ボッチプレイヤーの冒険 ~最強みたいだけど、意味無いよなぁ~   作:杉田モアイ

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122 幻獣ファーム

 

 

 気を取り直して酒造工場の視察を再開することにする。

 取り合えず今現在、どの程度の事ができるかを聞いて置かないと、この工場をどう利用していいか解らないものね。

 

「リーフ、今はどんなお酒を作っているの?後進捗状況も教えて頂戴」

 

「はい。まず作っているお酒ですが、メインはアルフィン様がお好きなビールであるラガーとエール。大麦はこの館で収穫されたものを使用しているのですが、ホップは生育状況はいいもののまだ収穫できる段階ではないので今はまだイングウェンザー城のものを使用しております。この二種類のビールは仕込から熟成を終えて飲むことができるようになるまで2~3ヶ月程ですので、すでに完成したものが樽詰めされてマジックアイテムでアイテムボックス化した倉庫に保管されております」

 

 ああ、米や麦は結構前から作っていたからあるだろうけど、ホップはビールを造ろうとでも思わなければ必要ないからまだ収穫できないと言うのは納得だわ。

 でも育成は始めているというのなら、この先は現地産の材料だけを使ってビールは生産できそうね。

 そしたらボウドアの新産業として売り出しても問題ないかも。

 

「次にワインですが、これはこの館での農業試験開始当初からワイン用のブドウを生産しており、酒造も一番最初に取り掛かっているのですが、なにぶんイングウェンザー城とは違い熟成期間が必要なもので、アルフィン様にお出しするには少なくとも後数年はかかると思われます」

 

「う~ん、それは仕方がないわね。城ではマジックアイテムを使っているから材料を入れればすでに熟成したものが出来上がるけど、ここでは普通の造り方をしてるんだし」

 

 ヌーボーとかの新酒を飲む文化が無い訳じゃないけど、やっぱりワインは多少寝かせた方が角が取れて美味しくなるからね。

 ただこれは私個人の感想だけど、あまり寝かしすぎると味がぼやけたような感じになって好きじゃなかったりするんだよなぁ。

 現実世界で高価といわれる年代物のワインをユグドラシルでも作っていたんだけど、この世界に来てからためしにそれを飲んでみたらあまり美味しくなかった。

 

 これは多分私が本当の意味でワインの味が解っていないという事なんだろうけど、これは好みの問題なのだから仕方ないよね。

 

「次に日本酒と焼酎ですが、実を言うとこの二つは比較的短期間で出来上がります。しかしそれを熟成させるのにはワイン同様結構な期間がかかりますから、やはりすぐにお出しする事はできません。ただ、日本酒に関しては新酒として若いものを冷やして楽しまれる方もいらっしゃいますので、それでしたらすぐにでもお出しする事ができます」

 

 へぇ、日本のお酒って短期間でできるのか。

 でもまぁ熟成させた方がおいしいって話だし城には出来上がったものも多いから、ここのものを急いで飲む必要も無いよね。

 それにこの二つはこの世界では未知のお酒だろうし、もし売るつもりならそれぞれに合う現地産のつまみも開発して一緒に売り出さないといけないだろうから、将来的にイーノックカウで売り出すとしても店が軌道に乗った数年後だろうね。

 

「最後にウィスキーですが、ライ麦を生産していなかったため、大麦麦芽を原料としたモルトと、とうもろこしや小麦を原材料にしたグレーンの二種類の生産を始めております。また、ピートはボウドアの村近くにある川周辺で良質なものが取れることが解っております。それに気候もウィスキーを作るのに適した環境ですから、もしボウドアの村で本格的に酒造をお考えなら、このウィスキーが一番適していると思われます」

 

 あらそうなの。

 個人的にはウィスキーはきつすぎるからあまり好みではないんだけど、向いているというのならこれを中心にした方がいいのかもしれないわね。

 他のお酒も作れるみたいだけど、この手の物はやっぱりその地の気候次第で味が変わっっちゃうから。

 

「解りました。ではこの村ではウィスキーの製造を中心にする事にしましょう。ところで他のお酒は作っていないのですか?」

 

