私のまちがってしまった青春ラブコメはもう取り戻せないのだろうか   作:ぶーちゃん☆

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カッコ内の文字が無ければ、まるで最終回のタイトルのようなサブタイで始まりました今回は後日談⑤になります!



…………ど……どうぞ(汗)




【後日談⑤】彼女(元ぼっち)が目指す先(椅子)は遥か彼方……

 

「し、失礼しまーす……」

 

ついに謎の秘境へと足を踏み入れた二宮隊員。その地に潜む未知なる生物とは!?

 

【恐怖!未開の教室の奥に潜む伝説の人喰い乳無し雪女は実在した!】

 

藤岡弘、さんかなんかが出てきそうな探検隊かよ。こんなこと考えてること雪ノ下さんにバレたら昇天しちゃう!

だってそれほどに未知のプレイスなんですもん、ここ。なんだよ奉仕って。

 

さてと、いつまでも現実逃避してないで、そろそろ目の前の現実ってやつに目を向けてみましょうかねと、私はこの怪しげな室内を見渡してみることにした。

 

まず真っ先に目に飛び込んで来たのはもちろん比企谷君っ!

ヤツは友達以上恋人未満なこの可愛い可愛い美耶ちゃんに対して『うわ……こいつマジで来やがったよ……』って顔を前面に押し出してきやがってるけど、そ、そんなの気にしないもんっ……泣いたりなんかしないんだからね!

てかもうちょい感情隠せよ。並みの乙女ならホント傷ついちゃうよ?ホントだよ?

まぁ実際のところ友達以上恋人未満どころかまだまだ友達以下でしかなかったですよねすみません。

 

とりあえず目の前に広がった光景で胸を撫で下ろしたポイントと言えば、比企谷君が土下座させられてなかったコトですかね。ちゃんと普通に椅子に座っているようです。

ところで「おやおや、随分と撫で下ろしやすそうなお胸ですねw」とか思ったやつ、あとで体育館裏…………で私泣いちゃってると思うから、体育館裏には絶対に近づかないでね。

大丈夫よ私!雪ノ下さんよりはずっと育ってるんだから!

 

 

……さて、涙無しでは語れないバストな自虐はさておき、ふぅ……危ない危ない。マジで土下座スタイルだったなら、危うく囚われのプリンセス(比企谷君)を目の前に逃げ出しちゃうとこだったよ。

助け出しに来てくれた白馬の王子さまが目の前で即回れ右しちゃったら、お姫様もビックリしちゃう。百年の恋も一発で覚めちゃうわ。

 

やば!また恒例の脱線気味になっちゃった!まぁ常に脱線しすぎてるし、もう脱線などなんのその、いっそレールなんか無視してそのまま突っ走っちゃった方がいいのかしらん?とか考えちゃうお年頃。

私、誰かに引かれたレールの上なんて走りたくないの!

 

 

…………こほん。さてさていい加減に話を元に戻すとしようかな。胸を撫で下ろすとは言うものの……ねぇ。この席の配置がまたなんとも……

長机のど真ん中には乳無し雪女こと雪ノ下さんが堂々と鎮座し、その両脇をメロン団子と暗黒天然水がガッチリと固め、その三人の向かいに比企谷君がポツンと座っているという、いわゆる裁判スタイル。

あ、そっか!これがこの部活の日常的な席割りなのかな?んなわけないがな。常にこれだったらさすがに居たたまれないわ。

そしてもうひとつ問題と思われるのが、そのポツンと座る比企谷君の隣には空席がひとつ用意されているということ。

 

……やだ!私ってば比企谷君と隣の席になっちゃったわ☆

とかって喜べるような状況では決して無いですよねー。なんか胃がキリキリしてきました。この歳で胃潰瘍かしら?

 

「二宮さん、だったかしら。こんにちは。わざわざご足労頂いてどうもありがとう。

よく昨日の状況を目の当たりにした上でここまで来られたものね。感心するわ」

 

やったぁ!雪ノ下さんに感心してもらえちゃったっ!

って、んなわけあるか。あんたが来いっつーから嫌々ながら来たんでしょうが。私だって昨日の大虐殺劇目撃したあとでこんなトコ来たくないわよ。

あくまでも私の単なる良心で来たまでですよ。比企谷君一人を犠牲にするなんて、優しい優しい美耶ちゃんには到底容認出来なかったってだけの、そんなお話。

 

そう。これは私達二人で責めに責められ、その後傷付いた二人の間にはお互いを慈しむ謎の絆が芽生え、そしてまだ青く幼い蕾のような若い二人は仲良く手と手を取り合いぐへへへへ。

良心どころか超やましかったです。

 

だから私は言ってやったのさ。

来いっつーから来てやったのに、「よくもまぁ来れたものね」的なニュアンスを含む第一声を、あまりにも素敵な笑顔で宣った傍若無人な氷の美女に、この熱き思いの丈を!

