いえ、なにm「なにも、とか言ってもそうは見えないのだがね?」……話しましょう。できれば、誰にも聞かれない場所で」
「……ならば、司令室だ」
司令室に移動した後で鍵を掛けて、誰も入れなくする。
「では、どうしたのだね?」
「はい。私の部下は第七艦隊の仕事をしておりましてね」
「第七艦隊……そうか。君もその情報を…」
「はい。それで、部下の安否が心配で」
「君も人なのだな」
「はい?」
司令から発せられた言葉に面食らうバトラ。
「君は誰が死のうか知ったことでは無いと言う人物だと思ったのだがね……」
「まさか、仲間は別です」
「だろうな。知っているかい?エースには種類と言う物があるという言葉を」
「それはもう」
当たり前だ。一番最初に習った事だ。
「「エースは三つに分けられる。【
「ですよね?」
「ああ、君はどのエースを目指す?私はF-4で飛ぶ事を誇りにした。そして、アグレッサーのF-15をも墜とした」
「………」
「君はどのエースだ?」
「私は………」
「見つければいいさ。君は若いから時間はまだまだあるからな」
「はい……」
ドアが閉まった後に誰に話す訳でもなく呟く。
「大丈夫かな?」
その呟きはスクランブル警報に包まれて消えた。
<<ザイの大編隊を捉えた。離陸可能な機体は出撃せよ>>
遂に来たか。俺が走りながら思ったのはその事だった。
今思えば、洋上の艦隊がやられたと言う事を中国から日本に行くルートの一つである日本海ルートが開通した以上は攻め込んでくるのも時間の問題だ。前回の襲撃は威力偵察といったところだろう。
「
「バッチリだ!」
「thanks」
コックピットの中に入ってコンソールを操作して起動の準備と武装の確認をする。
(大型ハードポイントは全て増槽か……)
今回は迎撃戦だからそれほど大量の燃料はいらないと考えていい。
「第二から第五大型ハードポイントの増槽を外して追加ハードポイントキットを着けてくれ。追加のハードポイントには
たとえ、16発でも先制攻撃できるに越した事は無い。
「わかった。おい!2分で支度しな!」
『おい!外した増槽をその辺に置いとくなよ!」
<<XMAA載せ終えました!>>
その通信を聞きバックミラーで確認するが安全が抜かれた合図が見えない。
<<安全ピンは抜いたか?>>
<<今、抜きました!>>
<<良し!ALTAIR01出撃準備終了しました!>>
管制塔に連絡を入れた。
<<良し!すぐに迎撃に出てくれ!>>
<<敵編隊の編成と数は?>>
<<総数50機以上の大編隊だ。それも、
<<ラジャー。今、滑走路に出てる機体と二機編隊離陸すればいいのか?>>
<<ああ、BARBIE02と編隊離陸して敵機を迎撃してくれ>>
<<ラジャー>>
滑走路にタシキングして動翼チェックして、異常が無い事を確認した。
<<BARBIE02、クリアード・フォー・テイクオフ!>>
<<ALTAIR01、オールグリーン・テイクオフ!>>
二機が同時に滑走して空へと飛び立つ。
<<射程に入った。FOX2!>>
6発の中距離ミサイルを放ち先制攻撃を行うが肝心の重爆撃型には当たらず盾になった制空型に命中した。しかし、全6発が命中した。
<<ちっ!ALTAIR01!エンゲージ!>>
ザイとの距離が詰まった為に戦闘状態の宣言をする。
<<インガンレンジ>>
<<ファイア!>>
ヘッドオンの状態になったザイにワンタップ分の30ミリ弾を与えてやる。撃った後はラダー操作で少し右にずれてザイの機銃を避ける。
<<ALTAIR01迎撃目標変更要請。新たな敵編隊が小松基地を襲撃中。迎撃求む>>
<<ネガティブ>>
なんて言ったて6機のザイに囲まれてるからな無理だ。
ザイの爆撃機が弾倉を開き、爆弾を投下した。
投下した爆弾は爆音と爆風を撒き散らし一本しか無い滑走路を破壊した。
(不味い!あんなのが街に落とされたとしたら悲惨な事になるぞ!)
ザイを短距離ミサイルで2機を同時に墜としたことで包囲網に穴が空いた。
(これ以上は!)
