Jumper -世界のゲートを開く者-   作:明石明

41 / 84
第40話「竜の里を防衛せよ!」

 現代のガルディア城にてボッシュから様々なアイテムを受け取った俺たちは、一先ず時の最果てへ帰還することにした。

 クロノ、マール、ルッカがシルバードで先に戻り、俺とサラとカエルはリーネ広場のゲートから戻るという編成だ。

 ちなみに俺の右の薬指にはボッシュからもらった虹のリングがはめられている。と言うのも、あのまま倉庫に保管して終わらせようと思ったがマールやルッカからの空気を読めよ的なオーラを当てられたのがきっかけだ。

 結局指輪をつける羽目になったのだが、流石に左の薬指にはめるのは恥ずかしい&命の危険があるので『特別な時までとっておきたい』という理由で見逃してもらった。サラもそれに同意し、俺と御揃いにするため同じく右の薬指にリングをはめている。

 そんな話を経て最果てに戻ってみると、ちょうど全員が揃った状況だった。

 

 

「お疲れさん。ロボ、状況を教えてくれ」

 

「ハイ。中世で手に入れた導きの宝珠について話を集めたところ、この宝珠には暗闇を照らす力があるそうデス。また、それを教えてくれた原始の恐竜人から湿原の西の洞窟を調査して欲しいとの依頼を受けマシタ」

 

 

 そういえばあの湿原って最初に軽く覗いただけで奥に進んだことなかったな。それにしても洞窟の調査か。俺が知る限りのマルチイベントは緑の夢を残すだけだし、別にそれは後回しにしても問題はない。

 

 

「ちょうど他に回るところもないから、いっそ全員で調査に行くか? 残っても暇だし」

 

「エイラ、賛成。なにもしない、退屈」

 

「問題はないだろう。これだけいれば不測の事態にはある程度対応できるはずだ」

 

 

 エイラとカエルが賛成し、そのあとも特に反対意見が出なかったのでこのまま全員で原始へと向かうことに。

 移動についてはシルバードでは定員に限度があるので、ゲートを使ったメンバーはプテランを使う組と久しぶりに輝力武装で作り出したベースジャバーを使う組に分かれ移動する。

 初めて見せる別世界の力にサラを除く全員が興味を示し、機会があればラヴォスを倒す前にフロニャルドへ遊びに行くのもありだと思いながら目的地へと到着。燃費優先の飛行をしたとはいえ長距離移動だったためか、途中でミドルエーテルの摂取が必要になったが。

 しかしフロニャルド以外だとベースジャバーはミドルエーテルという燃料でMPというエンジンを動かす航空機だな。

 それはさておき、今までにない大人数で来たことにより例の関西弁を喋る恐竜人が特に驚いていたが、全員の実力を知っているためより安心できると喜んでいた。

 湿原へと移動し、途中でサンダガを使ってくるカエルに驚きはしたがそれ以降は特に問題なく先へ進めた。そして件の洞窟を突き進み、ついに視界ゼロの暗闇の空間に出る。

 

 

「なにも見えないと聞いてはいたが、まさかここまでとはな」

 

「クロノ、導きの宝珠を」

 

「ああ」

 

 

 ルッカに促されてクロノが導きの宝珠を取り出すと、宝珠は閃光を放つと洞窟全体に明かりをつけて消滅した。

 

 

「見たところ普通の洞窟と変わりマセンネ」

 

「先はまだありそうね。奥へ行ってみましょう」

 

 

 ルッカに促され奥へと続く通路を進んでいく。しばらく通路が続いたかと思うと急に視界が開け、俺たちは言葉を失った。

 ごつごつとした岩肌ばかりの道から一転、突然ティラン城のような回廊が姿を現したのだ。

 

 

「すっごーい! 洞窟の奥にこんな場所があるなんて!」

 

「流石にこれは予想外ですね。それにまだ続いているみたいですし」

 

 

 マールとサラが感嘆の声を上げるが、それは俺も同意見だった。どうやらここはエントランス的な場所のようで、奥には入口らしきものが見えていた。

 しかし、一体誰が何のためにこんな場所を作ったんだろうな。ティラン城と同じくこの時代よりもっと前に何らかの事情で洞窟に沈んだとかか?

