ガーリーエアフォース PMCエースの機動   作:セルユニゾン

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今回は感想を見て思いつく前に書いていた展開を投稿です。

それと現在のアンケートですが、1番・3番・現実機が2票づつでFー22とFー14B、Suー37ですね。
このまま行くと面白い事が大好きなダイスの女神様に託す事になっちゃう。


特殊作戦 あり得た過程

「レオス」

 

暗い空間に一瞬にして光が差すと周りには青い空に白いエーデルワイスが咲き誇る花畑に立ったアンタレス01こと未来奈が立っていた。

そしてレオスと呼ばれたバトラは花畑に横たわっていた。

 

「俺は……死んだのか?」

「ううん。正確には死に掛けているかな?」

 

そう言って微笑む未来奈にバトラが全てを察した。

彼女は死んでいる。それはもう死体が無いとか理由が無くとも認めなくてはいけなかった。心で理解してしまったから。

 

バトラは涙を流しながら声を殺して泣いていると未来奈が言葉を紡ぐ。

 

「あなたは直ぐに復讐を果たしてしまった。復讐に囚われた者や駆られた者は復讐を果たせば虚しさにだけ苛まれる。そして、徐々に、確実に腐って行くのが常だった。けど、あなたは違った」

 

バトラに複数の影が重なる。それは今までにアンタレス隊として共に戦ってきた仲間達だった。

 

「バトラさん。貴方が腐らなかったのは気付いたからじゃないですか?」

 

サーシャの言葉を聞いて涙を拭い声をした方向を見るとベルクトに似た顔をした少女が微笑みながらしゃがんでバトラの顔を覗いていた。

 

「無くした物」

「奪われた物」

「「そして、失われた物ばかりを見ていたけど、気付く事が出来た」」

「残された物がある事に」

 

バトラの言葉に仲間達が笑顔で頷くとサーシャと未来奈がバトラに手を伸ばす。

 

「まだ、ここに来るには早過ぎる。戻りなさいバトラ特務大尉」

「長く待たせて下さいね、バトラ特務准尉。武運を祈ります」

 

2人の手をとって立ち上がったバトラの目に病的なまでに白い天井が映る。

 

「バトラさん」

 

声をした方向に向けば痛々しい姿ではあるがしっかりと2本の足で床に立つファントムがバトラの顔を見下ろしている。

 

「飛べますか?」

「飛んでみせる」

 

ファントムはバトラがそう答えるとやっぱりですかと笑いながら頷き、行きますよと手で合図を送るとバトラは負傷から目覚めたばかりとは思えない動きでベットから立ち上がり、廊下へと連れ立って出ると機付員が2人を出迎える。点滴が刺さっていた場所は止血をしていない為に止めなく血が滲み出るがそんな事は無視しろと言いながら報告をバトラに促されると機付員が現場と機体に着いて簡潔に素早く報告を上げる。

 

バトラとファントムは普段のフライトで着ている服に素早く着替えると機体のコクピットに収まり各々の準備を行うと2機の戦闘機が連れ立って空へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

慧の視界が突如としてモニターの電源が切れる様な音と共に真っ暗になる。普通ならこれで驚き、慌てふためくだろうが、暗転する一瞬前に聞こえた電子戦機の墜落を告げる通信がグリペンに必要な最低限のリソースを提供出来なくなった故の事だとわかる。

 

目標のザイが自分達の存在を危険視してデコイを散布し、グリペンが必死の覚悟でタイフーンの置き土産を使って、本物を洗い出そうとしていたが電子戦機が墜落。必要最低限のリソースを下回った事でただ飛ぶだけのミサイル発射台と化したJAS39にザイを撃墜出来る能力は無い。

ミサイルは発射しただけではただの噴進弾。一直線に飛ぶのさえ怪しい鉄塊となる。

 

「此処まできて!」

 

慧がイラつきを隠す事なくキャノピーを叩くとボォォンと不気味な音を立てながらディスプレイが復旧。続けてインディゲーターが復旧し、全天モニターに照準と黒い靄の様なザイが数個、順番に浮かび上がる。

 

慧が首を振ると左隣に居るはずの無い人物しか駆れない筈の機体が存在した。

 

跳ね上がった外翼に逆さにしたYの様な尾翼に長く伸びた機首。そしボディの所々が内側から輝く発光するエメラルド色の光に浮かび上がるFー4だ。

 

<<まったく、世話の焼ける人達ですね。たかだが爆撃機を1機墜とすのに何をそんなに大騒ぎしているんですか。おちおち養生もしていられませんよ>>

 

