さて、今回も引き続きフロニャルド勢VS異世界混同チーム『クロノス』となります。
今回は中央バトルフィールドでの戦いが中心になっていますが、依然と比べ執筆量が低下しているため短めの内容となっています。
それでは本編第74話、どうぞご覧ください。
ビスコッティとガレットの騎士団長が魔王と。ジェノワーズとエクレ、リコのグループが三人集と会敵したころ、中央バトルフィールドでも新しい動きがあった。
「本来なら貴様とやり合いたかったのだがな」
「なに、共闘というのも面白いでござるよ」
あまり残念そうなそぶりを見せないレオに陽気な返事をするダルキアン。ビスコッティとガレットのそれぞれで最強の異名を持つ二人がタッグを組むという、並の兵が見ればとんずらをこいてしまいたくなるコンビが爆誕していた。なおそれぞれのお供は二人のフォローに徹するのを決め込み、のんびりとした様子で追従している。
『これはパスティヤージュ大ピンチです! 他のエリアでも騎士たちが押し込まれているとの情報もありますので、このまま一気に畳みかけられるのでしょうか!?』
「ぬぐぅ…予想していたとはいえ、実際に手を組まれるとなかなかに絶望的じゃの」
「ですねぇ……」
考えてはいたが一番流れてほしくない実況にクーベルは苦々しく呟き、レベッカもそれに同意して他の戦況を見渡す。
勇者二人はパスティヤージュ晶術騎士団の一員であり、エッシェンバッハ騎士団指揮隊長のキャラウェイ・リスレの足止めで先に進めないでいるが、先ほど七海がシンクのレクチャーを受けて輝力武装を会得した。作ったばかりの武装だが師弟ということで連携もなかなかであり均衡が破れるのも時間の問題だ。
「ここはやはり、レベッカに出てもらう必要があると思うのじゃが」
「あ、あの。さっきもいいましたけど私、シンクや七海みたいに戦ったりは――『みぃぃつけたぁ!!』――はわっ!?」「なんじゃ!?」
突如聞こえた歓喜の叫びに驚き、二人して映像盤に目を向ける。
そこには最強コンビを前にして、逃げるどころか喜々として突っ込む黒き亜神の姿があった。
◇
「あっはははははは! さあ、思う存分戦いましょぉ!」
「ほう! やはり来られたか、ロゥリィ殿!」
「面白い! ダルキアン、ビオレ、手を出すでないぞ!」
愉悦の表情でハルバードを振り回しながら向かってくるロゥリィに対し、レオはドーマから飛び降りるとガレットの宝剣である魔戦斧グランヴェールを取り出して真っ向から迎撃する。シンクと七海がぶつかった時以上の衝撃波が辺りに走り、その凄まじい迫力に歓声が上がった。二合、三合と打ち合いつつも互いに一歩も退かず、剣戟は激しさを増すばかりだ。
「うふふ、いいわぁ! いいわよぉ! 私と一騎打ちでまともに
「伊達に天下無双と呼ばれておらんのでな! まだまだこれからですぞ!」
「上等ぉ!」
ガギィ! バゴォ! ズガァン! ドゴォーン!
『す、凄まじい攻防です! お二人の戦いで中央バトルフィールドがまるで粘土細工のように形を変えていきます!』
『今あのお二人に近づくのは大っ変危険です! 一般兵の皆さんは別ルートからの進行をお勧めしまーす!』
「……やべぇ、あの二人がぶつかったらすごいことになるとは予想してたけど、台風が爆弾バラ撒いてるみたいだ」
「ち、地形が変わってますけど、大丈夫なんですか?」
「俺の目にはそんなの映ってない。だから知らん」
必死さが伝わってくる実況を耳にしながら何も見なかったようにする尊に倣い、クロノもあの二人の戦いに関してはもう何も言わないことにした。
さて、二人が現実逃避をしている一方。レオとロゥリィに置いてけぼりを喰らったダルキアンたちはどう進行するべきか思案していた。
「このまま兵を率いて中央を突破するのは無理ですね。間違いなくレオ様とロゥリィ様の巻き添えを受けてしまいますから」
「しかし、これだけの人数を連れてパスティヤージュ陣営を攻めるとなると、必然的に遠回りになってしまうでござるよ」
「ふむ。拙者とユキカゼ、それにビオレ殿のみであれば突破できなくないが…それでも覚悟する必要がありそうでござるな」
何せ目まぐるしい動きで天災の如くフィールドの形を変えながら戦う二人の側を通るのだ。それなりの対策を講じていかなければあっという間に巻き込まれるだろう。
「――仕方ない。ここは遠回りをしてでも部隊を動かして――む!?」
時間制限もあるのであまり悠長にはしていられないとダルキアンが決断を下そうとしたところで、突如後方から輝力による矢と光弾の雨が飛来する。
咄嗟に三人が輝力を発動して迎撃することであらかた撃ち落とすことに成功するが、輝力とはまた別の丸い物体がいくつか兵たちの足元に転がる。直後――
ドドドォーン!!
