艦娘の小さな艤装の上に着艦しないといけないから、着艦がかなり難しかったりする。
今回も二、三機海に落ちてしまい護衛艦の人達に回収されていた。
幸い、うちの隊から着水した者は出なかった。
そうして全機着艦し終えた後、俺は通信機の元へ駆け寄った。
「こちらすぎた。たいほうさん、なにがあったんですか?」
『他の鎮守府所属の艦隊から救援要請よ!敵の増援により被害が増加中!そして、私達にも緊急出撃命令が出たってわけ!他の艦隊も向かっているわ!』
「そんな・・・。」
『急いで出撃準備を!急ぐわよ!』
ブツッと通信が途絶える。
「てんざんのらいそう、およびすいせいと62がたのばくそういそげー!」
「20みりきじゅうのてんけんもわすれるな!たすけにきたせんとうきがせいびふりょうじゃわらいものだ!」
「これはくんれんじゃない、じっせんですよ!」
整備員の妖精達が走り回り、作業している。
そんな騒がしい格納庫の隅でパイロット達が作戦会議をしている。
「いきなりじっせんとは、なぁ。」
そう呟きながら、俺はそこへ合流する。
「いま、させぼちんじゅふしょぞくのくうぼきどうぶたいがこうせんちゅうにてきのぞうえんをうけ、そんがいがかくだいちゅう!かいめつてきなひがいをこうむるまえにこれをきゅうえんする!」
「てきせいりょくのじょうほうははいってないのですか⁉︎」
「わかっているだけでくうぼ2せき、せんかん2せき、じゅうじゅん2せき、けいじゅんとくちくかんがたすう!ふらぐしっぷやえりーとかどうかというじょうほうはまだはいっていない!」
「ふらぐしっぷでなくてもそれだけのてきがいるんですよね⁉︎そんなの、かてるんですか⁉︎」
「わからない、わからないが、やるしかないんだよ!」
「くんれんがおわればおやつのだいふくをたべられたのに・・・!」
「いってるばあいか!」
これは想像以上にまずい。
いきなり生きて帰れるか分からないなんて、俺には死神が付いているのかもしれんな。
まぁ、知った事ではないが。
『艦載機は発艦準備を!もうすぐ、作戦海域に入ります!』
ああまで混乱していれば、作戦もクソもないだろう。
「だいごしょうたい、じっせんです、がんばりましょう。」
「たいちょうは、こわくないのですか・・・?」
「こんなさくせん、いきのこれるのでしょうか?」
おや、かなり弱気じゃないか、ウチの列機は。
もしかして・・・?
「もしかして、じっせんははじめてですか?」
「は、はい・・・。」
「そうです・・・。」
確かに、初めてでこの作戦は辛いな・・・。
どちらもいまにも泣き出しそうだ。
これじゃあいけない。
ここは一つ、先輩風を吹かせてみよう。
「いいですか?まず、へんたいはくずさない。これはぜったいじょうけんです。つぎに、おれがうてばひょうじゅんきなんてきにせずうってください。それできょうどうげきついになります。まぁ、こんなのにげだしたいとおもうでしょう、でも」
一呼吸置いて、おれは宣言する。
安心させる様に、笑みを浮かべながら。
「だまって、おれについてこい!」
「「・・・・・・はい!」」
そう返事した二人の顔は、先程までとは明らかに違っていた。
なんだ、そんな良い顔も出来るじゃないか。