カメ子 レ級   作:灯火011

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とんでも深海棲艦、港湾棲姫とその部下のレ級「エリレ」さん。
彼女らと合流した金剛達キス島攻略部隊は
多少混乱しつつも、キス島へと足を向けるようである。

◆ヘルシングパロディ入りました。
 演説見てたらどうしても・・・!


126 キス島 攻略 その1

■ 北方海域 アツ島より、東へ20キロ地点。

 

約十隻の深海棲艦を目の前に、一人の白き女性が、

静かに、口を開いていた。

 

諸君 私は戦争が好きだ

諸君 私は戦争が好きだ

諸君 私は戦争が大好きだ

 

砲撃戦が好きだ 雷撃戦が好きだ 航空戦が好きだ

対空戦が好きだ 包囲戦が好きだ 追撃戦が好きだ

対潜戦が好きだ 同航戦が好きだ 反航戦が好きだ

 

丁字戦が好きだ

 

北方で 南方で 遠洋で 近海で

泊地で 離島で 内海で 水中で

空中で 沿岸で

 

この海上で行われる ありとあらゆる戦争行動が大好きだ

 

隊列を組んだ艦上爆撃機の急降下爆撃が 轟音と共に敵艦隊を吹き飛ばすのが好きだ

空中高く飛んでいたヤーボが 高射砲でばらばらになった時など心がおどる

 

戦艦の操る巨大な三連装砲が 敵艦を轟沈させるのが好きだ

悲鳴を上げて 燃えさかる艦隊から飛び出してきた駆逐艦を

一斉射でなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった

 

対潜ソナーを揃えた駆逐艦隊が 敵の潜水艦を蹂躙するのが好きだ

恐慌状態の艦隊が、何度も何度も、

爆発炎上する敵艦を砲撃する様など、感動すら覚える

 

敗北主義の逃亡兵達を前線に派遣し、散っていく様などはもうたまらない。

 

逃げ惑う敵艦共が 私の降り下ろした手の平とともに

轟音を上げる連装砲によって、轟沈していくのも最高だ。

 

哀れな水上打撃部隊が、闇夜で必死に策敵している最中、

我々の艦隊が、海域ごと木っ端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える。

 

---上空を、見慣れた、 グラマン鉄工所の飛行機が通る---

 

(アァ・・・アレハ)

 

・・・潜水艦隊に滅茶苦茶にされるのが好きだ。

必死に守るはずだった拠点が蹂躙され

資源と艦隊を、根こそぎ奪われていくのは

とても、トテモ、悲しいものだ。

 

英米の物量に、押し潰されて殲滅されるのが好キダ。

奴らの航空機に追い回され、嬲られ続けるのは屈辱の極みだ。

 

なぁ、ソウダロウ。キス島に沈んだ諸君。

 

ナァ?

諸君 私は復讐を 地獄の様な復讐を望ンデイル。

諸君 私に付き従う大艦隊諸君。

君達は一体 何を望んでいル?

 

更ナル闘争を望むか?

生者の顔に泥を塗る、糞のような復讐(自己満足の極み)を望むか?

鉄風雷火の限りを尽くし 三千世界の鴉を殺す 嵐の様な闘争を望むか?

 

(復讐を!)(闘争を!)(戦いを!)

 

(((我々は、もっと戦えたはずなのだ!)))

 

・・・・よろシイ、諸君。ならば戦争だ

 

我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする握り拳だ。

だが、この暗い海の底で半世紀もの間 堪え続けてきた我々に

タダノ戦争では モハヤ足りない!!

 

世界大戦を!! 一心不乱の世界大戦を!!