通信と同時にデータリンクが勝手に再開される。電子戦機隊とJAS39の間に新たなユニットが現れる。敵味方識別コードでも、データリンクでも味方の識別コードを出している。

 

BARBIE03。

 

<<ファントム!? お前、大丈夫だったのか>>

 

慧の通信にファントムが溜息を零す。

 

<<大丈夫な訳無いでしょう。満身創痍に疲労困憊を併発して……まあ、自分1人では満足に飛ばす事は愚か普通に飛ぶ事さえ困難な状況ですよ。しかも、試験中の早期警戒モジュールまでぶっつけ本番で載せられて、故障機と負傷兵に対する扱いとは到底思えませんよ>>

 

ファントムからの通信が終わると同時に雲から別の機体が現れる。

藍色の鏃の様なシルエットの機体。

Iℓー44。この機体を駆る事が出来るのはこの世で1人だけだと慧は思っている。

 

ANTARES01。

完全無欠にして最強無敵のハッピーエンドに行く為に必要な欠けてはいけないピースの1つ。

 

<<おかえり、希望か勇気を取り戻したみたいだな。言いたい事は色々とあるがそれは後にしよう。今はただ、この戦場を駆け抜けるのみ!>>

 

ファントムと早期警戒モジュールの救援によりリソースを取り戻したグリペンが迎撃の為に必要な情報をかき集めては解析し、デコイを弾いて本物を割り当てて行く。

 

<<敵進路アップデート、投弾アプローチに入っている。阻止限界点まで残り7秒>>

 

秒読みが始まったが未だにデコイと本物の算出が出来ずにいるとバトラの機体の主翼からロケットが吹き出るとその推力に物を言わせた上昇で高度を上げて行く。

 

高度が3万を超えるとバトラは上部ウェポンベイを開放して、中からEMLを展開するとバトラは兵装を操作するパネルに手を伸ばし、カバーが付いた赤いボタンを押す。

 

するとHUDに注意を促す警告文が現れるがそれを無視する。

蓄電量が100を超えるが直ぐに200、300と増えて行き、コクピットに警告を知らせるブザーとランプが作動すると同時に発射の命令を下すトリガーを引く。2発の砲弾は時間を置いて、発射され、ザイの放出したデコイの2つを破壊する。

これにより絞り切れなかった3機の内の2機を破壊した事でグリペンが素早く残りの計算を終える。

<<……各種情報を整理、追加、再計算……完了。データ抽出、照準情報に同期完了、経路修正・ターゲット最終選定>>

<<敵機捕捉! いっけぇぇぇ!!>>

 

慧が押したリリースボタンから送られた信号により1t近くある凶器が虚空に放たれる。

重力の鎖から逃れる為だけのエンジンを火を噴きながら上昇し、1段目のブースターが切り離されると更に加速して重力の鎖を1本、また1本と振り解いて行く。

 

そして最後には外周スラスターで軌道を修正しながら敵進路に突っ込む。

敵も回避する為に蛇行する。もしも放たれた凶器が従来の直撃しなければ意味の無い物だったら良かったのだろうが放たれた凶器は未だに実験中の代物で敵の直撃直前に抱えた炸薬を爆発させて、中に仕込んでいたダングステンペレットを目標正面にぶち撒ける。

 

拳1つ分はあるダングステンペレットはその重さと保持する運動エネルギーによりまずは左翼を食い破り、腹部の耐熱シールドを続けて破壊。さらに垂直安定板と舵を粉砕し、安定を失うと残ったペレットが胴体に直撃して、捻じ切れる様に胴体が切断せれる。そして、それは爆弾倉にも到達し、内部にあった爆弾にすら被害を与え誘爆させる。

 

指先ほどの爆炎を確認すると遅れて音と衝撃波が襲うがJAS39とニコイチされたFー4を少し揺らす程度だった。

Fー4が制御された動きで降下を開始するがJAS39は力を失った様に降下するが直ぐに機体を水平に戻す。

 

<<作戦は成功した! 全機帰投せよ! 繰り返す! 作戦は成功! 全機帰投せよ!>>

 

カノープスから通信が入るが大陸の至近とあってかザイの迎撃はまだ多くあり、直ぐに帰投できる訳では無く、慌ててAJZ化された戦闘機隊とドーター達が退路の確保に移るがその行動は杞憂に終わる。

 

<<まさか、もう終わっていたか>>

<<EPCMで通信出来なかったのが痛いな>>

<<でも、帰投する彼らの退路を確保しなきゃ>>

 

