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それでは、作戦2【初めての……】を開始する!
ゴオオオオォォォン……
小松基地と小松空港の滑走路に藍一色で塗られたF-4が着陸する。
(なんとか着いたな…)
そう内心で呟く俺は燃料計の残量に目を向けた。
「1………か」
目盛りは最後の1つを指していた。
「貴様がアルタイル01だな」
突然、下から声を掛けられて下に目をやると小太りの醜男がいた。
「八代通さんか……」
「俺で悪かったな」
「呼び出したのはあんたか?」
いきなりの転属だ。それも最前線の那覇から前線になるであろう小松にだ。相当の権力を持った人物で無ければあり得ない事が起きている。
「正解だ。グリペンが未だに不完全な上に不安定でな。流石にグリペンだけじゃどうしようも無くなって来たから、グリペンに割く時間が欲しくて少し無理をした」
「大丈夫なのか?」
「正直に言うと大丈夫じゃない。俺じゃなくてグリペンがな。エースパイロットを前線から後方に穴埋めで呼び出した挙句に不完全な状態なままだったら、今度こそ廃棄待った無しだな」
「なんとかしてやれよ」
「言われなくてもな」
話を切り上げて基地司令に挨拶に向かった。
「ふぅー楽しかった」
お偉いさんに挨拶に行って言う言葉じゃないだろうが事実だ。
基地司令は那覇基地の司令と違い、元ファントムライダーだったのだ。しかも、ファントムが好きで好きで仕方ないと言う様子で未だにウイングマークを維持している程で堅苦しい挨拶が終わったらF-4談義で大いに盛り上がった。
「さて、第三格納庫だったかな?」
俺は問題の機体を見る為に第三格納庫へと足を向けた。
「こいつが……」
目の前に深紅のグリペンが鎮座している。
そのグリペンはボディの各所が開けられ整備・点検が行われていた。
「近くにアニマはいないのか…」
近くにそれらしい人物はいないので別の場所に行く事にした。
『グゥーー』
腹の虫が補給要請を出してきた。
(そういえば、那覇で空戦してそのままこっち来てあれこれしてたからな。何も食ってない)
丁度いいので食堂に行く事にした。ごたごたも粗方片付いているから問題ない。
「はいよ」
「ありがとうございます」
食堂でAランチを貰って席を探す。
「こっちで一緒に如何かな?」
突然、声をした方に目を向けると笑顔で手を振る基地司令がいた。
「なんで、ここに?」
「食堂で飯を食う以外に何かするか?」
「そう言われればそうですね」
「だろ?後F-4で語り合えるのが、君以外に居なかったから嬉しくてな」
お茶目な司令だ。
「そんな事より食べよう。冷えたらまずい」
「二重の意味でまずいですね」
「上手い!」
F-4談義の花を再び満開にした楽しい朝食を終わらせた。
これがこの日あった楽しい事の最後だった。
「お前に紹介しよう。知っていると思うが…グリペンだ。お前と僚機を組む事になる」
と言って、紹介されたのは薄い桃色の髪のグリペンと呼ぶ少女だった。
「………研究のし過ぎで頭に蛆が湧いたのか?」
元々、俺を小松に転属させたのはこのグリペンの不調の原因をより詳しく調べる為の穴埋めであって、この少女とロッテを組む為ではない。
《ロッテはドイツで考案された戦術で戦闘機を二機一組で組む部隊単位のこと》
「お前の言いたいことはわかっているが、上もアニマとドーターである以上は実戦に出したいんだよ」
まあ、そうだ。数・価格的なことで見ればAJZ改修した方が多いし安いが時間がかかり過ぎるし必然的に専用機化する事になるので戦闘機の追加生産もするので部隊を作るのであればアニマ・ドーターより高くつく。さらに、AJZ改修はパイロット1人1人の脳波に完全に合致させるだけのデータ採取と不適合している間の悪影響があるので中々進めれないと言う開発期間の長さ長いのでどっちもどっちである。のだが、本社は数を揃えやすいのと考え方や利益重視でAJZ改修を世界は無人機と言うことでアニマ・ドーターを進めている。
「まぁ、わかったけど、報酬の話とこいつの問題点は教えて欲しいのだが?」
「報酬はスクランブル待機、一回に付き500ドル。スクランブルがあれば一回1000ドル。ザイの場合は一機撃墜に付き4000ドルだな」
妥当である。
「問題点は覚醒時間。簡単に言うと起きていられる時間が不定期であることだな」
「待機中もフライト中もお構い無しか?」
「お構い無しだ」
「………グリペンが行動不能になった場合のスクランブル待機は550ドル。スクランブルは1100ドル。ザイ撃墜時は一機4300ドルに変更しろ。それが条件だ」
ザイ相手に単騎突撃でロッテと同じ価格なんて死んでもごめんだ。
「……わかった。上と交渉する」
よし!割に合う仕事になった。
「はぁ、後、AJZの最新のデータをお前のデータだけでいいから売ってくれないか?」
「本社に許可を取ってからになるぞ」
「構わんよ」
「わかった。連絡していみるよ」
因みに日本はAJZ改修も量産化を目指して行っている。
方法としては脳波が比較的似ている人物を集めて適合させていく形らしいが、専用化されたものと違い、アニマの様に全てのEPCM(電子・感覚対抗手段)に抵抗出来ないのだ。
その為にあらゆるEPCMのデータから予め対抗できる様にデータを蓄積していなければならない。
実用化すればドーターの無いアニマの様なものができる様になる。
「降りたよ。じゃあ、データを取り出してくる」
「機体はサンカクだ」
「了解」
サンカクって第三格納庫のことだよな?