丸い物体――メガトンボムが盛大に爆発しダルキアンたちが率いてきた兵の半数以上が"けものだま"になった。
「ロボ、突撃!」
「了解デス!」
新たに現れたのは黄色い装甲を持つロボとそれに乗ったルッカ、そして二人の後方で輝力の矢を番えるマールとテュカの一行だった。
「マール!」
「うん! せぇの!」
ロボたちの進行をサポートするようにテュカたちが覚えたての紋章術を解放する。山なりに放たれた光の矢は頂点に達すると無数に分裂し、攻撃範囲を点から面にしてダルキアンたちの元へ殺到した。これに対し攻撃を受けた三人は残りの兵たちの前に出るなり、それぞれ輝力を解放して迎え撃つ。
「近衛騎士団流紋章剣! 『裂空連斬』!」
「ユキカゼ式忍術! 『閃華烈風』!」
「『裂空一文字』!」
ビオレが二本の剣を振るって輝力の斬撃を三連射。ユキカゼが輝力で作られた大型手裏剣を投擲。そしてダルキアンが居合い抜きの要領でシンクや尊が使うものとは比べ物にならない『裂空一文字』を空に走らせる。
降り注ぐ矢雨を全て相殺し、続いて三人は正面からくる二人に目を向け――驚愕した。
「オオオォォォォォォッ!!」
紅蓮の炎に包まれたロボが全速力で迫っていた。
「なんですとぉ!?」「なんですかそれぇ!?」「これは予想できなかったでござるなぁ……」
「いっけぇーっ! 『ファイガタァーックル』!!」
途中で降りていたルッカの号令とともにロボが突っ込む。ダルキアンたちは驚きつつもこれを回避するが、その先には彼女たちが庇った兵たちが残っており、ロボは問答無用でその集団に吶喊した。
「ぬわーーー!!」「ひえーーー!!」「サヨナラー!!」「サラダバー!!」
燃え盛るロボに跳ね飛ばされながら兵たちは次々と姿を変え、避け切った三人を除いて全員が"けものだま"の山を築いた。
阿鼻叫喚の光景にダルキアンたちは冷や汗や苦笑いを浮かべ、挟まれる形でルッカたちと対峙する。
「今の攻撃は驚いたでござるよ。まさか火だるまになって突撃して来ようとは」
「私たちはミコトさんやロゥリィたちと違って力がないもの。だったら足りない分は奇策とコンビネーションで差を埋めるしかないわ」
「なるほど。自分たちより強い相手に挑む鉄則ですね」
「御館様。いかがいたしましょう」
「ふむ、そうでござるな……」
ユキカゼの問いに余裕をもって思考し、ダルキアンは笑みを浮かべる。
「とりあえず、おとなしくやられるつもりはないでござるよ。ならば、やるべきことは一つにござる」
その言葉にユキカゼとビオレも笑みを浮かべ、各々の武器を構える。
それを見てルッカたちも臨戦態勢を取り、出方を伺う。
「ここでリタイアしていただき、我らのために撃破ポイントを残してもらうでござるよ」
「あら、簡単に行くかしら?」
「連携したら、私たちだって十分強いんだから」
「精霊の力を借りた矢除けの加護もあるわよ。だからさっきの技はこっちには通用しないわ」
「ワタシにダケ通用するルールの抜け穴もアルとミコトさんが言っていマシタ。ソレもジュウブン活用させてもらいマス」
「結構。 では尋常に――」
「「「勝負ッ!!」」」
中央バトルフィールドが、混沌の時間帯へと突入した。
本編第74話、いかがでしたでしょうか?
今回ビオレさんには作者が考えた紋章剣を使ってもらいました。ネタがなかったもので……。
次回はガウルVSエイラ、勇者二人VS尊&クロノを予定しています。
色々と忙しいため次回の投稿がいつになるかわかりませんが、エタるつもりはないのでどうか最後までお付き合いください。
また、前書きでお話しした突発的に思いついた新しい作品のネタについて活動報告の方に内容を書き溜めていますので、気になる方はそちらもどうぞ。
さらに、時間を見てこの作品の小ネタをまとめたものを章ごとに活動報告にあげていこうと思います。
現在「クロノトリガー編 第1章」分を掲載していますので、気紛れにご覧ください。
それでは、今回はこのあたりで。
また次回の投稿でお会いしましょう。