爆弾を落とす前の爆撃機に肉薄するが距離がある。
爆撃機は弾倉を開けて爆弾の投下準備を行っていた。
『lock-on』
今、ロックオンしてもミサイルの飛翔距離を考えると間に合うか分からないがスイッチを押そうとする。
<<FOX<<<<イン・ガン・レンジ!ファイア!!>>>>
二人の通信が割り込むと特大の弾丸が機首から命中すると爆撃機が大爆発を起こした。
おそらくだが、機首から命中した弾が内部に到達して弾倉の爆弾に着弾して誘爆を起こした。
(この火力が出せる味方はあいつらだけだな……)
後ろを振り向くと独特な形状をした機体が接近していた。
<<兄様。只今帰投しました>>
<<只今より、兄様の指揮下に入ります>>
黒と白のかなりのカスタムが施されたA-10が両脇に2機追随する。
<<帰って来たのか?心配したぞ?>>
心の底から安堵する。この二人は三年近く前に俺がこの世界に残した二人なのだ。
この2機は第七艦隊の仕事に就いていたALTAIR03と04だ。因みにALTAIR02は並々ならぬ理由で欠番である。
<<はい。そのことは地上でお話し致します>>
<<今はこの状況をどうにかしましょう>>
<<そうだな。ALTAIR03と04は爆撃機を優先的に頼む。BARBIE02はALTAIR03と04の援護を俺と一緒に頼む>>
機体を加速させて上昇させる。それに釣られてザイが後ろを追う。
<<兄様!後ろからザイが!>>
ALTAIR03が警告を出すが気にせず上昇を続ける。
『missile alert』
ミサイルが発射されたのを確認してフレアとチャフを撒きながら緩やかな右カーブを描いて降下する。
ミサイルはフレアに釣られて自爆するのを確認するとロックオン距離にイーグルを追うザイ三機を捉える。
<<FOX2>>
中距離ミサイルを発射して撃墜を試みる。ザイは予想外のミサイルに反応が遅れたのか回避出来ずに命中した。
<<イーグル。後ろの頼む>>
<<任せて>>
その言葉の通りに瞬く間に後ろのザイ三機を墜とす。
<<ALTAIR04。ファイア>>
ALTAIR04が主翼の下に搭載された57ミリガンポットが火を吹いた。
対爆撃機のドクトリンを忠実に頭から侵入してコックピットを撃つのかと思ったが、貫通するとわかっているせいか弾倉のある場所を狙って発射された弾丸(砲弾と言うサイズかもしれない)は狙った通りに弾倉の爆弾を爆破して爆撃機を塵一つ残さずに消滅させた。
<<ALTAIR03。撃ちます>>
そう宣言すると機関砲らしからぬボン ボン ボンと言う音を出して57mmガンポットから弾が撃ち出される。
そして爆撃機を塵一つ残さずに消滅させる。
「この腹と肩に来る音はあいつらじゃなきゃ出せんな」
全くその通りである。今のご時世30mmあればでかい方で57mmなんて巨砲の域だ。そんな物を前から撃ち込まれるザイには同情する。だが、あの二人はそれと同じ位恐ろしいのをまだ、抱えてはいるがな。
哀れな爆撃機から意識を外して、警戒の為に下に視線をずらすと高速道路に紅い鏃のような機体が用意されていた。
その場所に5機のザイが襲い掛かっていた。
「不味い!」
スロットル全開の急降下して急いで1500まで近づく。
<<FOX2>>
短距離ミサイルを5発放ち撃墜する。
<<ありがとう>>
グリペンから通信が入る。
<<気にするな。それよりも機体の挙動が怪しいぞ?>>
そんなグリペンが狙い目と言わんばかりに10機のザイが襲い掛かる。
<<(っち)FOX2>>
中距離ミサイルを発射する。これで中距離ミサイルは撃ち止めだ。
ザイは1機撃墜されるとブレイクして7機がこっちに来て1機がグリペンの方に行った。
<<グリペン!そっちに1機行ったぞ!>>
バレルロールでミサイルを回避してお返しに手頃な奴にミサイルを発射して撃墜してやる。
グリペンが視界に入るとカナードを直立させて追尾を振り切ったのだ。
だが、普通ならグリペンであれをやれば速力の差で振り切られ急旋回で後ろに着かれて撃墜される。そう……普通ならだ。あの深紅のグリペンはドーターだ。ドーターはアニマの手足に等しく動く。よって、スロットルをそのままにエアブレーキだけで減速など朝飯前だろう。
追い抜かして直後に機銃を喰らったザイが黒煙の糸を引いて墜ちて行った。
<<ラストだ。FOX2>>
グリペンが鬼ごっこしている内にこっちはガンとミサイルで7機墜とした。これでミサイルの残弾は短距離ミサイルが1発だ。
爆撃機も最後の1機が小松に侵入しようとしていたが
<<兄様!助けてください>>
<<後ろに張り付かれました>>
案の定、応援の要請が届いた。
<<すぐ行く>>
もう一度スロットルを開いて救援に向かう。
自分の部下だけは自分が飛んでいる間は墜とさせない!それが俺の誇りだ。そして、その誇りを貫く為に強さを求めよう。ナイト・マーセナリーエース。それが俺の目指すエースコンバットだ!!