「はい。ラムなどは原料となるサトウキビがこの地にあわないため生産できませんし、リュウゼツランも同じく適さないのでテキーラを作る事も出来ません。また、その他の有名な所ではジンは原材料となる薬草が、ウォッカは最終工程でろ過するのに必要な白樺がこの地には向かない植物なので断念しました」

 

 なるほど、お酒を作るのにも色々な種類の植物が必要になるのね、勉強になったわ。

 ん? そう言えばウィスキーって熟成する樽で味が変わるんじゃなかったっけ? そう思った私はその話をリーフにぶつけてみた。

 

「ねぇリーフ。ウィスキーを造るのはいいけど、樽はどうするの? ウィスキーって樽の種類によって味が変わると聞いた気がするんだけど」

 

「それに関してはギャリソンさんが手配をしてくださいました。イングウェンザー城の地下4階層にある森林からオークを切り出して新造の樽を作ったり、城に貯蔵されているシェリー酒の樽の一部を此方にまわしていただける手筈になっております」

 

 おお、ここでもギャリソンか、流石に有能な家令は違うわね。

 あっ、そう言えばシェリー酒は作らないのかしら? 作れば将来的に城の樽を使わなくても良くなるんだし。

 

「そうなの。ところで、シェリー酒は作らないの? ウィスキーの熟成にはシェリー酒を入れてあった樽を使うと言うのなら、ここでも造ったほうがいいと思うんだけど。それともシェリー酒の材料もここでは育たない植物だったりするの?」

 

 そんな私の何気ない発言に対して、リーフがとても困ったような顔をした。

 なんと言ったらいいのかなぁ、話してもいいのかどうか迷っているという感じ。

 話すべきじゃないとは思うんだけど、訊ねられたからには話さないと不味いかもしれないなぁって葛藤しているように見えるのよね。

 

 そんな彼女の姿を見て、私とリーフの話を後ろで静かに聞いていたメルヴァが助け舟? を出した。

 

「アルフィン様。シェリー酒と言うのは白ブドウだけを使って作られるワインの一種でございます。リーフさんはワインの製造も行っていると先ほど説明していましたから、この様子からすると製造いたしているかと」

 

「えっ! そうなの?」

 

 うわぁ、はずかしぃ~。

 

 あまりの事に私は、傍から見ればどんどん真っ赤になって行っているであろうと解るほど顔が火照って行くわ。

 

「ああ、あるさんのポンコツ伝説にまた新たな一ページが」

 

「コラまるん、それは流石に言いすぎよ。アルフィンだって知らない事はあるんだから」

 

 この失態を面白がるようにからかうまるんと、私を擁護するように窘めるシャイナ。

 ただ、私としてはまるんのように笑いにしてもらえるほうがありがたかったのよね。

 シャイナの思いやりなんだろうけど、そこは一緒に笑い飛ばして欲しかった・・・。

 

 流石にちょっと落ち込むレベルでの失敗なんだけど、だからと言って何時までも暗い顔をしているわけにもいかない。

 だってメルヴァが折角リーフを気遣って説明してくれたんですもの、ここで私が暗い顔になって落ち込んでいたらメルヴァが心を痛めてしまいそうだものね。

 

 と言う訳で、気を取り直してっと。

 

「世の中は、まだまだ知らないことばかりね。リーフも、もし私がおかしな事を言ったとしたら今のメルヴァのように教えてね。イングウェンザーの者の前でならいくら恥をかいてもいいけど、外ではそんな訳にはいかないもの。気を使って貰った挙句大失敗なんて事になったら目も当てられないわ」

 

「承知しました。これからは、気づいた時はきちっと進言いたします」

 

 そう言うと、リーフは深々と頭を下げた。

 その姿はなんとなく自分の失敗を悔いているようにも見える。

 

 う~ん落ち込んで欲しい訳でも、反省して欲しかった訳じゃないんだけどなぁ。

 でもまぁ、これ以上この話題を続けると泥沼になる未来しか思い描けないから、この話はここで終わるとしよう。

 

「そう言えばこの酒造工場を見たせいでお酒の話ばかりしているけど、今日の目的はここで育てている農作物や牧場の視察だったわ。リーフ、そちらの方も見たいから、案内してもらえる?」

