カメ子 レ級   作:灯火011

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横須賀鎮守府に現れると噂されれている戦艦レ級。
彼女の日常は、はたしてどうなっているのでしょうか。


108 カメ子さんの日常 その1

「戦艦レ級」

 

深海棲艦と呼ばれる存在の中でも特に上位種に位置する艦種である。

 

開幕の航空戦、そのあとの魚雷、そして砲雷撃戦、対潜戦闘と

全てにおいて高水準で纏まっている深海棲艦であり、更に言えば

艦娘を見かけると、喜々として襲撃を仕掛けてくる厄介な敵だ。

 

が、ここに1隻、全く規格に当てはまらない戦艦レ級が居る。

 

そのレ級は、肩からカメラの入ったホルスターを6つほど下げ、

尻尾には、夜戦用の巨大なサーチライトが4つ装備されている。

そして、格納庫にはタブレットとカメラ用品を備えている戦艦レ級である。

更に言うと、艦娘を見つけると、喜々としてカメラで写真を撮影してくる。

 

そしてなによりの特徴は、金色のオーラである。

艦娘の姿に興奮しまくった時、本気で戦う時、

おふざけの威嚇の時などに纏うもので

この戦艦レ級が、ただの戦艦レ級ではなく

「戦艦レ級フラッグシップ改」ということを表している。

 

つまるところ、戦艦レ級フラッグシップ改の癖に

艦娘に全く敵意が無いどころか、完全に武装解除をしたうえで、

カメラガン積みの姿で、写真撮影をしてくるという

文章にすると訳のわからないレ級フラ改である。

 

 

しかも最近は、紆余曲折ありながらも

深海棲艦の中で唯一、横須賀鎮守府の一角に、

よりによって自室を与えられていた。

 

海軍や人間、艦娘に特に危害を加えない深海棲艦ということで

横須賀鎮守府どころか大本営も、勿論認知済みである。

 

 

戦艦レ級フラッグシップ改。

武装を持たず、カメラのみを装備して、日々陸と海を行き来する

生粋の写真好き。

 

そんな変な戦艦レ級は、私服姿でベッドに腰かけながら、

自室の窓から空を眺めていた。

 

「今日は空が蒼いのよー。写真びよりなのよー。」

 

私服と言っても、我々が知る私服とは少し違う。

女学生が一般的に着るセーラー服の姿で、

更に言えば、ニーソックスだ。

そして、髪にはヘアピンがキラリと光り

よくよく見れば、制服の端に「Ⅲ」というピンズがとりつけられている。

 

そう、何を隠そう、今レ級が着ている私服・・・もとい制服は

第六駆逐隊の正装なのである。

 

なぜ、レ級の私服がそんな恰好をしているのかといえば、

雷という艦娘と出会ったときに、

 

---パーカーしか持ってないの!?

  ・・・仕方ないわね!私の服を貸してあげるわ!----

 

と、無理やり押し付けられたものである。

 

「たーだーしー。今日は皆ではらっちゃってるしーぬぁー」

 

第六駆逐隊の恰好をしたレ級は、今日の艦隊の動きを思い出しながら

自室でのんびりとしながら、呟いていた。

 

「大和達と提督はサーモン海域北方いっちゃったし、

 姫様と菊月はなんか大本営行っちゃったし・・・・。

 他の艦娘はみんな演習と遠征いっちゃったしぬぁー」

 

鎮守府に入り浸って平和ボケしているとはいえ

レ級の頭脳は、本日の横須賀鎮守府の動きを完全に把握していた。

 

「金剛達呉の面々は暫く来ないっていってたシー。

 工廠の明石と夕張なんかは次の作戦の秘密兵器作るって、

 やばい笑みしてたから近づきたくないしー」

 

レ級は、演習が終わってしばらくした後に、

明石と夕張に迫られた事を思い出していた。

 

(・・・レ級さぁん?深海棲艦の航空機かしてくれないかなぁ・・・?)

(レ級さぁん?演習で使ってた41cm砲ちょっとバラさせてくれなぁい?)

 

---うわぁ・・・口角だけ上がって目が笑ってねぇ----

レ級はその時、明石と夕張のあんまりの剣幕に

ただただ、大人しく、明石と夕張に、

自身の航空機と主砲を渡してしまっていたのである。

 

「っていうか、私の航空機と主砲で新兵器開発されたら、

 深海棲艦ヤヴァイじゃん。・・・いやでも、とり返しに行くの怖いしなぁ」

 

レ級は、神妙な顔で呟いていた。

戦艦レ級の装備は、フラッグシップ改ということもあり

他の深海棲艦とは一線を画しているので、解析されると実はまずいのである。

 

「ま・・・・いいかー。私としちゃぁ、良い写真撮影できればいいし。

 うち(深海棲艦)も何か開発してるだろうしなー」

 

レ級は呟きながら、自分を納得させる。

なにせ、明石と夕張のもとにいけば、それこそ自分の艤装全てを解体される、

そんな予感がしていたのである。

 

