比企谷八幡がイチャイチャするのはまちがっている。   作:暁英琉

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八幡「影武者メーカー?」

 高校三年生は否が応でも受験生という肩書きを背負わされるわけだが、だからと言ってまだ新年度が始まったばかりのこの時期は余裕がある。俺のような成績優秀者ならなおさらだ。

 となると、休日にまで必至こいて勉強する気にはなれずに読書などを嗜むわけだが、最近はスマホを弄ることも度々ある。暇つぶし機能付き目覚ましの“暇つぶし”機能もなかなか馬鹿に出来ない。適当なアプリをインストールして遊んでいたら夜だったということもあるくらいだ。うーん、実に堕落的。

 そして、休日であるその日も、最近人気らしいアプリゲームのリセマラでもやろうかとベッドに寝転がりながらスマホに手を伸ばした。課金しなくても何度でもガチャが引けるリセマラってマジ神。けど、最低レアリティが100回連続で来るとめちゃくちゃストレス溜まるんだよな。やっぱリセマラってクソだわ。まあ、それでもやるんですけどね。

 スマホを手に取り、ホームボタンを押してメインメニューを開いて――

 

「……ん?」

 

 乱雑に並べられたアイコン達。その中に見覚えのないアイコンがあり、操作する手が止まった。棒人間が二人並んでいるようなシンプルなアイコンに『影武者アプリ』という名前。はて、こんなものいつインストールしただろうか。試しにアイコンをタップしてみるとアプリが起動する。

 

 

『やあ。このアプリを開いたということは、君は影武者が欲しいんだね。このアプリ“影武者メーカー”は名前の通り、現実世界で君を手助けしてくれる影武者を作り出すアプリだよ』

 

 

「……うさんくせえ……」

 

 マジで胡散臭いことこの上ない。新しい詐欺商法なのではないだろうか。“影武者を作る”ボタンを押したら多額の架空請求が来るとかそういうやつ。いや、天下のリンゴ社製品でそういうことができるだろうか? アプリになっているということは審査通っているってことだしな。やっぱりインストールしたこと自体を忘れていたゲームアプリか何かだろうか。

 

「影武者……ねぇ……」

 

 そんなものを気軽に作ることができたなら、どんなに楽だろうか。奉仕部への依頼や生徒会の手伝いのせいか、最近は特によく疲れがたまる気がする。新学期になってからやること多すぎるんだよな……。

 

「いや……それだけじゃないか」

 

 雪ノ下に由比ヶ浜、それに一色。彼女たちを特別に思っているという自覚はある。けれど、いやだからこそか、接し方が分からない。傷つけたくないからこそ、伸ばす手は慎重になって尻込みしてしまう。近づきたいけれど、間違えたくない。考えて考えて考え続けて、答えは出なくて気疲れしてしまうのだ。

 そんなときに、上手くやってくれるような影武者がいれば。

 そう考えると、自然と指は画面をタップしていた。

 

 

     ***

 

 

 結論から言うと、“影武者メーカー”は本物だった。画面をタップすると、どういう原理なのかスマホの画面から俺そっくりの人間が出てきたのだ。ホログラフではない、実態を持った人間が。声まで一緒なのだからさらに驚きだ。CV.江口拓也って感じ。

 試しに月曜日に学校に行かせてみたが、誰かに違和感を持たせることもなかったらしい。雪ノ下にはいつも通り罵倒され、由比ヶ浜にはキモいと言われ、一色には手伝いをさせられたと涙ながらに語られて、俺も涙目になった。心の傷を共有できるとかそれだけで影武者メーカー最高なのではないだろうか。いや、実質心の傷二倍だから駄目な気もする。

 後で気づいたのだが、どうやらこの影武者メーカー、全くのコピーを作れるだけではないようだ。数学を得意にすることもできれば、コミュ力をカンストレベルまで上げることもできるようで、俺は嬉々として影武者を量産した。便宜上、作った七人は一幡から七幡と名前をつけた。一幡は最初に作った俺の完全コピーで、二幡はテスト対策で理数系特化。三幡はコミュ力マシマシにして、四幡は奉仕部や一色と接するために話術を高めた。五幡は俺以上のステルス性能を持たせて誰からも認識されずに作業ができるようにして、六幡には喧嘩の強さを与え、七幡は用事のブッキング対策に完全コピーを作った。いや、本当は四幡くらいで留めるつもりだったのだが、いかんせん当の四幡が言葉巧みに女子を口説いたりしてダブルブッキングやら喧嘩やらを呼びこんでしまうために増やさざるを得なくなってしまったのだ。帰ってきた四幡から雪ノ下、由比ヶ浜、一色とそれぞれ休日にデートすることになったなんていうトリプルブッキング事案を聞いた時の俺の絶望は誰にも想像できないだろう。