 

「はい、此方です、アルフィン様」

 

 私の言葉を受けて、慌てて奥に向かって歩き出すリーフ。

 取り合えず職務をこなしていれば落ち込んだ気持ちも癒えて行くだろうし、視察がてら彼女の得意分野の農業の話でもするのが一番だろう。

 そう考えながら酒造工場群を超えて更に奥へ、すると建物の間から木でできた柵のようなものが見えてきた。

 多分、あそこから先が農場なのだろう。

 

 そしてそこにたどり着くと、数人の女の人や子供たちが畑の世話をしていた。

 

「あっ、アルフィン様。この様なところまでお越しになられるなんて、ご苦労様です」

 

 そう挨拶してきた人たちには見覚えがある。

 確か、収監所にいる人たちの家族だ。

 でも何故ここに?

 

 そう思ってリーフに視線を送ると、簡単に答えが返ってきた。

 

「別館に住んでいる方々です。この方たちが最初に別館に入られた時に、アルフィン様が条件として農作業の手伝いをしてもらうと仰られたと聞いているのですが、もしかして此方で働いてもらってはいけなかったでしょうか?」

 

 先ほどの事がまだ心の片隅にあるのか、不安そうにそう説明するリーフ。

 ただその様子に気づく事無く、話を聞いてそう言えばそんな事を言ったっけなぁなんて思い出していた私は、能天気に返事を返した。

 

「あら、別にいいわよ。のんびり農作業するくらいなら別館の中で閉じこもっているより健康的だもの。あまり大変な事をやらせていたら叱る所だけど、そんな訳でも無いんでしょ?」

 

「はい。大変な作業は城から此方に移したシモベたちに担当させているので、彼らには比較的楽な作業を受け持ってもらっています」

 

 ん? シモベ? その言葉に疑問を持った私は、もう一度農場へと目を向ける。

 するとそこには、農作物に付いた虫をついばんでいるグリフォンや、リンゴなどの果樹を手に付いた鋭利なはさみで起用に剪定しているシザー・スコーピオン、そして蔓を器用に使って畑の雑草を抜いているトレントや道具を引きながら畑を耕すオルトロスの姿があった。

 

 ・・・何この幻獣動物園は? 大丈夫なの? 奥さんたち、怖くないんだろうか。

 そう思ってもう一度よく見てみると、グリフォンやオルトロスの上には子供たちが乗って次ぎはどの畑の番だとか言ってるし、シザー・スコーピオンには恰幅のいい女の人がどの枝を落とせば風通しや日のあたりが良くなると指示を出していた。

 

 しっかり共存してるのね。

 

 その姿には何の恐れも無く、それどころか普通の家畜より力を持つゆえに作業するにはより便利な動物たちだと考えているであろう様子まで見て取れるんだよね。

 なんと言うかなぁ、女の人と言うのは本当に強いなぁと思わされるよ。

 そして子供たちも子供たちで、まるで初めから自分たちの為に用意されたペットか乗り物とでも思っているかのようにグリフォンやオルトロスを乗りこなしていた。

 

 う~ん、この二種類のモンスターはレッドとかブルーなどの属性が付いてない下位の、所謂カラーと呼ばれるドラゴンなら捕食するくらい強い魔物なんだけどなぁ。

 それがまるで牛や馬扱いだ。

 

 まぁここでならリーフもいるし、何の問題も無いからいいか。

 でも、念のため釘は刺しておかないと。

 

「ねぇリーフ、あの子供たちにはここで働いているシモベたちの事、外で話さないようにってちゃんと言い聞かせておくのよ。彼ら、ボウドアの子たちとよく遊んでいるんだから」

 

「えっ!? ぼっボウドアの子供たちに知られてはいけなかったのですか・・・」

 

 えっと・・・もしかしてもう知られちゃってる?