歩き出した俺の後ろをグリペンと八代通が歩いているのに気づいた。
「なんで、ついてくる?」
「私たちも…サンカクに用事があるから」
「八代通。グリペンのドーターって…「サンカクだ」…わかったよ。待機場も隣接ってか?」
「よくわかったな。その通りだ」
はあーと溜め息を一回してサンカクに歩を進めた。
「で?これがグリペンのドーターね……」
「……そう」
静かに肯定するグリペン。
「今日中のフライトは無理そうだな…」
目の前にあるのは真紅のグリペンだ。それもOH途中のグリペンだ。
「で?どうしろと?」
八代通は気付いたらいなかったので、グリペンに訊きながら振り向いた途端
『ドサァ』
何が倒れる音がして足元を見るとグリペンが床に倒れていた。
「お、おい!っち!これが問題って奴か!」
本社からの通知には機能喪失の問題があると書かれていたがこういうことか!これならお構い無しという訳にも納得だ。
「おい!彼女はどうすればいい!」
近くにいた整備士に声を掛ける。
「ああ、キャノピーの中に押し込んでおいてくれ」
帽子を斜めに被った不良中年がそう話すのを確認するとキャノピーの中にグリペンを座らせる。
(ヘェ〜ドーターの操縦席ってなんというか…)
見慣れないというか見慣れたものが無いのだ。一番大きい所では操縦桿が無いのだ。
(あいつらってどうやって飛ばしてたんだ?)
これを見るとついつい考えてしまう。山吹色のF-15Jと紫色のF-2を…。
「おい!少し手伝ってくれ」
いきなり、八代通に呼ばれた。
「なんだよ……いきなり」
「少し、手伝ってくれ」
「何がだ?」
「拉致だ」
「………はい?」
今、俺は黒いバンに乗せられて、拉致開始場所に向かっている。因みにバンは定番HIACEだ。八代通が言うには、上海でグリペンが再起動するきっかけになった少年が小松基地の監視カメラに映っていたのでグリペンの問題解明と解決の糸口の為に拉致るそうだ。
「……天才って、頭のネジが複数本ぶっ飛んでるって言うけど、はっきりわかんだね」
「てめーの言いたいことはそれだけか?」
「だって、その通りだろ?呼び出せばいい物を拉致るって言うんだぞ。一緒にいる女の子共々」
「いきなり、自衛隊から小松基地に来いって言っても警戒して来ないだろう」
「わかんねーぞ。戦闘機好きならホイホイ来るだろう」
「違ったらどうする?」
「専門外だ」
「行くぞ」
八代通の言葉と同時にバンがドリフトする。どうやら言い争っている内に着いた様だ。
後方のバンも道を塞ぐ様に停車して逃げ道を無くすと同時に俺はバンの扉を開け放ち、女の子の方の両手を抑えるとさるぐつわを別の人間がつけて悲鳴をあげられない状況にする。
男の子の方も一歩遅れて確保されるのを確認するとバンに詰め込み小松基地へと帰った。
(さて、向こうは三文劇、こっちは説得だな)
トランクで暴れまわる女の子を見て頭を抱える。
(面倒なことになりそうだ)
「慧をどうするつもりよ!」
警衛所に放り込むなりそんなことを言い出す少女に内心で尊敬する。
こんな状況だ。まず、自分の身を案じる筈なのだが、彼女は一緒にいた少年のことを聞いてきた。
「助けて下さい!彼女を止めて下さい!」
「あ?どうし……はー、把握した」
どうも激昂して暴れまわり自衛隊員にひっかき傷を負わせており、かつ無遠慮に暴れまわり捕まえづらいのだろう。
武術を嗜んでいない奴が暴れまわるのを抑える方が難しいと聞くがその通りらしい。まあ、彼らは空自で陸自なら話は別かもしれんが…
「あー、君。少し落ち着きたまえ」
声をかけた途端にこっちを向き飛び込んできた。
「慧をどうするつもりよ!」
顔をひっかこうと右手を振り下ろすが、俺は左手でそれを押さえて引っ張り腕を伸ばし切らせて、右手を組み抱き寄せる。
そうアームロックだ。暴れる奴を黙らせるにはこれが一番だ。
「落ち着いた?」
「落ち着いた!落ち着いたから離して!」
「それ以上はいけない!」
「うんそうだね」
取り敢えず解放する。
「ふぅー。まあ、彼から聞いていると思うけど、慧?君には大事な話があってこんな強行手段に出たんだ。そこは謝ろう」
「慧を傷付けていないんでしょうね?」
