「ほら、この子がアマタだよ」
ゴメス(後は父と呼称)は俺を監督官の部屋に連れてきた。更には医者のジェームズも。そしてこのジェームズは主人公の父親。そしてジェームズの子供が「101のあいつ」になるわけだ。
「だぁだぁ・・・」
アマタは頭のてっぺんをゴムで結んだ、所謂パイナップルヘアというやつだ。初対面の時にその髪型を見て笑ったが、今はもう耐性がついているのでもう笑わない。
「アマー」
一応、アマタと言おうとしたものの、赤ちゃんなので話せません。仕様です。
「おお、ゴメス。君の息子は頭がいいな、そうだアマタだ」
と娘にデレデレな監督官。まあ、分からなくもない。パイナップルヘアだけど、だからこそ可愛い。俺の言うことが分かった監督官にはサービス。
「かんと~!!」
「おお、そうだ。監督官だ」
通じたみたいだな。
「お、俺のことは」
父は自分のことも呼ばれようと必死になる。
「ゴメス!!」
ズル!漫画の滑りと同じような効果音と共に顔面からこける父。無論やらせである。
「はっはっは!ゴメス、私がいつも言っているから覚えてしまったようだ」
父の背景にはブルーの縦線が入るような感じで項垂れ、笑いながらすまないと言う監督官。結構カオスだ。
「ユウキ君、ほら私の娘だ。よろしく頼むよ」
目の前に来たのは、ダークブラウンの髪をお下げにした女の子だ。例えて言うならば、「ト●ロ」のめいちゃんであろう。
「この子はシャルロットだよ」
ジェームズはシャルロットの頭を撫でて、俺の横に座らせた。
「シャ~ル?」
変な風に伸ばすアマタ。まあ、赤ちゃんだから仕方ないか。
「アマタ、よく言えたね。お友だちのシャルロットだ。仲良くしなよ」
「ほら、ユウキ。シャルロットちゃんとご挨拶。」
父にだっこされ、シャルロットの前に下ろされた。
「シャル」
俺は何とか言えた。ロットはまだ発音出来ない。まあ、外国だと言葉を短く発音するからな。このまま、愛称となっちゃうんじゃないか?すると、シャルは俺が座っている所まで来て、頭を撫で撫でし始めた。
「一年遅いが分かったのかな。お姉さんだね」
確か、ジェームズの息子・・・この場合は娘か。確か、ジェファーソン記念館で生を受けた。あんな地図の端っこから、中央部に位置するここまで赤ちゃんをどうやって連れてきたのか。そしてメガトンまで行ってvault101に入ってしまう、ジェームズとシャルロットは運が良い。
赤ん坊に撫でられると和むなぁ・・・。おれも赤ん坊だけど。
うん、母子家庭で姉が居なかったから、結構新鮮だ。
と感傷に浸っていたが、シャルロットは俺の髪を引っ張り始めた。
「ぶぇぇぇぇん!!」
何すんだ!こんにゃろ~!
やっとふさふさし始めた髪を引っ張るな。
「はははは、赤ちゃんの髪の毛はフワフワしているから気になっちゃったんだろう。」
ジェームズ!
でかくなったら、その髪の毛全部引っこ抜いてやる!
おお泣きした俺をあやすように、父は俺を抱っこしてよしよしとあやした。これが“vault101のあいつ”と呼ばれるシャルロットとのファーストコンタクトだった。