 そうやって七人も影武者がいると、極論オリジナルの俺が学校に行かなくてもなんとかなるもので、最近は一幡にスマホを渡して俺は部屋で自由に過ごしている。ぶっちゃけ高校三年の文系の授業なんてさして新しいことも出てこないし、自宅学習した方がなにかと効率がいい。気分が乗らない時は好きに読書やゲームもできるからな。

 

「あー、ぼっちさいこー!」

 

 なんという自由な生活だろうか。思えばここ一年、平塚先生によって強制的に奉仕部に入れられて以来、なにかと一人になれる時間も少なかった。あの空間は俺にとってもはや失いたくないほど大切なものだが、ぼっちとして十六年半生きてきた身には一人の時間も大切なのだ。

 

「ゲームでもするか」

 

 いや、ひょっとしたら俺ってば今日本で一番自由まであるな。時間割に縛られない学生とか俺くらいなのではないだろうか。マジで影武者メーカー神アプリだわ。

 

「あ、新刊買ったんだっけ」

 

 マジ悠々自適な生活 is GOD。

 

「そろそろ勉強でもするか……」

 

 本当にこの生活……。

 

「…………」

 

 楽しくない。

 さっきからゲームも読書も勉強も全然続かず、すぐに飽きてしまう。どこか身が入らなくて、背もたれにべったりと身体を押し付けて上を見上げる。ようやく見慣れた天井に焦点が合って肺からくはあと空気を吐き出すと、空気の抜けた胸の奥がぽっかりと虚無感に苛まれた。

 一度感じたそれは肺を空気で埋めてもなくならなくて、むしろ思い出したように広がっていき、全身を包み込んだ。暇ともまた違うその感覚は、あえて言葉で表現するなら……。

 

「寂しい、な……」

 

 呟いて、思わず乾いた笑いが漏れてしまう。どうやら俺は、俺が思っていた以上にあの騒がしい連中が大切だったようだ。孤独が心地いいと感じなくなってしまったあたり、ぼっちとしては落第レベル。もうプロぼっちなんて名乗れないかもしれない。

 でも……それでも構わないのかもしれない。

 

「……行くか」

 

 一度自認した寂しさはいつまで経っても拭えず、時間が経つにつれてどんどん溢れだしてくる。俺はそれに身を任せて、準備もそこそこに部屋を飛び出した。

 

 

 

 学校に着いた頃には既に放課後で、運動部の元気な声がグラウンドや体育館から聞こえてきていた。声のする方には目もくれず、一直線に昇降口を目指した。進級で場所の変わった自分の靴棚の蓋を開くと――上履きではなく、見覚えのある靴が入っていた。間違いなく俺の靴だ。

 

「チッ……」

 

 影武者が俺の代わりに学校に来ているのだから当然なのだが、どうにも苛立ちが収まらずに舌打ちをしてしまった。仕方がないので靴をその場に脱ぎ捨てて、何も履かずに校舎内に入る。迷いなく向かう先は特別棟の三階。

 人気のない廊下を足早に進む。固い床を裸足で踏みしめる度に地味な痛みを訴えかけてきたが、気にしていられなかった。そんな事よりも、少しでも、一秒でも早くあの空間に、奉仕部に行きたかったのだ。

 そんなに遠くない距離。しかし、それがやけに遠くに感じられて、永遠に届かないのではないのかと錯覚してしまう。まあ、所詮そんなものは錯覚なわけで、やがて俺の身体は部室の目の前にたどり着き、ほっと息をついた。入口の引き戸に手を伸ばして――

 

「せんぱ~い、ここってどう解くんですか~?」

 

「ん? ああ、そこはな……」

 

 扉に触れる前に止まった。中から聞こえてくるのは一色と俺……の影武者の声だ。つうか、あいつまた部室に来てんのか。生徒会がないならサッカー部に行けばいいものを。

 しかし、焦りすぎてすっかり忘れていたが、今部室には俺の影武者がいるんだよな。そんなところに俺が入ってきたら、あいつらは混乱してしまうに違いない。あまりことを荒立てるつもりもないし、少し様子を見てみるか。

 小さく扉を開けて中の様子を覗くと、どうやら一色に勉強を教えているようだ。いつもの定位置の隣に一色が座っていて……いや待て、気のせいか一色と影武者の距離が近い気がする。

 

「こういう問題は主人公の心情部分がキーになるんだから、この話ならここを読み込むんだ」

 

「ふむふむ、なるほど~」

 

 影武者がテキストを指差すと、一色がぐいっと顔を近づける。肩が触れ合うどころかもはや密着するが、影武者は動じた様子もなく解説を続ける。あんなにくっつかれて動揺しないところを見ると、あれは四幡だろうか。いや、四幡にしては口調が固い気が……。

