私のまちがってしまった青春ラブコメはもう取り戻せないのだろうか   作:ぶーちゃん☆

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リア充に囲まれるぼっち

 

前回までのあらすじっ!

私、二宮美耶が今とても気になっている人、比企谷八幡君に会うために総武高校にやってきたらイケメンさんに声を掛けられちゃったの☆

 

 

おっといけない。急にイケメンさんに声なんて掛けられたものだから、頭の中にあらすじが広がっちゃったじゃない。しかも雑すぎでしょこのあらすじ。

う、うーん……それにしてもホントどうしよう。いきなりこんな爽やかイケメンさんに話し掛けられちゃったら、私に気があんのかと思って告白して振られちゃうじゃない!

 

「あんれー?隼人君どしたん?

ん?この子ウチの学校じゃないじゃん。お!もしかして別の学校から隼人君の出待ちに来たん!?

やっぱ隼人君まじぱないわー」

「ははは、戸部。なにバカなこと言ってるんだよ。ただこの子が校門前でキョロキョロしてたから、声を掛けただけさ」

「いやだから隼人君出待ちしてたんじゃね?

かー!やっぱ隼人君だわー」

「で、どうしたんだい?何か用かな?なにか困り事とかなら話聞くよ?」

 

やっばい。なにこの爽やか王子。これこそまさにリア王じゃない!お付きの家来はホントうざいけど。

こんな超イケメンにこんなに爽やかに接しられたら、私みたいな恋に恋する乙女は一発でメロメロになっちゃう!

そして私はこの王子様にこう答えた。

 

「あ、別にそういうのいいんで」

 

スミマセン嘘ついてました。

こんなリア王な爽やかイケメンには、寧ろ警戒心しか働かなかったです。

うわー、なにこの爽やか全開の微笑み!恐っ!その薄そうなマスク取ってから喋ってよ。

 

「別にただ人を待ってるだけなんでお気になさらずに」

「いや、でも他校の女子が校門前に立ってると目立っちゃって大変だろうから、よければ俺が呼んできてあげようか?」

「お構い無く」

 

なんなの?しつこいわね。

イケメン様の優しい行為に乗らなかったから気に食わないのかしら。

正直初見からかなりの嫌悪感。なにが無理って、あのお付きのウザイのが、私がイケメンの出待ちなんじゃ?って発言した時に、はははって笑った後に特にその件について否定も何もしなかった辺り。

ま、そういうのに慣れてるんでしょうね。はいはい俺カッケーカッケー。

 

 

しかしこのやり取りで分かった事がある。

昨日今日の折本さん達に対する態度を思い出してみると、このイケメンに対してや、まだ誰だか思い出して無かったリア王に進化したとおぼしき比企谷君に対しての態度を鑑みるに、どうやら私って、自分に関わりの無い人間に対しては、どんなにイケメンだろうとどんなにリア充だろうと全然普通に素で接しられるみたい。

 

逆説的に言えば、あれだけクラスの人間になんて興味が無い・関係無いと思ってたのに、折本さん達クラスメイトの事はしっかりと意識しちゃってたらしいよ私って!って事になる。

なんだよちょっとカッコ悪いじゃない、自称自立型ぼっちさん。

 

ま、まぁこの件についてはあんまり深く考えると、ぼっちとしてのアイデンティティークライシスを引き起こしちゃうから、ウチに帰ってからベッドで悶えながらゆっくりと考えることにしよう。

 

 

そんな思考は一旦凍結し、ふとイケメンに視線をやると「はは……」と困ったように苦笑を浮かべてる。

たぶん女子からこんな風にぞんざいに扱われる事に慣れてないんだろうな。

ゴメンね?イケメンさん。私、あなたに興味無いので。

 

でもまぁ単純にこの人はいい人なのだろう。自分がモテる事を理解していて、それに見合うような行動を取るように心掛けている事とは別にして。

普通に他校の私が自分の学校の前でオドオドしてたから、心配して声を掛けてくれただけなんだろうね。

 

初めはぼっち特有のリア充に対しての嫌悪感からぞんざいに扱っちゃったけど、そう考えるとちょっと申し訳ない気持ちになってしまい、昔とったきねづかの猫被りをしてやんわりとお断わりする事にした。

 

「あ……あの、ごめんなさい。やっぱり他校の前で人を待ってるとかって、思ってたよりも緊張しちゃって……!

で、でも大丈夫なんで、お気になさらずにっ」

 

うひゃっ!昔の私って誰に対してもこんなんだったのかと思うと寒気がしちゃうわ!