 リーフのその反応を見て、私の背中に冷たい汗が一筋流れた。

 と、その時である。

 

「リーフさ~ん、みんなまだお仕事、終わらない? って、アルフィン様だ!」

 

「アルフィンさまだ! ほんとにいた!」

 

 後ろから聞き覚えのある声が。

 私は、ギギギッと音がするかのようにゆっくりと首を回して後ろを振り向いた。

 するとそこにはユーリアちゃんとエルマちゃん、そして村の子供たちの姿が。

 

 それを見た瞬間、ふっと現実逃避のために空を見上げる私と、横でだらだらと汗を流すリーフ。

 私はこの先どう対処したらいいのか解らず、ただ立ち尽くすのだった。 

 

 

 

 それから数分後、私はある意味信じられない光景を目にしていた。

 飛んでいるのである。

 何がって? グリフォンがよ。

 それもボウドアの子供たちを背に乗せてね。

 

 何をやってくれるかなぁ、普通ありえないでしょ。

 どこの世界にグリフォンで遊覧飛行する子供たちがいるのよ。

 いや、ここに居るんですけどね。

 

「ねぇリーフ。ここにいるシモベたちと、この世界の住人との力の差がどれくらいか知ってる?」

 

 私はそう言いながら遠い目をする。

 その隣ではリーフが土の上で正座させられていた。

 

「えっと、どれくらいでしょうか?」

 

「そうねぇ、あそこで子供を背に乗せてるグリフォンなら単体でも一番近くにある都市、イーノックカウを壊滅に追い込めるくらいかしら」

 

 そんなグリフォンさん、嬉しそうに飛んでるわ。

 本当にこの村の子供たちに懐いてるみたいねぇ。

 あんな姿を見せられたら今更引き離す訳にもいかないし、何よりそんな事をしてあの子たちに嫌われたくはない。

 と言う事はこの現状のままここを運営するしかないんだけど、流石にこれが外に漏れると困るわ。

 

 さてどうしたものか。

 

「ねえアルフィン」

 

「何よ、シャイナ」

 

 私がこの現状に頭を抱えていると言うのに、シャイナはさっきまでユーリアちゃんたちと一緒にグリフォンの一匹に乗って空の散歩をしていたのよね。

 ホント能天気でうらやましい限りだわ。

 

「もういい加減、リーフを許してあげたら? 彼女にとってはここに居るシモベたちは仲間なんだし、危険な存在と言う認識が無かったんだから。それに事実子供たちには何の危害も与えてないんだし」

 

「それはそうなんだけど、このシモベたちがここにいるという事を村の子供たちに知られてしまったというのが問題なのよ。これがもし帝国の人たちに知られたらどうなると思う? 自分たちでは絶対に対処できないモンスターがここの子供たちにこんなに懐いてるのよ。この村を脅威と考えてもおかしくないでしょ」

 

「それはそうだけどさ、もしばれてもこの世界の人たちではどうする事もできないんだから問題ないじゃない?」

 

 甘い! メープルシロップに砂糖と蜂蜜を混ぜて煮詰めたくらい甘いわ。

 人の恐怖と言うのはそんな簡単なものじゃないのよ。

 特にすぐ近くのエントの村や衛星都市イーノックカウの住人は、その恐怖心から何をしでかすか解らないわよ。

 

「とにかく、この子達に言い聞かせないと。この場所のせいでボウドアの村が孤立するなんて事になったら大変だもの」

 

 と言う訳で、ここで遊んでいる子たちを集める事にした。

 因みにリーフは正座させたままである。

 私がどれだけ怒っているのか周りに伝わるように、少なくともこの騒ぎが解決するまではあのままでいてもらおう。

 展開によっては、ユーリアちゃんたちが危ない目に会うような話なんだから許すわけにはいかない。

 

 

 

「みんな、ここに居る子たちのこと、どう思ってるのかな?」

 

 私の問い掛けに、子供たちはお互いの顔を見合わせてひそひそ話し合っている。

 多分私の横でずっと正座させられているリーフの姿を見て、何かを感じ取っているのだろう。

 

「ユーリアちゃん、あなたはどう思ってるのかな? 私に教えてくれる?」

 

「えっと、みんな可愛いよ。それに大きな鳥さんや顔が二つ付いてる犬さんは背中に乗せてくれるし」

 

 そんなユーリアちゃんの言葉に、子供たちは皆賛同の声をあげる。

 