 

「ヒッキー、あたしにも勉強教えてよ!」

 

 一通り一色の講師を終えた影武者に、今度は由比ヶ浜が席を立って近づく。教科書を持って座ったのは一色の反対側で、やはりいつもよりも俺――この場合は影武者だが――との距離が近い気がする。

 

「はいはい、じゃあ中学校の教科書出して」

 

「なっ!? あたし高校生だし! これでも受験生なんだからね!」

 

「冗談だから、あんまり怒んなよ」

 

 犬が威嚇するように犬歯を覗かせる彼女を宥めながらそいつは……そっと頭を撫で始めた。突然の事態に思わず漏れそうになる声をなんとか堪える。お兄ちゃんスキルのはずの頭撫でを受けた由比ヶ浜は、少し恥ずかしそうに頬を染めながらも「別にいいけどさ……」と尻すぼみに答えていた。

 あれは……本当に俺なのだろうか。俺の影武者なのだろうか。

 

「比企谷君」

 

 あっけにとられながらそう考えていた俺の耳に、澄んだ声色で俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 部室の中央に置いてある長机。俺の定位置とちょうど反対側にある席に座っている少女伏せていた顔をすっと上げる。

 そうだ。部室で平然とこんなことをやっていたら彼女が、雪ノ下雪乃が黙っているはずがない。女たらし谷君とかそんな感じの不名誉なあだ名を交えつつ罵倒してくるだろう。厳密にはその相手が俺ではないから、あまり問題はないのだが。……ん? どうして雪ノ下の頬は若干赤らんでいるのだろうか。

 

「その、私にも勉強を教えてもらえないかしら……?」

 

「なっ……!」

 

 今度こそ声を抑えられなかった。幸い吹奏楽部の演奏音に掻き消されたのか誰も反応しなかったが、俺の動揺は計り知れなかった。だってあの雪ノ下雪乃が、現状の影武者を見て注意することなく、さらに勉強を教えてほしいなんてのたまったのだ。一瞬、本気で息が止まったかと思うほどの衝撃だった。

 

「学年一位の人間に何教えろっていうんだよ……」

 

 しかし、そんな彼女に対しても影武者はなんでないとばかりに、いつもの会話のように呆れながら返事を返した。

 

「平塚先生から聞いたのだけれど、確かにあなたは点数では私に劣るけれども、論述形式の問題ではあなたの解答の方が綺麗だと言っていたのよ。私が比企谷君に負けるわけにはいかないわ」

 

「相変わらずの負けず嫌いっぷりだな」

 

 影武者は少し考えて、頭を掻きながら「しゃあねえな」と返事をする。それを聞いて、雪ノ下の表情が明らかに優しくほころんだ。

 

 

 ――なんだよ……これ……。

 

 

 こんな空間、俺は知らない。彼女たちのこんな表情……知らない。俺の知らないところで俺達の関係が変わっている。それが……果てしなく不快で仕方がなかった。

 

「おい!」

 

 沸き上がる感情のまま、乱暴に扉を開く。俺の姿を認識した三人は目を見開き、俺と影武者をせわしなく見比べている。影武者は、動かない。椅子に座ったままただじっと、俺を見据えていた。

 

「そこは俺の場所だ! その場所を勝手に乱してるんじゃねえ!」

 

 俺のいない空間で変わる俺達の関係なんて許されない。なによりも、俺自身がそんな偽物の関係を望まないと決めたのだから。

 

「影武者はただ俺の代わりに動くだけでいいんだよ! 誰がここまでしろなんて言った!」

 

 そうだ。俺は少しだけ、少しだけ休みたかっただけだ。頭の、心の整理をしたかっただけだ。その間の現状維持をするための影武者だったのに、こいつは、こいつらはそれを無視した。それに対する俺の感情は、まぎれもない怒りだった。

 今まで出したことのないほどの怒声に、一色や雪ノ下がビクッと肩を震わせる。雪ノ下は絶えずオロオロと俺達を見比べていて、当の影武者は――比企谷八幡らしいポーカーフェイスに少しだけ悲しそうな影を見せていた。

 何度か小さく口を動かして、そいつの口は俺と同じ音を発する。

 

「俺が望んだから変えた、それだけのことだ」

 

 プツンと、頭の中で何かが切れた。

 

「オリジナルに意見してんじゃねえ!」

 

 怒気をそのまま伝えるように一歩一歩足を進める。相当酷い顔をしているのか、一色は今にも泣きそうな顔で影武者の影に隠れた。それがまた俺の怒りを増長させる。

 一歩、また一歩奴に近寄る。眼前にいるそいつはポケットからスマホを取り出した。間違いなく俺のスマホだ。そうだな、と言いながら、片手でそれを操作して――

 