 

「……え、えへへ……きょ、恐縮で〜す……」

 

セリフも表情も卑屈すぎワロタ。

 

※※※※※

 

「ではとりあえずそちらに掛けて頂けるかしら」

「アッハイ」

 

そう雪ノ下さんに促され、私は比企谷君の隣の席へと向かう。

 

「にのみんやっはろー」

 

席へと向かう長い長い道すがら、私は突然聞きなれない部族の謎の言語を浴びせられた。

え?なんだって?

んばば〜、とかそういう類いのヤツかな。やはりここは未開の地だったのか。奉仕部コワイ。

 

恐る恐るそちらに目を向けると、そこにはたぶん本日の唯一の良心であろう乳ヶ浜さんが、なんだかとっても苦笑気味に手を振ってくれていた。

昨日のエンカウント時も確か折本さんにやっはろーとか言ってたから、たぶんやっはろーとは乳族に伝わる現地の挨拶であることはまず間違いないのだろう。

 

 

やっはろー!!やっはろー!!やっはろーーー!!

 

 

よっしゃあ!これで私も今日から立派な乳族の一員だね!お願いだから早く膨らんでよぅ……!

ハッ!?てかそれで膨らむくらいなら、雪ノ下さんといろはすちゃんもとっくに実戦して実装してるハズよね。ちくしょう!騙された!純粋な乙女の切なる願いを弄びやがってぇ!このおっぱい魔神めが!

 

「……や、やっはろー……」

 

ほんのわずかな巨乳への夢が脆くも崩れ去る中、それでも由比ヶ浜さんはとってもいい人っぽいから、私の溢れ出る優しさで仕方なく挨拶を返してあげた。いや、別にほんのちょっぴりだけ期待して夢見ちゃったりなんかしてないのよ?

……で、でもこれ、思いのほか恥ずかしいわね……コミュ障気味の私にはちょっと難易度高めの挨拶かも。

 

……にしても、てことはどうやら“にのみん”ってのは私の事らしい。

なんなんだろう、この壊滅的なあだ名センスは。まぁこの子、比企谷君のことヒッキーとかって、いじめなの!?と思えるようなあだ名も満足気に命名してるようだし推して知るべしか。

 

今日はミヤミヤとか呼ばれたりにのみんとか呼ばれたりと、今までの私の人生で聞いたことない名前を呼ばれる日だなぁ。

あなたが変なあだ名を付けたから、今日は変なあだ名記念日♪

 

 

記念日も無事に制定出来たところで、柄にもなく優しさでやっはろーなどと恥ずかしい挨拶をしてみた私は、ほんのりと頬を染めながら空席へとひた進む。

入室時は霞むほど遥か彼方にあった席がようやく見えてくると、私の到着を今か今かと待ち構えてる比企谷君とばっちり目が合っちゃったっ!

一日ぶりの比企谷君との再会が嬉しくて、ついつい頬が緩んでしまった私は、そんな感情を隠そうともせずに、えへへ〜と全力ではにかんで胸の高さでちょこちょこと手を振ってみた。やだなんかデートの待ち合わせみたい。

そんな私の笑顔に照れまくりの比企谷君は、うわぁ……とうんざり顔を浮かべてぷいっとそっぽを向く。うふふ、そんなに照れなくってもよかろうもん!

あ、これ照れてるんじゃなくて完全に嫌がってました(白目)

 

ん?でもどうやらそっぽを向いてるが故に丸見えになってるお耳は真っ赤っかですね。なんだよぉ、やっぱ照れてるんじゃんよぉ。このこのぉ!

捻くれながらもそんな風に照れてる比企谷君の気まずそうな表情に胸がほわっと暖かくなった私は、次の瞬間、左半身に絶対零度の冷気を浴びせられた。

ひぃっ!とそちらをチラ見すると、美少女三人からの満面の笑顔を頂きましたありがとうございます。

 

「……ととと隣失礼しま〜しゅ……」

「お、おう、ど、どうじょ……」

 

すっかり忘れていた恐怖を再確認した私は、震える足を大地に打ち建て、甘噛みし合いながらもついに比企谷君の隣へとちょこんと座ったのでした。

 

 

 

…………遠いなっ!椅子まで遠すぎだよ!

座るだけでどんだけ尺使ってんのよ。一体この教室東京ドーム何個分なのん?

 

※※※※※

 

「改めましてようこそ奉仕部へ。私はここの部長を務める雪ノ下雪乃よ」

「やっはろー、あたしは由比ヶ浜結衣です!ゆきのんとヒッキーとあたしの三人でやってる部活なんだー」

「どもですー!ご存知かとは思いますが、わたしは総武高の生徒会長一色いろはです☆」

 

あざとさが中途半端。やり直し。

なんだったら、学園のアイドルぅ!いろはちゃんだよーっ!くらい突き抜けちゃった方が一部ではウケがいいわよ?