 

我ラハ僅かに一個大隊 十艦に満たぬ敗残兵にすぎない

だが諸君は 一騎当千の古強者だと私は信仰シテイル

ならば我らは 諸君と私で総兵力1万と1隻の大艦隊トナル

 

我々を忘却の彼方へと追いやり

慢心している連中を叩き起こそう。

 

徹甲弾をばら撒いて、眼を開けさせ思い出させよう

 

連中に恐怖(太平洋戦争)の味を思い出させてやる

連中に我々の(砲撃)の音を思い出サセテヤル

 

海と陸のはざまには、

奴らの哲学では思いもヨラナイ事があるこトヲ思い出させてやる

 

・・・さぁ、諸君。予想通り、奴らを救いに彼女らが来タヨウダ。

諸君、私は約束通り、敵を、戦場を連レテキタゾ。

 

(((提督、提督殿、代行、代行殿、大隊指揮官殿!!)))

 

そして、今度こそ我らは敵を撃滅し、桜の丘へト登る。

 

---頭上には、見慣れたミートボールの偵察機が一機。---

 

ククク・・・!サァ!諸君。

 

地獄ヲ作ルゾ(吶喊)

 

 

酔っぱらいの戦艦レ級が、鮭を持って調理場に案内されているその頃。

飛行場姫と、港湾棲姫は、お互いの状況を話し合っていた。

 

「ソレニシテモ。最近ミナイナートオモッタラ。

 横須賀ニイタノネ。皆ケッコウシンパイシテタ。」

 

「あら、そうなの?

 南方棲戦姫には毎週レポートと

 撮った写真を渡しているはずなんだけどね。」

 

「ソウナンダ。ジャア、私カラモツタエテオク。

 横須賀デ面白ク生活シテルッテ。」

 

港湾棲姫はそう言いながら、あぶくまの司令室の

一番いい椅子に自然と座る。

 

「フッカフカネー。イイワネ、現代艦。」

 

「そこは貴女の席じゃないのだけどね。

 ・・・・はぁ、もういいわ。好きにしなさい。

 全く、貴女も自由よねぇ・・・。」

 

「アナタホドデハナイトオモウ。」

 

「はいはい・・・。それにしても、鮭ねぇ。

 確かに美味しいけれど、獲りに来るほどだったのかしら?」

 

飛行場姫は、今にも椅子にもたれかかり、

眠ろうとしていた港湾棲姫を、訝しげに見つめていた。

港湾棲姫は顔だけを飛行場姫へと向けると

眠そうな顔のまま、ゆっくりと口を開いていた。

 

「ンー、ダッテ南方海域ジャメッタニミナイシ。

 ソレニホラ。皮ガタベタクナッタノ。皮。

 缶詰トカ、乾物ジャ、楽シミキレナイデショ?」

 

「それはそうだけれどね。

 まぁ、いいわ。全く、あたなといい、水母といい・・・。」

 

飛行場姫は少しだけ頭を抱える。

自分の周りの姫やレ級は、なぜこんなにも自由なのか。

 

(まさか、港湾棲姫がカメラに毒されてる私並に自由だったなんてね。

 これは、南方棲戦姫は苦労するわねぇ・・・。)

 

そして、戦況は混乱させるものの、それほど艦娘にも深海棲艦にも

迷惑をかけているわけでもないため、別段咎める気にも成らなかった。

 

「ット。ソレジャア飛行場姫。ワタシハソロソロイクワ。」

 

「・・・あら。もういくの?

 ま、邪魔をしないように気をつけてね。

 ここにいるのは、人間と艦娘だけなんだから。」

 

「ワカッテルワ。オ酒ヲレ級ト呑ムダケヨ。」

 

「そ。ま、ゆっくりしてなさい。」

 

飛行場姫はそう言うと、自身の艦載機へと意識を飛ばす。

未だ、キス島及び、艦隊の周辺は、濃霧に包まれていた。

 

 

 

一方その頃、カメラのレ級と、金剛達は

巡航速度にして15ノット程度で、北の寒々とした海上を、ゆっくりと進んでいた。

 

そして、そのさなか、エリレの握った鮭のおにぎりと

温かい鮭のアラ汁を食していた。

 

「ムゥウウ・・・。美味しいデースねー。

 鮭の皮の香ばしさがまたおにぎりと合いマースねー。」

 

金剛は鮭のおにぎりを片手に、アラ汁をすする。

 

