【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
駆逐艦の艦娘のレベリングを一昨日行った。昨日も敷波のレベリングによってキス島への出撃があったが、今日は違う。
一度攻略したカムラン半島に敵艦隊が再集結しているのだ。
執務室には張り詰めた空気が流れている。
飛鷹、隼鷹、神通、吹雪、白雪、時雨は俺の机の前で一列に整列している。
新しく艦隊を編成した軽空母戦隊だ。この艦隊によって俺はカムラン半島を再度攻略を命令した。
「飛鷹、この編成は理解しているな?」
俺は某ロボットアニメのサングラス如き姿勢で飛鷹に言った。
「分かってるわ。軽空母戦隊、カムラン半島、もうアレしかないじゃない。」
「分かっているならいい。」
俺はそう言って手をほどくと、命令した。
「第一艦隊、軽空母戦隊はカムラン半島に出撃、敵を撃滅せよ!」
「「「「「「了解ッ!」」」」」」
「って言いたいところだけど、艦載機が......。」
見事に俺の頑張って作った雰囲気を隼鷹がぶち壊した。
「だぁぁぁぁ!!それっぽく雰囲気作ったのに。......改装な。分かった。」
俺は紙を取り出して書き始めた。それは改装の指示書。
順番に改装する装備を書いていく。軽空母には余っている天山と彗星、零式艦戦52型を。五十鈴には20.3mm連装砲、61cm四連装酸素魚雷発射管、21号対空電探。駆逐艦には10cm連装高角砲と61cm三連装魚雷発射管に改装する指示を書いた。
「出撃前に改装だ。これ通りに頼む。」
俺はそう言って紙を渡した。
「ありがとうございます。......艦載機あるじゃん。なんで軽空母の方に回さなかったの?」
「いちいち書くのが面倒なんだよ。ほら、この出撃で腕の感覚を戻してくれ。」
「了解。じゃあ、行きますか。」
そう言って飛鷹は艦隊を連れて執務室を出て行った。
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ーーー
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「提督。」
飛鷹たちが出撃したという知らせを受けてから1時間くらい経った頃、長門が俺に声をかけた。
「なんだ?」
「本当に良かったのか?軽空母戦隊。」
長門が聞いたのは軽空母戦隊で良かったのか、という質問なのかと俺は思ったが違った。
どうやらこの世界でも出撃する場所や任務に関しての練度の関係はやはりあるらしい。俺も自分の居た世界で何度か見たが、確かに軽空母戦隊のカムラン半島攻略はどの他の提督もかなりの高練度艦を編成して出撃させていた。
今回、俺が編成して出撃させた艦隊は平均練度が22くらいだ。飛鷹の28を筆頭に隼鷹16、五十鈴が23、駆逐艦が全員20だ。飛鷹と五十鈴、駆逐艦に関しては改造をしたが、隼鷹は全くの状態だった。
「......俺は運だと思う。」
「何故だ?」
俺は練度うんぬんを踏まえずの出撃ではないつもりだったのだ。
「カムラン半島は南西諸島海域の一番最初の攻略場所だ。それを考えると比較的低練度でも攻略が可能だという事がうかがえる。」
「だか、最初に攻略した時は艦隊に戦艦や重巡が居ただろう?」
「そうだな。あの時駆逐艦も編成していれば、改造前の経験の浅い駆逐艦はボスに到着する前に轟沈してしまうかもしれないだろう?」
「そうだが......。やはり、駆逐艦が主編成の軽空母戦隊にカムラン半島が攻略できるとは思えない。」
俺は長門のいう事に溜息を吐いた。俺の居た世界では艦娘のありとあらゆる性能を数値で表していた。だが、それはこの世界では存在しない。理屈的に考えれば駆逐艦は改造しても装甲の薄い艦なのだ。
「長門、俺の居た世界では艦娘の艤装の破損状態を数値で表現していたんだ。」
「ん?破損状態??」
「あぁ。所謂体力みたいなものだ。まぁ耐久値という表現だったが。その耐久値は艦種によって大きく違ってくる。例えば長門。」
「なんだ?」
「今長門は改造をしていて、改の状態だろう?」
「そうだな。」
「この時、長門の耐久値は90と表現されていた。」
長門は俺の言葉に顔をしかめる。無理もない。この世界にはないものだからだ。
「それは高いのか?」
「あぁ、高い。戦艦の艦娘の中では大和型、ビスマルクに次ぐ高さだ。」
「そうか。」
長門は澄まし顔でそう言った。
「だが一方、改造前の駆逐艦の耐久値は15だ。」
「15だとっ!!低すぎる!」
「あぁ、俺も出撃させた駆逐艦の艦娘がこの耐久値ならわざわざ軽空母戦隊を組んで出撃なんぞさせんよ。」
俺は見ていた書類を置くと、肘を付いた。そうすると長門は慌てて言った。
「なら今すぐに撤退させるべきだ!危険すぎる!」
「だが改造前って言っただろう?」
「??」
長門の頭上にハテナが浮かぶ。どうやら理解できてない様だ。
「軽空母戦隊に編成した駆逐艦の艦娘は全員改造済みだ。だからおのずと耐久値が変わっている。」
「そうなのか?」
「出撃した駆逐艦の艦娘の耐久値は30。改造前の2倍だ。」
そう言うと、長門は落ち着いた。どうやら頭が冷えたみたいだ。
「なら......下手な攻撃を受けても一撃で大破することは無いな。」
「そう言う事だ。」
俺はそう言うと次の書類に手を伸ばした。
長門はそれ以来、ずっと考え事をしている様だったが、俺は放っておくことにした。
だが内心この出撃は博打であるとも俺は考えていた。平均練度21という艦隊での攻略は聞いた事が無かった。それに低練度ならではのデメリットもある。
俺はああは長門に言ったものの、とても不安であった。
いやー。これもまた自分の中で古い話です。
本当にリアルタイムのを書きたいのに......。まぁ、雪風の開発日記でいくらでもかけるんですけどねwww
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