ボッチプレイヤーの冒険 ~最強みたいだけど、意味無いよなぁ~   作:杉田モアイ

53 / 154
52 使者と考察

 サチコ・アイランドと名乗った、まるで大輪の紅薔薇のような気品と美しさを兼ね備える都市国家イングウェンザーからの使者。彼女の姿は雨露が反射する陽光によって光り輝く草原をバックに抱いて、まるで一枚の絵画のようだった。その姿に思わず固まってしまう館の者たちだったが、呆けたままでいられる時間はあまり長くは無かった。

 

 「どうかなされましたか?」

 

 挨拶をしたものの相手からの返答は無く、ただ々々こちらの方を見つめて呆けてしまっているリュハネンたちを前にして何か失礼な事をしてしまったのかと思ったサチコが彼に問いかけたからである。

 

 「あっいえ、何でもありません。アイランド殿ですね。承りました」

 

 直接問い掛けられてあわてて返事をするリュハネン。その姿と言葉で、そこにいるほかの者たちも夢現の世界からやっと解放されるのだった。

 

 「それではアルフィン様のこちらへの訪問の御予定をお伝えします。まずアルフィン様は今晩ボウドアの村にある館に一晩御泊まりになられ、明日の朝出発。こちらへは明日の昼前に到着するとのことです。その際には私が先触れとして先行し、到着30分ほど前にはこちらに窺いますので、そのようにお願いします」

 

 サチコはそう言うと、恭しく頭を下げた。その姿は一分の隙も無く礼儀作法をしっかりと踏まえたもので、まるで貴婦人のような美しさを持ちながらもけして姿だけで使者に選ばれた訳ではない、城を代表して他国の者と相対する騎士として見てもなんの文句のつけようも無い姿だった。

 

 「はい、解りました。ではそのように領主には伝えておきます。ところで、城からこちらまで馬で来られたのならばお疲れでしょう、館で一服なされてはどうでしょうか?」

 「お心遣いありがとうございます。折角のお言葉ですが、この後すぐにボウドアに戻り、アルフィン様をお迎えせねばなりませんので、このまま失礼させていただきます」

 

 そう言うとサチコはもう一度にっこりと微笑み、左手で後ろにたれた長い髪をくるりと纏めると一体あの小さな兜にどのように収納されたのかと思うほど見事な所作で兜に入れて、そのまますっぽりと頭にかぶせた。留め金をはめて兜の位置を整えると、彼女はその流れのまま馬にひらりとまたがり、

 

 「それでは明日の事、よろしくお願いします」

 

 そう言うと馬を返して来た時とは違って馬を飛ばして走り去っていった。

 

 「(残念だ。出来たらお茶を飲みながらもう少しお話がしたかったのだがな。)」

 

 断られた理由に納得し、まさか下心を読まれたからではないだろうと思いつつもあれほどの美人と話をする機会をみすみす逃してしまった事を残念に思い、走りさるその姿を何時までも見つめるリュハネンだった。

 

 

 

 

 「隊長、今ならあなたの言葉も信じられる気がしますよ」

 

 使用人たちが住む館の3階にある自分たちに与えられている客間。そこに帰ると開口一番ヨアキムは目の前にいる隊長にこう言い放った。それに対して言われた内容が何の事か解らず「こいつ、何言ってるんだ?」というような顔をしてライスターは聞き返す。

 

 「どうしたんだ、一体?」

 「だって見ましたか? 今の使者殿の顔、あれほどの美女が使いっ走りですよ? 彼女ほどの美貌の持ち主なら一国の王や重臣を手玉にとって国を惑わす事だって出来ますよ、きっと」

 

 そう言ってヨアキムは興奮気味に話を進める。

 

 「普通なら傾国に使えるほどの美女がただの使者として来たなんて話、人から聞いたとしても誰も信じませんよ。美人の無駄遣いってものです。おまけに最初は兜を取らずに使者としての役目を果たそうとした所を見ると、そんな美人でさえその美貌を利用する必要が無いと考えていると言う事じゃないですか。とすると、もしかしたら都市国家イングウエンザーではあれほどの美人でさえ特別でもないし、珍しくもないなんて可能性もあると言う事ですよね? ならばその上司が隊長の言うレベルの美女だとしても驚くような話じゃないじゃないですか!」