「うむ。エリレ。旨いぞ。

 大和にも食べさせてやりたいぐらいだ。」

 

武蔵も同様に、アラ汁をすすりながらも

にこやかに笑みを浮かべていた。

 

「・・・これは気分が高揚しますね。

 赤城さんにもぜひお裾分けしたいですね。」

 

加賀は、いつもとかわらぬ表情である。

が、少し声のトーンが高いことから

気分が高揚していることがわかる。

 

「これはいい・・・!なぁ、エリレ。

 もっとないのか?少々足りぬ。」

 

そして、加賀の横についている菊月も、

おにぎりと、アラ汁にがっついていた。

 

「旨イカー!ヨカッタ!

 作ッタカイガアッタゼ!」

 

艦娘全員の反応をみたエリレは、満足そうに笑う。

そんなエリレを見ながら、カメコも口を開いていた。

 

「流石よっぱだなぁ!

 旨いぞー!しかもアラ汁と相性ばっちりじゃねーか。

 体あったまるし、最高だぜ。」

 

「イイダロー。新鮮ナ鮭ノアラ使ッテルカラナ。

 雑味モネーシ。イイアジニナッテルゼ」

 

「そう言われてみれば、臭みがありませんネー。」

 

金剛はアラ汁をすすりながらも、エリレに口を開く。

実際、臭みが全く無く、野菜の甘味と、シャケの旨味、

そして、ほのかな香ばしさがアラ汁には詰まっていた。

 

「ソウダロソウダロ。

 アト、チョット鮭ノカワモ、アブッテアルンダ。

 ダカラ、皮ノ臭ミモスクナイハズナンダ。」

 

「ほぉ・・・エリレよ。細かい技が光るな。」

 

武蔵もアラ汁をすすりながら、エリレに対して口を開いていた。

その顔は、満足そうな笑みを浮かべている。

 

「細カイ技ッテワケデモネーヨ。

 ドウセツクルナラ、美味シイホウガイイシナ。

 ナニヨリ、私ガ美味シクタベタカッタシ。」

 

エリレはそういうと、自身の格納庫へと手を伸ばし

ウィスキーの竹鶴を取り出していた。

 

「酒モモッテキテルカラナ。ウン。」

 

そんなエリレの姿に、金剛達は、一斉に口を開く。

 

「結局は酒なのデースね。」

 

「結局は酒か。」

 

「結局お前は酒なんだな。」

 

「結局はお酒なのですね。

 ま、その御蔭で美味しい戦闘食をいただけたからいいのですけれど。」

 

「よっぱは流石だなー。酒のためなら何でもするもんな。」

 

金剛、武蔵、菊月、加賀、カメコの順である。

 

「否定ハシネーケド、ソノイワレカタハ何カ納得イカネー。

 今食ベテルアラ汁トオニギリ、返シテモラオウカ。」

 

エリレはにやりと笑みを浮かべると、静かに手を差し出していた。

その姿に、金剛達は苦笑を浮かべ、「冗談デース!」と

笑い声をあげるのであった。

 

「マッタクヨー。マ、酒好キッテノハ否定シネーケドナ?

 マ、ソレジャア私ハソロソロ戻ッテ、港湾棲姫ト酒ノンデルワ。

 ジャーナー。」

 

そして、エリレはそういいながら、旗艦あぶくまの甲板へと

一気に飛び上がっていった。

 

 

「・・・嵐のようデーシたねぇ。エリレ。

 それにしてもデース。本当においしかったでーすね。

 体も温まりマシたし、最高デーシた。」

 

金剛は、あぶくまへと去っていったエリレの背中を見ながら、

笑みをたたえたまま、呟いていた。

 

「本当にな。旨かった。それにしても深海棲艦も個性的だな。

 カメラのレ級だけかとおもいきや、あんなのもいたなんてな。」

 

武蔵は未だ手元に残る、鮭のオニギリを見つめながら呟く。

その顔は、少しだけ頬笑みを浮かべていた。

 