「お前が、オリジナルだったらよかったのかもな……」

 

「え……」

 

 あと一歩で殴れる距離、そこで足が止まった。液晶に映っているのは影武者メーカーの画面。影武者の帰還ボタンが表示されているそこには――

 

 

 ――九幡――

 

 

 そう書かれていた。

 

「ぁ……あ……」

 

 目の前の比企谷八幡が帰還ボタンをタップすると、身体が完全に動かなくなる。実体を持っていた肉体が光の粒子に分解されて、どんどんスマホに吸い込まれていく。意識に靄がかかり始めて、何も考えられなくなってしまう。

 

「ごめん、九幡」

 

 あぁ……。

 身体の全てが消える直前、本当に申し訳なさそうな声が電子信号になった身体を震わせた。

 暗転。

 

 

     ***

 

 

「ごめんね、比企谷君……」

 

 こじゃれたカフェの対面席で珍しく自分の非を認めているらしい雪ノ下さんが肩を落とした。

 何を隠そう、影武者メーカーを製作して俺のスマホにインストールしたのは彼女なのである。アプリを使い始めて少し経った頃に電話が来て教えてもらった。ていうか、どうやったらこんなものできるんだよ。やっぱり天才って怖い。

 

「別に、雪ノ下さんのせいじゃないですよ。そもそも、これを使ってズルをしたのは俺自身ですから」

 

 ミルクと砂糖を多めに入れたコーヒーを口に含みながら言う言葉は、まぎれもない事実だった。無理やり使わされたならともかく、あれを使ったのは俺の意志だ。彼女が謝罪する理由にはならない。

 使っていて分かったことだが、雪ノ下陽乃製“影武者メーカー”には致命的な欠陥が存在した。影武者を作れば作るほど、影武者自身に不具合が発生するのだ。兆候が見えたのは四幡のあたりからだった。俺の指示を無視して、すれ違った女子をナンパし始めたりしたし、五幡はステルスのしすぎで欠席と勘違いされてしまうし、六幡は完全に加減ができずに、突っかかってきた不良を病院送りにしたりしていた。

 そして、完全コピータイプの七幡は特に不具合がなかったことに安心して作った九幡は、自分自身を比企谷八幡と認識してしまっていた。実体化させたあいつは俺と邂逅した途端パニックに陥り逃亡してしまったのだ。速攻雪ノ下さんに連絡をして、九幡が落ちつく時間を作るためにホテルなどを用意してもらったのだから、むしろ彼女には感謝するべきだろう。

 

「けど、それって今回のことを話したからなんでしょう?」

 

「……まあ、そうですね」

 

 未だに熱を持っている頬にそっと触れると、じわっとした鈍い痺れが走って思わず顔をしかめた。

 九幡を帰還させた後、俺は三人に全てを話した。雪ノ下さんのことは伏せたが、アプリに手を出した理由も何もかもを全て。その結果、一色には力いっぱいに怒られ、由比ヶ浜には何度もバカと言われ、雪ノ下には頬を叩かれたのだ。ズルをしたのなら罰を受けるべし、とはその時の雪ノ下の弁。

 

「いいんですよ。この痛みは、俺の間違いを教えてくれただけですから」

 

 何度でも俺は間違える。自分以外の力で最高の結果を手に入れようなんて虫がよすぎるのだ。そんな事をした俺に、ビンタ一つの罰しか与えなかった雪ノ下のなんと慈悲深いことか。

 

「自分の欲しいものは、ちゃんと自分で手に入れます。自分の力だけで、たとえ届かなくても、正々堂々ね」

 

 今回もまた間違えた。けれど、それだけで終わりではない。間違えたのなら、次は間違えないように気をつけよう。傷つけないように逃げたって何も変わらない。傷つけるかもしれないと恐れながらも、前に進む。きっとそれが、人と共にあるということだと思うから。

 スマホに指を滑らせて、影武者メーカーのアイコンを長押しする。現れたバツボタンをタップすると、『アプリを消去しますか』と無機質な文字列が出てきた。

 

「ありがとう……」

 

 もう一度タップすると、いともあっけなくアプリは消滅した。

 九幡は俺に教えてくれた。俺もあんな風に感情的に動くことができるんだということを。そんなになってしまうほど、今を大事にしているのだということを。

 俺は間違い続ける。間違えて間違えられて、傷つけて傷つけられて、それでも泥臭く本物を探し続けるのだ。




いつもとはちょっと違う感じのお話をペタリ

叙述トリック的なものに挑戦したかった
そこら辺がちゃんと伝わっているか心配(´・ω・`)

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