 

 ヨアキムのこの言葉を聞いてライスターはなるほどと頷く。そういう考え方もあるのかと。 

 

 「そうだな。そう言えばシャイナ様と供に居た司祭もかなりの美しさだった気もする。もしかするとイングウェンザーと言う国は美女しかいない国なのかもな」

 「なんですか、その楽園は?」

 

 自分の妄言をまるで肯定するかのような隊長の言葉を聞き、驚きを新たにして破顔するヨアキム。しかしその顔はすぐに別の、騎士としての顔に変わる事となる。なぜならば彼にとってここまでの話はあくまでお遊びであり、ここからが本当の話だったからだ。

 

 「ところで気付きました? 隊長」

 「ん、なんだ? あの使者の身のこなしの事か?」

 

 ライスターの言葉に先ほどまでの楽しげな笑顔とは違い、にやりとした卓越した戦士の、いや冒険者の笑いを浮かべるヨアキム。

 

 「そうです。あの使者、かなり強いですよ。正直底が知れません。少なくとも私と隊長が二人掛りで掛かっても数瞬の内に殺されるんじゃないですか? あの人とは思えないほどの美しさとあいまって、正直どこの化け物が迷い込んだのかと思いましたよ」

 「ああ、そうだろうな」

 

 ライスターもそれは感じていた。初めはその美しさに目を奪われもしたが、そこは前にシャイナを目にしているライスターである。その姿に心奪われること無く冷静な目で使者を見ることができた。そして、その彼の目に映るサチコという騎士の身のこなしから計れる強さはまさにとんでもないとしか表現できない程の物だった。彼女が実はアダマンタイトクラスの冒険者だと紹介されたとしても信じてしまうほどに。

 

 「しかし、よく見ていたな。正直お前もリュハネン殿同様、あの使者の美しさに見惚れていたと思ったのだが」

 「そんな訳が無いじゃないですか! と言いたい所ですが、正直最初に兜を取った時は麻痺か魅了の魔法でもかけられたのかと思うほどでしたね。でも、あの使者の身のこなしは馬に乗っていた時からしっかりと観察していましたから、馬から降りる時やこちらに歩いて来る姿勢、そして何より兜を取るためにこちらから完全に視線を外していたにもかかわらず、こちら全員の動きをあの使者には全て見られているような感じを受けていて、かなりビビリましたよ。正直アレと戦うような事態に陥るような事があれば、たとえそれが軍からの命令だとしても私は1も2も無く逃げますから。隊長、それだけは覚えて置いてくださいよ」

 「おいおい、敵前逃亡を予め宣言しておくなよ・・・」

 

 部下のすがすがしいほどの規約破り宣言を聞いて苦笑いするライスター。しかし、その気持ちは解らない事も無かった。実際にあの使者と戦う事になったら、自分でも勝つ事ではなく無事退却する事を念頭に作戦を考えるだろうから。

 

 「それと、あの使者を見た事によって二つ解った事があります」

 「二つ? 何が解ったんだ?」

 

 使者の強さはある程度解ったが、それ以外に何が解ったと言うんだ? 正直想像もつかなかったライスターは疑問に思い問い掛ける。そんな不思議顔の隊長に対して、そんな事も解らないのですか? といった得意顔でヨアキムは自分が気付いた事を語りだした。

 

 「つい先ほどまでまったく信じていなかった隊長が語っていた愛しのシャイナ様の従者の強さですが、その話が信じられない事に全て本当なのだろうと言うのと、イングウェンザーの使者が来た事を報告に言った時の子爵とリュハネン殿の慌てぶりの理由ですよ」

 「ああなるほど。って、愛しのは余計だ」

 

 余計な一文はともかく、あの使者を見れば確かに俺が妖精に吹き飛ばされた話とか、司祭服の従者に一撃で昏倒させられた話に真実味が増す。そしてリュハネン殿が使者が来ると聞いて慌てて門に走ってきた姿。あの慌てようからすると、リュハネン殿は相手の強さを知っていたという事なのだろう。

 

