マイ「艦これ」「みほ2ん」(第2部)   作:しろっこ

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司令は、屋台に飽きた五月雨や寛代を広場へ連れて行こうとして山城さんと合流した。彼女は背後霊のように……



第63話<喧騒と旧友>(改2)

 

「もう、疲れて……はぐれるのが怖い」

 

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マイ「艦これ」「みほ2ん」

 第63話 <喧騒と旧友>(改2)

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 五月雨や寛代にくっついてると、とても盆踊りどころではない。でも、さすがに二人とも屋台には飽きたようだ。

 

五月雨が少し疲れたように聞いてきた。

「済みません司令。お盆って、お店以外にも、あるのですか?」

 

「ああ。盆踊りも広場でやってるよ」

 

「……」

寛代が、そっちへ行こうという感じで私の袖をグイグイと引っ張る。

 

「ああ、分かった。広場に行こうか」

五月雨も特に反対はしないようだ。

 

 私が駅前の広場方面へ足を向けると二人とも左右から私の手を握って歩き出した。

 

(ははは、こりゃ、まるで親子だな)

 

そんなことを考えた。賑やかな屋台と、お盆の人ごみ。この中の誰もが私たちが実は軍人で、この二人が艦娘だなんて想像だにしないだろう。

 

 向こうの屋台の前に背の高い女性が……と思ったら、山城さんだった。

「あれ、大丈夫か?」

 

「司令……、やっと……見つけました」

(うん、その言い方だと、十分に怖いな)

 

私は苦笑した。

 

彼女は、やや俯(うつむ)きながらボソボソと言う。

「もう人ごみは疲れました。もっと広いところへ行きたいです……」

 

「ああ、そりゃ丁度良かったよ。今から広場に行くから、一緒に来るか?」

「……はい」

屋台のランプの明かりと喧騒の中、妙な存在感がある山城さん。背が高いということもあるけど彼女独特のオーラがあって、やはり目立つ。

 

 そんな彼女は私が五月雨と寛代と、しっかり両手をつないでいるのを見た。

「あの……すみません、司令」

 

「はい?」

思わず寒気がする。

 

「あの……私も連結してよろしいですか?」

「えっと」

意味が分からないが否定もできない。

 

「ああ、構わないが」

 どうするのかと見ていると彼女は、そのまま私の背後に回って私の浴衣の帯をつかんだ。マジですか?

 

「もう疲れて……はぐれるのが怖い」

背後から蚊の鳴くような声で訴えるように言う。

 

(可哀想に)

同情はする。独りで佇んでいる山城さんを想像するだけでも怖いから……しっかり掴っていれば良いか。

 

 しかし帯に手をかけてついてくる女性って……どう見ても背後霊だ。

おまけに山城さん意外と長身だから、私の左右の小柄な五月雨や寛代と非常にアンバランスだ。きっと傍目にも実に奇妙な組み合わせになってるに違いない。

 

 かなり悪目立ちするんだが……地元で、この状況で出来れば知った人間に出会わないことを祈るばかりだ。

 

 ……が。

「おう!久しぶり」

 

「!」

嫌だと思うと会うんだよなぁ。

 

ゆっくり顔を上げると、そこには私と同様、小学生くらいの女の子を連れた旧友が立っていた!

 

「お、おう……」

私は生返事をする。

 

「なんだあ! 帰ってたなら声くらいかけろよ」

彼は、やたらと元気に話しかけてくる。

 

「あ、ああ……悪いな」

そいつの子供は私を警戒して少し後ろに下がっている……が、五月雨や寛代も同じく私の後ろに隠れるようにしている。

 

 艦娘の二人はどう見ても私の「子供」に見えるよな。じゃ私の背後の山城さんって、いったい誰? ……ってか。

 

 旧友は自分の女の子を抱き上げて言う。

「おれ、実家の場所は、変わンないからサ。暇になったらいつでも来いよ!」

 

「あ、ああ……」

さっきから同じ返事しかしてない私だった。

 

「あ、お前の子供か?」

いちばん聞かれたくない所を突っ込まれる。

 

「えーっと」

私は返答に窮する。

 

そいつは私の『背後霊』も、すごく気になっているようだ。

 

山城さんに軽く会釈をしてボソボソと小声で聞いてくる。

「背後の人は、あれか? 奥さん?」

 

「……」

ハイともイイエとも言い難い状況だ。

 

おまけに私の背後の山城さんがモゾモゾしている感じがするし。ひょっとして聞き耳を立てているのか?

 

なんと応えたものかなぁ……悩む。

 

「アンタ、ほら行くよ!」

急に人ごみの中から、そいつの奥さんらしき女性がやってきた。

 

(た、助かったぞっ!)

内心ほっとする私。

 

「おう……、あ、こいつ、ホラ、俺の幼馴染」

旧友が私を紹介する。その女性は軽く会釈をした。

 

私も会釈しながら彼女を観察した……言っちゃ悪いが艦娘よりも強そうな奥方サマだよな。

 

改めて私は、この艦娘達で良かったかな。

 

「じゃ、またな」

手を振りながら、旧友の家族は人ごみに消えていった。やれやれホッとした。

 

 地元に着任したから今後も境港の街に出れば、こういうことは頻発するんだろうな。

 

 しかし一人に出会うと、そこから噂がドンドン広がるんだろう……ま、私は、ほとんど鎮守府に詰めているだろうから現実的には街中で出会うってことも少ないだろうけど。

 

「司令……」

背後の山城さんが低く言葉を発した。耳元で? ちょっと、鳥肌が立った……。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。


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