すると苦笑していたイケメンは、ようやく爽やかな笑顔に戻った。

うん。さっきまでの苦笑のままの方が、あなたは魅力的よ?なんか本心が出てる感じで。

 

つまり今の私とイケメンさんは、さながら仮面舞踏会で舞い踊る主役とヒロインみたいなものよね。

ふぅ……やっぱ早く厨二は卒業しなきゃ……

 

 

「そっか。でも緊張してるんなら俺に気を遣わなくてもいいよ。

知ってる人なら呼んでくるから遠慮しないで」

 

オウ……思ってたよりもお節介焼きなようで。

でもなぁ……男に男を呼んできてもらう為に名前を教えるとか、ちょっと恥ずかしいんだよなぁ……こ、心の準備だって出来てないしっ……

でもこのイケメンは、もう意地にでもなってるのか引き下がってくれそうも無いし、お言葉に甘えちゃおうかなぁ。

 

「そうですか……?じゃ、じゃあ、その……ひ、比企」

「あっ!葉山先輩お疲れさまでーす!アレ?どうかしたんですかー?」

 

せっかく覚悟を決めたのに邪魔が入ってしまいました。

突然の乱入者は、どこか聞き覚えのある甘ったるい声を出しつつ、私とイケメンの方へと駆け寄ってきた。

 

※※※※※

 

「やあいろは。今日はもう帰りかい?」

「あ、は、はい……その、今日は生徒会が早く終わりまして……」

「おんやー?やっべー!いろはすやっぱ生徒会理由にマネージャーさぼってんじゃね!?ぱないわー」

「……戸部先輩うっさいです」

「い、いろはすマジ恐いわー……」

「はは、いいじゃないか戸部。

こっちだって今日はグラウンド調節で早く上がったわけだし、いろはにだって負けたくない事とか色々とあるんだよ。なっ、いろは」

「あ、あははは〜……」

 

私おいてけぼりで何やら盛り上がってますが、えっと、この子って……………どっかで……

 

『ちょっとせんぱーい!早く行きますよー』

 

あっ!!こ、この子って、あの日千葉パルコで比企谷君と一緒に居た、比企谷ハーレムの一人の女の子じゃんっ!

これはマズい。女が会いに来ている事がハーレム要員にバレると面倒だぞ?

 

「んん!……で、どうしたんですか?葉山先輩、こんなところで……

って、あ、お客さんですか?もしかして、葉山先輩のファンの人?」

 

いや、この人アイドルかなんかなのん?それにしても葉山……?葉山葉山。

あっ!折本さんが話してた、ここらの女子高生のアイドル葉山君ってこの人の事なのか。

……え?てことはこの人も思いっきり比企谷君の知り合いって事じゃん……なにこのめんどくさい展開は……

するとこのハーレム要員美少女が、私を凝視したかと思うと途端に嫌っそうな顔をした。なんで!?

 

「あ、あれ……?海浜の生徒さんですよね……

ま、まさか生徒会のお仕事関係で来たわけじゃ……」

 

と、辺りをキョロキョロ見渡す。

 

「あ、別に私は生徒会とはなんの関係もないけど」

「ほっ……そうですか、良かったー。

またろくろ回し会長の相手しなきゃいけないのかとゲンナリしちゃいましたよー」

 

あ、ああ……うちの玉縄とかいう意識高い系のアイツか。アイツ……他校生徒にまでアレやってんのかよ。

ホントご迷惑お掛け致します。それにしても、見かけに寄らず、このビッチそうな女の子が生徒会役員なのかぁ。さっきから生徒会生徒会言ってるし。

 

「えっと……じゃあやっぱり葉山先輩のファン?」

「あー、違うんだいろは。どうやらウチの生徒に用があるらしくて校門で待ってただけらしいんだ」

「あっ、そうなんですねー。んー、でも他校の生徒さんがここでつっ立ってると目立っちゃってアレなんで、その人呼んできますよ。戸部先輩が」

「いろはすまじ無いわー……」

「戸部先輩はうっさいです♪ではではあなたのお名前とお相手のお名前をどーぞっ」

 

ん……んー。まじぱないわー。この人達に名前言わなきゃダメ……?

 

「あ、いや、別に私待ってるんで、気にしないでいいよ?」

「いえいえ、そういう訳にはいかないですよー。

風紀的に、生徒会長がこのまま見過ごす訳には行かないじゃないですかー?

どうせ呼びに行くのは戸部先輩ですし」

 

 

 

……………………はっ!?

せ、生徒会長!?この子がっ!?こ、こんな頭軽そうで明らかに一年生のビッチが!?

え?大丈夫なの?総武高校。

 

いやでも待てよ?そういえば折本さんが言ってた……確か総武の生徒会長は比企谷君にもんのすごく頼りまくってるみたいだったって。

 

うっわー……こんなビッチ美少女生徒会長がハーレム要員とか、マジで比企谷君てどんだけリア王なのよ……

 

「ホラホラ、私早く帰りたいんで、早く名前教えて下さいよー。

戸部先輩が呼びに走った所を確認したら帰りますんで」

 

ずずいと間を詰めてくるビッチ会長。てか戸部って人の扱い酷すぎませんかね会長。

 

「で?」

 

やはりリア充感丸出しのビッチ会長。ただの頭が軽そうなだけのバカ女では有り得ないような圧を感じる。

なんでそんなに可愛らしい笑顔なのに、そんなに声が冷たいの?

 

ダメだ。言いたくない。言いたくないけど、これ以上ゴネてると、この生徒会長は私を不審者扱いして教師とか呼んでくるかも知んないっ……いや、呼びに行くのは戸部だけど。

 

えーいっ!ままよっ!

 

「くっ……え、えっと……に、二年生の……ひ、比企谷八幡君をお願いします……」

「………………………………………は?」

 

 

その時、この空間は私の想像を遥かに超えて凍り付きました。

 

 

つづく


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