 「確かにあんな戦力を持つ国相手ですからね。あれだけの個の力があるのなら例え小国だと言っても一地方領主が敵にまわす訳には行かないでしょう」

 「まぁ、かの国には他国をどうこうするような野心があるようには思えないがな」

 

 優しい微笑を浮かべるシャイナと、同じく優しく微笑んだアイランドと言う名の美しい使者を心に思い浮かべてこちらから無茶を言い出さなければ戦いになる事はないだろうと考え、また同時にあのリュハネンの慌てぶりからしてこちらから争いになるような事をする事もまたありえないだろうと確信する。

 

 「だがしかし、念の為注意喚起はしておくべきだな。ヨアキム、俺はこれから今の話を子爵に進言してくることにするよ」

 「はい、行ってらっしゃい、隊長」

 

 ライスターはヨアキムにそう告げると、客室を出て行った。子爵に忠告を、自分たちが感じた優しい顔の裏にある、かの国の恐ろしいとさえ感じるほどの戦闘力を伝える為に。

 

 

 ■

 

 

 話は少し遡る

 

 「あやめ、あの話、どうだった?」

 「うん、ドライアードが言うには問題ないみたいだよ」

 

 イングウェンザー城の衣装部屋。そこではアルフィンが領主の館を訪れるときに着る服の選定が進んでいた。しかしアルフィン自身は着替えの全てを衣裳部屋付きのメイドの手で行われる、まさに着せ替え人形状態なので着替えが完成した時に全身を映す姿見を当てられて、それを見た感想を聞かれるくらいしかやる事がない。そこでその時間を使って他の用事を済ます事にしたのである。

 

 「そっか、じゃあ魔法で栄養補充をすれば問題ないわけね」

 「うん、シミズくんにやらせてみたんだけど、土が雨で酸性になっているから石灰を少し混ぜた方がいいだとか虫による害があるかもしれないからその対応も必要だとか言っていたけど、手間さえちゃんとかければなんとか地下4階層とそれほど変わらない環境は作れそうだって」

 

 シミズくんってたしか地下4階層の農地区画を守っている全長2.5メートルほどで57レベルの課金で配置したのジャイアントワームの変異種の事だったわよね。ドルイド魔法で農業区画の栄養補給をしているなんてあの区画のフレイバーテキストに書いておいたら転移した時、本当にそのテキストに従ったかのように突然変異を起した言葉をしゃべってドルイド魔法まで操るようになったジャイアントワーム。元々スキルスロットにまだ空きはあったからか、自分で判断して農作物の管理が出来るようになったし魔法が使えるようになった分、前衛系の戦闘力が落ちたけど、農業区画の領域守護としてはより特化した性能を持つモンスターに変異していた。いや、守護としてはダメなのかな? 弱くなったし。

 

 だけど、まさかテキストの効果でこんな変異をするとは思わなかったわ。もしかしたら私が知らないだけで、城の中には他にも代わっている所があるんじゃないかしら。

 

 ついでにこの子、点と線で構成された落書きみたいな顔まで変異した時に付いたのよね。まぁ、そのおかげでしゃべってもあまり違和感ないのだけれど。

 

 あの子、元々はただの課金モンスターだから名前なんてなかったんだけど、あやめったら4階層に家を作って住むだけじゃなく領域守護のモンスターに名前までつけてあげたのよね。まぁ可愛がるという点では別に反対はしないのだけど、個人的に大きなミミズにまで名前をつけて可愛がっているのは私からするとちょっと・・・ねえ。まぁ、あのモンスターのおかげで収穫物が順調に育っているのだから文句を言ったら可哀想なんだろうけど、あの姿は生理的に・・・いや、こんな風に考えたらあの子に悪いとは思ってるのよ、うん。

 

 「ちゃんと気付かれないようにやってくれてる?」

 「うん、それは大丈夫。基本的にシミズくんは土の中にいるから気付かれる事は無いよ」

 

 そこにいる人に気付かれずに土壌改良は出来ることが証明されたというわけね。これなら大丈夫かな。

 