IFFに味方として反応するFー4EJ改が両翼を青く塗ったFー15に片翼だけが赤いFー15に通常カラーのFー14の3機を連れて現れる。

 

<<退路は我々が確保する。君達は帰投しなさい>>

 

小松の基地司令が乗るFー4EJ改からの通信を受けて全機が日本に機首を向けて全力で飛ぶ。

その遥かの高い高度で飛ぶJAS39とFー4、Iℓー44は可能な限りの速度で日本に向けて飛んでいたが、Iℓー44からは機体の上部から、正確にはEMLから黒煙を吐き出させながら飛行していた。

 

<<バトラさんもお疲れ様です。まさか、ブースターで加速してザイをEMLで撃て。と聞いた時は呆気に取られましたよ>>

<<俺もだ。そもそもの話で言うとこれは保険で、あいつらはミスった時用の物だ>>

<<あの頑丈だったEMLの砲身が発射後に黒煙を吹くとは思いもしませんでした>>

<<安全圏は300パーセントだ。500パーセントで撃ってこれだ。正直な話、爆発されたら死んでいた>>

 

上部ウェポンベイはエンジン吸気口の真上でエンジン本体と燃料タンクの直ぐ近くに配置されており、ここが誘爆した場合はエンジンへの異物吸引で済めば良いが、最悪はエンジンや燃料への誘爆で機体が木っ端微塵、粉微塵にされかねない。

 

<<それは兎も角として、お疲れ様でした>>

 

 

ファントムがそれだけ言い切ると回線を切る。バトラは回線が切れている事を確認すると操縦桿を握り直し口ずさむ。

 

「とにかく勝った。ま……家に帰ろう。愛機の炎をぶち撒けながら……俺達のやり方こそが強さの証だ。いつまでも、ずっと続く強さの証だ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦が終わったが傷ついた身体で無茶をした事で入院が伸びていたバトラだが、ようやく外出の許可が下りるとバトラは花屋で買ったアサガオ・オドントグロッサム・ガーベラ・シオン・エーデルワイスの花弁とフウセンカズラの実を潮風に晒して、螺旋を描かせながら空へと飛ばす。

 

「出てきたらどうだ?」

 

その言葉にベルクトが物陰から申し訳無さそうに出て来る。

 

「どうした?」

「いえ、外出をしたと聞いて気になって」

 

バトラはそうかと頷くと海に視線を向ける。ベルクトはバトラの1歩後ろで海を眺めているとバトラが語り始める。

 

「未来奈って言う1番機が居たんだ。俺の最初で最後の隊長だ。あのFー4は元はあの人の奴であの人が帰ってきた時に返そうと思っていたんだ。色を塗り替えたのは変えたら何をしているんだって怒って出てきそうっていう子供心からだ」

「でも……アンタレスの1番機は……」

「ああ。死んでいる。みんなが言うけど、俺だけは信じたくなかった。死体が無い、機体の残骸も見つかっていないって、言って現実から目を逸らしていた。でも……でもさ……」

 

此処から先は涙声で呟く。

 

「わかったんだよ。あの人は死んだだって……」

 

バトラの頭をベルクトの細く白い腕が抱き寄せるとベルクトはバトラの白い髪を愛しいものを触るように優しく触るとふわりと潮風と共に聞き慣れ無い声がベルクトにだけ聞こえる。

 

『この子をお願いね』

 

ベルクトはバトラを抱きしめる力を強くする事で答え、離れた小松基地でも同じ声が聞こえたファントムとその声が聞き慣れた2人の少女は強く頷いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

アサガオの花言葉は儚い恋・固い絆・愛情。

 

オドントグロッサムの花言葉は特別な存在。

 

ガーベラの花言葉は希望・常に前進。

 

シオンの花言葉は君を忘れない。

 

フウセンカズラの花言葉は一緒に飛びたい。

 

そして、エーデルワイスの花言葉は勇気と……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切な思い出。




文句では無いが、エースパイロット達に自由度の高い選択を与えると自由に飛び回るを超えて、フリィィィダムに飛ぶエースパイロットが出て来るのがわかった。3分の1フリィィィダム枠だよ!?
まあ、数字の指定はして来たから有効票だけど。それとアイデアも同時にありがとうございます。

それとGFAー1ってX2の初登場時のムービーで見えるシルエットと格納庫で見るシルエットを見て、若干の違いがあるんだなって。

ムービーだと機首の先全部がコクピットのキャノピーかったけど、ハンガーで見るとちゃんと装甲がキャノピーより先に延びているのが改めて見比べてわかった。

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