マイ「艦これ」「みほ2ん」(第2部)   作:しろっこ

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司令がベンチで休んで星空を見ていると日向と山城がやって来て両側に座るのだった。そこに金剛姉妹が来て……。



第65話<星空とベンチ>(改2)

 

「美保のテイトクも負けてないヨ」

 

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マイ「艦これ」「みほ2ん」

 第65話 <星空とベンチ>(改2)

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 私は別に盆踊りを見ても血は騒がない。

 

(やれやれ、妙に緊張したな……ったく)

そう思いながら私は雑多なものから、ようやく解放された思いだった。

そして公園脇の歩道にある白いベンチに腰掛けた。

 

「ハァ」

さすがにちょっと疲れた。

 

 夜空を見上げると星が綺麗だ。都会とは違って地方の空は星の数が多い。改めて、ここは故郷の境港なんだと実感する。

 

(……そうだな。これは夜の大海原か、山奥で見る星空のようだ)

 

 私はふと学生の頃に合宿で見た大山の星空を思い出した。

あの時も、まさに降り注ぐような星空だった。

 

「司令……」

突然の呼びかけに驚いた。

 

「えっと……日向か?」

私は照れ隠しのように反応した。

 

星空を見ながら考え事をしていた私の視界に突然、彼女の澄まし顔がカットインしてきたのだ。

「あの隣、よろしいですか?}

「ああ……」

 

ギッと音を立てて私の隣に座る彼女。

広場で踊った後らしく気だるい表情で、いつに無く艶(なまめ)かしい雰囲気だった。

 

(ゼッタイ日本女性(艦娘)は浴衣だ!)

そんな妄想染みた事を考えていたら、いきなり光るものがあった。

「バシャッ」

 

(フラッシュ……)

思うまもなく私は反射的に顔を押さえて言った。

 

「おいおい青葉さん! 芸能人のスクープでも何でもないからさあ」

ファインダーから目を離した彼女はニタニタしながら言った。

 

「え? あ、済みません。でも艦娘と司令官なら別にスキャンダルにはなりませんから」

「そりゃ……、まあ」

 

ふと隣を見ると意外に日向は恥ずかしそうに俯き自分の手元を見てジッとしていた。

(航空戦艦にしては妙だな)

 

そう思いつつ私は青葉さんに答える。

「そのフラッシュは心臓に悪いぞ」

 

カメラを確認しながら彼女は言った。

「でも……良い絵が撮れましたよ」

 

「ああ……」

青葉さんの顔を見ながら私は言葉を呑んだ。

彼女の背後に、いつの間にか山城さんが亡者のように立ち尽くしていたのだ。

 

思わず鳥肌が立った。

 

 私は改めて深呼吸をしてから問いかけた。

「ど、どうした? 山城さん」

 

「今日はちょっと疲れました。司令……お隣、良いですか?」

ボソボソと呟くように答える山城さん。

 

「あ、ああ」

その言葉にホッとした私は少し席を空けた。

日向が私の方へにじり寄ると山城さんは彼女の外側に腰をかけた。

 

再びギシッと音を立てるベンチ。その分、私の身体が隣の日向に密着した。

 

「暑苦しくて済まないな」

私は、反射的に隣の彼女に声をかけた。

 

微妙に避けられるか? ……と思ったけど。

 

「……いえ」

意外に大丈夫そうだ。

 

 私は彼女の体の温もりを感じながら、そういえば、この夏は日向とも、いろいろあったな、と思っていた。

 

「はぁ」

ため息混じりに私の反対側に鎮座した山城さんが、ゆっくりと髪をかき上げた(ギシッ)。ちょっと大人の色気が……。

 

 すると、このタイミングを量ったかのように降って湧いた金剛と比叡。

「oh! テイトクは隅に置けないネ!」

 

「ホントです!」

どこかのデュエット姉妹か? お前らは……しかし目立つよな、この二人は。

 

「ええ? 何デスか? 似合ってますか?」

私の思考を読み取ったかの如くに私たちの目の前で赤系統の浴衣を着た金剛が一回転をした。

 

「確かに……」

なかなか綺麗だ。

 

「え? よく聞こえないよ!」

ワザとらしく耳に手を当てて笑う金剛。

 

「あ……」

と言いながら慌てて比叡もぎこちなく一回転した。

だが草履が引っかかったのか、ちょっとよろけた。直ぐに金剛に支えられて「えへっ」と舌を出す。

 

その光景を青葉が写真に撮っているから、この場は嫌でも目立つ。

周りの通行人たちも思わず振り返っていた。

 

 金剛が腰に手を当ててウインクをしながら、なおも私をからかう。

「神戸のテイトクは色男だったけどネ。でも美保のテイトクも負けてないヨ。もっと自信持つネ!」

 

「何の自信だよ?」

思わず反論する……ますます分からん。

 

 ただ私の左右に戦艦級の艦娘が密着していると、さすがに暑苦しい。

かといって今すぐに私が動けば、せっかく座った二人に悪い気もする。

 

 ちなみに私に密着している日向は引き締まった筋肉質。その向こうの山城さんは至近距離から見ると意外と、ふくよかな感じで。

 

 ……いかんな、私は何を観察しているんだろうか?

 

 そのとき、突然夜空にヒューと言う音を立てて花火が上がり始める。

公園で踊っていた人たちも、しばし踊りを止めて花火に見とれる。

櫓(やぐら)太鼓の音は花火に負けじと続いていた。

 

 境港は島根半島が直ぐ近くにあるから花火の反響音も他の地域では聞くことの無い独特の残響音になる。

 

「ああ、これは小さい頃に良く聞いた花火の音だなあ……」

ふと懐かしい思いがした。

 

何となく隣から「そうですか?」という呟きが聞こえたような気がしたが花火の音にかき消された。

 

 盆踊りも、いよいよクライマックスだ。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。


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