 これ、何の話かというとカモフラージュの為に植えた庭の芝や収監所でユグドラシルの農作物が育つかどうかの実験についての話だったりする。先日巡回騎士さんがここを訪れたけど、もしこれから訪れる領主が城に来たいと言った時に青々としていた庭の芝が全て枯れていたなんて事になったら流石に怪しまれるので、念の為この土地の土に適応するかどうか調べて置いた方が宜しいのでは? と言うギャリソンの進言があって調べる事になったのよね。それでその話から、これは私の頭の中にある計画にも関係あるなぁと思ったので収監所の作物の生育状況と土壌の状況調査も同時にあやめに頼んでやってもらったと言う訳なのよ。

 

 あと、気付かれないようにと言うのはどうせ調べるのならジャイアントワームが地面を這い回っても地上の人に気付かれないかどうかの実験も兼ねようと言う事になって、夜ではなくわざわざエルシモさんたちが畑で作業をしている時に土壌に栄養を与える魔法をかけたり、現在の状況を調べてもらったりしてその報告も同時にしてもらったと言う訳ね。

 

 「シミズくんの眷属って結構居たわよね?」

 「うん、いるよ。地下4階層の地下にいっぱい。50000匹は下らないと思うけどぉ~、なに? アルフィン、見たいの? それならシミズくんが一声かければ彼の支配部屋にすぐに集まってくると思うよ」

 

 いや、それはごめん蒙りたい。部屋全体にうごめく数万匹のミミズたち。考えただけで背筋が寒くなるわ。

 

 「いやいや、流石にそれはいいや。それよりその眷属もシミズくんみたいな事を出来るんだよね?」

 「さすがに同じレベルでは無理だけど、1年もあれば赤茶けた荒野を草原にする位の事ならできると思うよ」

 

 いや、そのレベルはいらないから。でもそれなら話を進めてもいいかな。

 

 「うん、解った。ありがとね、あやめ」

 「役に立った? ならよかった!」

 

 あやめは私の言葉を聞いて満面の笑みを浮かべる。ちょっと悪戯っぽい顔をするときもあるけど、やっぱりこんな子供らしい笑顔の方が似合うなぁ。あやめの外見年齢相応の笑顔を見て、私はそう思った。

 

 「さて、後は・・・連れて行く者の選定と、今の報告による詰めの協議かな。メルヴァ」

 「はい、アルフィン様。外出着の選定が済みましたらすぐに御話が聞けるよう、ギャリソンが執務室で待機しております」

 

 私が指示をする前に全ての用意ができていると聞き、やっぱりメルヴァは私なんかより優秀だなぁと再確認するアルフィンだった。

 

 

 ■

 

 

 「子爵、アルフィン姫は明日の昼前にこの屋敷に到着との事です」

 「そうか、正念場だな」

 

 リュハネンの報告をカロッサ子爵は自分の執務室で受けていた。

 

 ヨアキムから使者がもうすぐ到着すると聞いた時は思わず立ち上がり、自ら門まで行って出迎えようとしたのだがそれをリュハネンに止められた。流石にただの使者を領主その人が出迎えるというのはおかしいという理由なのだが、ことはもしかすると国の、少なくとも自分の立場に多大な影響をこれから起すであろう者たちとの初めての接触である。それだけにこの報告をカロッサ子爵は気を引き締めて受ける心積もりでいた。しかし、

 

 「時にアンドレアスよ、そなたはその使者をどう見た?」

 「どっどうとは?」

 

 子爵の言葉を聞いた瞬間、リュハネンはある事に気が付き青くなる。

 

 「(いかん、あまりの美しさに気を取られ、使者の様子を観察するのを忘れてしまった!)」

 

 そう、その報告をする立場であるリュハネンは、サチコのあまりの美しさにすべての事を失念してしまっていたのである。

 

 これは大失態だ。いや待て、確か兜を取る所まではしっかりと観察したはず・・・ダメだ、何も思い出せない! あの姿を見た瞬間全てが吹っ飛んでしまった。確か、颯爽と馬から下りて・・・その物腰は柔らかく女性らしい優しさが・・・って、それはありえないだろう! 相手はフルプレートを着ていたんだぞ。

 

 「お前から見てその使者はどのような様子だった? 使者とは言え他国との初の接触だ、それほど身分の低いものを寄越すとは思えないのだが。それだけに、その使者がどの程度の者かで向こうがこちらをどの程度重要視しているか解ると言う物だろう」