「・・・まー、そうだな。せっかく晴れてるし。

 横須賀の街へとでも繰り出しますかねー」

 

レ級はそう呟くと早速立ちあがり、出かける準備を始める。

部屋の壁にかけてあるカメラの中から、

50ミリ、単焦点レンズが装着されている一眼レフを選ぶと、

早速カメラを肩にかけ、タブレットをかばんに仕舞いこんだ。

 

「標準単焦点レンズでスナップ、秋の横須賀の風景でも撮りますかぁ。

 ・・・あっ、そうだ」

 

レ級は思い出したように、自身の机の棚を空けると

牛革で出来た質素な財布を取り出していた。

そして、財布をタブレットの入っているかばんに押し込むと

かばんを背負い、靴をはき、ドアノブに手をかける。

 

「せっかくだから昼ごはんも外で食べてこよう。

 横須賀海軍カレーおいしいんだよねぇ」

 

呟くと同時に、レ級は自室のドアを開け、

早速、横須賀の街へと繰り出そうとしたときである。

 

「おや、レ級殿。お出かけですか?」

 

低い声で、話しかけられていた。

 

声の主は、中肉中背であり

拳銃を所持し、大きめの刀を帯刀していた。

横須賀鎮守府の警備隊、つまりは特警である。

 

レ級は、特警に顔を向けると、

にっこりと笑みを浮かべながら、言葉を返していた。

 

「うん。暇だからね。艦娘もいないし。

 ご飯食べて帰ってくる。」

 

レ級はカメラを特警に見せる。

 

「そうですか。ま、大丈夫だとは思いますが

 くれぐれも、人類に危害を与えないようにお願いしますね」

 

レ級は、制服のスカートに全く納まらない尻尾をぶんぶんと振りながら

特警に笑顔を向けながら、口を開いていた。

 

「大丈夫だよー。むしろ、こんな尻尾を持った化物に

 優しくしてくれる横須賀の街の人に感謝してるくらいだー」

 

特警はぶんぶん振られるレ級の尻尾を見ながら、笑顔で口を開く。

 

「はは、まぁ、横須賀の街は艦娘も闊歩しますからね。

 異形にも慣れているんです。あと、鹵獲されている姫様もおだやかですから

 深海棲艦への印象も変わってきてるんですよ」

 

「あははは。それだったら、深海棲艦で、

 私みたいのが何隻かいるからさ。

 人型の深海棲艦、案外話通じる連中多いよ?

 どっかで見つけたら、そのうち連れてくるよ。」

 

にやりと笑みを浮かべるレ級。

 

「・・・ううん、レ級殿以外となると正直怖いですよ。

 ま、そこらへんは、ほどほどにしておいてくださると助かります。」

 

特警は、冷や汗をかきながら、苦しげに呻いていた。

レ級は特警の姿を見ると、笑いながら口を開く。

 

「あはは、わかってるわかってる。冗談だって。」

 

「あなたが言うと冗談に聞こえませんから。

 ・・・そういえばその服、第六駆逐隊の物ですか?」

 

特警は、レ級の服装を見ながら、レ級に質問を投げかける。

レ級は自分の姿を確認しながら、質問に答えていた。

 

「あ、よくわかるねー。サイズもぴったりなんだよね。

 パーカーよりは目をひかないし、かわいいからいいなーって」

 

「確かに。パーカー姿のレ級殿は本当に異形ですからね。

 今の方がお似合いです。・・・といいますか」

 

「ん?何か気になる?・・・もしかして着方間違ってた?」

 

「いえ、こう落ち着いてレ級殿を見ていると、

 尻尾があるにせよ、雷に良く似ているな、と」

 

特警の言葉に、レ級は笑みを浮かべ、少し大声で口を開く。

 

「ああー!それ、提督殿にも言われたよ。

 でも確かに、似てるー。なんでだろうね」

 

レ級は笑顔のままで首をかしげていた。

特警も、同じように笑みを浮かべながら、更に言葉を続けていた。

 

「提督殿にも言われたのですか。でも、本当に雷にそっくりです。

 不思議なこともあるものです。・・・おっと、

 長く引き止めてしまいましたね。申し訳ない。

 それでは、横須賀の街、楽しんできて下さい。」

 

「ん。いいよいいよー。御気になさらず、特警殿。

 それじゃー行ってきます。」

 

レ級は、特警に手を振りながら、

鎮守府を後に、今度こそ、横須賀の街に繰り出すのであった。




妄想捗りました。カメ子さん。フリー。


そう言えばカメコさんのカメラ装備はこちら。

カメラ本体 1D  6個 em5 1個 A01 1個
ストロボ  600ex 6個 600r 1個
レンズ   16-35,24-70,70-200 F2,8通しズームレンズ
      35,50,85 単焦点
      14-150 ズームレンズ 12-80pro ズームレンズ
タブレット     3個
※カメラはWiFi改造仕様+格納庫内に各種充電設備完備
※あくまで目安です。

案外一般的かも。

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