【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
返事はすぐに返ってきた。
『条件の下、許可する。横須賀鎮守府周辺の自治体やメディアへの評判が悪いようだ。イメージアップ戦略の一環として重要施設以外を一般公開し、盛り上げてくれ。条件は一般と特別、特種に分けてもらう。特種はそちらのレッドリストに載っている人間が訪れた際、監視門兵を付けての公開だ。他は意味が判るだろう。訪れる客は抽選にしてもいい。 新瑞』
ということらしい。つまり許可が出たということだ。俺は早速、那珂のところに走った。
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「という訳で許可が下りた。」
そう言うと那珂は首を傾げた後、ハッと思い出した様だ。
「ってぇ!色々端折り過ぎ!......でも分かったよ。これで那珂ちゃんはステージに立てるんだね!」
そう言った那珂は飛び跳ねた。
「そうだ。それで、レッスンの方はどうだ?」
そう訊くと、那珂は親指を立てた。
「完璧だよっ!歌って踊れるから!」
そう言って那珂はその場で少し踊って見せた。
「分かったから......それでだな、バックダンサーの事だが。」
そう言うと那珂は動きを止めて真剣な表情になった。これから海域に出撃するのかという様な表情。
俺はそんな那珂に見られて少し躊躇したが、すぐに言った。
「バックダンサーは村雨、夕立、五月雨、涼風、朝潮に頼もうと思う。」
そう言うと那珂は何か察したのか相槌を打った。
「それならそこにあと2人、増やしてもいいかな?」
そう言った那珂は俺の持っていたメモをひょいっと取り、何かを書き足した。
「......由良と長良......どうしてだ?」
「由良ちゃんも長良ちゃんも四水戦だよ?このメンバーはそういうことでしょ?」
そう言った那珂はキャハとか言ってメモを俺に返してきた。
「那珂ちゃん、由良ちゃんと長良ちゃんにオファーしてくるね。それと、何時になる予定なの?」
「未定だが、開催する事は決定だ。」
そう言うと那珂は走って行ってしまった。どうやら由良と長良を探しに行ったようだ。
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俺は再びいつかの様に、長門、赤城、高雄、五十鈴、吹雪を執務室に集めていた。勿論、草案の出し合いの為だ。
「鎮守府で文化祭を執り行う。」
そう俺が切り出し、ホワイトボードに書いた。俺の言ったことには皆、驚いていた。驚いたということは文化祭の意味を知っているということだ。資料室に増えた漫画や小説、テレビから得た情報だろうが、皆目を輝かせている。
「文化祭か!楽しみだな!!」
「文化祭と言えば露店や出し物、ステージ......凄く華やかそうですね!」
「まさか鎮守府でやるとは思いもしませんでした......。」
「頭が痛いわ......。」
「楽しみです!!」
そうそれぞれが言うが、五十鈴だけが乗り気じゃない様だ。
「如何した五十鈴。」
「如何したもこうしたもないわ。提督、文化祭を開いたとして開催期間は正面海域やら警備やらが手薄になるんじゃないの?そっちを考えたら不安で仕方ないわよ。」
そう言った五十鈴が両手を挙げてジェスチャーして見せた。
「誰が......1日だけだと言った......。」
そう言って俺はホワイトボードに書き足した。
「文化祭は3日間連続で行う!!」
そう言って黒いペンをバシンと叩き付けた。
「この間、艦娘は正面海域哨戒を交代で行いながら皆で楽しんでもらう。更に、何とか門兵の方にも口をきかせて増員できないか相談してみるつもりだ。」
そう言うと五十鈴も納得してくれた様で、すぐに何をするかの会議が始まった。
あれこれと挙がる事を書き留めていき、一定数溜まったら投票を繰り返す。そんな作業を続ける事、1時間。やっとの事で終わった。結局決まったのは、露店、鎮守府ツアー、艤装試乗(抽選)、特設ステージで那珂のライブと出し物披露会。暫定的にそれだけが決まった。
「まぁ楽しい決め事はここまでで、運営やらなんやらかんやらで決める事が山ほどある。」
そう言って俺は地図を広げた。横須賀鎮守府の地図だ。
「立ち入り禁止区域を指定する。まずはこれからだ。」
そう言って俺は赤いペンを握った。
それを聞いていた長門が指をさした。
「本部棟......理由を聴こうか。」
「ここは横須賀鎮守府の脳だ。機密情報もある。一般人が入っていいところじゃない。」
そう長門が言ったので俺と他の艦娘はそれに納得し、俺は本部棟を赤く囲みバツをうった。
そうすると赤城が今度は工廠を指差した。
「ここには富嶽や隼、疾風が格納されています。こんな装備があると知られたら何が起こるか分かりません。」
そう言われ迷わず俺はバツをうった。
「なら滑走路と格納庫もダメですね。」
高雄が挙げた。それにもバツを書き入れた。
「警備棟と事務棟もダメね。それに酒保も一部はダメでしょうね。」
そう五十鈴が言った。俺はそれを聞き、それらにもバツをかき込んだ。そうしているとアワアワする吹雪が居たので声を掛けた。
「どうした吹雪。」
「いえっ!他にないかなぁ......って。」
そう言ってしょげてしまった吹雪にもう大丈夫だぞ、とだけ声を掛けておいて、他の事を決め始めていった。
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俺と会議をしていた艦娘たちは夕食の食堂で生気が抜けたみたいにだらけていた。
あれからというもの会議は4時間続き、おおよそ全ての方針などが決まったので時間も頃合いだったので食堂に来ていた。
「ヤバい......久々にこれはキツかった。」
俺は夕食が届くまで机にぐだーとなっていた。こんなになったのは久々だ。高校で最後の授業が終わった後みたいな気分になっている。
「だらしないですよ。」
そう言いながら隣に座ったのは鳥海。大本営に送った書類、最速で届いたのは言うまでもないだろう。一体、どんな書類送信方法なんだろうか。
「いや......これは無理。」
そう言ってガクッとなる俺を見て鳥海は変だと言ってクスクス笑っていた。
「そう言えばどこまで決まったんですか?」
「んぁ......大方決まったぞ。費用に関しては考えずにやるつもりだ。それと今回のは艦娘主体でやって貰う。」
そう言ってむくりと俺は起き上がった。
「艦娘主体とは......どういうことでしょうか?」
「そのままの意味だ。計画、設営、販売とかをやってもらう。こっちが手を出すのはほんの一部だけだ。」
そう言って俺は頭を掻いた。
「そう言われましても......一体私たちは何をすれば......。」
「文化祭と言えば分かるだろう。露店を出したり、ステージで出し物をしたりして楽しむんだ。」
そう言うと鳥海は目を輝かせた。
「本当ですかっ!?......文化祭。本や漫画で見て一度やってみたかったんですよ!」
「そうか。」
そんなことを話していると、夕食が来たので俺と鳥海は食べ始めた。
他の艦娘たちも会議に参加していた艦娘から訊いた話でこんな風になっているんだろうな、と考えつつも俺は鳥海に質問攻めに遭いながら夕食を楽しんだ。
ちなみにこの日の夕食の時間はテレビの前に集まった艦娘は少なかったとか。
今日は少し薄いと思います。すみません。
途中で寝落ちとか笑えませんね。
今回からは楽しい系のシリーズですね。①とか数字がついていくのでw
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