 

 

「――ムッ!? 何か来るぞ!」

 

 

 突然魔王からそんな言葉が上がり、俺たちは咄嗟に奥の道から見えない柱の陰に身をひそめる。

 すると奥からずるずるとはいずり回るような音と、低い声の会話が聞こえてきた。

 

 

「コノ近クニ、人間ドモガ住ンデイルラシイゾ……」

 

「ヒサビサノ獲物ダ。八ツ裂キ二シテヤル!」

 

 

 現れたのは緑色の鱗をした双頭の大きな蛇だった。ドット絵で言うならおそらく序盤の敵バイターの敵の色違いと言うべきか。

 しかしその会話から聞こえた内容はちょっと無視できないものだ。

 人間、獲物、八つ裂き。恐竜人は俺たちのことをサルと言っていたので、ここで言う人間とはおそらく恐竜人たちのことだろう。

 そしてその恐竜人たちが獲物となり、奴らが八つ裂きにすると。これは恐竜人たちがこいつらの餌になっていたととらえられる。だとすればこれは見過ごすわけにはいかないな。

 

 

「ボスノ指示ヲ待トウ。人間ドモハ皆殺シダ」

 

 

 新しい単語を拾い俺たちは顔を見合わせる。

 ボスがいると言うことは、そいつを倒せばこいつらは立て直せなくなるということだ。同じことを思ったのか、全員が何か思いついたような表情をしていた。

 

 

「どうする? こいつらほっとく、良くない」

 

「同感だ。むしろ油断している今なら攻めた方が早いだろう」

 

 

 カエルの言葉に全員が同調し、それならと一度敵を覗き込む。数はざっと20ほど。しかし奥からはまだ出てくる気配があった。おいおい、一体この先どれだけ敵がいるんだよ……。巨人のツメも相当だったが、下手をすればそれ以上か?

 

 

「魔法を使える人は姿を見せると同時にガ系の魔法をお見舞いしよう。どうせここから抜け出すにしても姿は見られるし、追いかけられるくらいなら薙ぎ払った方がまだマシだ」

 

「ム……ソコニイルノハ誰ダ!?」

 

 

 こちらの会話が漏れたのか、敵の一体がこちらに向かって叫ぶ。俺たちはクロノの提案した通りに飛び出し、一斉に魔法を唱える。

 

 

「ナ!? サルダト――!?」

 

『『サンダガ!』』『『アイスガ!』』『『ファイガ!』』『ウォータガ!』

 

 

ズガドドドドドドゴォォォォンッ!!

 

 

「「「グアアアアアアアアッ!?」」」

 

 

 敵は驚く暇もなく圧倒的な魔法の津波に飲み込まれ、20を超えていたはずの敵影は一瞬のうちに消し炭となった。

 えげつねぇ……。叩き込んだ俺たちが言うのもなんだが、これはえげつねぇ……。

 

 

「フン、脆いな」

 

「いやいや、あんなの受けたらだいたい死ぬからな」

 

 

 上級魔法の7重奏。

 今回はガ系の魔法だけだったが、『ダークマター』とか『シャイニング』とか『フレア』とか『コキュートス』が混ざったら一体どうなっていたことか……。

 

 

「それで、どうしマショウ。このまま竜の里に知らせに行きマスカ?」

 

「いや、ここは攻めるべきだ。どうせ今のどでかい魔法でやらかしたのはバレているんだ。だったらこのまま突っ込んで、連中のボスとやらを叩きつぶす」

 

「攻撃は最大の防御、と言うことか。だが竜の里に知らせることも必要だし、いざという時の防衛も必要になるぞ」

 

「なら攻略するグループと、里へ向かう伝令と守備に回るグループに分けたらどうかな? それなら両方達成できるし、みんながいるなら絶対いけるよ」

 