「そこは大丈夫だ」
「じゃあ、そろそろ合わせて」
「ふむ」
窓を除くとサンカクの近くで誘導灯を円を描く様に振る人物が見えた。
「よし、いいぞ。ついてきてくれ」
ドアを開けて歩き出す俺の後ろに少女・自衛隊員の順で歩く。
「ねえ。あんたの名前は?」
「俺はアルタイル01、TACネームはバトラだ」
「本名じゃないでしょ?本名は?」
「仕事の関係で教えられんのでな。ご了承願おう」
「そう。私は
「ああ、よろしく」
待合室から八代通がいる部屋までいかんせん遠いので世間話で間を持たせる。
「所で明華さんはその慧君のことが好きなのかな?」
「なんでそんな話が出てくるのよ!」
面白い具合に狼狽する。
「そりゃーね。部屋に入れてさるぐつわを取るなり、慧をどうするつもりだ。だぞ?そうとも捉えられる」
「あいつは手のかかる弟分みたいなものよ!」
「そういうことにして置こう。ただ、一言だけ言わせてもらうならこのご時世だ。大切な人ならできるだけ近くにいてやりな。縛るにではなく、自分が近くにいてやりなよ」
「え?それって……」
「まあ、彼が離れようとしても、それを縛り付けずに帰って来るのを待っていられる位の器量がある方が男にはグッと来るぞという話だ」
「だから!慧と私はそんな関係じゃ無いってい「着いたぞここだ」「慧!慧、無事だったの!?」
素晴らしい位の手のひら返しだ。
その後は八代通が謝罪等を行い解散の流れとなった。
「いい友達を持ったな」
慧と呼ばれていた少年とすれ違う瞬間に囁いた。
「え?それはい「早く行きな。自転車。持って行かれて知らねーぞ?」あ、はい」
走り去っていく少年と少女を見て、あんな青春を送れたかな?と考えてしまう。
「どうした?バトラ。あの二人を見つめて。あ、明華に一目惚…アダダダ」
軽くアームロックを掛けておく。
「そんなじゃねーよ。俺の青春は全て硝煙にまみれているから二人が羨ましいだけさ」
「そ、そうか…じゃあ、そろそろ離してくれ」
「うんそうだね」『ゴキィ』
「それ以上はいけない!」
肩から嫌な音がしたが気にせず解放してやった。
「取り敢えず、グリペンの不調の原因解明に足掛かりはできたな」
「あ……ああ」
今だに肩を押さえる八代通を放ったらかしして俺はラジオでニュースを聞くことにした。
<<本日午後四時に空母ジョージ・ワシントンが横須賀を出港しました。空母ジョージ・ワシントンの他に第七艦隊などの艦艇も随伴し、反政府勢力の侵攻で孤立した中国臨海地区との連絡を取るのが目的とされ、中国の内戦に初めてアメリカの正規戦力が投入されることとなり在中邦人の救出にも拍車が掛かると思われます>>
無理だろう。あくまでも行って帰ってくるだけでも奇跡とも言える。アメリカはアニマとドーターを一組だけしか保有していないし、彼女らが第七艦隊に在留しているが彼女らはどっちかと言えば対地向けの機材を使っているから護衛向きじゃ無いだろう。
(アメリカの世界の指導者思想だろうな…)
アメリカが二次大戦を終えてから世界のトップに近い状況になり、胡座をかいていたが、三年前に軍の能力の殆どを凍結させられて民間軍事会社の俺たちに世界の経済を守られて、ロシアからのクーデター組織に首都を攻撃され掛けるなどの出来事で威厳がボロボロのアメリカが起死回生の一手にやらかしたんだろう。
(アメリカが損害を受けるだけだろうが……彼女達は生きて帰って来るだろうか?)
あの戦争の最終局面から入り、生き延びたあの三番機と四番機が墜ちるなんて思わ無いが、敵の本拠地近くに行くのだから心配はしてしまう。
「………生きて帰ってこいよ………」
空に浮かぶ月に彼女達の無事の生還を祈る様に呟いた。
いやー情報見るたびにウキウキしてしまう。
感想も貰えるともっとウキウキします。
エスコンの要素が薄いじゃねーかと思いますがもう少し、もう少しお待ちくだされ。まだ、ミサイルの発射準備中ですので。
次回予告(突然の変更あり)
グリペンの不調の原因解明と問題解決に為に動き出す八代通達の行動に無理矢理付き合わされるアルタイル1だったが日本人の戦友との再会を果たす。
各機補給と整備に万全を期し待機せよ。