 

「……え、えと……わ、私は海浜総合の二宮美耶と申しますぅ……」

 

それに対してコミュ障女のこの切なさよ……昨日までは全く無関係で無関心だったことで、特に緊張なんかせず普通に話せてたってのに、関係があるリア充共だと意識しちゃった途端に心臓ばっくんばっくん!ワキ汗とか超心配になっちゃうレベル。

 

まぁ今さらそんなこと嘆いてたってしゃーないよね。

とりあえず自己紹介が済んだ私は、ずぅっと気になってたことを聞いてみることにした。ひそひそと隣の比企谷君に。

 

「……ね、ねぇ比企谷君」

「……あ?なんだよ」

 

耳元に手を当ててひそひそ話するもんだから、とにかく近い近い。私ったらドッキドキ!

その近さに比企谷君も動揺が隠しきれないようで耳を真っ赤にしててなんか可愛い。やばいカプッとしたい。煩悩退散変態退散!

 

「……前から気になってたんだけどさ…………そもそも奉仕部って……なに?」

 

そうなのだ。そもそも奉仕部ってなんだよ。

でも一番意味が分かんないのが……

 

「……なんで比企谷君がこんな怪しげな部活に入ってるの?

一応折本さんからはふわっとした話は聞いたんだけどさ、奉仕とかウケる!くらいしか情報入んなくて……」

 

それ実質情報ゼロです。

 

そーなんですよね。キングオブぼっちを自称するこのリア王が、わざわざ自らこんなハーレムに足を踏み入れること自体がおかしいのだ。

だから私はカプッと甘噛みしてみたい欲望を抑えて、この際だから聞いてみた。でも尋ねるフリしてほんのちょっとだけフッと息を吹き掛けてみたら、ふるふるビクゥッとしてとても可愛かったです(小並感)

ハッ!?殺気!?

 

「……ああ、奉仕部ってのはなんつーか……まぁ早い話が悩める生徒のお悩み相談室ってところだな。で、場合によっては最小限の手助けをするって感じか。あくまでも依頼者の自主性を促す程度にな」

 

ほうほう成る程成る程。そこまで聞いて理解できたことはひとつだけ。

いやいや高校の部活動にそんなもんねぇよ普通。それ生徒の仕事じゃないでしょ。生徒が生徒の自主性を促す為の手助けって……

 

でもまぁあの雪ノ下さんが部長を務めるって部活であればちょっとだけ納得。ノブレス・オブリージュ精神ってやつかな。なんなら彼女が立ち上げたのかも。

……だったらさらに不可解。自称ぼっちがノブレス・オブリージュって……

 

「……で、まぁ俺は……とある理由で残念女教師に強制的に入れられた」

 

残念女教師……?あっ(察し)

 

「……あなた達はなにをこそこそと話しているのかしら……

その……とても不快なのだけれど」

 

残念女教師で全てを察した私に、いきなり冷や水がぶっかけられた。

やっばい。ついつい比企谷君の真っ赤な耳に夢中になりすぎるあまりに(夢中になるポイントが違う件)、現状を忘れてました。

 

冷気を感じる方向へと目をやると、私は三人の美少女にゴミでも見るかのような視線を向けられていました。

やだ、沸き上がる欲望が顔に出ちゃってたのかしら。カプッとかフッじゃねーよ私。よくこんな状況で欲情できるわね。

 

「ご、ごめんなさい!ちょ、ちょっと奉仕部ってのが一体なんなのかなぁ?と気になっちゃいまして〜……え、えへへ……?」

 

相変わらずセリフと表情が卑屈である。

まさに貴族様と下民。私もノブレスにオブリージュされちゃおうかしら。

 

「「「…………」」」

 

どうやら私の言い訳は不発に終わったようだ。

そりゃね!だって内心ではただの欲情色魔でしたもの。

まったく……これだから長年ぼっちで恋愛に耐性の無い処じ………………どうしよう、実は私って意外とむっつりなのかしらん?

……お、女の子だって、男の子と同じようについついムラムラしちゃうことだってあるんだからね!?

 

 

自身の知られざる肉食系の血と性癖に軽い戦慄と興奮(?)を覚えていると、ついに雪ノ下さんの口が開き、この場を戦場……もとい首刈り場へと変貌させるこの言葉が発っせられたのだった。

 

「……まぁいいでしょう。…………それでは、尋問を再開しましょうか」

 

やったね!どうやら尋問に間に合ったみたいだよっ?(遠い目)

 

 

つづく

 

 






よし!今回は思ったよりも話が進んだぞっ♪


……あっぶね……危うくマジで椅子に座るまでで1話使っちゃうところだったよ。これは酷い。
てか最終回じゃないのかよ。


これは明らかに私が悪いんじゃなくて美耶が勝手に(脳内で)喋り倒すのがいけないんです私はなにひとつ悪くないんですごめんなさい。
……今の私の目標は、今月中に最終回を迎えることです☆

では次回こそマジにリアルに本当に最後となりますので、今月中には更新するであろう最終回でお会いいたしましょう(^^)/~~


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