 

 この作戦に全員が同意し戦力のバランスを調整した結果、グループが次のように分けられた。

 

 洞窟の城攻略チーム

 前衛 クロノ、カエル

 中衛 尊(俺)、魔王

 後衛 マール、サラ

 

 竜の里防衛チーム

 エイラ、ロボ、ルッカ

 

 攻略チームはさっき挙げられたようにこのまま突入して連中のボスとやらを撃破。防衛チームは里へ戻って現在進行形で魔物に狙われていることを知らせ、そのまま万が一に備えて里に待機。

 さっきの雑兵と思われる奴だけでも結構な数がいたが、このでの攻略なら面子ならまあ問題はないだろう。守備に関しても大丈夫なはずだ。

 装備を交換し合いさらにバランスを調整し、準備が整う。

 

 

「よし! じゃあ早速行動を開始だ! みんな、竜の里を守るぞ!」

 

 

 クロノの号令を合図に、俺たちは一斉に動き出した。

 さあ、俺が知らないこのダンジョンで何が出ることやら。

 

 

 

 

 

 

 城に突入して早一時間。尊たちは次々と沸いてくる敵を撃破し、着々と奥へと進んでいた。

 攻略の要領は尊とサラが巨人のツメで実施した戦法と似たようなもので、主に中衛と後衛が全体魔法で薙ぎ払い、仕留め損ねた敵を前衛が始末するという流れだ。

 おまけに魔物は魔法に対して防御力が低く、虹のリングを装備した尊とサラの攻撃が特に大きな戦果をあげていた。

 故に魔物に苦戦することは皆無であったのだが、それ以上に厄介なのがこの城の構造だった。あちこちが入り組んでおり、進んだ先がいつの間にか通ったことのある場所に出るなどもざらにあった。

 ただでさえ気が滅入る展開だと言うのに、そこへさらに攻撃を仕掛けてくる魔物の大群がまた一段と邪魔であった。

 

 

「おーい、これで何体目だ? 『アイスガ』」

 

「さあな。間違いなく500は消し飛ばしたが、それ以上は知らん。『ダークミスト』」

 

 

 最早作業ゲーのように魔法を唱え続ける尊の問いかけに、魔王もまためんどくさそうに応えながら魔法を唱える。

 尊としてはサンダガを叩き込みたい心境なのだが、金色の恐竜――ゴールドサウルスは天属性の攻撃を吸収してしまうようで仕方なくアイスガを多用していた。

 それでも一撃で倒れてくれるのはありがたいのだが、数が多いというのも考え物だった。

 

 ――金とレベルはインフレを起こしてるんだが、面倒なのに代わりはないな。かといって輝力の訓練をしようにも撃破できないんじゃMPの無駄だし……もうちょっと骨のあるやつはいないのか?

 

 この世界で輝力砲はモンスターを撃破することはできず、相手の意識を刈り取る程度の力しかない。その割にMPの消費量はガ系の魔法以上なので、この世界に戻ってからというもの紋章術は輝力武装しか使っていない。

 のんびりとした思考でまた『アイスガ』を放ち、とりあえず今襲ってきた敵を全滅させる。

 ここで何本目かわからないミドルエーテルを摂取し、MPを回復させる。

 他のメンバーも各々でアイテムや魔法で回復を図っており、それを眺めながら尊はここまでの城の情報を思い返す。

 最初こそ洞窟から入ったので気付かなかったが、この城はティラン城の様な岩山の上に立っており、外にはこうもりの魔物ブラックバットやティラングライダの亜種とも取れるプテラニクスが飛び回っていた。

 こちらに関しては尊考案の『サンダガ』を使用した連携魔法『エレクトリッガー』(クロノを含めた4人バージョン)で一掃したためもういない。ちなみにこの時、落下しながら消滅していく魔物を見て尊が「見ろ! 魔物がゴミの様だ!」と某大佐のモノマネをしたが、当然ながらこのネタをわかる人がいるはずもなく、しばらくして恥ずかしい思いをすることとなった。