 「そうですね」

 

 不味い、何も思い出せない。いや、あの美しい顔や流れる清水のように輝く黒髪、鈴のなるような澄んだ声、その全てははっきりと思い出せる。しかしここで必要なのはそんな内容ではないだろう。その使者の力量やどれほどの地位にある者なのかが重要なのだ。しかし、頭からそれを観察するという思考がすっかりと抜け落ちてしまっていたリュハネンは、そのどれも思い浮かべることが出来なかった。

 

 「で、どうなのだ? そなたはその使者をどう見た?」  

 

 ここまで来て覚えていませんでは通らないだろう。そこでリュハネンは自分が覚えている情報から推測し、子爵への報告をする事にした。

 

 「はい。私の力量ではあの使者の強さや力量を計る事はできませんでした。ですから、それに関しては私よりもライスター殿の見立てを窺う方がより確実かと存じます。そこで私からは別の角度からの意見を申し上げたいと思います」

 「うむ」

 

 そう言うとリュハネンは頭をフル回転させて今もっている情報から相手を想像する。

 

 「まず使者の鎧ですが、胸に紋章を抱いていました。これがイングウェンザーの紋章なのかかの者の紋章なのかは解りませんが、そのどちらだとしてもそれ相応の立場の者かと私は考えます。国の紋章ならばそれを背負うだけの地位が、かの者の紋章ならばその紋章を掲げたまま自国の使者として使わされたという事になりますから」

 「なるほど、確かにその通りだな」

 

 あとは・・・そうだ!

 

 「次にですが、この使者の顔を見たのですがとても美しい女性でした」

 「女性だと?」

 

 自分たちだけでなく、子爵もやはり使者が女性であると言う事が意外だったらしくこの話には食いついてきた。

 

 「はい、それもかなりの美女でした。いや、それは関係ない話ですが、ここで重要なのは女性だったという事です。普通他国への使者と言うのは男性が担う仕事です。それをわざわざ女性を送ったという事は、もしかするとイングウェンザーの騎士はアルフィン姫付きの者だけでなくあの城の騎士の全て、もしくは殆どが女性なのではないでしょうか? これは今までもたらされた情報から考えてもありえる話ではないかと」

 「うむ。ボウドアを救い、ライスター殿を助けたシャイナと言う騎士貴族も女性だったな。その上今回使わされた使者まで女性だったと言う。そうなるとありえない話ではないかもしれん」

 

 よし、この流れなら無事切り抜けられそうだ。

 リュハネンの持論に納得し話を興味深そうに聞いているカロッサ子爵を見て、このまま押し切れると彼は考えた。が、残念な事にそうは問屋がおろしてくれなかった。

 

 コンコン

 

 「子爵様、リュハネン様、ライスター様がお越しです」

 

 ノックの音とともにメイドが扉を開け、ライスターが執務室に入ってきた。

 

 「リュハネン殿、なかなか面白い考察ですな」

 

 こいつ、何時からこの話を聞いていた!?

 

 申し訳なさそうなメイドの顔とライスターの悪戯心満載の笑顔。 

 その二つを見て、彼がかなり前から扉の前でこちらの話を聞いていたと理解し、「もうだめだ・・・」と心の中でうなだれるリュハネンだった。

 

 




 ジャイアントワーム(ミミズ)のシミズくん、解る人だけ笑ってくださいw 姿は某漫画のあのキャラそのままです。
 しかし、ミミズ部屋かぁ。ある意味恐怖公の部屋並みの、人によってはそれ以上に恐ろしい場所だろうなぁ。絶対覗きたくないや。

 あと、アルフィンが危惧している通り、転移した際にフレーバーテキストにしたがって変異している部分はあります。まぁ、出て来るのはかなり先だし、それほどたいした話ではないですけどね。(実はそれに関係した話は前に本文で出ていますが)

 最後に来週の話なのですが、今のところ土日出張の予定なのですけど場合によっては日月の出張になります。また、土日だったとしても3連休の中日に帰って来る事になるので渋滞を避ける為に遅くの帰宅になるかも知れません。早く帰ってこられたらいつもどおり日曜日に更新しますが、もしかすると月曜日更新になるかもしれないので、その時は御許しください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。