<<FOX2>>
ALTAIR03とすれ違って、コブラ機動。コブラをそのまま倒して背面飛行しながらロックオン終了後に最後のミサイルをリリースして背面急降下でALTAIR04を追う敵機にダイブし30mm弾を浴びせる。
30ミリを真上から浴びて穴だらけになったザイは爆発すると同時にミサイルがザイを撃墜した。
そして、グリペンが爆撃機と護衛機に突っ込み、爆撃機を撃墜したお陰で統率をなくした残存のザイは編隊を解いて右往左往するように飛び始める。
<<ALTAIR03、ALTAIR04。七面鳥狩りだ>>
<<<<はい!>>>>
その後は海上自衛隊のF-3が合流して残党狩りを終わらせた。
あれから3週間がたった。
テキストは紫色の背表紙に書かれたタイトルはーー自衛隊航空学生・試験問題集とファイルから覗くタイトルは隠れて読めないがーーーー入社希望書だ。
現役社員からの推薦扱いで希望書と規約に同意する同意書さえ出せば簡単に入社出来るそうだ。
この紙を見て思い出したのはあの時の小松防衛の後のことだった。グリペンのこともそうだが、バトラの行動も気になった。小松防衛戦から3日後に見舞いと一緒に讃えてきたのだ。
あのカナード直立は俺の操作と指示だったとグリペンから聞いて話をしにきたらしい。
そして、俺はそこでこう聞かれた。
『所で君は何故、飛ぼうと思った?』
それに俺は、中国の空を取り戻したい。何よりもグリペンと一緒に飛びたいとはっきり言ったら彼は照れながら、も話した。
『私が飛び始める頃の理由より素晴らしい理由を持っているようだ。では、君はその為に航空自衛隊の学校に行きたいのか?』
俺ははいと答えると、
『私はグリペンを用意するから俺の会社に入らないか?』
そう言うと一枚の紙を渡してきた。それは彼が所属する民間軍事会社への就職希望の紙だった。
『ここなら空自の学校より早く空に行けるぞ』
それが、魅力的で取り敢えず受け取った。しかし、俺は明華と同じ学校へ進学した。
勿論だが、航空学生もあの希望書も空までの最短経路で自分の手で中国の空を取り戻す直通の道筋だ。だが、この小松と言う町はもう、俺にとってひどく貴重な場所になっている。
彼女がいる町
彼女と出会い、思い出を積み上げ、守りきった土地その事実が俺の両足を楔の様に大地に打ち付ける。
(大丈夫だ。空は逃げない。待っててくれるさ)
そう言い聞かせる様に独りごちて扉を開ける。下から明華が呼ぶ声が響く。
「………と言う訳です」
「つまりだ。空母が発着艦できなくなる様な損傷を受ける直前にカタパルトで発艦して貰ったから小松に来れたと言うことか」
3週間経ってようやく落ち着いたので第七艦隊のことを聞くことが出来た。
結論から言うと失敗したが玉砕はしてない。ただし、再編は必要な程の損害を受けた。
「後は、私たちの機体が高い航続距離を持っていたのも幸いでした」
「成る程ね。まあ、兎も角だ。無事で無いよりだ!今日は小松防衛戦の祝勝会とお前達の無事を祝って良いパスタの店を予約したんだ。俺の奢りで好きなの食いな」
「「やったー」」
笑顔で喜ぶ二人を見て笑う俺だが、後日にあの醜男が目上のコブを作るとは思いもしなかった。
今後もこんな速度での更新です。もうハリアー超えてヘリ並みですね。
今後ともこのエースアサルトを宜しくお願いします。
作戦4 小松防衛戦そしてエースの道の完全終了を宣言。各機帰投せよ。