 また、外に設置されていた宝箱の中に尊も知らない装備の『竜姫の衣』が入っており、それをメンバー内で防御力が一番低いサラが装備することとなった。着替えシーン? シスコン系大魔王様の逆鱗に触れるためカットです。

 閑話休題。

 尊の体感に間違いがなければ、現在ここは8階の通路。先ほどのホールにはもう一つ上へ続く階段があったが、その先は外へ通じるものの行き止まりだった。

 複雑な回廊だった下層から一転して一本道となった以上、道に間違いはない。しかも先ほどの外から確認してみればこれ以上の上はなく、確認できる限りではこの8階が最深部となるだろう。

 

 ――それにさっきの連中を始末してからかなり静かになった……となると、次の部屋辺りが怪しいか。

 

 構造と魔物の気配がなくなってきたことから推測して次の部屋がボスとやらの部屋出る可能性は十分にある。ならば一度万全の状態に戻すべきだと判断し、尊はアイテムを取り出しながら通達する。

 

 

「そろそろ連中のボスの部屋に着くかもしれない。一度体力とMPを全快にしておこう」

 

「その根拠は何処から来る?」

 

「外から見た様子からして上に続く道はおそらくもうない。しかし道はこの8階にしかなかったことと、魔物の気配が少なくなってきたことから終わりが近いと判断した」

 

「じゃあ、あと少しってことですね」

 

 

 ハイエーテルを飲み干したマールの言葉に「あくまで推測だがな」と加えて返事をする。

 それに賛成し各自でアイテムを摂取し、万全の状態を整える。尊もまた、今の自分が用意できる装備が最高の状態であることを確認する。

 クロノたちの装備も現状で用意できる最強の武器であることを眺めていて、ふと気付く。

 

 

「そういえば、サラって何か武器は使えるのか? フロニャルドじゃ輝力武装でボウガンを作っていたけど」

 

 

 尊は変幻自在の神様武装。クロノは刀。マールは弓。カエルは剣。魔王は鎌。ここにいないロボはアームパーツ。ルッカは銃。エイラは身体能力の高さもあり拳を使用しているが、サラにはゲームで言うところの「たたかう」コマンドに相当する武器がない。

 

 

「一応ロッドの類は扱えますが、愛用していたものがジールと共に沈んでしまったので……」

 

 

 説明を聞いて納得する。同時に、尊はボッシュに会った時に彼女の武器を作ってもらえばよかったと後悔もした。

 

 

「今更、悔やんでも仕方ないか……。 さて、行こうか」

 

 

 出しすぎたアイテムを収納し、一本道の通路を突き進む。

 そして現れた扉をくぐると、巨大な二つの玉座がある大きな空間に出た。

 いかにもな部屋だなと内心で思っているところへ、人ならざる低い声が響く。

 

 

「我々ノ邪魔ヲスルノハ貴様ラカ……」

 

 

 声に反応して全員が臨戦態勢を取ると、部屋の上から赤と青の巨体がドスンと降り立つ。

 見た目は尊が知っている黒の夢に出てくる魔物デイブに酷似しているが、威圧感はここまで倒してきた敵の比ではなかった。

 

 

「お前らがこの城のボスか?」

 

「フン、ダトスレバドウスルノダ? サルドモヨ」

 

「残念ながら生かしておくと恐竜人たちがひどい目に遭いそうなんでな。ここで消えてくれないか?」

 

「ガハハハハ! サルゴトキガ我ラディノファング兄弟ヲ倒スダト!? クダラン! 人間ドモヨリ先ニ八ツ裂キニシテクレル! ユクゾ、弟ヨ!」

 

「了解ダ、兄者!」

 

 

 ディノファング兄弟と名乗った赤いディノファングと、弟と呼ばれた青いディノファングは同時に飛び上がるとそれぞれ『フレア』と『ウォータガ』を放つ。

 全員が魔法に対して高い防御力を発揮する装備をしていたことが幸いしそれほどダメージを受けることはなく、尊は今の攻撃でディノファングたちの弱点についておおよその見当をつける。