「本当に、そうですね。カメラのレ級だけではなく

 ああも友好的なレ級が、また現れるとは思いませんでした。」

 

そういうのは加賀である。

その顔は無表情であるが、若干、口調が穏やかだ。

 

「レ級は変わっているな。それにしても、もう一個ぐらい

 おにぎりもらえないだろうか・・・。おいしかった。」

 

菊月はどうやら、レ級よりもおにぎりをご所望のようである。

 

「あいつの料理は本当に旨いからなー。

 時々私も呑ませてもらってんだけど

 酒も肴も、旨いの持ってくるしな。」

 

カメコは誇らしげな顔で、金剛達の言葉に答えていた。

やはり、同じ深海棲艦、更に、特に親しいヨッパの料理を

褒め称えられたとなれば、誇らしいのである。

 

「マ、それはそうとして、気を入れ直しまショー。

 あともうひとぶんばりデース!」

 

そして、エリレから渡された戦闘食を食べ終え

金剛が気合の一言を叫んた、その時である。

 

濃霧の中に、にやりと、笑みを浮かべる一本角を持った白い女性と

その両脇を固める戦艦ルが、そこに立っていた。

 

「ファッツ!?いつの間にっ!?」

 

金剛が驚きながらも、戦闘態勢をとるものの

既に時遅し。戦艦ル級の主砲が、光とともに爆音を放った。

 

いきなりの発砲に、回避運動も防御も間に合わない。

 

だが、戦艦ル級の砲撃は、金剛達艦娘の頭上を飛び越していた。

そして、そのまま金剛達の後方へと弾丸は飛び続け

・・・護衛艦あぶくまに、戦艦ル級の砲撃が直撃してしまったのだ。

 

響く轟音に、立ち上る炎。

その様から、軽い損傷ではないことが判る。

 

だが、まだ沈んでは居ない。

偶然にも、居住区画をふっ飛ばしただけで

CICやら主機やらは、無傷であった。

 

「・・・チッ」

 

舌打ちするは「あぶくま」に棲む飛行場姫だ。

警戒をしつつ、最適な道を選んだはずであった。

だが、結果はどうだ。

 

撤退作戦の旗艦の護衛艦あぶくまを

敵の姫らしき存在の正面に当ててしまったのだ。

 

そして更に、敵の艦載機が霧の中から数十機と飛び出してきたではないか。

 

不幸中の幸いとしては、キス島攻略部隊の面々が

エリレの作った戦闘食のおかげで戦意高揚状態であることか。

 

「全く・・・・ヤキが回ったかしらね。私も・・・!

 艦載機連続発艦。全機、加賀の艦載機と協力して

 敵の艦載機を叩き落としなさい!

 それと金剛、武蔵!先に戦艦ル級を!レ級もいきなさい!」

 

飛行場姫は腹から声を出し、大音声で自身の艦載機と

艤装、金剛達艦娘に下知を飛ばす。

 

「判ってるネー!コッチの旗艦に傷を付けた代償、

 しっかりと、払ってもらいマース!

 私と武蔵は左舷、レ級は右舷をお願いマース!」

 

「了解だ、金剛よ!

 ・・・深海棲艦、一発は一発だ。ツケは払ってもらうぞ!」

 

金剛と武蔵も、顔に青筋を立たせながら、砲撃音を響かせる。

 

「あいよぉ!くはは!さぁ、新しい姫とはぁ!おもしれぇ!

 力比べと行こうぜぇ!」

 

レ級はそう叫びながら、眼から蒼いオーラを滾らせると、

敵の姫らしき存在へと、一気に吶喊していった。

 

そして、加賀も無言ながらに、首を縦に振ると

自身の艦載機を次々と発艦させていた。

菊月も自らの主砲と対空砲を空に掲げ、加賀の護衛に入る。

 

状況が一気に動き出した、その瞬間である。

 

「「アアアアァァアアアアア!!!!」」

 

あぶくまの船内から、

とてつもない大きな悲鳴が響き渡ったのである。




妄想捗りました。

反省は少しだけしている。

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