 うん、やっぱり馬みたいな乗り物扱いなわけか。

 と言う事はこの子たちはこのモンスターがどんなものか知らなくて、その存在をまるで怖がっていないと言う事なんだろう。

 ならそれを前提に話をすべきだよね。

 

「実はこの子たちはね、本来はとても凶暴なモンスターなのよ」

 

「うそだぁ」

 

「みんなこんなに大人しいよ」

 

 そんな私の言葉を聞いて子供たちはそれを否定する声をあげた。

 それはそうだろう、ここに居るモンスターはみんな私の城から連れてきたシモベであり、人とは絶対に敵対しない存在なんだから。

 それが解って貰えている事を確認して、私は心の中でホッとする。

 これならな何とかなりそうだと。

 

「うん、解っているわ。実はこの子たちはそんなモンスターの中でも特殊な子たちで、みんなも知っている通りとても大人しいのよ。でも他の人たちには違いが解らないから危害が加えられないように、私たちが保護してる子たちなの」

 

 私の話を真剣な顔をして聞いている子供たち。

 一度そんな彼らの顔を見渡した後、私は話を続ける。

 なんだか騙しているようでちょっと心苦しいけど、こんなに仲良くしているこの子たちとシモベたちを引き離さずに済ますためにはこの話を纏めるしかないのだから、ここはあえて泥をかぶろう。

 

「だから他の人たちにばれないように今まで城の中で匿って来たんだけど、それをこのリーフがそれを知らずにあなたたちに見せてしまったのよ。でもね、もしここにこの子たちがいる事が外に知られたら、きっと討伐隊が編成されてみんな殺されてしまうわ」

 

「そんな!」

 

「こんなに良い子たちなのに、かわいそうだよ」

 

 まぁ実際には討伐隊が編成されたとしても、逆にその討伐隊が全滅させられるだけなんだけどね。

 でもそんな事はこの子たちには解らないだろうから口々に可哀想だと訴えてきた。

 私はそんな彼らの言葉を肯定し、この子達の存在を秘密にして欲しいと頼む。

 

「そうでしょ。この子たちの安全の為にも、この場所で匿っている事が外にばれては絶対にダメ。だからね、みんなには秘密にして欲しいのよ。もちろんお父さんやお母さんにもね」

 

「お母さんたちにも?」

 

「ええ、そうよ。みんなと違ってお父さんやお母さんも、この子たちが本当はどれ程恐ろしいモンスターなのかを知っているはずですもの。いくら大人しいと言っても、もし知ってしまったら不安になるでしょ。もしかしたら、もうここには来てはいけないって言い出すかもしれない」

 

「そんなの、やだ! ピイちゃんたちともっと遊びたい!」

 

 そう言ってグリフォンの首に抱きつく女の子と、目を細めながらなすがままになっているグリフォン。

 てか、ピイちゃんて呼ばれてるのか・・・伝説級の幻獣なのに。

 まぁ外見は鳥の一種みたいだから、子供が付けたらこんな名前になってもおかしくないか。

 

「そうでしょ? だからみんな、黙っておいてね」

 

「うん! 僕、秘密にするよ」

 

「私も!」

 

「私も誰にも言わないよ!」

 

 口々にこの場所の事を秘密にしてくれると約束してくれる子供たち。

 

 よかったわ、これでもう安心ね。

 

 その姿を眺めながら、私は満足そうに頷くのだった。

 

「・・・私たちは、ばれても良かったのかしら?」

 

 少しはなれた場所で私の話を聞いて、そう呟く別館の奥さんたちの声には気付かない振りをして。

 

 




 後々、この村の子たちはグリフォンライダーとかオルトロスライダーとか言われる冒険者になるのだろうか?
 もしなったとしたらアダマンタイトどころの騒ぎじゃないでしょうねw

 因みにアルフィンたちはこの後、子供たちとの交流タイムに突入。
 とても楽しい時間を過ごすことになります。
 ただ、そのおかげでリーフの事はすっかり忘れ去られ、ずっと正座させられる事に。
 それに気が付いたまるんが慌ててアルフィンを呼びにいく事によって、やっと開放される事になりました。

 その後、アルフィンがメルヴァに説教されたのは言うまでもありません。

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