 

 

「体の色に違わず兄は炎を、弟は水をか。おそらく同系統の魔法は吸収してしまうだろうが、逆の属性なら弱点となる可能性が非常に高い」

 

「だがそれでは埒が明かんな。ならば……『ダークマター』!」

 

 

 魔王が詠唱を簡略化した自身の最強魔法を放つ。水でも火でもない冥の魔法は確実にダメージを与え、怯んだところへクロノとカエルが一斉に切りかかる。

 尊もディノファングたちが高く飛ばないよう、翼を狙ってサテライトエッジのボウモードで攻撃する。それに習いマールも手にしたワルキューレで翼を狙い、サラは前衛の二人を補助すべく『ヘイスト』や『プロテクト』を唱えた。

 

 

「小癪ナ! 弟ヨ!」

 

「応! 因果応報ダ!」

 

 

 ディノファングたちが尊たちを挟むように移動すると、彼らを驚愕させる魔法を唱える。

 

 

『『ダークマター!!』』

 

 

ゴォォォォォォオオオ!!!!

 

 

「なっ!? くぅ!?」

 

 

 ディノファングたちが放ったのは、先ほど魔王が放ったのと同じ冥属性の最強魔法。

 あまりにも予想外の一撃ではあったが、やはり装備のおかげでそこまで致命的な一撃とはならずに済んだ。

 

 

「ちぃ! 雑魚の分際でダークマターを使用してくるとは!」

 

「サンダガを使ってくるカエルがいるんだ! おかしくはない! それより連携、行くぞ!」

 

 

 すぐに体勢を立て直し、クロノを除いた三人で『エレクトリッガー』をお見舞いする。通常の『サンダガ』より数段強力な電撃を一身に受け、ディノファングたちの表情が苦悶に変わる。

 

 

「グゥゥ! サルニシテハヤルナ!」

 

「ナラバモウ一度――」

 

「させん!」

 

「やらせるか!」

 

 

 ヘイストの恩恵で早さが倍加したカエルとクロノが弟に向けてエックス切りを放ち、続けて兄にもエックス切りを見舞う。

 ひるんだ隙を逃さず魔王が再度『ダークマター』を放ち、尊はおそらく最もダメージを受けているであろう弟に向けて精神コマンド『勇気』を付与してブラスターを構える。

 

 

「吹っ飛べ!」

 

 

 放たれた光の一撃は通常の三倍の威力となって弟を飲み込み、一瞬にして再起不能なほどにバラバラにする。

 敵が減ったことで沸くクロノたち。しかし弟をやられたというのに、残った兄のほうは不敵な笑みを浮かべていた。

 その様子が普通ではないと察し、警戒しながら尊は尋ねる。

 

 

「……どうした? 弟がやられたのにずいぶんと余裕だな?」

 

「ハッ! 我ガ弟ヲ倒シタ。ソレハ認メテヤロウ……シカシ、所詮ソコマデダ!」

 

 

 兄は高らかにそう宣言すると、腕に魔力を集中させて頭上に掲げる。

 

 

「――兄弟奥義、表裏一体!!」

 

 

 腕から射出された魔力が倒した弟の残骸に飛び込み、残っていた弟の一部を取り込み始める。

 その光景を見て、尊はあることに気付いた。

 今まで倒してきた魔物は、例外なく霧となって消滅してきた。

 しかし、弟は間違いなく倒したはずなのに体の一部が残っていた。そこへ兄から放たれた魔力の塊が飛び込み、それらを吸収。

 そこまで認識したことで、唐突にある可能性が閃いた。

 

 

「ま、まさか――――!」

 

 

 その言葉が続くよりも早く、魔力の塊が弾け倒したはずの弟が無傷のまま現れた。

 

 

「「サア、仕切リ直シトイコウカ!!」」

 

 

 戦いは、まだ終わりそうにもなかった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。